師走の落語会で必ずかかる演目「芝浜」
この「芝浜」とお馴染み「文七元結」がムービーに・・・。
病休でとんと高座でお目にかかれない立川流家元、談志。
どうしてももう一度、談志を見たくて・・・。
毎年末恒例の有楽町よみうりホールでの談志独演会、
その2006年の文七元結と2007年の芝浜が映画になって
同じ舞台で同じ舞台を放映、なんか変な感じ。
拍手、笑いはムービーと客席、微妙な時差が・・・。
シネマ歌舞伎は東劇でやってるが、おそらく落語は初めての試みなのではないのかな。
さて「文七元結」
文七はわき役で主役は腕のたつ左官屋長兵衛。
この長兵衛はおっちょこちょいでお人好しのギャンブル好き、あちこちに多額の借金が・・。
貧乏のどん底を救うため一人娘のお久が吉原にみずから身を売り、五十両を借りる。
娘をカタにして借りた五十両を途中で身投げ未遂の見ず知らずの小僧(これが文七)
に惜しむなくやってしまう。五十両を作れないと身投げするという。
このあたりの心理描写が素晴らしい。
結局、身投げ未遂の文七の思い違いで五十両はそのまま店の主人が返しに貧乏長屋に持参する。
長兵衛の人情に感激した大店の旦那は親戚づきあいしてくれと長兵衛に迫る。そんな身分じゃないと
断る長兵衛。ここのあたりがこの噺の見せ場、聞かせ場。
最後は文七とお久が夫婦になって江戸一の元結屋(髪を結う帯どめみたいなもの)になったという噺。
この演目は歌舞伎でも勘三郎がやってるらしい。今度は芝居で見てみたい。
ハプニングは幕間から「芝浜」が始まる前でした。
な・な・なんとジーンズ姿の家元談志が登場。小噺や今年亡くなった谷啓、星野哲郎トークを披露、思わぬハプニングに観客は大喜び・・・。
続いて「芝浜」
これはもう暮の定番。「第九」みたいなもの。
どこの寄席に行っても大トリで誰かが演じていると言ってもいい。
過去には先代の円楽や志の輔で聞いたことはあるが、家元のはCDを購入して車で聞いていた。
が、家元がいつもの口癖の「一期一会」いつも噺のできは違うらしい。
そういえば、車で聞く「芝浜」は師匠がまだ若いころのもので、志の輔や談春がコレを聞いて弟子入り
したという伝説のもの。
それ以降は・・・というより最近は夫婦の語りが現実的なものになっているようだ。つまり、ぐうたら亭主
としっかりものの女房が、大みそかに交わす会話がクライマックスであるが、その夫婦の会話が
以前はかわいい妻とダメ亭主、今は恐い妻とグータラ亭主と、より鮮明な描写になっている。
今日のムービーは2007年、3年前のこの落語会で演じた伝説の「芝浜」と言われている。
最後に談志自ら「また違った芝浜ができました」と語っているように最高の出来でした。
よござんすでした(笑)
よみうりホール、1・2階席ともほぼ満員。
今後、「シネマ落語」定着しそうな感じである。