CSIRT研修レポ:ベトナム VNCERT/CC編
こんにちは、JPCERT/CC 国際部の中野です。いよいよコロナ禍での2度目の夏がやって来ました。この記事を読んでくださっている皆さんの中にも、すでに1年以上在宅勤務をされている方がたくさんいらっしゃると思います。過去一年半、カンファレンスや研修など、多くのイベントがオンライン開催になり、私たちJPCERT/CCのスタッフもその変化に対応してきました。今日はその一例として、先日JPCERT/CCが、ベトナムのNational CSIRTであるVNCERT/CCを対象に行ったCSIRT研修についてご報告したいと思います。
この研修は、JICA(独立行政法人国際協力機構)のベトナム支援プロジェクトの一環として、6月15日から18日までの4日間にわたり行われました。主な受講生はVNCERT/CCやその親組織であるAIS (Authority of Information Security)の職員の方々ですが、その他にも地方自治体や中央銀行、航空会社を始めとした複数の組織からもご参加いただきました。
JICA(独立行政法人国際協力機構)
サイバーセキュリティに関する能力向上プロジェクト
https://www.jica.go.jp/project/vietnam/052/index.html
JPCERT/CCによるCSIRT研修
https://www.jica.go.jp/project/vietnam/052/news/20210618.html
本研修では、多様な受講生のレベルに合わせ、基礎的なインシデント調整のプロセスなどから、最新のセキュリティインシデントの動向や、より技術的な情報まで幅広く取り上げました。私も「CSIRTの基礎」と「インシデント調整」の2つのセクションを担当し、CSIRTの役割と責任、CSIRTの職員に求められるスキル、主要なサイバー攻撃の種類、基本的なインシデント対応の手順、外部組織との連携など、基礎的な内容についてお話しました。その他にも、地域的・国際的なインシデント調整についての講義などもあり、技術者向けには、JPCERT/CCのインターネット定点観測システムであるTSUBAMEや、インターネットリスク可視化サービス Mejiroの紹介と解説も行いました。
4日間の研修は非常に好評で、たくさんの質問やご相談をいただきました。本来、本研修は私たちJPCERT/CCのスタッフがベトナムへ行き、現地で実施する予定だったのですが、渡航制限によりオンラインでの実施となりました。しかしながら、オンラインであったからこそ、ベトナム全土からの参加が可能となり、参加者間での情報交換や、それぞれが抱えている問題の共有など活発に行われたように思います。講師・受講生間だけでなく、こうした受講生同士での多方向のコミュニケーションが行われる「場」を提供することは、時には研修そのものと同じくらい重要なのではないでしょうか。人の行き来の難しい現在のような状況でも、私たちは共に学び、高め合っていける、そう感じた4日間でした。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
国際部 中野巧