いつになれば何の制限もなく海外に行けるようになるでしょうか。
フィンランドのサウナ、タイの僧院、スペインの巡礼の道など夢は広がりますが、加齢による気力と体力の衰えから、昔のように行動できるか自信がありません。
そんな弱気を吹き飛ばしたのが、ウクライナ義勇軍に入った70代の日本人男性の話。
大学時代は学生運動をしていたけれど、暴力性に幻滅して離れ、さまざまな仕事をして還暦に。
残りの人生をどう生きていくかを真剣に考え「ナチスの強制収容所をすべて巡り記録する」というライフワークを思いつく。たとえ運動から離れても、歴史や社会問題は常に彼にとって重要な関心事だった。
ああ、私も還暦後をどう生きるか、真剣に考えるはずだったのに、還暦を迎えた年に世の中がコロナ一色に。海外に関連したことはすべて封印され、訪日外国人と関わることもなくなりました。
74歳のこの方は還暦後に10年間介護のアルバイトをして資金を貯め、2021年にポーランドへ。ポーランドで永住権を取り、物価が安いので日本政府からの年金だけで暮らせるとあります。この円安で手取りは減っているのではと考える私とは器が違います。
コロナでも止められなかった学生運動の元闘士の熱意を一変させたのがロシアのウクライナ侵攻。
「私より若い人が死んでいく」とポーランドでボランティアを始め、もっと役に立ちたくてウクライナへ。
義勇軍に志願するものの、隊長は74歳という年齢に「サムライだ。すごい勇気だ」と仰天します。そして、1週間の働きぶりを見て判断するということになりました。
この言葉にぐっときました。
まあ見てなって。まず明日から徹底的に掃除を開始する。あの宿舎の汚さったら…君も見ただろ? シーツも布団も全部洗濯だ。そうだ、庭の雑草も全部むしらなきゃ。日本人クオリティってものを見せつけてやる。そしたらすぐ入隊だ!
介護のアルバイト経験がここで活かされます。戦闘の最前線に立つのではなく、兵士たちのケアなら70代でも立派に働けるのです。
ついてすぐ掃除したら、隊長もみんなも大喜びさ。一週間もかからず即入隊したよ!部隊章のワッペンも貰ったし。これがあると、駅でパスポート見せなくても簡単に通らせてくれるから便利なんだよね。いまは掃除だけじゃなくて警備や巡回もしてる。詳しくは言えないけど、結構重要な任務で…
こんな人もいるんだ! 年を取ったら可能性も少なくなる一方だと悲観的になるのではなく、これまで培っていた経験を活かせる場を探そう。そんな前向きな気持ちになれました。
そして、足腰がきちんと立つこと。とりあえず私のライフワークの一つは巡礼。一日20キロを歩ける体力を維持するために、ダンスのレッスンに加えてノルディック・ウォークも始める予定です。
スペインの路地は歩くだけで楽しい。旅に出るとけっこう歩くので、トレーニングにもなっています。