ことり…と頭を預けている先は快適とは言えない。 ふんわりとした物に包まれている感覚はあるものの、包んだ先にあるものはゴツゴツと固い。 なのに…それを差し置いてもどこか心地良い。 抱きこまれた身体をしっかりと支える腕。 身体の下にあるものは酷く揺れて不安定な感覚を否めない状況なのに...
ノマカプのオリジナルとAPH(ヘタリア)のギルアサ、アンアサの二次創作BL小説のサイトです。
5年間ほどPixivで書き続けていた小説を移行しつつ、毎日1P分くらいの更新を続けています。 ゆえに…記事の数だけは多いです(*゜―゜)b 今現在1000記事以上っ!
──まあ僕は可愛い性格はしていないから、電話でも録音はしておくけどさ と言いながら、無一郎が見せてくれたのは、たった今、柏木亜子から来たメールだった。
錆兎が義勇を炭治郎の部屋に送って行って戻ると、すでに錆兎の寝室の窓の外の木の上に不死川と無一郎が待機していた。
「じゃ、終わったら迎えに行くから。 お前の一人くらい抱えて帰れるから眠かったら炭治郎のベッド借りて寝てても良いぞ」
こうして4時限目が終わって面識が出来た二年生の教室のあたりに行くと、元気に出てきた学生達が亜子をわ~っと取り囲んできた。
香水が確かに効果があるとわかれば後は簡単だった。 出した問題を解く学生達の間を回れば、皆が素直になっていく。
初日…胸元にリボンのついたフェミニンなブラウスにピンクのフレアスカートと言う清楚系ファッションで自信満々で藤襲の2年の授業に臨んだ亜子だったが、いきなり学生達の冷ややかな視線と態度の洗礼にあった。
…今まで女人禁制だった男子校…余裕ねっ!! 10月の後期から赴任することが決まって、亜子はそれまでにJSコーポレーション側が用意してくれた資料を頭に叩き込む。
私立藤襲学園は広大な敷地に立つ名門校だ。 そう、広大な敷地。 このせいで通うのにはなかなか不便な学校でもある。 なので小等部まではたいていは親が自家用機で送り、中等部と高等部は全寮制だ。
そんな風に香水一色で始まった朝だったが、何か違う…と茂部太郎が気づいたのは授業が始まってすぐくらいの時だった。
うちの皇帝は世界で一番カッコいいし、うちの姫君は世界で一番可愛い。 それは東から日が昇り西に沈むくらい当たり前のことである。
寮生は姫君がお好き1007_怒れる錆兎と突如現実に引き戻る村田
「お前、そんな無責任ならもう寮長をやめろっ!」 鬼軍曹と恐れられている銀狼寮の寮長錆兎の強い怒りを感じさせる声と言葉にそれまで不自然とも思えるほどの笑顔があふれていた辺り一帯の空気が凍り付いた。
「…おい、村田を知らないか?」 高等部の校舎に戻った錆兎は銀竜の寮長である村田を見なかったか、まずは同学年の自分の教室の自寮生達に尋ねる。 すると寮生達はなんだか意味ありげに顔を見合わせた。
あれだけ警戒していたのにあっけないほど平和な時間が過ぎ、いつものように弁当を手に義勇を迎えに中等部に向かう錆兎。 授業終了が5分ほど長引いてしまったので、お腹を空かせているかもしれないと思えば自然と足も早まっていく。 まあ、いつもはこの時間は義勇を錆兎に任せて、炭治郎はさっさと食...
今日は自寮の姫君が特に可愛い。 もちろん我らが姫君はいついかなる時も世界で一番可愛いが、今日は特別だ。 なにしろ1週間ぶりの登校である。 錆兎が毎日続けている姫君のお手入れにも力が入るというものだ。
ぜひ姫君に献上したい物があるので直接会って話をしたいという茂部太郎の要望で、錆兎は自分の方が彼の部屋に出向く。
寮長錆兎は目に見えて不機嫌だった。 姫君は今ここには居ない。 だからそんな素の感情を表に出せるのだ。 居たら内心機嫌が悪かろうと絶対にそんな素振りを見せる彼ではない。
寮生は姫君がお好き1001_姫君の香水の完成─全てはここから始まった
──射人っ、仁っ、届いたぞっ!! 茂部太郎が通う藤襲学園は二期制なので、前期と後期の間に秋休みと言う少しばかり長い休みがある。
──アルフレッド・F・ジョーンズ!貴様は何を逃げてるんだっ!! 憧れの相手から優しく励まされたらアルフレッドも立ち直るのかもしれない… そんな期待を胸に彼の籠っている部屋に案内した香の目の前でギルベルトの口から出たのは耳がビリビリするくらいデカい声での叱責だった。
──香、銀狼のカイザーが来たけど… ──通して、プリーズ!!
──今日は食ってもOKだけど? ──ううん、いいよ…食べたくない…
「とりあえず…現状、資金も人材も心配なしで今後も王財閥に超恩売れるってお得じゃね?」 香がそう持ち掛けているのはギルベルトではない。
──ディックの実家を潰すのは避けたいあるな… 香が一足先に入手してきた映像を見終わってため息交じりに呟く王耀。 今回の騒動は香の責任の範囲外だ。 むしろ協力した特権で他に出回る前に映像を入手出来たことは褒めてもいい。
数日後…銀狼寮のダイニングでは古今東西のご馳走が並んだ戦勝祝いのパーティーが開かれていた。
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ことり…と頭を預けている先は快適とは言えない。 ふんわりとした物に包まれている感覚はあるものの、包んだ先にあるものはゴツゴツと固い。 なのに…それを差し置いてもどこか心地良い。 抱きこまれた身体をしっかりと支える腕。 身体の下にあるものは酷く揺れて不安定な感覚を否めない状況なのに...
──じゃあ、行くぞ。 一応、立場としては賊からの保護というものではあるのだが、では嵐の国の人間が来たなら引き渡すかというと、それも悩むところである。
こうして錆兎は少年を拾った……というか、救出した。 15人ほどの一般兵など水獅子王の敵ではない。 あっという間に全員地面の上に転がして、残酷なシーンを見せるのも…と、そっと少年の視界を塞ぐためにかけていた自分のマントをその小さな頭から取り去ると、ガラス玉のようにまん丸く澄んだブル...
遠くから聞こえる足音。 息をひそめて気配を消して錆兎はそれが十分な距離まで近づいてくるのをジッと待つ。 普通にしていれば立っているだけでも圧倒的な存在感を持つ男と言われるが、何も気配を消せないわけじゃない。 爪を隠せない獣なんてただの愚か者だ。 能ある鷹ほど上手に爪は隠すものである。
通常なら王自ら動くなどとんでもないことだが、水や炎の国では王自身が国一番の猛者で、先陣を切って兵を鼓舞するなども珍しい事ではない。
縁もゆかりもない小国の子どもだったとしても、危険な目に遭うのがわかっていて放置は確かに寝覚めが悪い。
──錆兎、君に相談したいことがある… それはとある日の午後のことだった。 水の国の王である錆兎を訪ねて来た炎の国の王の杏寿郎は開口一番そう言った。
――俺の領地で無体を働くとは、覚悟あってのことだろうな? 全てを運命に任せる事にして身を固くしたまま不快感に耐え続け、一体どのくらいの時が過ぎたのだろうか… どんよりと全てが薄暗い中、それは強い光のような眩しさを持って目に耳に飛び込んできた。
こうして13歳の春…なんとか回避できないかと思いつつもどうすることも出来ないまま、約束通り嵐の国へと送られる事が決まり、それまで見た事も触れた事もないような上等の絹の長衣を着せられて、まるでおとぎ話に出てくるような繊細で美しいレースのヴェールをかぶせられ、初めて馬車に乗って王宮の...
それはちょうど4つの国の境界線のあたりだった。 国から付き添ってきた従者達はとっくに逃げ出してしまった馬車の中、義勇はなるべく身を低くして、息を殺してあたりの気配を探っていた。
1_プロローグ
──もちろん断ったよね?! と詰め寄ってきたのは義勇ではなく百舞子の方だ。 もちろん、百舞子がそういう意味で錆兎に気があるわけではない。 ただ推しを任せるのに選んだ相手に勝手にその役を降りられても困るだけである。 ということで、そこに当事者の恥じらいや戸惑いが無い分、非常に前のめ...
──義勇君、キャンディどう? 一方で待たされ組の3人が陣取る教室の片隅。 しょぼんと肩を落とす義勇に当然のごとく気づいた百舞子が差し出す、普段なら義勇が大好きなお菓子にも、義勇は悲し気に首を横に振ってため息を零す。
本当は突然クラスLineのため交換したLineに個人的に学校外で会いたいと連絡が来たのだが、学校外は無理と断った。 異性と二人きりと言うのは色々怖いし、何かあった時の場合に…と、指定した図書室の片隅。
こうして錆兎と義勇の…というか、それにしがみつく百舞子と引きずられる村田の4人の進路はほぼ決定した。
錆兎と義勇が通っている産屋敷学園は産屋敷大学の付属校である。 とはいっても全員が希望の学部に上がれるわけではない。 学部によって取ってくれる人数は決まっている。
──善行も悪行も天はみているのだと思うぞ 結局その日はさすがに焼肉は中止になったと言うか…不死川を逮捕した警察から事情を聞きたいと同行を求められたので、警察で事情を話したあとにそのまま解散となった。 そして後日…改めて錆兎と義勇の住むマンションで焼肉会を開いている。 鉄板の半分の...
杏寿郎はすでに義勇をガードする体制に入っているし、村田は心得たように脳筋コンビの荷物を預かっている。 しかし彼らの予測とは違って、標的はなんと宇髄だったらしい。
宇髄自身、これで実弥に関してはきっちり心の整理が出来た気がした。 それもこれも、自身がおそらく多大なストレスを感じるであろうと予想していて、それでも宇髄に対する誠意を示そうと、先に膨大な糖分を摂ることでメンタルを保ってまでも話をしてくれた錆兎のおかげである。
「でもよ、どうせなら一点だけ聞きてえ。 どうせ遠ざけるつもりなら、なんで口止めしたんだよ。 あの時、暴露してりゃあもっとさっさといなくなっただろ?」 そう尋ねたことに対する錆兎の答えは驚くべきものだった。
「えっと…真菰ちゃんに殴られたら丈夫な炭治郎でも痛そうだし、俺、炭治郎を止めてくる?」 止まらなきゃ殴れば良いという真菰の持論はいつものことで…炭治郎も錆兎もそちら側なのだが、ここで新顔の宇髄までそのノリで行きそうな気配を感じて少し焦ってストップをかけるべく善逸は言う。
「そう言えば…錆兎はどうしたんです? 新人ならたぶん一番に顔合わせしておいた方が良くないです?」 真菰が一通りの人間について言及、あるいは紹介を終えると、炭治郎は不思議そうに辺りを見回した。
──さて、と、あっちは良さそうだね。じゃあ天元君の方ねっ 勢いよく走りまわって部下に指示を与えていく不死川の様子を少し確認してそう言うと、真菰は今度はそのまま床で胡坐をかいている宇髄を見下ろしてニコッと笑う。
──ま、真菰さん、良かったぁ… 思わず漏れる安堵の言葉に真菰は ──戻るの遅れてごめんね。 と苦笑交じりに謝罪する。 そして ──二人とも罰として5分そのままっ! とピシッと言い放つと、 ──とりあえず説明ね。 と蜜璃の方に向き直った。
当事者の不死川と宇髄、そしてすぐそばに居て関わらざるを得ない雰囲気の蜜璃。 それだけではなく、フリーダムのボスとジャスティスの争いと、関われば心身ともにダメージを負いそうなその構図を遠巻きに見ていた他の面々も皆、思いがけない人物が参加してきたことに目を丸くした。
──身内殺し野郎が暢気に女と歓談かァ? 後ろから降ってくる声に、蜜璃はヒィッと小さく悲鳴を上げる。 声の主は振り向かないでもわかる。 不死川実弥…本部のフリーダムのボス、本部長である。
いきなり料理の皿と共に現れた見知らぬ少年。 鬼殺隊生活もそろそろ3年になる蜜璃が見覚えがない顔となると、おそらく極東支部から来たのだろう。
蔦子とどこかへ行ってしまった真菰を見送って、蜜璃は少し気まずい思いで一人でグラスを傾けている。 いつも一緒に居てくれるしのぶはブレインの本部長が実姉な関係でブレインの部員たちと親しいこともあって、今回主催で色々忙しい部員たちを手伝っているようだ。
錆兎と義勇がそんな風に交流を深めていた初日…もちろん他のジャスティスや職員もそれぞれに過ごしていた。
ともあれ、その時はこうして二人で錆兎の部屋へ。 一応男女の部屋は東西にそれぞれ固まっているものの、所詮全員で12名しかいない なのでジャスティスの居住区はそう広くもない。 5分も歩かないうちに錆兎の部屋の前につき、錆兎はポケットから鍵を取り出した。
錆兎が帰ってしまわないうちにっ! いったんは着替えを置いてある寝室に戻った義勇は大急ぎで礼服を脱いで部屋義に着替えた。
本当に幸せな気持ちで握った自室のドアノブ。 そこでそれを回した時に当たり前にドアが開くのを普通なら警戒する。 …少なくとも義勇の極東ジャスティスの相方である天元なら即ジュエルを武器に変えるレベルで警戒するだろう。
さっき彼が行ってしまったと思った時は後悔した。 なので同じ轍は踏むまいと思う。 極東支部の人間ではないことは確かだし、そうすると彼は本部の人間の可能性が高い。 だとしたら名前と所属さえ知っていればまた会うこともできるはず。 そう思えばやることは一つだ!
彼が助けてくれたおかげで怪我をして痛い思いをせずに済んだのだから、それ以上を通りすがりの善意の第三者に求めるのは贅沢なのだろう。
痛い、痛い、痛い、痛いっ!!! 落ちる瞬間、脳内で繰り返す言葉。 ひっかかった金具は外れたものの、とんでもなくバランスを崩した状態で落下している。 落ちたら痛くないわけがない。 …というか、大怪我か…下手すれば死ぬ!! 恐怖を通り越してパニックになる義勇。 だが、数秒後、義勇は地...
……高い…… 会場に入ってすぐバルコニーにダッシュする義勇。 そして砂田の挨拶が終わらないうちに逃げ出そうと思ったのだが、会場は2階。 バルコニーから庭に出ようにも地面は遥か下にある。
最悪なことに二人が本部に移動になる際に同行して送ってくるのはブレイン極東支部長の砂田になった。
それは突然の指令だった。 両親共に極東支部のジャスティスで極東支部内で生まれ育ったため、義勇は物心ついてからずっと極東支部で暮らしていた。
やがてガチャっとドアがあき、中から私服に着替えた義勇が顔をのぞかせる。 決して露出は多くない。 ゆったりとした白いチュニックにぴったりとフィットしたパンツ。 なんだか中性的なその格好に何故か錆兎はため息をつきたくなった。
とりあえず極東支部の片割れとは接触できたしそれなりの関係も築けそうだ。 宇髄の方は明日にでも接触するか…と、錆兎はそんなことを思いながら、自室に戻ろうと歩き出したが、次の瞬間、いきなり携帯が振動する。