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洋書読みの洋書知らず。永遠の初心者。 まったりとkindleで多読記録を更新中

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2021/03/07

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  • There's a Boy in the Girl's Bathroom (Louis Sachar) -296冊目

    ジャンル: 小説(児童) 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★★☆ ずっと昔に読んだ灰谷健次郎の「兎の眼」を思い出しました。 頑なで扱いにくい(と思われてきた)問題児の少年と、彼に寄り添い心を通わせていく心優しき女先生や周りの友だちの物語。 洋書多読ファンの中ではこの本はかなり有名なようですね。 たくさんの感想がウェブに上がっています。 著者は名作「Holes」(5冊目)を書いたLouis Sachar。 ベタなのかもしれませんが、こういう話、好きです。 粗筋を少し。 主人公の小学生ブラッドリーは人と心を通わせることが苦手で勉強にもついていけないクラスの嫌われ者。 そしてわざと周りに嫌わ…

  • The Art of Loving (Erich Fromm) - 「愛するということ」 - 295冊目

    ジャンル: 哲学 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 孫子の戦略論の英語タイトルは「The Art of War」、そして本作、エーリッヒ・フロムによる愛に関する考察のタイトルは「The Art of Loving 」、「愛する」ということは、習得が可能であり、またそのためにはある種のトレーニングが必要となる「技」なんですね。 大事なポイントは、この本は愛される人になるための指南書ではなく、いかにして自らが能動的に人を愛せるようになるかということ。 この一点が世にたくさんある一山いくらの軽い「愛され」本とは違うのでしょうね。 そしてよく言われるような「一瞬で恋に落ちる」などの恋愛は…

  • The Conquest of Happiness (Bertrand Russel) - 「幸福論」- 294冊目

    ジャンル: 哲学 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 幸福論と聞くとなんか堅苦しいですが「幸福の獲得」の直訳の方がしっくりきます。 そう、獲得。 まさに、幸せは待っていてもタナボタ的には来ない、だから歩いて行くんだねー、です。 数学者、論理学者で有名なラッセルの本なので難しさに身構えていましたが、随筆風のためか結構読みやすかったですね。 難しい言葉は一切使わずに、真摯に読者に語りかける筆致を好ましく感じました。 (1930年発刊) メモポイント (心に残るフレーズが多かったので引用多めです) 虚栄心。これをこじらせると何をやっても楽しめない。やる気を失い退屈してしまう。 Vanit…

  • How Brands Grow (Byron Sharp) - 「ブランディングの科学- 誰も知らないマーケティングの法則11」- 293冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 最近、マーケティングの本を読むのにハマっています。 仕事柄、まったくの畑違いの私から見てもこの本は結構面白かったですね。 まず、従来の王道のマーケティング理論は本当に正しいのか、科学的に検証しているのか、という問いかけから始まっています。 有名な学者が書いたマーケティング論文だから当然正しいよね、と皆が疑いもせずに受け入れていますが、よくよく調べてみるとどうも根拠レスらしい… 昔は当然に正しいと思われていた事柄が、実は間違った判断であったと後世に判明する実例として「瀉血」の話を引き合いに出して、マーケティング理論にもこ…

  • Fahrenheit 451 (Ray Bradbury)-「華氏451度」- 292冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ ずっと昔に翻訳で読んだはずなんですが、ほとんどストーリーを忘れてしまっていました。 今回、じっくり英語で読んだので以前よりも深く作品を味わえたような気がします。 言わずと知れた超有名な焚書世界を描いたディストピア小説。 オーウェルの「1984」(82冊目)と並ぶ人気ランキングの常連です。 多くの読者が感想で述べられているように、家の中でも通勤の間でもずっとスマホとにらめっこ、そんな私達の現代生活との類似点について改めて気づかされました。「夏への扉」(32冊目)の時も感じましたが、こんなふうに未来を予見できるSF小説ってす…

  • Unbeaten Tracks in Japan (Isabella L. Bird) - 「日本奥地紀行」- 291冊目

    ジャンル: ノンフィクション 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 日光鬼怒川の温泉街に「あさや」というホテルがあります。 数年前に泊まったことがあるのですが、そこはオススメお宿ランキングではいつも上位に入るまあまあ有名な人気ホテルらしく、今年で創業130年、でっかいパイプオルガンが鎮座するワイドな吹き抜けのエントランス・ロビーがとても豪華で、バラエティ豊かなバイキング料理も美味しく、大浴場の温泉も風情があり、とても満足の行く小旅行でした。(また行きたい!) んで、なぜ「あさや」の話から始まったかと言うと、ここの温泉大浴場に浸かっていた時のことです。 立ち昇る湯気の中で温泉の効能や歴…

  • The Swiss Family Robinson (Johhan Wyss) 「スイスのロビンソン」- 290冊目

    ジャンル: 小説(児童) 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 船が遭難し無人島に漂着したあるスイス人家族の冒険物語。 動物学・植物学など信じられないほどの広いジャンルに通じている物知りで勇敢な牧師のお父さん、ヤマアラシから海亀まで何でも美味しい料理に仕立て上げ、草や木の皮から布を作り服を作るという「裁縫」という概念を超越した技量の持ち主である明るく優しいお母さん、そして四人の息子たち。(逞しく勇敢な長男、知性的だけど陰キャラ次男、お調子者三男、そして愛されキャラの末っ子、と性格もそれぞれ書き分けられています) この六人家族が、文明から隔絶された孤島で勇気と知恵をふり絞り、力を合わせ…

  • Triggers (Joseph Sugarman) -「シュガーマンのマーケティング30の法則」- 289冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ マーケティング本というよりも、売り込み文句がいっぱいのかなり胡散臭い本という第一印象でしたが、よくある小難しいマーケティング理論よりも取っ付きやすく、過去の経験からの売れる仕組み(トリガー)を説明しています。 叩き上げの広告マン、セールスマンのアドバイスは実体験に基づいているので、説得力がありますね。 (2014年発刊) メモポイント 最初の認識がいかにその後の判断に影響するかを示す面白いエピソード。 レストランで食後のデザートをオーダー。その頼み方の違いで値段が変わる! 著者「チョコレートアイスにホイップクリームをト…

  • Black Box Thinking (Matthew Syed)-「失敗の科学」- 288冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 「失敗から学びましよう」と経営者は簡単に言う。 しかし、この常套文句をお題目のように言いっぱなしにするのではなく、その言葉と向き合って実際にこれほどまでに科学的に検証してみせた本は、今まで無かったのではないでしょうか。 著者は「失敗」を言葉通りの失敗ではなく、データを集めるためのテスト試行として捉えていて、成功に導くための必要条件として解釈しています。 必要条件であるからこそ「失敗は恥ずかしいもの・隠すものではなく、どんどん試行錯誤しましょう。良いものに磨き上げて行きましょうよ」 読者にそう語りかけます。 誤認逮…

  • The Brothers Karamazov (Fyodor Dostoyevsky) - 「カラマーゾフの兄弟」-287冊目

    ジャンル: 小説(古典) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ ふー、やっと読み終わりました。 「読まずに死ねるか」的なランキングでは常に上位を占める本作です。 人物の書き分けや様々なジャンルの要素を詳細に盛り込んだ手法は評判に違わずさすが殿堂入りという作品です。 この小説にはあらゆる要素が含まれています。 妬みや嫉み。プライドと偏見。そして惜しみない優しさも。三男アリョーシャとリサの恋の始まりは少女コミックのよう。 あるいは人間の性である残虐性の描写、育児放棄・児童虐待、ストーカーなどなど。 そして、父親ヒョードルが殺されたところからは典型的なミステリー小説の要素も入っています。 …

  • The Singularity is Near(Ray Kurzwell)「シンギュラリティは近い」-286冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★★☆☆ この本によって「Singularity- シンギュラリティ」(技術的特異点)という言葉が一般に認知されるようになったと思います。 「特異点」とは元々は数学や物理学から拝借した言葉だそうで、例えば物理学で言えば、宇宙に存在するブラックホールの事象の地平線において、重力場が無限大になる(計量が無限大に発散する)ポイントが「gravitational singularity (重力の特異点)」とのこと。(本書内で説明が書かれていましたが、読んでもよく分かりませんでした…) この特異点を境に無限大に広がる、というコンセプ…

  • Bullshit Jobs (David Graeber)-「ブルシット・ジョブ-クソどうでもいい仕事の理論」 -285冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 心では思っていても、ハッキリとは口にはしない「クソどうでもいい仕事」、いっぱいあって辛いですよね。(小林製薬CM風) 会社などの営利目的の団体に限らず、大勢の人からなる組織に属する人にとっては、みな思い当たる節があると思います。 上司を大きく見せるためだけに雇われた部下、問題の解決をとりあえず先送りにして顧客クレームに謝るためだけに雇われるコールセンターのオペレーター。 中をよく見ずに「やりました感」だけを示すためのチェックリストの穴埋め担当者。 この本ではそれらを「ブルシット・ジョブ」と名づけ、その性質を分類・解説し…

  • Orientalism (Edward W. Said) - 「オリエンタリズム」- 284冊目

    ジャンル: ノンフィクション 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★☆☆☆ いやー、難しかった。 とても読み終えられる気がしませんでした。 いま紛争中のハマスとイスラエルの中東問題の理解につながるかな、と手にしてみたのですが、なんとこの本の手強いこと。 正直言って半分も理解できていません! (威張って言うことではない…) 他の文献からの引用がとても多く、また取り扱っている題材が難解であるのは間違いありませんが、文章そのものはロジカルで過大な修飾語句もありません。 ベースとなる基礎知識をもっと蓄えて、いつか再読、リベンジしてみたいと思ってます。 (1978年 発刊) で、五割未満の自分の理解度…

  • Two Bottles of Relish (Lord Dunsany) - 「二壜のソース」- 283冊目

    ジャンル: 小説(ミステリー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ この本は短編集なのですが、中でもよく知られている話は表題作「二壜のソース」でしょう。 小学生の頃に読んだ江戸川乱歩の推理短編集で出会った話です。単純なストーリーなのですが、ホームズで育った自分としては推理小説としてはずいぶん変わったオチで妙に印象に残ったのを覚えています。「世にも奇妙な」系とでも言うんでしょうか。ラストのページのセリフが上手いので記憶に残る短編になったんでしょうかね。 Kindleでぶらぶらと本を物色していたら、この懐かしい本に再会し、思わずポチりとしました。(でも表題作以外はイマイチかな) (19…

  • The Magic of Reality (Richard Dawkins) - 「ドーキンス博士が教える[世界の秘密] 」- 282冊目

    ジャンル: ロジック・サイエンス 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 定期的に読みたくなるジャンルの一つが科学啓蒙書の類です。 ファラデーの「ロウソクの科学」を皮切りにいろいろ読んでみましたが、その中でも本作は子供向けに書かれたのでしょうか、とても読みやすかったですね。 著名な「Selfish Gene (利己的な遺伝子)」(52冊目)のドーキンス博士が書いた本というだけでも、手に取ってみようという気になりました。 難しい数式などはまったく出て来ずにサラリと読み終えましたが、少し初歩的過ぎて物足りなさも感じました。 (2011年 発刊) メモポイント シビれる言葉。思考実験に基づい…

  • The Meditations (Marcus Aurelius) - 「自省録」- 281冊目

    ジャンル: 哲学 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★☆☆☆ うーん、もう少し刺さる内容かなと期待していたのですが、読み手の力不足のためか、スルッと読み終わってしまいました。 (英訳も古く、thyselfとかの古い綴りも多く、ちょっと読み辛かったといのも目が滑ってしまった理由の一つ) 実家のトイレにかけられてた日めくり格言カレンダーみたいな感じ。花束のような良い言葉の詰め合わせなんでしょうが、あまりにもブツブツと途切れていてあまり心に残らない。 自分としてはもう少し背景のストーリーとワンセットで読み込まないと、心には深く刻まれないようです。 同じくローマ帝国を舞台にした本として、塩野七生の…

  • The Meditations (Marcus Aurelius) - 「自省録」- 281冊目

    ジャンル: 哲学 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★☆☆☆ うーん、もう少し刺さる内容かなと期待していたのですが、読み手の力不足のためか、スルッと読み終わってしまいました。 (英訳も古く、thyselfとかの古い綴りも多く、ちょっと読み辛かったというのも目が滑ってしまった理由の一つ) 実家のトイレにかけられてた日めくり格言カレンダーみたいな感じ。花束のような良い言葉の詰め合わせなんでしょうが、あまりにもブツブツと途切れていてあまり心に残らない。 自分としてはもう少し背景のストーリーとワンセットで読み込まないと、心には深く刻まれないようです。 同じくローマ帝国を舞台にした本として、塩野七生…

  • The Best and the Brightest (David Halberstam)- 「ベスト&ブライテスト」- 280冊目

    ジャンル: ノンフィクション 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★☆☆☆ 中途半端に知識がある人やそこそこ頭の良い人は、なまじ実力があり自信過剰になりがちで周りの人も異論を挟みにくいために、ずぶの素人が携わったケースと比べて失敗した時の悪影響は甚大となる、そんな見本例のような話でした。 「ベスト・アンド・ブライテスト」それは、最も優秀で頭脳明晰なドリームチームに与えられる称号。 そんな、誰よりも優れているはずの選りすぐりのスタッフが、取り返しのつかない泥沼となるベトナム戦争という大失敗を起こしてしまった。 ケネディ政権からジョンソン政権に渡るアメリカ政治の迷走を描いています。 自分たちは他…

  • The Handmaid’s Tale (Margaret Atwood) - 「侍女の物語」- 279冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 「初心者にも簡単。ディストピア社会を作るためのハンドブック」という本があるんじゃないかな。 そう思えるほどに、全体主義や管理社会を描いたディストピア物語には共通点が多いと感じます。 公開処刑、粛清、相互監視、密告、盗聴などなど。 しかし残念ながらこれらのゾッとする共通点は、小説家の頭の中で生み出された創造物なんかではありません。過去の歴史の中にお手本はたっぷりあるのですから。人類が繰り返し繰り返し行ってきた愚行を、そのまま文章に落としこんでいるだけのことなのでしょう。 中国の文化大革命、ナチスドイツ、現在の北朝鮮、タリバ…

  • Talking to my Daughter about the Economy (Yanis Varoufakis) - 「 父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」- 278冊目

    ジャンル: ビジネス・経済 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ なんでしょうかね、この長い邦題は。 経済の話を10代の娘に分かりやすく語りかけるという本作の主旨は伝わるのですが、大袈裟な邦題にはちょっと、ついていけません。「美しく、深く、壮大で」の部分、いるかなあ。 シンプル・イズ・ベスト。 著者は経済学者であり、国家経済が破綻したギリシャの財務大臣を務めたこともある人だそうです。 冒頭の人類の発展についての記述はジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」(31冊目)のように、歴史と地政学に渡って展開しており、かなり読みやすく面白かったですよ。 経済にまつわる軽い読み物としてはオス…

  • Shoe Dog(Phil Knight)-「シュードッグ-靴にすべてを」- 277冊目

    ジャンル: 自伝 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★★☆ シューズ、スポーツウェアの雄、ナイキの創業者であるフィル・ナイトの自伝です。 はじめはビジネス書の類かな、と思って手にしてみましたが、これがなんとまあ面白いこと。 熱いハートの青春譚。 椎名誠の克美荘か、はたまた小田実の「何でも見てやろう」、または浮谷東次郎「俺様の宝石さ」のよう。 虚飾を嫌い自分に正直に走り続けてきた著者の文章は、華美な修飾語が多くなくて良いですね。読みやすいです。 著者であるフィル・ナイトは大学を卒業後、世界放浪の旅に出ます。 途中で立ち寄った日本の神戸で、自身が陸上選手の時代から大ファンだったランニングシュ…

  • The Invisible Life of Addie Larue (V.E. Schwab)-「アディ・ラルーの誰も知らない人生」- 276冊目

    ジャンル: 小説(ファンタジー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ ゲーテの「ファウスト」のように、自身の魂と引き換えに望みを叶えようと悪魔と取引する少女の物語。その望みの結果は必ずしも自分が望んでいた通りとはならない。何事も代償が必要だという切ない「猿の手」のようなお話。 すごく雰囲気の良い小説。久しぶりのロマンチック・ファンタジーです。少し長かったですが、プロットの面白さで中だるみなく最後まで楽しめました。 あらすじを少し。 18世紀フランスの片田舎で育ったアディは、両親から強制された望まぬ結婚から逃げ出すために婚礼の前日に家を抜け出し、自らの魂と引き換えに悪魔と取引をする。…

  • The Hard Thing about Hard Things (Ben Horowitz) - 「Hard Things-答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」- 275冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ とある IT企業の創設者であったかつてのCEOの実体験談です。 単純にノウハウを伝えようとするビジネス本ではありません。 経営者の心構えを説く本としては、その辺の経営書よりもよほど役に立つでしょうね。 なにせ人を首にして組織を縮小し会社を存続させようと、まさに地獄を見てきたトップの生の実体験が凝縮して著されてますから。 著者の本意ではないかも知れませんが、この本読んでるいると、自らビジネスを起こしてCEOになろうとする者はいなくなる気がします。大概のことはかすり傷に思えてくるぐらいのヒリヒリとした焦躁感。 著者の凄まじ…

  • A Billion Wicked Thoughts (Ogi Ogas/Sai Goddam) - 「性欲の科学: なぜ男は「素人」に興奮し女は「男同士」に萌えるのか」- 274冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ Google検索で露わにされた、紳士淑女の秘められた性的嗜好。 1950年代のキンゼイ・レポートの昔から変わらず、この手の調査で最も難しいのはデータを集めるところ。それはそうでしょうね。誰も好きこのんで開示したくない。 では科学の発展には「観察」は不可欠だけど、どうやってデータを集める? インターネット、検索エンジンの登場がこの領域の調査を深めたのは間違いない。匿名性であることを良いことに、出るわ出るわ赤裸々な検索ワード。 覗き見のような背徳感を持って本作を読み進めたものの、邦題に「科学」とうたっているように、何…

  • A Good Girl’s Guide to Murder (Holly Jackson) - 「自由研究には向かない殺人」- 273冊目

    ジャンル: 小説(推理・ミステリー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 現代口語のセリフ回しにあまり慣れておらず、読み始めの頃には少し時間がかかっていましたが、楽しんで読めました。 スラングとまでは言えないのでしょうが、ノンフィクション洋書だけ読んでいては知り得ない単語がいっぱいです。 主人公に迫り来る危機を描いた後半の怒涛の展開には圧倒され一気に読了。 粗筋を少し。 イギリスのとある町で5年前に起こった女子高生殺人事件。 犯人は当時、殺された彼女Andieとつき合っていたボーイフレンドのSal。 犯行を悔やんだSalはその罪の責めを負うべく遺書を残して首吊り自殺をした。その後、…

  • Homo Deus (Yuval Noah Harari) - 「ホモ・デウス」- 272冊目

    ジャンル: ノンフィクション 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 「サピエンス全史」(237冊目)に続いてハラリの「ホモ・デウス」を読みました。やはり読み応えがあります。良い本に出会えることは素晴らしい。ささやかな幸福の一つだと思いますね。 著者は、現時点での地球上の覇者である人類ホモ・サピエンス(知恵あるヒト)が、これから更に神の領域であるホモ・デウス(神のヒト)へと移行しようとしていると唱えています。(デウス、つまり神との表現を使ってはいますが、私があえて進化ではなく移行としたのは、その変化が必ずしも人類にとって良い方向に進むとは限らないからです) 本作、ドーキンスの「利己的な…

  • Hot, Flat, and Crowded (Thomas Friedman) - 「グリーン革命―温暖化、フラット化、人口過密化する世界」- 271冊目

    ジャンル: ノンフィクション 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ インターネットを始めとするITテクノロジーは現在のビジネス構造を一変させました。 この事実を知らしめた良書, ”The World is Flat”(フラット化する世界- 262冊目)の著者Thomas Friedman による続編が本作です。 CO2排出により地球温暖化が進み、壊滅的運命に突き進んでいく地球を「熱く、皆等しく苦しみ、人口過密化する世界」と表現しました。 そしてその運命を変えるべく記した啓蒙書、「タイムリミットはもうとっくに過ぎている」と熱い筆致で叫んでいます。 いやもう、とにかく熱い。 (2008年…

  • The Count of Monte Cristo (Alexsandre Dumas) - 「モンテ・クリスト伯」 - 270冊目

    ジャンル: 小説(古典) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 「無人島に一冊だけ持っていくなら企画」での常連組である本作、噂に違わず面白くページをめくる手が止まりませんでした。完璧なエンターテイメント小説。これほどの作品は和洋合わせて現在でもなかなか出会えないでしょう。 当時この連載が楽しみで日々の苦労を忘れられた人も結構大勢いたんじゃないかなって思います。ハラハラドキドキの展開。まさにエンターテイメントの醍醐味ですね。 ストーリーが面白過ぎて、古典にありがちなお堅い印象はまったくありません。 粗筋を少し。 主人公ダンテスは将来を嘱望された若い船乗り。順風満帆の彼はまもなく船長に任…

  • 振り返り! 2022年に感想を書いた洋書リスト

    もうすっかり年末ですね。 ゆっくりスピードに更に磨き?がかかり、今年は13冊、月に約1冊のペースでした。 来年はもう少し仕事が落ち着いて、腰を据えて読めればよいのですが…本の神様、来年も面白本に出会わせてくださいな。 それでは皆さま、良いお年を!!! (基本はKindleの洋書版で読んでいますが、邦訳が出版されているものは邦題も書きました。) 257. The Lord of the Rings - the Fellowship of the Ring (J.R.R Tolkien) 指輪物語 - 旅の仲間 hearthlife.hatenablog.com 258. Computing (P…

  • Think Again (Adam Grant) - 「発想を変える、思い込みを手放す」- 269冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ すごく分かりやすくストレートな英語で、英語の勉強にはもってこいの材料です。 ただ、TEDトークを通じてこの著者には割と興味を持っていたのですが、残念ながら読後感としてはあまり心に深く刺さりませんでした。単に私との相性なのかもしれませんが。 グラフや表が多く載っているのですが、詳細なデータに基づいているように見えて、実は著者のアイデアをイラストにまとめただけのものであるところも少し物足りなく思います。心理学者である著者は「Re-Thinking するためには、Scientist の心を持て」と何度も主張されています…

  • What If? (Randall Munroe) - 「ホワット イフ? : 野球のボールを光速で投げたらどうなるか?」- 268冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ ひと昔前に柳田理科雄さんの「空想科学読本」という本がベストセラーになりました。 ウルトラマンをはじめ空想SFの世界を科学者の目で大真面目に考察・検証するというものです。 例えば、ウルトラマンは身長が40mもあるので、地球の重力の影響下でその体重を支えるためには、本来でっぷりしているはず、等々。 本書もそんな内容を期待して手にしたのですが、まさにその通りの内容でした。 しかしこちらの方が少しブラックジョークが効いてましたね。どの結果も最後にはやたら人類が滅亡しがちです。 (2014年発刊) メモポイント ⚫︎ ホー…

  • The Innovator’s Solution (Christensen/Raynor) - 「イノベーションの解」- 267冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ 名著「The Innovator’s dilemma (イノベーションのジレンマ)」(44冊目に感想)の続編 。 前作を読んで「破壊的イノベーション」の衝撃と腹落ち感を受けた経験から比べると、本作はちょっと物足りなく感じました。 なんて言うんでしょうか、学者さんが唱える机上の空論のような気がしてしまって… 破壊的イノベーション(Disruptive innovation) とは、従来とはまったく異なったアプローチでビジネス全体の絵姿を変えてしまい、既存企業を一掃してしまうような革命的なイノベーションのことを言います。ど…

  • Mate (Tucker Max / Geoffrey Miller) -「モテるために必要なことはすべてダーウィンが教えてくれた」- 266冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 面白い! 恋愛指南書と思いきや、結構、人としてどう生きるべきか等の確信を突いてます。 恋愛工学で言うところの浅い引っ掛けテクニックはお呼びでない。人に好感を持ってもらえるコツを記した本と言えるでしょう。 例に上げられた細かいモテ・テクニックには、ちょっとやり過ぎのところもありましたが (アメリカナイズされているからか)、おおどころではそれはそうでしょう、という感じでした。 ♪あたりまえ体操〜♪ですね。 この本に書かれた事を忠実に実践できる人には、確かに女も男も魅せられるでしょう。 だからこそ簡単には行かないんでし…

  • The Box (Marc Levinson) - 「コンテナ物語 - 世界を変えたのは「箱」の発明だった」- 265冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ ハコの話です。 原題は「The Box」。なんとまあ直球のタイトルでしょう。 で、感想ですがタイトルはシンプルなものの、残念ながら文章がちょっとしつこい。何度も繰り返し繰り返し同じことを述べています。 この半分のボリュームでもっとコンパクトにまとまっていれば、面白い題材なのでもっと魅力のある本だったのにな、と考えてしまいます。 内容について少し触れます。 本作の副題が本書の内容を的確に捉えています。 ズバリ、「How the Shipping Container Made the World Smaller and t…

  • How Not to Be Wrong (Jordan Ellenberg) - 「データを正しく見るための数学的思考」- 264冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ うーん、取っ掛かりは読みやすい本かと思いましたが、やっぱり難しかったですね。 数学の基礎知識が無い状態で英語で読むのは難易度が爆上がりで、完全に着いていけず… 少なくともブルーバックスとかの入門書で、言葉の定義だけでもベースを仕入れておかないと、目が滑る滑る。 もっといろんなジャンルの洋書をたくさん読みたいのになあ。 出生率が僅差で男子の方が多かったことに対して神の摂理であると主張する人々に対する反証のあたりや、P-Valueのとこなんか、とても面白そうなんだけど理解できていません。 対数log と素数のところも…

  • The Right Sort of Man (Allison Montclair) - 「ロンドン謎解き結婚相談所」- 263冊目

    ジャンル: 小説(ミステリー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 軽いタッチの女性バディものコージー・ミステリー。 とても楽しんで読めました。 仕事で疲れた時の気晴らしにピッタリ。 粗筋を少々。 第二次世界大戦後まもないロンドンで、二人の女性、アイリス・スパークスとグエン・ベインブリッジが結婚相談所を開きます。 アイリスはケンブリッジ卒で数カ国語を操る才媛でチャキチャキでいなせな元MI6の諜報部員、グエンはホームズ顔負けの観察眼を持つ善良でおっとりとしたイギリス上流貴族の若き未亡人。 その二人の相談所に顧客として訪れた若き女性ティリーが殺人事件に巻き込まれます。 彼女とお見合いデ…

  • The World Is Flat (Thomas L. Friedman) - 「フラット化する世界」- 262冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 数年前、ERPシステムの導入プロジェクトに携わったことがありました。 ERPとはEnterprise Resource Planning の略で、平たく言えば、会計や物流、生産など会社に関わるメインの業務情報を一元管理していこうという概念で、ERPシステムとはその目的を達成するためのソフトウェアのことなんですね。 世界的に有名なパッケージソフトとしてはOracleだったり、OBIC、SAPなんかがあります。 このシステム導入プロジェクトはもう思い出すのも辛くなる「死の行軍」、連日の12時超え深夜残業の嵐でした。 この時…

  • The Lord of the Rings- The Return of the King (J. R. R. Tolkien)「指輪物語 - 王の帰還」- 261冊目

    ジャンル: 小説(ファンタジー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ やっと全巻読了! 長かったー。 名作との誉れ高い本作ですが、詳細に書き込まれている割にはストーリー展開が散漫な感じがして自分には少しテイストが合わなかったようです。 前作の「ホビット」を読んだ時も感じましたが、小説のクライマックスから後の話を少し引き伸ばし過ぎで冗長な気がしました。 細々と描写しなくても読者は想像の域を膨らませて後日のストーリーを楽しむことができるのになと… ヒッチコックの映画のようにピークから一気に終わらせる方がいいのにな、と感じました。 (1956年発刊) メモポイント⚫︎ ガンダルフが思いの…

  • World History for High School (山川出版社) - 「英文詳説世界史 」- 260冊目

    ジャンル: 実用書 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ ページ: 754p 小説を読む、映画を観る。「あーっ、この時代の歴史背景を分かっていたら、もっと楽しめるのになー」と思うことがよくあります。 カエサル大活躍の「ローマ人の物語 (塩野七生)」(19冊目に感想)や、イギリス王リチャード3世はホントに稀代の悪党だったのか問題の「時の娘 (ジョセフィン・テイ)」(105冊目)を読んだときなんぞは、これをヒシヒシと感じました。 もちろん取り敢えずのストーリーは追いかけられるのですが、主人公を取り巻く空気感が今ひとつ掴めない。 せっかくの名著がもったいない。で、おススメなのがこの世界史の…

  • The Lord of the Rings- The Two Towers (J. R. R. Tolkien)「指輪物語 - 二つの塔」- 259冊目

    ジャンル: 小説(ファンタジー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ シリーズ二冊目、やっと読了… 一冊目と比べて、主人公フロドの「人としての器」(いや、ホビットとしての器か)が際立ったお話でした。友と一緒に乗り越える困難な旅の過程で、どんどん成長していくビルドゥングス・ロマンという感じ。 前巻同様、登場人物がやたらと多いので、例によって登場人物リストを作りながら読んでいたのですが、そのあまりにも多いキャラクター数のために、辞書みたいになってしまいました。 それにしても、モブキャラや土地の名前に対していちいち、ややこしい名前をつけ過ぎ。 んで、そのシーンの時々で名前を別名に変え過ぎ…

  • Computing - A Concise History (Paul E. Ceruzzi) - 「コンピュータって - 機械式計算機からスマホまで」- 258冊目

    ジャンル: IT 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 今のコンピュータの元となる原型がこの世に現れてからまだ100年も経ってませんが、メインフレームやPC、スマホ、IoTなど、その関連世界の進化の度合いは目まぐるしく、その範囲も多岐に渡っています。 ベースとなる知識をキチンと系統立てて理解したいと常々思っていた折に手にしたものです。 コンパクトにまとまっていますが、いわゆる教科書的な本ですので面白味には欠けますね。 他のIT関連の本を読む前の事前準備の読み物としては、まあ良かったかなと感じました。 刊行年が少し古く、ドローン制御やメタなどのワードはもちろん出てきません。この辺りは常…

  • The Lord of the Rings- the Fellowship of the Ring (J. R. R. Tolkien)「指輪物語 - 旅の仲間」- 257冊目

    ジャンル: 小説 (ファンタジー) 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★☆☆☆ いやー、危なかった。 最初の章は読んでても辛くて訳がわかりませんでした。 前もって前日譚(「ホビットの冒険」- 191冊目)を読んでいたから良かったものの、何の前知識もない状態だと、みんな読むのをやめちゃうと思いますよ。 ただ、本編のFellowship of the Ring の章が始まるとかなり読み易くなります。 あらすじを少し。悪の権化サウロンが作り出した魔法の指輪。 強烈なパワーを秘めているこの指輪を手にしたものは世界を意のままにできる。また、よほど自身を律することができる心根の正しい者でなければ、その…

  • 振り返り!!! 2021年 & 2020年に感想を書いた洋書リスト

    今年もあとわずかですね。ここのところのゆっくりスピードだと年内もう一冊は無理そうなので、まとめて感想をリストにしました。 (ここ2年程、仕事がバタバタでなかなかじっくりと読めていませんが、亀スピードで細く長く読んでいきたいと思います)本の神様、来年も面白い本に出会わせて下さいな。それでは皆様、良いお年をお迎えください。 (基本はKindleの洋書版で読んでいますが、邦訳が出版されているものは邦題も書きました。) (前に書いた2016年の感想はこちらです。 1冊目~97冊目) hearthlife.hatenablog.com ( こちらは2017年の感想です。 98冊目~180冊目) hear…

  • Capital in the Twenty-first Century (Thomas Piketty) - 「21世紀の資本」- 256冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ これはもう経済学の衣をまとった投資啓蒙書でしょ、ハッキリと書かれてはいませんが。「どんどん種銭を増やしてから投資をすると、働いて稼ぐのとは比べ物にならないぐらい資産は加速度をつけながら自ずと増えていく」と説いています。この分厚い一冊の中で様々なデータを駆使してこの主張を裏付けています。 本作にて著者が主張した点は以下の2点に尽きます。 一点目。 投資資産から生み出されるキャピタル・ゲインの進捗率(資本収益率)は、経済成長によるインカム・ゲインの進捗率(経済成長率)を上回る。 ( g > r 有名な例のあの式です) 世界…

  • The Talented Mr. Ripley (Patricia Highsmith) - 「太陽がいっぱい」- 255冊目

    ジャンル: 小説 (推理・ミステリー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 先日、ヒッチコック監督の「見知らぬ乗客」という古い洋画を観ました。 列車の中で偶然知り合ったサイコパス男の勝手な思い込みで交換殺人計画に巻き込まれてしまうプロテニスプレーヤーのお話ですが、これがなかなか気持ち悪くて面白かったのです。 んで、その映画の原作者パトリシア・ハイスミスは、アラン・ドロンの出世作となったルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」の原作も書いていたんですね。 本作を手にするきっかけとなりました。 サイコパス気質のいじめられっ子トム・リプリー。 社交的で裕福な友人ディッキーから愛されないもど…

  • The Hitchhiker’s Guide to the Galaxy (Douglas Adams) - 「銀河ヒッチハイクガイド」- 254冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ うーん、分からない、残念だけど。 読了後に邦訳本の評価感想を見てみましたが、かなりの高評価でしたが、なぜにここまで評価されているのか分かりませんでした。 ストーリーは追いかけられます。が、正直言って何が面白いのか分からなかったのです。 イギリス風の皮肉の効いたユーモアが散りばめられていると書かれた感想もあるので、きっとベースとなる知識が十分にないと楽しめないのかもしれませんね。 話があっちこっちに散逸して、描き出すイメージはとてもサイケデリック。 読者を選ぶ本なんでしょうね。 お話としては単純。宇宙空間において銀河にハイ…

  • Never Let Me Go (Kazuo Ishiguro) - 「わたしを離さないで」 - 253冊目

    ジャンル: 小説 (現代) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 藤子・F・不二雄の異色SF短編集の一つで「ミノタウロスの皿」というマンガがあります。 宇宙旅行で遭難しある惑星に不時着した男。その星では支配種族が地球上でのウシにそっくりであり、一方、食用家畜がヒトとそっくりと言う地球と反対の関係にある世界でした。そのヒト族家畜は知能も高く飼い主であるウシ族と言葉も交わすことができます。ウシ族はいずれは食糧となるヒト族を美味しい食肉とするべく、身体に傷がつき肉の価値が落ちないように大事に育てています。 主人公である地球人は、ヒト族家畜の一人の女の子と恋仲になります。そしてまもなく開かれ…

  • On Writing (Stephen King) - 「書くことについて」- (252冊目)

    ジャンル: ノンフィクション(自伝) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ ホラー小説の巨匠、スティーブン・キングによる「作家になるには」的な小説作法読本、と思いきや実は単純な文章読本ではありませんでした。 本作の前半部分は妻タビィに捧げる「愛の物語」なのでした。 極貧作家時代の彼はショーシャンク刑務所に出てきそうなウジ虫が這い回るクリーニング工場の従業員やビルの清掃人、また英語教師などして糊口を凌ぎつつ、商業雑誌に投稿を繰り返して過ごします。 そしてやっと彼の出世作「キャリー」の誕生にたどり着きました。ここまでの夫婦二人三脚のエピソードには特に魅せられます。キングの小説は単語が少し…

  • Surprise Party (William Katz) - 「恐怖の誕生パーティー」- (251冊目)

    ジャンル: 小説(推理) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 読後感あちゃーのイヤミスとして、純粋にハラハラドキドキを楽しむ話。心臓に良くない。 ずいぶん前に翻訳本「恐怖の誕生パーティー」として読んだのですが、ページをめくる手が止まらなかった事を覚えてます。それ以来、一度原書で読み返したいと思って探していましたが、その後それほど話題にならなかったのか、ずっと見つからず、先日やっとKindleで見つけたので迷わず購入。あまり目にすることのない慣用句が散りばめられているものの、全体としてはかなり英文は読みやすいと感じました。なぜもっと話題にならなかったのかと思うぐらい面白い。文句無しの…

  • Winning the Loser’s Game (Charles D. Ellis) - 「敗者のゲーム」- 250冊目

    ジャンル: 投資・マネー 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 投資指南書では王道本です。 長々と書き連ねてあり同じことの繰り返しがちょっと多いです。 まあ一言で言うと「投資するならインデックス一択、赤子泣いても蓋取るな!」ピリオド。 Malkielの「Random Walk Down Wall Street (ウォール街のランダムウォーカー)」(216冊目に感想)と並んでパッシブ運用のバイブルとも言える本です。 自分の好みで言えば「ウォール街の…」の方が分かりやすくてしっくり来ました。 メモポイント ● 有名なフレーズ。「敗者のゲーム」のタイトル由来はここにあります。 テニスの試合…

  • Exhalation (Ted Chiang) - 「息吹」 - 249冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 私の長女はかなりの読書家で私の読書の師匠筋にあたります。 で、彼女が読んで面白かった本を定期的に私に勧めてくれるのですが、何せスゴいスピードで読んでおり(いつもカバンにパンパンに本を詰めていてその重さでヨロヨロしながら歩いている)、みるみるうちに彼女からのオススメ本・目ウロコ本のバックログが私のKindleに溜まってきています。バーチャル積読状態です。 さて、今回もかなり以前に薦めてくれたバックログからの一冊です。そしてこれがかなり面白かった。私の苦手なハード系SFかと思っていましたがとても読みやすい。漱石の「夢十夜」の…

  • 100 Tricks to Appear Smart in Meetings (Sarah Cooper) - 「会議でスマートに見せる100の方法」- 248冊目

    ジャンル: その他 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 「地獄のミサワ」のキャラクターみたいなのがいっぱい。 むかし流行ったホイチョイの「見栄講座」みたいなバカバカしさですが、ちょっと仕事で疲れてくると、こんな他愛もない本が沁みてくるんですよね。 作者は外資系IT企業での勤務経歴の持ち主だそうですが、彼女の観察眼がとても優れているのが良く分かります。 そしてその醒めたシニカルな笑いの奥に見えてくるのは、作者が経験したであろうガラスの天井への苛立ちと、ほんのちょっぴりの愛情も。 可愛げのないイラストもナンシー関の一言付き消しゴムスタンプを彷彿とさせます。 秀逸です。 (2016年発刊…

  • Digital Gold (Nathaniel Popper) - 「デジタル・ゴールド」- 247冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ つい先日、イーロン・マスク率いるテスラが、今までテスラ車販売の代金として受け付けていたビットコインの取引を急に停止したというニュースがありました。 このおかげでビットコインの相場は大暴落、ずいぶん損をされた人も多かったでしょう。 このビットコインに代表される暗号資産の話題は以前からよく耳にしていましたが、どうもよく分からない。 ビットコイン自体に金(gold)や銀のような本質的な価値が無いのに、なぜ通貨として流通させることができるのか?(正確には通貨として扱われるとなる可能性があると言うべきでしょうか) しかもコイツは…

  • The Remains of the Day (Kazuo Ishiguro) - 「日の名残り」- 246冊目

    ジャンル: 小説(現代) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 映画が好きで昔はよく池袋の文芸座に通い、オールナイト三本立てなんかを観ていたりしていました。 映画の幕間いのあのちょっと独特のわびしいけど懐かしい感じが良いんですよね。 次の映写が始まるまでの少しの間、伸びをするために通路に出て、自販機のコーヒーを飲みながら壁に貼られた次回作の案内やポスターをボンヤリと眺めたりして。「男はつらいよ」寅さん映画もその頃のお気に入りの一つでした。 んで、なぜ寅さんの話から始まったかと言うと、本作「The Remains of the Day」の読後感が何故だか寅さん映画を観た後の感じの寂しさ…

  • Outlander  (Dianna Gabaldon) - 「アウトランダー :  時の旅人クレア」-  245冊目

    ジャンル: 小説(ロマンス) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ いやー、良かったー。 えっ、何がって? もうロマンチックの嵐に感動です。しかしながら、本作は単なる大甘ハーレクイン的てんこ盛りラブロマンスではありません。 もちろんお約束のホットなシーンはいっぱいあるのですが、18世紀のスコットランドを舞台にした歴史物語の面白さあり、タイム・トラベラーである主人公を取り囲むSF&ミステリー要素もあり、はたまた人生・愛に真っ向から向き合う真摯なカップルの心を綴った哲学書の様でもあり… 堪能しました。 このシリーズがベストセラーとなり、数年前に放映された同名のテレビドラマも大人気というの…

  • How to Lie with Statistics (Darrell Huff) - 「統計でウソをつく方法」- 244冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ それほど目新しい話はありませんでした。ビル・ゲイツのオススメ本の一つなので手にしましたが、かなり古い本なので扱っている事例がピンと来ないのです。出版された1950年代当時は斬新な視点と切り口だったのでしょう。 それでもなお今でも時々目にしますが、ちょっとヤバい系のスタートアップの会社が示す自社プレゼン用のパワポ資料には、こういったテクニックが満載です。売上額が年々増加しているグラフは、よく見たらグラフの目盛の取り方がおかしかったり、業績が伸び始めた年度からのグラフだったり。スタートの座標軸をゼロにしてみると伸びて…

  • Tap Dancing to Work (Carol J. Loomis ) - 「伝説の投資家バフェットの教え」- 243冊目

    ジャンル: 投資・マネー 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ コロナ禍に入って間もない頃、株価が暴落してブラックスワンだなんだと大騒ぎになりましたが、ここのところはコロナからの脱却を見据えてでしょうか、グッと株価が上がり調子です。 ちょっとバブルに近い気もしますね。この先の見通しが立てづらく株価が乱高下する今日この頃、もう一度原点に帰りましょう、というわけで、「投資の神様」バフェットさんの本を手に取りました。 彼が投資会社バークシャー・ハサウェイの経営権を握ったのが1965年。 それから2015年の約50年間に、バークシャーの株価は2万倍になったそうです。(アメリカのS&P500の…

  • The Three-Body Problem (Cixin Liu) - 「三体」- 242冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ ついに読みましたー、「三体」。 娘からの一推しオススメ本でしたが、評判に違わぬ面白さ。引き込まれました!! 思ったよりも英語も読みやすく物理学用語の細かいところを気にしなければ、グイグイ来るページターナー本です。 さわりの粗筋を少し。 1970年代、中国の文化大革命時の描写から物語は始まります。映画「ラストエンペラー」でも観た粛清と自己批判のシーン。名門大学で天体物理学を学ぶ女子学生Ye Wenjie。その父親Ye Zhetaiは同じ大学の物理学教授を勤めていますが、知識人を標的とした文化大革命の粛清の嵐の中、自らの妻(…

  • Our Final Invention (James Barrat) - 「人工知能 人類最悪にして最後の発明」- 241冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ AI(人工知能)の台頭に対して述べた本は世にあまたありますが、本作はかなり悲観的な予想に寄っている本です。 邦題も「人工知能 - 人類最悪にして最後の発明」。「最悪」は分かるにしても「最後」って何? つまり人類の滅亡、そして地球の覇者は人工知能に取って代わられる、というお話。 読むまでは少し大袈裟かなと思っていましたが、実際のエビデンスに基づいた記述は説得力あります。 著者の説明によれば、AI (Artificial intelligence - 人工知能)の開発は、まずは人間と同等レベルの知能を持ったAGI(A…

  • Business Adventures (John Brooks) - 「人と企業はどこで間違えるのか?」- 240冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★★☆☆ ちょっと仕事の方がここ一年ほど立て込んでいて、ずっと本を手に取る余裕がありませんでした。 (と言いながら、息抜きに映画は観てましたけどね) 本書を読み終わるにも随分時間がかかりましたが、それは私の金融業界界隈の語彙不足・知識不足もあっだからだと思いますが。 さて、この本はかのビル・ゲイツが毎年恒例の「今年の5冊」の2014年版の中で、超オススメとして紹介していた本です。 [優秀であるにも関わらず、人はどのようにして判断を誤るのか] このテーマには以前から興味があり、第二次世界大戦時の日本軍の戦略失敗の分析を行った「失敗…

  • All Clear (Connie Willis) - 「オールクリア」- 239冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ ふーっ、やっと読み終わりました。 この長いストーリーの前半にあたる「Blackout 」(238冊目)を含めると全部で1400ページ超! 途中で何度リタイヤしようと思ったことか。 後半の章である本作の二割ぐらいに達してからからようやく話が面白くなり出しました。すれ違いばかりの登場人物たち。 本当にもどかしくてイライラする小説。 これがコニー・ウィリスの「売り」なんでしょうけど、どっと疲れたー。 ですが、最後まで読み終えるとその長かった苦労が十分満たされます。 ほろ苦いエンディングと、人の心の美しさがもたらす感動の嵐。 全…

  • Blackout (Connie Willis) - 「ブラックアウト」- 238冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ やっと読み終わりました。うーん、長い。 ページにして600ページ超え! (Kindleだけどね) そして恐ろしいことに(というか嬉しいことに)、この作品は全ストーリーの前半部分だけだったという事実なのです… これは後半の「オールクリア」突入は避けられない、たとえそれが長い道のりだったとしても。 (ちなみに「ブラックアウト」とは空襲に備えた灯火管制、「オールクリア」とはその解除という意味だそうです。 前後半で本の名前がセットになっています。) 本作は、2060年のイギリス・オックスフォード大学の学生たちがタイムマシンを使っ…

  • Sapiens (Yuval Noah Harari) -「サピエンス全史」- 237冊目

    ジャンル: ノンフィクション 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 皆さま、2020年、明けましておめでとうございます。(すでに松の内も取れて、明け過ぎちゃっていますが気にしない…) 年明けの1冊目は以前から興味がありながら、どうも難しそうでなかなか手を付けられなかった本、Harari氏の「Sapiens」です。予想に反して、当初想像していたよりもかなり読みやすかったですよ。 単語も平易で文章も変にこねくり回していないので著者の意図がストレートに伝わりました。 ジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」(31冊目に感想)を読んだ時にも感じましたが、歴史や自然科学、経済までも包含したこ…

  • 振り返り!!! 2019年に感想を書いた洋書リスト

    2019年も終わりですね。 今年書いた感想のまとめです。 (仕事に忙殺されて、わずか14冊でした。 年々、減ってるし。。)本の神様! 来年もオモシロ本に出合えますように。 それでは皆様、良いお年を! (基本はKindleの洋書版で読んでいますが、邦訳が出版されているものは邦題も書きました。) (前に書いた2016年の感想はこちらです。 1冊目~97冊目) hearthlife.hatenablog.com ( こちらは2017年の感想です。 98冊目~180冊目) hearthlife.hatenablog.com ( こちらは2018年の感想です。 181冊目~222冊目) hearthli…

  • Too Big To Fail (Andrew Ross Sorkin) - 「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」- 236冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ ハー、めっちゃ分厚い。 登場人物があまりにも多くて、ちょっとした神経衰弱でした。 しかしながら、めっちゃ読み応えがあります。 うん、面白かった。 邦題は「リーマン・ショック・コンフィデンシャル」。 これはこれでストレートで分かりやすいのですが、原題はもっとキャッチーです。「潰してしまうにはデカ過ぎる (Too Big To Fail)」 世界規模の金融機関の破綻は世界恐慌に繋がると当時のブッシュ大統領が思わず漏らした言葉がタイトルになっています。 2008年9月15日、リーマン・ブラザーズ破綻をキッカケとして全世界を巻…

  • Absent in the Spring (Agatha Christie) - 「春にして君を離れ」- 235冊目

    ジャンル: ミステリー 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 邦題が美しい小説です。 原題の”Absent in the Spring”とはシェイクスピアのソネットの一節だそうですが、このタイトルの邦訳は翻訳者の方のセンスでしょうか。 以前にも書きましたが、「たったひとつの冴えたやりかた」や「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」など、素敵なタイトルの小説はカバーを見ただけで読んでみたくなりますよね。 そして本作、その雅な邦題からは想像もしていなかったヘビーな内容でした。 毒親一代記。 子を持つ親なら皆、思い当たるフシがあるかも。 おー、こわ… 夫を、そして家族を愛していると思い込んでい…

  • On Reading and Books (Arthur Schopenhauer) - 「読書について」- 234冊目

    ジャンル: 哲学 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★★☆☆ むかーし、「目がつぶれるほど本が読みたい」っていうキャッチコピーがありました。 角川書店が文庫販促キャンペーンで使っていたものです。 このフレーズ、元はこの角川書店の創業者である角川源義の若き日のエピソードが元になっています。彼がたまたま手にした河合栄治郎の著書の欄外に、この言葉「目がつぶれるほど…」の書き込みがあったそうです。どこの誰とも分からないその読者の強烈な思い。 心揺さぶられた源義さんは、戦後まもなく焦土と化した日本で、衣食住にも事欠くような状況下にあってもなお知性に対する市井の人々の渇望を感じ取り、精神の再生と文化の…

  • The Lean Startup (Eric Ries) - 「リーンスタートアップ」- 233冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 本作を解説するセミナーの講師がいたら、こんな感じなんでしょうか。 「はい。というわけでですね。 本作のポイントを一言で言いますよ。今日はこれだけ覚えて帰ってくださいねー。 いいですか。 [新規のビジネスモデルを試すには、小さくスピーディに始めましょう]これに尽きます。」 あとはこの主題に従って、いろんな紹介事例が続きます。 フォードの自動車製造システムに端を発するマス生産のスケールメリットは認めるものの、新規ビジネスモデルに当てはめるには余りにもリスクが高過ぎる、等々。 実際に起業するときだけではなく、現行企業の中で新…

  • The Blue Castle (Lucy M. Montgomery) - 「青い城」- 232冊目

    ジャンル: 小説 (古典) 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★★☆「バカヤロー!」っていうオムニバスの邦画が昔ありました。仕事や人間関係で閉塞感にヘキエキしてどうしようもなくなっている主人公たちがガマンにガマンを重ねた後についに爆発するというコメディ映画です。 さて、今日はそんなシチュエーションを彷彿とさせる一冊のご紹介。 読後感は極めて爽快でスカッとしたい方にぜひオススメの一冊です。 ずっと今までロクデナシと呼ばれ押さえつけられてきた本作の主人公ヴァランシー。 全てのヤツラに「バカヤロー」と叫び、家を飛び出し自らの幸せを自身で手に入れる。この爽快感はもうホントに小気味好い。 「ちょっ…

  • Factfulness (Hans Rosling) - 「ファクトフルネス」- 231冊目

    ジャンル: ノンフィクション 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆「人は自分が見たいように見る」 かなりの意訳らしいですが、カエサルの言葉です。 本来は客観的であるはずの事実に対して、人はそれぞれが自分の考え方に合うように解釈(曲解)して判断するという意味だったと思います。 自身の思考フィルターを通過して入ってきた事実はその時点でいくらかの客観性が失われているということなのでしょう。 新聞、テレビ、ツイッターを読むと凄惨な事件が毎日のように取り上げられています。私たちの世界はこれからどうなっていくんだろうと気が滅入ることが多くあります。しかし、これも(決してそのようなネガティブな状況…

  • First Steps in SAP Controlling (CO) (Ashish Sampat) - 230冊目

    ジャンル: ビジネス・経済 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★☆☆☆ 今回はERP(基幹系の統合情報システム)導入の勉強の為に、業務上必要になって読んだ本です。 備忘記録の為にここに書いているだけなもんで、特に感想という程のものはありません。 ただ、この手の本は無味乾燥なマニュアル仕様が多くて取っつきにくいのが普通ですから、少しでも楽しんで読めるような読み物仕立てのものがないかと物色していました。 そこでKindle の試し読みサンプルで見つけたのが本作。 一見、読み物仕立て風。「 おっ、エリヤフ・ゴールドラット(Eliyahu Goldratt)の「ザ・ゴール (The Goal)」(…

  • Rebecca (Daphne Du Maurier) - 「レベッカ」- 229冊目

    ジャンル: 小説 (ミステリー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 一言で言うと、少女の恋愛妄想暴走小説。とにかく果てしなく妄想する新妻。 そんな感じです。 ヒッチコックの映画でも有名なお話です。 あらすじを少し。 主人公である「私」(年の頃なら二十歳少し超えの妙齢の女性。彼女の具体的な名前はこの小説内では一切出てきません。)は、モンテカルロの高級ホテルでバカンスを過ごす金持ちで少し粗野なアメリカ人奥様の小間使い(「コンパニオン」との肩書きですが)として雇われる。 ボンビーガールで他に選択肢のない「私」は嫌々ながらもお金のために奥様の雑用をこなす毎日だった。 そんなある日、いかに…

  • Into Thin Air (Jon Krakauer) - 「空へ - エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」- 228冊目

    ジャンル: ノンフィクション 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ ふうー。 なかなか骨太のノンフィクション。 1996年5月に起きたエベレスト登山隊での大量の遭難事故(シーズンで総勢12人が亡くなる)の一部始終について、その参加者の一人であるジャーナリストのJon Krakauerが本作にて克明に描写しました。 猛吹雪という自然の脅威がこの遭難を引き起こした主要因ではあるものの、その自然現象自体はこの世界最高峰にとっては特に珍しいことではありません。それ以上にこの惨劇を招いたのは参加者やガイドリーダーの積み重なる判断ミスによるところが多かったと本書では記されています。 山に取り憑か…

  • Pride and Prejudice (Jane Austen) - 「高慢と偏見」- 227冊目

    ジャンル: 小説 (古典) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 格調高き英文学というよりも少女マンガの世界。「ブリジット・ジョーンズの日記」(187冊目に感想)を読んでからは、いつか本家を読まなきゃと思っていました。 そして読んで分かった、これは間違いなくページターナー! 面白い! 何か大きな出来事が起きるわけではありません。それぞれの地方貴族の家族内での悲喜劇が描かれるだけなのですが、ページを繰る手が(キンドルをスライドする人差し指が)止まりません。 1800年代初期のイギリスの田舎社会。当時のイギリス法では父親の死後には長男のみに不動産の相続権があり、子供が女性しかいない場合に…

  • Competitive Strategy (Michael E.Porter) - 「競争の戦略」- 226冊目

    ジャンル: ビジネス・経済 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 「ビジネス戦略論を語るには、コレを読んでなきゃ話にならん。 まずは読め! 話はそれからだ」 そんな「脅し」に近い紹介文を読んだので、Michael Porter 教授の定番中の定番である本作「Competitive Strategy 」を手にしてみました。 ふーむ、長かった… 構成がツリー状の入れ子構造になってて読み終えるのになかなか難儀しましたが、あとで読み返したいポイントだけを見つけるには適しているようです。 英文自体もそれほど難しくなく一つ一つの解説には得心がいきます。 以前に W. Chan Kimの「Blue…

  • A Clockwork Orange (Anthony Burgess) - 「時計じかけのオレンジ」- 225冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語? 難易度: ★★★ オススメ度: ★★★☆☆ 「孫悟空は頭の輪っかのおかげで更生したのか?」 西遊記に出てくるモンキーマジック孫悟空は元々やんちゃな猿でした。 如意棒や筋斗雲を駆使し無敵の力を誇る彼でしたが、唯一の弱点がありました。それはお釈迦様によって強引に頭に装着された拘束器具です。短気な悟空が乱暴しようとするとお師匠様(三蔵法師)があるお経を唱えます。 すると頭にはめられた輪っか(キンコジ)が万力のようにキリキリと締め付けて悪さができず大人しく従ったというお話です。そしてしぶしぶお師匠様との旅に付き合い始めた乱暴者の悟空ですが、やがてお師匠様に尊敬の念を覚…

  • The Chemical History of a Candle (Michael Faraday) - 「ロウソクの科学」- 224冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★☆☆☆ 深夜、眠れないことが多く、夜の2時ぐらいに本を読むことがあります。 物音ひとつしない静かな暗闇の中で、布団の中でキンドルを手にして古典とも言える本を読む。 何か濃密な時間が過ぎていく感じが好きなのです。 以前に読んだ塩野七生さんのエッセイの中で、マキャベリが深夜の読書・思索を通じて古の賢人たちと対話し、名著「君主論」を書き上げたエピソードを紹介されていました。 その作品の勇壮なイメージとは少し異なり、現実のマキャベリは背は人並みだが貧相に見える貧乏な四十男でした。 「君主論」が出版され名声を得るのも彼の死後のこと…

  • Blue Ocean Strategy (W. Chan Kim) - 「ブルー・オーシャン戦略」- 223冊目

    ジャンル: ビジネス・経済 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 「いつかはそうなると思ってたんだよね」何かトラブルが起きたときに、したり顔でこう言われると、ザラッとして少し嫌な感じがします。「なら、もっとはよ言え!」と。 後知恵バイアスと言うのでしょうか。 自分ではこういうこと言わないようにしようと思ってますが、無意識の内にやらかしちゃってるかもしれません。 マーケティングやビジネスモデルの本を読むと結構そう思うことがあります。 いくつかの成功モデルと失敗モデルを比較して分析をして理由づけしているパターンが多いのですが、結果を見てから説明するのは簡単です。 しかし、事前に「このモデ…

  • 振り返り!!! - 2018年に感想を書いた洋書リスト

    2018年も終わりに近づきました。 今年書いた感想のまとめです。(少なめの42冊でした)本の神様! 来年もオモシロ本に出合えますように。 それでは皆様、良いお年をお迎えください。 (基本はKindleの洋書版で読んでいますが、邦訳が出版されているものは邦題も書きました。) (前に書いた2016年の感想はこちらです。 1冊目~97冊目) hearthlife.hatenablog.com ( こちらは2017年の感想です。 98冊目~180冊目) hearthlife.hatenablog.com 181 Beautiful mind (Sylvia Nasar) ビューティフル・マインド he…

  • The Cold Moon (Jeffrey Deaver) - 「ウォッチメイカー」- 222冊目

    ジャンル: 小説(ミステリー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 先日、話題の映画「カメラを止めるな!」を観ました。 これはもうなんて言っていいか、まあ一言で言えば素晴らしく面白かったのです。ストーリーは単純。 あるB級ゾンビ映画を撮影するために人里離れた山奥に来たスタッフが本物のゾンビに出くわして、というかなり平凡なホラーストーリー。 しかしこれは、この映画の最初の30分と残りの部分でまったく別物、というか二部構成になっていて、この展開が見事としか言いようがないのです。 ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けませんが、最初の30分までは「ふーん、なぜこの映画がここまで話題…

  • The Diary of a Young Girl (Anne Frank) - 「アンネの日記」- 221冊目

    ジャンル: ノンフィクション(自伝) 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆「Dear Kitty」 空想上の友達にあてたこの書き出し。 わずか14歳の少女が綴った日記は、第二次世界大戦時・ホロコーストの最も有名なドキュメンタリーの一つです。 また一級の青春小説とも言えます。(フィクションではありませんが) 本作を読むと、戦争とは何か特別な出来事としてある日突然起きるのではなく、普通の日々の暮らしの中にひっそり染み込むようにやってくる狂気そのものであることが伝わります。 今まで同じ社会の一員として生活してきたユダヤ人を急に排斥し幽閉、殺処分しようと考えるなど普通に考えてあり得ない。 し…

  • The Art of Profitability (Adrian Slywotzky) - 「ザ・プロフィット」- 220冊目

    ジャンル: 経済・ビジネス 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★☆☆☆ 「ビジネスの上で、利益を上げるにはどのようなパターンがあるのでしょう?」 業績不振の工業部品メーカーに勤める若手ビジネスマンSteve。 経営の神様のような中国系のおじいちゃんコンサルタントZhaoからのアドバイスを受けつつ学び成長していくというストーリー。 (このおじいちゃん、ぼくの脳内イメージでは映画「ベストキッド」に出てくるミヤギ老人に変換されてます) なぜかアメリカのビジネス本はこの手の小説仕立てが多いようですね。「The Goal」や「Leadership and Self-deception」(67冊目に感…

  • The Eagle Has Landed (Jack Higgins) - 「鷲は舞い降りた」- 219冊目

    ジャンル: 小説(アクション) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ カッコいい男たちの話を読みたい! そう思いました。 そして評判を聞いて手にしたこの一冊。 期待は裏切られませんでした。 男前な文章があるとすれば、きっとこのような文章のことを言うのでしょう。キビキビとして硬質な文章。 読んでいて小気味よいとはこのことです。 簡潔でいて味がある。 そして感動で鳥肌が立つような心揺さぶる名シーンがいっぱい。 惚れてまうやろー! (古い…) 一言で言えば、ナチスドイツ軍によるイギリス首相チャーチルの誘拐作戦の顛末記。(もちろんフィクションです) 読み手側は、結局チャーチルは誘拐されない、…

  • Project Management (G.Michael Campbell) - 「世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント」- 218冊目

    ジャンル: ビジネス・経済 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★☆☆☆ 今、ある会計関連のパッケージソフトの導入プロジェクトに関わっています。 予算も多額で関係者も多いこのプロジェクト。考慮すべきポイントが多岐に渡り、手続きに抜けや漏れが出ないようにしたい。 で、必要に迫られて手にした本です。 (オモシロ本として紹介しているのではないので、★は二つでした) この本、プロジェクトを成功に導くための組織の束ね方、人身の掌握方法、スケジューリング、予算取り、更にはトップへの報告ポイントから打ち上げの奨励まで、そのノウハウが実に詳細に説明されています。 ERPの導入プロジェクトなどには欠かせない知…

  • Walden (Henry David Thoreau) - 「森の生活」- 217冊目

    ジャンル: 古典 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★☆☆☆ ふー、やっと読み終えました。 美文調で古語もふんだんに使われており、かなり読みづらかったです。 ハーバード大学卒の意識高い若者が「持たない生活」を志向し元祖ミニマリストとして、ウォールデン湖のほとりで、二年間の「森の生活」をおくった際のエッセイ。(1854年発刊) 日々の暮らし振りはけっこう詳細に書き込まれています。 ローラ・インガルス・ワイルダーを思い出しました。いや「下ノ畑ニ居リマス」の宮沢賢治か。 後半は池の周りに棲息する動植物についての観察がファーブル昆虫記やシートン動物記並みに細かく記されています。 そして、これらの英…

  • A Random Walk Down Wall Street (Burton Malkiel) - 「ウォール街のランダムウォーカー」- 216冊目

    ジャンル: 投資・マネー 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 小説「赤毛のアン」に出てくるマシューおじさんは、ぼくの好きなキャラクターの一人です。 寡黙で優しいこのおじさんの命を奪う心臓発作の引き金となったのは、彼の全財産を預けていた銀行が破綻したとのニュースでした。 これ、児童小説にしては結構シビアで生々しい話ですが、年配のマシューおじさんにとっては、それだけショッキングなことだったのでしょう。 お金の話題ははしたないと少し敬遠されがちなのですが、人が生きていく上で避けては通れないものです。 最低限の知識は身につけておくべきことですよね。ということで、今日はお金と投資運用のお話で…

  • Around the World in Eighty Days (Jules Verne) - 「80日間世界一周」- 215冊目

    ジャンル: 小説 (ファンタジー) 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ なんとまあ、痛快にして愉快な話! 児童小説とは言うもののこれこそページターナー小説の真骨頂でしょう。 ドキドキハラハラのストーリー展開はまるでよくできた映画を観ているようです。 病的なまでに時間に厳しく、全ての行動が論理にて構成されているFogg氏。イギリス紳士特有の融通が利かない頑固者と見えている彼ですが、実は情熱と優しさを持ったロマンスを愛する人物でした。 冷静でドライ、人間の感情を持っているのかと思わせる人物がふと見せる温かい感情の一片。 これが主人公のキャラクターをいっそう魅力的なものにしています。 め…

  • The Firm (John Grisham) - 「法律事務所」- 214冊目

    ジャンル: 小説(サスペンス) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ アメリカでは、税務周りの交渉ごとは弁護士がやるだなんて、この本で初めて知りました。 日本で言えば、法律事務所と言うよりも、法人・個人所得税対策専門の法律すれすれのヤバい系税理士事務所ですね。 粗筋を少し。 ハーバード・ロースクールを優秀な成績で卒業したミッチ。 破格の報酬条件とBMW付きでメンフィスの片田舎のある名門法律事務所に就職した。 順風満帆に思えた彼。しかしこの事務所、不審な点が多く、過去にも多くの先輩弁護士たちが不審死を遂げている。実はこの事務所、違法マフィアの脱税とマネーロンダリングの片棒担ぎを生業とし…

  • Harry Potter and the Chamber of Secrets - 「ハリー・ポッターと秘密の部屋」- 213冊目

    ジャンル: 小説(ファンタジー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ハリーポッター、第2弾!ざっくりと3行でまとめると、1. 魔法学校ホグワーツで二年目を迎えるハリー。2. ますます強くなるロンとハーマイオニーとの三人組の友情の絆。 3. そして、ホグワーツの地下にある「秘密の部屋」に住む魔物との戦いの一幕。 しかし、本作の陰の主役はなんといっても「君のハートをロックオン」、ギルデロイ・ロックハート先生でしょう! 名前からして過剰装飾なこの人、ホントに使えんヤツです。 なぜ、ダンブルドア校長は彼を闇の魔術の教授としてホグワーツに採用したんでしょうねー。 目が曇ったかな? あの才女ハ…

  • Flowers for Algernon (Daniel Keyes) - 「アルジャーノンに花束を」- 212冊目

    ジャンル: 小説 (SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★★ 小説を読んでいて、最後の一頁(もしくは最後の一行)に思いっきり心を揺さぶられた経験はありませんか? そんな類まれなる本に出会えた時、しばらくの間シビれてしまって茫然としてしまうことがあります。 それは必ずしも読者の予想の裏をかいた「どんでん返し」ネタというわけではありません。 この最後の一頁に出会うために長いストーリーを追いかけてきたんだという満足感と、もうこれでこの話は終わりなんだという寂しさに似たような感慨でしょうか。 例えば、Garcia Marquezの「One Hundred Years of Solitud…

  • All She Was Worth (Miyuki Miyabe) - 「火車」- 211冊目

    ジャンル: 小説(推理) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ 徹夜本推理小説と言えばこれ! 文句なしの面白本として、誰にでもオススメしているのがこの本。 今から20年ぐらい前でしょうか。 本作がテレビドラマ化されていたのを観た記憶があります。 確か、主人公の刑事を三田村邦彦さん、謎の女性を財前直見さんが演じていました。 とても良くできたドラマで、今でもよく覚えています。 特にラストシーンで謎の女性が待ち合わせ場所である喫茶店の階段を降りてくるシーンがゾクゾクするくらい怖くて良かった。 バックでウィルマ・ゴイクが歌った60年代のイタリアのポップス「In un fiore(花のささやき…

  • The Seven-Per-Cent Solution (Nicholas Meyer) - 「シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険」- 210冊目

    ジャンル: 小説 (推理) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ ホームズのパスティーシュの中でもかなり良くできていてオススメです。 正典をたくさん読んだ方には、たまらないひねりも効いています。 もともとこの本の設定は、ワトスン博士の未発表の手記が発見されたとの建てつけで始まります。 ワクワクしますね。 (1974年発刊) 粗筋を簡単に。 ホームズはコカイン中毒により精神を病んでおり、世界の悪の権化で宿敵であるモリアーティ教授にずっと付きまとっていた。が、実はモリアーティはごく平凡で善良な一市民(なんと、少年時代のシャーロック・マイクロフト兄弟の数学の家庭教師だった!)であり、ホーム…

  • The Only Neat Thing to Do (James Tiptree Jr.) - 「たったひとつの冴えたやりかた」- 209冊目

    ジャンル: 小説(SF) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ 「たったひとつの冴えたやり方」 この邦題が有名です。センスを感じます。 SF小説の翻訳タイトルにはステキなのが多いですね。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」とか「星を継ぐもの」とか。 思わず手に取りたくなります。 さて本作。 SF用語、多めです。 それほどSFものに造詣が深くないものですから、冒頭から知らない単語が多くてちょっと難しかった… でもガマンして読み続けていると会話文が増えてきます。 急に読みやすくなりました。ストーリーをご存知の方も多いでしょうが、粗筋を簡単にご紹介します。16歳の誕生日を迎えた少女コーティ…

  • Dracula (Bram Stoker) - 「吸血鬼ドラキュラ」- 208冊目

    ジャンル: 小説(ホラー) 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★☆☆ ミナお嬢様と勇敢なる冒険者たちの物語。 はじめに抱いていたイメージとは違ってました。古典っぽくて読みにくいのかなと思っていたら、全然。100年以上も昔の話なんですが、単語も分かりやすいですよ。 土地の古老が話す訛りの強いdialectsを除けば今でも違和感なくスッと読めます。 「Frankenstein」(93冊目)を読んだ時も感じましたが、日本の古文と比べて、英文のクラッシックが広く読まれている理由のひとつに、言葉の変化があまり激しくないという要素があるんじゃないかと思います。 小説というよりも、手紙や電報、日記をつ…

  • The Lottery (Shirley Jackson) - 「くじ」- 207冊目

    ジャンル: 小説(ホラー) 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★★☆ 「臓器くじ」の話をご存知でしょうか。 哲学者ジョン・ハリスが示した思考実験です。 1. 公平なくじで健康な人をランダムに一人選んで殺す。 2. その人の臓器を取り出し、臓器移植を必要とする人々に配る。 3. くじに当たった人は死ぬが、代わりに多くの人が救われる。 4. さてこのような行為が倫理的に許されるだろうか。 サンデル教授のトロッコ問題にも似たこの究極の選択の話は 功利主義を人間の肉体にまで当てはめてしまうと不快感の強い結果を示すものの明らかに誤りであると指摘するのは大変困難である、というものです。 主張と反論を…

  • Big Bang (Simon Singh) - 「ビッグバン宇宙論」- 206冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★☆ オススメ度: ★★★★☆ サイモン・シン 科学啓蒙書シリーズ3作目は「Big Bang」です。 本当に彼の著作にはハズレがありません。 天文学の歴史を紐解きつつ、教科書のように単に知識を並べるのではなく、「なぜそうなるのか」について分かりやすく、かつドラマチックに展開してみせる手法は「Fermat’s Last Theorem」(197冊目)、「The Code Book」(199冊目) 同様にキレ味鮮やか、サスガです。 ガリレオが、ハッブルが、アインシュタインが、生身の人間として生き生きと動き回る! (2004年発刊) ご存知の通り、天…

  • Shawshank Redemption (Frank Darabont) - 「ショーシャンクの空に」- 205冊目

    ジャンル: その他 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★☆☆ 先日は原作の方の「Rita Hayworth and Shawshank Redemptions (刑務所のリタ・ヘイワース) 」(200冊目)を紹介しましたが、今回は映画の方を。 大ファンなので脚本を買ってしまいました。 ティム・ロビンスが主人公アンディ・デュフレーンを演じました。 (2004年発刊) この映画、名作の誉れ高くご覧になった方も多いかと思います。 敢えて付け足すコメントはありませんが、原作になくて映画のみ出てくる好きなシーンがあります。 ● 囚人の身でありながら、執念の「啓蒙活動」により、刑務所内に図書室を作っ…

  • The Origin of Species (Charles Darwin) - 「種の起源」- 204冊目

    ジャンル: サイエンス・ロジック 英語難易度: ★★★ オススメ度: ★★★☆☆ 小さい頃好きだった古いアニメに「メルモちゃん」というのがありました。 手塚治虫先生による名作です。 幼い女の子メルモちゃんが赤色と青色の不思議なキャンディを舐めることで、一気に歳を取りセクシーなお姉さんになったりお婆ちゃんになったり、また赤ん坊になったりするという摩訶不思議なストーリーなんです。 その中でも特にぶっ飛んでいる設定が、摂取するキャンディの配分を変えることで胎児にまで若返り、その後にイヌやネコなどの他の哺乳類に変身するというのがありました。受精卵からエラ付き魚、両生類を経て哺乳類になり、というシーンを…

  • Getting to Yes (Roger Fisher) - 「ハーバード流交渉術」- 203冊目

    ジャンル: ビジネス・経済 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★★☆ 「交渉力」と言えば、僕にはいつも思い浮かぶ人がいます。 もう十数年も前の話です。 会社でのプロジェクトで複数の企業にまたがる大規模なコンピュータシステムを導入するというプランがあり、僕は自分の所属する会社の意向を伝えるために、そのプロジェクトメンバーの一人として参画したことがありました。その業務を通じて知り合ったある人物なのですが、孫請けの外注ソフトウェア会社から派遣されてきた方で、この人と共にした仕事はまさに目からウロコが落ちるほどのインパクトのある経験でした。 彼は40代半ばぐらいで見かけはそれほど切れ者風でもあり…

  • Harry Potter and the Philosopher’s Stone (J.K. Rowling) - 「ハリーポッターと賢者の石」- 202冊目

    ジャンル: 小説 (ファンタジー) 英語難易度: ★☆☆ オススメ度: ★★★★★ 少し前の話ですが、AIにハリー・ポッターシリーズを読み込ませて、J.K.ローリングの筆致を真似した短いお話を作らせたというニュースが話題になりました。その名も「Harry Potter and the Portrait of What Looked Like a Large Pile of Ash (ハリー・ポッターと山盛りの灰のように見えるものの肖像)」 なんか、ありえんタイトルです。 そのストーリーも無茶苦茶で、ロンがハーマイオニーの家族を食べたり、ハリーが自分の目をえぐり出して森に投げつけたり…ほとんどホ…

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