田山花袋は、明治4年(1871年)生、昭和5年(1930年)没、60歳。今や「蒲団」で自然主義の先鞭をつけた記録のみが残り、記憶には残らないかの如き明治の文豪。また、芥川龍之介や正宗白鳥などから「下手くそ」呼ばわりされ、やはり不憫な感が拭えない田山花袋を更読みする。テキストは『定本花袋全集』、時系列に主だった作物40作を読む。全体の感想は、筋は派手な展開はないし、表現もケレン味もなく、乾いた感じ。まぁこれが花袋が標榜した「平面描写」なのだろう。花袋は小説家として名をなす以前に紀行文の名手として知られていたそうな。平面描写の下地は充分あったといえよう。四つ星以上をつけた作物は「縁」・「田舎教師」・「時は過ぎゆく」。「縁」(明治42年)は、「生」や「妻」と共に「蒲団」(明治40年)以後の花袋「自然主義三部作」...5172首目・・・田山花袋を更読みする。