「錆兎っ!!逃げたっ!!逃げちゃったのっ!!捕まえてっ!!!」 いきなり部屋のドアが開いて焦った顔の真菰が飛び込んできた。 「「逃げたって、何がっ?!!」」 と、驚いた錆兎と炭治郎の声がはもる。
ノマカプのオリジナルとAPH(ヘタリア)のギルアサ、アンアサの二次創作BL小説のサイトです。
5年間ほどPixivで書き続けていた小説を移行しつつ、毎日1P分くらいの更新を続けています。 ゆえに…記事の数だけは多いです(*゜―゜)b 今現在1000記事以上っ!
──錆兎先輩っ!飯行きましょうっ!! 1週間後に社員旅行を控えたある夏の日、当然ながら普通に仕事をいったん終えた昼休み。 元気な新入社員の後輩がにこやかに昼食に誘ってくる。
そうして二人テーブルをはさんで正面に座ると、 「ではあらためて。 会社案内とかにも顔を載せられているから知っているかもしれないが、企画営業部の鱗滝錆兎だ。 気軽に錆兎って呼んでくれ。冨岡が嫌でなければ俺も義勇と呼ばせてもらう。 これから2泊の間よろしくなっ!」 と笑顔で言うイケメン。
義勇の荷物まで軽々と手にして移動する錆兎のあとを慌てて追おうとすると、いきなり腕をガシッと掴まれた。
義勇の荷物まで軽々と手にして移動する錆兎のあとを慌てて追おうとすると、いきなり腕をガシッと掴まれた。
産屋敷商事には今どき社員旅行なんていうものがある。 それも同期の交流を目的として、同年に入社した社員を本社から支社までいっしょに旅行するというもので、予算は社から降りるので幹事が手配する。
不死川実弥の想い人、冨岡義勇はコミュ障である。
暑い夏。日本の夏。 産屋敷商事の同期会の社員旅行は今年は何故か夏も真っ盛りの8月だった。 こんな暑い中で?真面目に?とうんざりはするものの、本社だけではなく普段は顔を合わせることの少ない各支社の同期に会うのは楽しみではあるし、なによりそこでの情報交換は仕事を進めるなかで有意義なこ...
捕獲作戦 - 開始 プロローグ
いったん車を停めてある駐車場に戻って少年を助手席に乗せ、走りだす事30分。 下町の…おそらく駅からだいぶ歩くのであろう古びたアパート。
――近日中に猫飼おうと思う。 同僚でもある友人2人にそう宣言したのは退路を断つためだ。 つい先日、従弟の炭治郎が長らく2人で住んでいた祖父のマンションを出て行った。
──お前は実家を見捨てるつもりか?! 心の中で頼りにしていた相手から優しく励まされたら善逸も立ち直るのかもしれない… そんな期待を胸に彼の籠っている部屋に案内した不死川の目の前で錆兎の口から出たのは耳がビリビリするくらいデカい声での叱責だった。
──実弥、銀狼の皇帝が来たけど… ──急いで通してくれぇっ!丁重になァっ!!
──おら、寮生の康介の実家からの差し入れ品だぞ、遠慮せず食えよ ──ううん、いいよ…食べたくない…良ければ不死川さん食べて?
「とりあえず…現状、資金も人材も心配なしで今後も桑島財閥に超恩売れるってお得じゃねえか?」
──善逸の実家を潰すのは避けたいところじゃなぁ… 次の日、学園を休んだ不死川が一足先に入手してきた映像を見終わってため息交じりに呟く桑島老。
数日後…銀狼寮のダイニングでは古今東西のご馳走が並んだ戦勝祝いのパーティーが開かれていた。
これでようやく放免か…と思えば、そうはいかないようだった。 ──でも、やったこたぁ、消えねえよなァ?! と、余計なことを言う不死川。 ほんっとに忌々しい男だ!と亜子は内心舌打ちをする。
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「錆兎っ!!逃げたっ!!逃げちゃったのっ!!捕まえてっ!!!」 いきなり部屋のドアが開いて焦った顔の真菰が飛び込んできた。 「「逃げたって、何がっ?!!」」 と、驚いた錆兎と炭治郎の声がはもる。
熱がなかなか引かず、早1週間。 体調が回復するまではなるべく側についているつもりだったのだが、錆兎も一国の王なので、さすがにそれにも限界が来る。 朝食を一緒に取って薬を飲ませてウトウトと眠ったところでソッとその側を離れて執務室へと急いだ。
錆兎の大切な被保護者が目を覚ましたのは、翌日の明け方だった。 発見したのが前日の午後で錆兎はそれから傍らに付き添って、日が落ちてまた登るのを横目に濡れタオルをかえてやりながら、汗を拭いてやっている。 王と言っても割合と自分で動きたい性質の錆兎だが、あいにくというか幸いと言うか、周...
冷え切った体…青い顔…… ベッドに寝かせてやった方が体勢的には楽なのかもしれないが、冷え切っているので体温を少しでも分け与えてやりたい。 結果、ベッドで半身起こす形で抱きしめる。
幻の国に使いを送ったところで、もう打てる手は打ったことになる。 今までの経験上、返答が来るまで1週間から10日ほど。 協力を依頼したからには、それまでは動くわけにはいかない。
元々嵐の国がかなり攻撃的な国であること、使者の件、炭治郎の件で杏寿郎はかなり戦う方に傾いてきている。
「おかえり! 余裕で間に合ったようだな。 まあ君のことだから心配はしていなかったが…」
やがてドアがノックされ、どうやらリビングの方からメイドらしき声に昼食の用意が出来た事を告げられるが、とてもではないが寒くてベッドから出る事が出来ない。 なのであとで食べるので置いておいて欲しいとベッドの中から告げると、あとで食器を取りにくる旨を告げて下がって行く。 その気配を感じ...
真菰さんに言わせると、錆兎さんは【昭和の親父】みたいなところのある人なのだという。 真菰さんと共に大叔父さんに引き取られて現代っ子も少なくはないお弟子さん達と接するうちにアップグレードされて今では表にだすことはないらしいが、幼い頃はよく『男なら、』とか『男として生まれたなら、』み...
もしかして義勇には好きな奴が出来たのかもしれない。 俺がそう気づいたのは、例のキス事件の少しあとだった。
──えっ?!!バレてたっ?!!! 俺が錆兎さんにキスをしたのが錆兎さんにバレてしまっていた。 それを真菰さんから聞いた時、俺は人生が終わったかと思うくらい衝撃を受けた。
午前中は特に重要な案件もないので、一応村田に隣の自宅に居ることを伝えた上で、リビングで真菰に話を聞いてもらった。
思春期になって距離が出来てしまったように思っていた息子との距離がまた近くなってきた。 義勇が俺の部屋を訪ねて来た時、そう喜んでいた俺は翌朝、何もなかったように義勇を中学に送り出すと、深い悩みを抱えつつ不本意ながら真菰を呼ぶことにした。
──錆兎さん、今日一緒に寝ていい? とある夜のことである。
それを実行するかどうか、俺はぎりぎりまで迷っていた。 いけないことだって自覚はすごくある。
その話をしたのはいつだったのかな…。 1月2日だったのは確かだった。
錆兎さんの事で本人に言えない事は真菰さんへ…そういう認識だったからついつい真菰さんがいいって言っちゃったけど、落ち着いて考えてみたら異性の真菰さんに話すことじゃないのかもしれない…
中学1年生くらいでああいう漫画とかを見たら、女の人の裸とかで頭がいっぱいになるものなんだろうけど、その日に俺の頭をいっぱいに占めていたのは、登場人物の身体じゃなくて、表情だった。
小学生時代…学校側とも町会とも仲良しだった錆兎さんの数々の個性的な提案で、俺達の小学校は随分と変わったらしい。
不死川君と言い争っていた大垣君はいわゆるいじめっ子らしい。 1年生の時に不死川君が俺にそうだったみたいに、クラスメート全体に対して乱暴で、なかでも3年生から同じクラスになった秋山君に特に意地悪をしているそうだ。
そうして解いているうちにいつのまにか昼休みに。 「お前さ…一体何解いてるの? これ何?俺ちんぷんかんぷんなんだけど…」 頭上から村田の呆れた声が降ってくる。
「この問題は…、冨岡、解いてみろ」 科学の時間、教師に言われて立ち上がった義勇は白墨を手に硬直する。 さすが進学校。 問題が難しすぎて全くわからない。
――毒物が混入されていたのは、被害者の紙コップ…物理的に毒が混入できた可能性があるのは、ジュースと氷と紙コップか…。 緑茶のマグを片手に分厚い資料に目を通しつつ、そうつぶやく錆兎とそれに見惚れる義勇。 ああ、カッコいいな。 まるでドラマに出てくるイケメン刑事みたいだ…などと思いな...
──お前は脳内変換が激しすぎだ… なんだか止まらなくなって泣いて泣いて泣いて…泣き疲れるまでずっと胸を貸してくれて、あまつさえなだめるように背をさすっていてくれた錆兎に泣いていた理由を聞かれて正直に答えると、再度のため息と共に降ってきたのはそんな言葉だった。
「…あ……さびと…なんで……」 結局納得しようとしまいとさして役にたちそうな能力などないので拒否権などあるはずもなく、指令の通りに私立月陽学園に転入した義勇。
「やっと学校に慣れたところなんだ…転校は…勘弁してもらえないだろうか…」 立派な執務室に呼び出されて、思い切り困ったような…悲しそうな…そんな顔をする男子高校生……。
第1章_プロローグ
そうして駆け付けてみれば失血死しかけている天元と号泣している善逸。
そんなある意味少し不穏で和やかな日常は本当に絶妙なバランスで成り立っている。 それはある日のことだった。 当たり前に出動を命じられて、錆兎がいつものように車の助手席のドアを開けて義勇を乗せた後、自分が運転席に座る。
今日も元気に任務待ちである。 ただしいつもと違うのは義勇の服。
──君が噂の義勇ちゃんね。俺は村田。医療本部長なんだ。よろしくね。 実ににこやかで友好的。 そして警戒心を起こさせない彼は威厳が足りないと言われ続けているのだが医療部としては最適なんじゃないだろうか…と錆兎は思う。
「疲れたな…」 錆兎は部屋へ戻ろうとしたが、あまりの眠気に誘われる様に人気のない談話室に吸い込まれる様に入ると、そのまま窓際の椅子に腰をかけた。
──…宇随さん…もう痛くない? 夜…任務の帰りに泣き寝入った善逸が起きて来ての第一声がそれだ。 臆病でヘタレなくせに、自分より遥かに色々強い宇髄のことを気にかけるとか、馬鹿か?こいつは…と思いながらも、それがなんだか心地いい。
ああ、良い人生だった…と清々しく閉じるはずだった宇髄の人生の幕は、強引に開けられるどころか引きちぎられたらしい。
いいもん…というのは本当だと宇髄は思っている。 普通は滅多にみられないジャスティスの第三段階。 宇髄のそれはしかし、今まで何度か問題なく使っていた。
3つ目のイレギュラーで死を覚悟しつつ色々と最期の計画を建て始めた宇髄。 とりあえずしのぶに指示したほうのイヴィルは弱い方の個体だったので偶然ではあるが我ながらいい判断だったと安堵した。
善逸がパニックを起こしていた頃、宇髄はというと非常に淡々と状況分析をしていた。 (…これ、結構まずくね?) と気づいたのは詠唱を終えてジュエルを第二段階に変形させて前方に向かって駆け出した時だった。
全ての巡り合わせが悪かったと言って良いと思う。
「敵は前方300から半径約15mの範囲に雑魚豹35、イヴィル1。 俺の範囲攻撃着弾でゴーで。 善逸としのぶは左側のイヴィルに向かえ。 左側のイヴィルが片付いたら次は右。 それが終わったら全員で残った雑魚の後片付けだ」 「ん~、でもそれだと全部敵が宇髄さんのほうくるんじゃ?」 「俺...
──嘘~~!!! と叫んだのは善逸だけではない。 それまで気丈に頑張る宣言をしていたしのぶもであった。 ──こ、これ、どうしましょう?? ──逃げるに決まってるじゃんっ!! 慌てる二人。 そこに唯一冷静な宇髄が言う。 「これ…潰しとかないと基地に向かう奴じゃね? 最悪あっちの移動...