2009年 01月 07日
白いボローニャ |
よく降る雪だ。空の袋が破けたように綿毛のような雪片がひらりひらりと尽きることなく落ちてくる。確かに、そんな予報が出ていたのだ。月曜日の晩、私と相棒はscascoli の友人家族のところで久しぶりに夕食会に参加する予定だった。ところがその前日電話があって氷点下9度の寒さでは山道が凍って危ないからと、夕食会が先延ばしになった。残念だった。火曜日は祝日だった。山の友人と会う約束をしていた。私達が山を訪ねるか、そうでなければ友人が私達を訪ねる約束だった。外の寒さに萎縮して私は外に一歩も出ないと決めた後、友人から電話があった。友人が暮らす標高800mの村は朝から吹雪いているそうだ。それで友人もまた、外には一歩も出ないと決めたようだった。寒い筈だ。標高800mのその村は時間にして車で僅か20分の場所なのだ。雪が降っていないだけでも感謝しようか、と言いながら、楽しみにしていた友人の訪問が宙に浮いて消えたことを残念に思った。友人との付き合いは長い。ただ、この1,2年はあまり交流がなかった。色々あるのだ、友人にも、そして私達にも。雪が止んだら週末にでもと考えていたが、雪は止むどころか事態は悪化する一方だ。昨晩眠りに就く前には鼠色に乾いていた路面は明け方のうちに雪に覆われ、今朝目を覚ますと白い世界が広がっていた。それは神秘的であったが、同時に出勤意欲が急激に減退していく瞬間でもあった。丘を降りていくとボローニャ市内は曇り空だった。成る程、山沿い地方だけであったかと胸を撫で下ろしたのもつかの間。大きな白い雪片が降ってきたと思ったら、あっという間に辺りが真っ白になった。雪が降っていると窓の外が静かなのは何故だろう。まるで雪が物音を吸い込んでしまっているかのように。白いボローニャ。凍るような冬のボローニャ。文字にするとこんなに清くて美しく、窓の外の眺めもこんなに美しいのに、人間達は雪による道路の混雑や閉鎖を案じるばかり。美しいものを観賞する余裕もない。
by yspringmind
| 2009-01-07 13:30
| bologna生活・習慣