バッチプラントは同じような設備構成に見えますが、意外と特殊設備があります。特殊設備が多ければ多いほど汎用性が無くなり、ある生産品目にとっては使い易くても、別の生産品目には使いにくくなります。製品導入時のことだけ考えてプロダクトライフサイクルを考えずにプラントライフサイクルも考えないと、後々困ります。新技術がほぼなくなった現在では、長期的に使える設備構成を考えるのはエンジニアの1つのテーマです。
化学プラントの設備・運転を分かりやすく解説。国立の機電系大学院卒業→化学会社のプラントエンジニア15年以上。機械設計中心、海外勤務、製造管理経験あり。
|
https://twitter.com/neoneeet |
---|
ガス吸収を実現しようとしたら、塔・タワーが一般的ですが、局所的にはエゼクターも活躍します。反応器や真空ポンプを代用するのは、緊急的用途や一時的なものにしたいです。完全に使えないわけではないので、いざ使わざるを得ない状況になれば、しっかり評価しましょう。そんなことにならないのが理想的ですが。
製造課を外から見ていると、課長の差というのは結構見えてきます。プラントエンジニアとしてではなく、生産技術や企画の方が見えやすいでしょう。課長がプレイヤーとして仕事をせざるを得ないというのは、本来は注意信号です。長期化すると、課全体が弱くなっていきます。負の連鎖が蓄積しないようにするには、課としての取り組みと、その実態を知って外部からフォローする取り組みの両面が欠かせないでしょう。
プラントオペレータは今後少なくなっていくでしょう。その中でオペレータが足りないという可能性は少ないと思いがちですが、小さな単位では起こりえます。生産数量・投資・異動などの形として見えてきます。オペレータとしては、この情報や周囲の稼働状況は敏感になっていた方が良いでしょう。その中で、どう振舞うかを考えることができますね。
プラント設計で配管設計が最重視されなければいけない7つの理由
プラント設計では配管設計はとても大事です。良否は装置サイズや動線に影響を与えたり、液ガスが流れなくなったりします。配管の数が多いので考えることは多く、建設コストやメンテナンスコストにも実は影響を与えます。ただし、それらの問題が表面化することは少なく、運用でカバーされがちです。配管設計者の質が今後も大事になることは確かですね。
金属系のポンプの材質を指定するとき、ケーシングとインペラに対して、鉄とステンレスのどちらを選ぶかという問題があります。どちらも鉄というのは、プラント内部では避けた方が良いでしょう。逆にどちらもステンレスとするのが無難です。ケーシングは鉄でインペラはステンレスというのは何かと中途半端になりがちです。ライニングはもっとトラブルになりやすいです。
タンクのノズル数が少ないために、二重ノズルという案を考えることがあります。流速を合わせるための口径設計が大事ですし、ライニングは失敗しやすいです。サイズが合わずに標準化できなくなると、メンテナンス性も悪くなります。どうしても使用する場合は、数を限定して、メンテナンス周期を定めて、特殊な扱いにしましょう。
ガスラインの設計を例に、反応滴下速度を変えることで口径設計の限界を越えないという例を紹介しました。設備上どうしてもできない範囲なのに、気が付かずに配管サイズだけを当てはめてしまうと、大事故に繋がるかも知れません。設備のことを把握しつつ、運転条件の前提にも目を向けて、コミュニケーションを取りつつ設計をしていきましょう。
熱交換器の設計はすればするほど、何でもいい中で最も良さそうなものを選ぶという発想になってきます。イニシャルコストよりもランニングコストを重視した設計が大事であり、能力設計ではなくプラントの運転思想や稼働条件に関わってくる話です。ユーザーエンジニアはこういう部分に積極的に関わらないと、プラントエンジニアリング会社や機器ベンダーと同じ考え方になってしまうと良くはないでしょう。
粉体ホッパーを使うことは、バッチ運転でも大きなメリットがあります。作業時間を拘束しないし、安全性が高くなる、重量管理ができる無くても何とかなってしまう場合もありますが、安定的な操業をするにはホッパーは強い味方となるでしょう。
「ブログリーダー」を活用して、ねおにーーとさんをフォローしませんか?
バッチプラントは同じような設備構成に見えますが、意外と特殊設備があります。特殊設備が多ければ多いほど汎用性が無くなり、ある生産品目にとっては使い易くても、別の生産品目には使いにくくなります。製品導入時のことだけ考えてプロダクトライフサイクルを考えずにプラントライフサイクルも考えないと、後々困ります。新技術がほぼなくなった現在では、長期的に使える設備構成を考えるのはエンジニアの1つのテーマです。
担当したこともない全く知らないプラントのFSをする場合に、気を付けることは結構あります。情報が不足しているからといって、見落としの項目があってはエンジニアのプライドが傷つけられます。納得感のある見積をするためにも、前提条件を疑い情報を集めるようにしましょう。
化学プラントの架構は鉄床で作ることが多いです。建物そのものの寿命を判定するうえで、鉄床の寿命を延ばすことが最優先です。ステンレス床に変える、FRP塗装をする、普通の塗装を繰り返す、当て板をするなど方法はいくつかあります。基本は塗装を繰り返すですが、手遅れのものは当て板とかステンレスに変えるなど、コストはどんどん跳ね上がっていくでしょう。
地番沈下の問題は化学プラントでも問題になります。埋設配管や地下水などの影響を長期的に受ける可能性がありつつ、スチームドレンなどの外部要因もありえます。その割に、メンテナンスのための投資をしないので、気が付いたときには全容把握すら困難もしくは高額の費用が必要で、首が回らなくなってしまいかねません。プラントライフサイクルの中でもとても重要な話題です。
3Dスキャナは化学プラントのような設備系には業務効率化の夢が広がる話です。私の職場でも導入されましたが、1~2年で誰も使わなくなりました。理由をいろいろ考察しましたが、「使う人がやる気がない」という結論に落ち着いています。職場によってこの辺が大きく違って、成功と失敗に分かれるのでしょう。
化学プラントの設備投資では、投資を決めるために厳しい厳選がなされます。老朽化しているプラントが多いので、特に問題になりやすいですね。ここで必要な投資を許可してもらうためには、申請者はいくつかの工夫が必要です。老朽化している具合のアピール、合理化の可能性、故障リスク削減の可能性などです。
カーボン熱交換器は強そうに見えて意外と弱く、樹脂で持っているという構造は変わりありません。樹脂が漏れても気が付きにくく、異物ともなりえます。取り扱いも注意が必要で、割れたり漏れたりするリスクがあるので、予備を確保しておくことが好ましいでしょう。
撹拌機を交換するのは意外と怖いです。単純更新ですら意外とできなかったりして、単純更新のつもりが微妙に違う部分があって性能に影響を与えたりします。このリスクのある撹拌機を自プラントでどれだけ抱えているか把握して長期計画を練ることは、機械系エンジニアにとって大事なことだと思っています。
化学プラントの設備保全でDXは進められているように見えてしまいます。対外アピールは凄いのですが、実態はどこも結構なものだと思います。何もしない人も居れば、1回だけデータを取って満足する人も居れば、実運用までの展開であきらめたり、時間を掛けて結果が出ないというパターンもあります。DXは部署を横断して自主的に進める力のある人が担当する必要があり、人を選ぶ業務だと思っています。
プラントエンジニアリング会社のエンジニアはオーナーズエンジニアよりもスキルが高いという一般的に言われることを、自分の範囲ではあまり聞いたことがありません。これはプラントエンジニアリング会社が不得意としている領域で、バッチなど機会の少ないプラントや思想がしっかりしているプラントが当てはまりそうだと思います。
原料の品質は不純物が製品に影響を与える可能性があります。原料の製法や工場が変わるとその影響を評価しないといけません。メーカーのCoAと原料に必要な規格とは異なる部分があるので、メーカーが問題ないと言ってもユーザーはそれなりに評価が必要な場合はあります。
ストレーナ・フィルタのライン設計を考えました。交換洗浄作業を考えるときに、遮断弁の外、ベント・ドレンを付けたり、圧力計で監視したり、水・窒素ラインを繋いだりと、安全性を高める方法が考えられます。内容物の危険性に応じて選べるようにしましょう。
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。時が過ぎるのは速いもので、気が付いたら1年が終わっていた気がします。1年を振り返るのは年末くらいのものですが、大晦日の振り返りは毎年かなり適当です。2024年はこんな感じでした...
全溶接型プレート熱交換器は耐圧性や耐熱性を高めたプレート熱交換器です。元のメリットである洗浄を犠牲にするので、詰まりや腐食の可能性が考えられる場合、交換前提で購入するとしてもリスクをしっかり判断しないといけません。私は、スチームとエアーのように綺麗な流体に対してしか、全溶接型プレート熱交換器を使おうとは思いません。
断面図を見てすぐにイメージができない場合は、色塗りがおススメです。分かりやすい部分から始めましょう。ケースなど外側が分かりやすいかシールが分かりやすいかは、構造や経験によって変わります。色で視覚的なイメージをしていくことで、不明部だけを浮かび上がらせることが可能です。機械の動きのイメージがしやすくなり、不足している部分など考えることもできるかも知れません。
化学プラントの設備投資はその目的別に、法的要求、補修・修繕、オーバーホール、更新、新製品の導入、合理化、改善などに分類できます。スピード重視、データ集め、目標感の共有など、見積作業そのものよりは考え方で変わる部分が大きいです。どのケースで何が重視されるか会社によっても分かれるので、スピード重視でコミュニケーションの回数を重ねるトライアンドエラーが結果的に早道になると思います。
CDMOとCMOという単語は、医薬の世界の話ですが、企画と製造という目線で考えると、製造内の狭い世界でCDMO的なのかCMO的なのかを考えることはできます。組織によって同じ製造という名前でも、機能が違うことがあります。これをCDMOとCMOとして捉えると、把握しやすいかもしれません。CDMO的な製造と接することが多かったので、CMO的な製造を許せなかった自分が居ましたが、今では冷静に見ることができました。CDMOとCMOという単語を知ったからです。
タンクのデッド部は、構造上どうしても発生します。新規の液をトライアルするなどの場合に、ここの扱いをどうするか課題が出ます。先行評価でそこまで考えておくか、ある程度妥協するか。液を完全に排出するには、それなりの設備と時間が必要になります。
プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドラインを少し検討してみました。内容物や運転条件による部分は多いですが、非防爆設備の使える範囲は広がっています。詳細検討に時間が掛かるので気おくれしている人もいらっしゃると思いますが、それなりの余裕を見ても5mもあればかなりの条件で包含できる気がします。
プラントエンジニアに入社する人のハードルはとても下がっています。機電系出身で近隣地域に住んでいる。という条件くらいだけを考慮している感じです。給料が高いですし、残業もかなり抑制されています。自信が無いと思う人ほど、穴場の仕事だと思います。
階段は、プラント現場だけでなく多くの建物で当たり前に設置されています。 安全なように見えて、転落のリスクの高い構造物であり、化学プラント以外にも製造現場では安全管理の重要ポイントになっています。 そこで取る対策はアナログなトラテープ。もしく
2024年1月5日「ガイアの夜明け」(テレビ東京)にて放送された清水建設の女性監督の件、ご存じでしょうか? 話題になっていますので、検索すればヒットします。 遅刻してすぐに上司に報告せずに先に食事をとったという、部分です。 ここで、一言この
コロナ禍より少し前くらいからか、社内で指導の機会が少なくなっていることを感じます。 多くの人に一方的に伝達する教育や、e-ラーニングのような教育ではなく、マンツーマンの指導です。 機電系エンジニアの場合、マンツーマンの指導をある程度放棄され
ジョブローテーションは色々な会社で実施されています。 私が入社するくらいまでは、あまり情報も出回っていませんでしたが、今ではいっぱいの情報が世の中に公開されているので、入社前にしっかり考えている方も多いでしょう。 化学会社に機電系エンジニア
化学反応などタンク内にある液体をサンプリングすることは、一般的に実施されています。 サンプリングは例えば、マンホールを開けて手動で採取するイメージが多いですが、これは実はとても危険。 危険物を扱っている場合には、静電気着火の可能性があります
化学反応などタンク内にある液体をサンプリングすることは、一般的に実施されています。 サンプリングは例えば、マンホールを開けて手動で採取するイメージが多いですが、これは実はとても危険。 危険物を扱っている場合には、静電気着火の可能性があります
保全の管理は専用のシステムなんて使わなくてもExcelで可能なはず! そう思っていた時期が私にもありました。 実際、私が担当するなら自信があります。 Excelでも初歩的な考え方ができれいれば十分です。 では、その初歩的というのは実際どうい
プラント建設などのプロジェクトの進行管理は、そのプロジェクトの専任者だけが把握しているという場合が多いです。 下手をすると、専任者ですら把握していなくて誰も把握してないなんてこともあるでしょう。 社内の管理者など、専任者以外の人がそのプロジ
化学プラントなどの機電系エンジニアでは設備系の職種として、設計と保全という2大職種があります。 設備に関する仕事をするという意味で同じなので、生産技術とか工務という部の中の1つの課やチームとして組織が編成されます。 ここで、設計と保全が別の
DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれて久しいですよね。 叫ばれるというくらいだから、もっと前から考え方が存在していてもずっと動かずに、ようやくDXという名前で動き出すようになるのが日本企業。 そうしてDXを進めていこうとしても、
タンク内の液体は、底バルブから抜き出すのが普通です。 重力を使えるからですね。 ところが、プラント内の液体ではそれが難しい場合があります。 それが圧力容器。オートクレーブの類です。 底バルブを付けてしまうと、液が漏れてしまうリスクが高くなる
ユーザーエンジニアとして設備メーカーと関わっていると、悩むことがあります。 嫌というほどの否定的な事ではありませんが、いつも同じ対応をせざるを得ずに、もっと何とかならないかと不満を持ちながら、何ともならないということがあります。 取引が長い
設備図面をユーザーがチェックする検図。 時間を掛けて行うわりに意味あるコメントが少ないかも知れませんね。 本当にチェックすべきこと、というのはプロジェクトの特性以上に工場全体の思想に関わることです。 それなりに大きな規模の工場で、設備投資が
パイプスタンドの強度計算について解説します。 長年使っている化学プラントでは、当然ながらパイプスタンドがたくさんあります。 当たり前のように設置されていて、設計手順はすでに確立されていて、簡単にできる当たり前の構造物だと考えられてしまいます
プラントエンジニアをしているとメーカーさんなどから、言われます。 検図まだですか? もう作ってしまいますよ? 大手さんは時間が掛かりますね・・・ 1度や2度ではありません。 私の場合は素直に謝りますが、そうではなく単に「あと何日待ってくださ
事務所建設の見積しているけど、プレハブで見積しよう プラント増改築があるけどゼネコンに依頼しよう 最近聞いたこの2つの別々の話題。 繋がっていないように見えて、考え方が共通していることに気が付きました。 それは「自分で考えない」ということ。
配管フランジの設置位置は内部点検に直結します。 フランジを切り込むとよく言いますが、フランジをどこに設置するかで作業性が大きく変わります。 液やガスの配管ならあまり意識しなくても、スラリー配管なら意識はしておきましょう。 フランジに点検口の
デンカ青海工場の配管破裂事故を考えます。 非常に痛ましい事故です。 二度と同じことを起こさないためにも、ここから少しでも学習したいと思っています。 最終報告書の中から気になったことをピックアップし、自分の会社でならどう考え対応するだろうとい
化学プラント向けの設備でインバータ駆動はかなり一般的になってきました。 インバータって言うと何となくすごい、何かとんでもないことをやってくれる、というのが私のイメージ。 機械設備の動力として、使用する側にとっては非常にありがたいです。 そん
化学プラント向けの設備でインバータ駆動はかなり一般的になってきました。 インバータって言うと何となくすごい、何かとんでもないことをやってくれる、というのが私のイメージ。 機械設備の動力として、使用する側にとっては非常にありがたいです。 そん