「錆兎っ!!逃げたっ!!逃げちゃったのっ!!捕まえてっ!!!」 いきなり部屋のドアが開いて焦った顔の真菰が飛び込んできた。 「「逃げたって、何がっ?!!」」 と、驚いた錆兎と炭治郎の声がはもる。
ノマカプのオリジナルとAPH(ヘタリア)のギルアサ、アンアサの二次創作BL小説のサイトです。
5年間ほどPixivで書き続けていた小説を移行しつつ、毎日1P分くらいの更新を続けています。 ゆえに…記事の数だけは多いです(*゜―゜)b 今現在1000記事以上っ!
悲報…心配をしながら慌てて帰還したら、プリンセスが黒幕の手下と談笑中だった。 いや、別に相手に洗脳されているとかではなさそうだったので良いのだが、とりあえず相手は女だから優しい言い方をしてやれと言われるともにょる。
それからは怒涛だった。 まず画像を見終わってすぐくらいにギルベルトが血相を変えて帰ってきた。
──えっと…カイザーは特にプリンセスについて触れてませんっ そう言っていきなり持参のタブレットで動画を流したのは、本当に存在感がなさ過ぎてそこに居ることも忘れそうな銀狼寮の寮生だった。
「…とりあえずお話を承ります。 こんな時間に訪ねて見えたのはどういうご用件ででしょうか?」
想像とは微妙に違う… アンは戸惑っていた。 てっきり周りの男どもにメソメソべたべたするしか能がないやからかと思っていたが、銀狼寮のプリンセスは凛とした佇まいで落ち着いていてどこか気品のある、寮長に継ぐ第二の銀狼寮の主だった。
うん?これは何が起こっているのだろう…と、目の前の光景の意外さにアーサーは小首をかしげる。
──え?な、なにっ?!! いきなり聞こえて来た悲鳴の声は高くて、しかし声変わり前の少年のそれとは明らかに違う。 つまり、この学園にいるたった一人の女性、新任の女性教師のものと思われる。
その夜、アーサーはモブ三銃士の一人のマイクと共にルートの部屋で過ごしていた。 いつもなら当然自室にいる時間だが、今日はギルベルトが金竜のプリンセスに助力を頼まれて金竜を混乱に陥れている金竜の寮長ロディの征伐に行っているので、一人は危ないとギルベルトからルートに預けられているのである。
たとえ逆ハーどころか攻略対象者全員に逃げられようと、このままでは終われないっ! 絶対に…絶対に一矢は報いるっ!!
ほとんどホラーだった。 綺麗で可愛く優し気なだけに、余計にこの状況での満面の笑みが恐ろしい。 怯えるアンを前にフェリシアーノはしばらくニコニコしていたが、 ──話すこと…ないみたいだね? と言うと、華奢な手で銀の呼び鈴をチリンチリンと鳴らした。 それで開いたドアから入ってきた人物...
「お待たせ。 ごめんね、ギルベルト兄ちゃんとの約束でアーサーは部外者に会わせられないから、お話はよければ俺が聞くよ?」 待たされたのはほんの5分ほどだったが、ギルベルトが金竜から戻ってくるまでという時間が区切られているアンにとっては非常に長く感じた時間。 しかもそれだけ待たされて...
アン・マクレガーは正直後悔していた。 教職員宿舎から銀狼寮までは遠い。 もちろん道は伸びているのだから迷子になることはないのだが、それでも暗い道を一人で移動するのはやや怖い。
悔しいがその時の金虎の寮長は実に凛々しくカッコよかった。 金色の虎の刺繍のマントをたなびかせ、剣を掲げて寮生達に号令を下している姿はギルベルトの目から見ても本当にカッコいい。
そんな風に一瞬ギルベルトが考え込んだのを勘違いしたのか、 「馬鹿が~! 俺が孤立したかとでも思ったかっ!! 操られるだけ操られた挙句にシャルルのガキに寝返った馬鹿どもと違って俺は組織に買われているからなっ! ピンチになればちゃんと援軍が来るんだよっ!!」 と急に元気になったロディ...
──申し訳ありませんっ!いかなる処罰も受け入れますっ!! それはなかなか壮観だった。
おそらくシャマシュークの他の寮長や高等部生達が見たら感動のあまり目を潤ませるであろうこの光景は、そのスピリットを根底から否定したロディには不快なものとしか映らなかった様である。 口の端を歪めて嫌な笑みを浮かべてシャルルを見た。
──おや、うちのを連れ帰ってくれたのか、軍曹。 慌てた寮生とは対照的に、少し経って出てきたロディは随分と落ち着いていて、にこやかに言う。
ユーシスがそんな風に暗躍している頃、ギルベルトは寮生達を率いて金竜寮へと向かっていた。 ギルベルトの次に戦力があるであろうバッシュとルートは銀竜の寮生全員と寮長のルークとプリンセスのフェリ、そして金狼の寮長の香とプリンセスとは名ばかりの怪力アルと共に自寮のプリンセスの護衛に残し、...
アンが自分の携帯を取り出すと、ユーシスは ──これ、借りていいかな?直接話したい。 と上から手を伸ばしてそれを取り上げた。
──こんな遅くにごめんなさい… 動揺している様子をより鮮明にするため、上着も着ずにエントランスまで出てきたアン。 さすがに肌寒いがそれもか弱さを強調するためだ。 自分で自分を両腕で抱きしめるようにすれば、紳士なユーシスはきっと ──大丈夫だよ。それより寒いだろう?これを着て? と...
『銀狼寮には手を出すな』といきなり言われた理由は、傭兵派遣や警備を担っている業界一の大企業ツヴィングリ社の社長であるバッシュ・ツヴィングリが銀狼寮の寮生として在籍していて、すでにアンがJSコーポレーションの意志で動いていることを察知されているから、ということである。
打倒、銀狼寮プリンセス!! …を当面の目標にすることを決意したアン。 明日からは本格的に落とすターゲットをギルベルトに絞って、彼と一緒にあの女…もとい、あの女に似た銀狼寮のプリンセスを追い詰めて行こう。 なんならすべてが寮対抗のこの学園でライバルにあたる他の寮のプリンセスをやっぱ...
…ふふ~ん、明日こそは彼の笑顔は私のもの~♪ シャマシューク学園の教職員宿舎の一室で、アン・マクレガーは鼻歌を歌いながらドレッサーを前に髪を梳かしている。
ギルベルトが寮内の大広間についた時には、すでに寮生達は皆、前回の寮対抗戦略大会…通称プリンセス戦争時に着用していた銀狼寮のトレーニングウェアを着用の上、モブ三銃士の一人のマイクの指示で運び込まれたソレ用の防具を身に着けた状態でカイザーを待っていた。
「おぉっ?!すげえっ!!」 立派な刺繍のマントを手に驚くギルベルトにアーサーはフフッと嬉しそうに笑う。 「誰かがプリンセス戦争で金虎のカイザーが金の虎の刺繍のマント着てたって言ってたから…うちも着たらカッコいいかなと思って、こっそり刺繍してたんだ」 と言うプリンセスは最高に可愛い...
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「錆兎っ!!逃げたっ!!逃げちゃったのっ!!捕まえてっ!!!」 いきなり部屋のドアが開いて焦った顔の真菰が飛び込んできた。 「「逃げたって、何がっ?!!」」 と、驚いた錆兎と炭治郎の声がはもる。
熱がなかなか引かず、早1週間。 体調が回復するまではなるべく側についているつもりだったのだが、錆兎も一国の王なので、さすがにそれにも限界が来る。 朝食を一緒に取って薬を飲ませてウトウトと眠ったところでソッとその側を離れて執務室へと急いだ。
錆兎の大切な被保護者が目を覚ましたのは、翌日の明け方だった。 発見したのが前日の午後で錆兎はそれから傍らに付き添って、日が落ちてまた登るのを横目に濡れタオルをかえてやりながら、汗を拭いてやっている。 王と言っても割合と自分で動きたい性質の錆兎だが、あいにくというか幸いと言うか、周...
冷え切った体…青い顔…… ベッドに寝かせてやった方が体勢的には楽なのかもしれないが、冷え切っているので体温を少しでも分け与えてやりたい。 結果、ベッドで半身起こす形で抱きしめる。
幻の国に使いを送ったところで、もう打てる手は打ったことになる。 今までの経験上、返答が来るまで1週間から10日ほど。 協力を依頼したからには、それまでは動くわけにはいかない。
元々嵐の国がかなり攻撃的な国であること、使者の件、炭治郎の件で杏寿郎はかなり戦う方に傾いてきている。
「おかえり! 余裕で間に合ったようだな。 まあ君のことだから心配はしていなかったが…」
やがてドアがノックされ、どうやらリビングの方からメイドらしき声に昼食の用意が出来た事を告げられるが、とてもではないが寒くてベッドから出る事が出来ない。 なのであとで食べるので置いておいて欲しいとベッドの中から告げると、あとで食器を取りにくる旨を告げて下がって行く。 その気配を感じ...
真菰さんに言わせると、錆兎さんは【昭和の親父】みたいなところのある人なのだという。 真菰さんと共に大叔父さんに引き取られて現代っ子も少なくはないお弟子さん達と接するうちにアップグレードされて今では表にだすことはないらしいが、幼い頃はよく『男なら、』とか『男として生まれたなら、』み...
もしかして義勇には好きな奴が出来たのかもしれない。 俺がそう気づいたのは、例のキス事件の少しあとだった。
──えっ?!!バレてたっ?!!! 俺が錆兎さんにキスをしたのが錆兎さんにバレてしまっていた。 それを真菰さんから聞いた時、俺は人生が終わったかと思うくらい衝撃を受けた。
午前中は特に重要な案件もないので、一応村田に隣の自宅に居ることを伝えた上で、リビングで真菰に話を聞いてもらった。
思春期になって距離が出来てしまったように思っていた息子との距離がまた近くなってきた。 義勇が俺の部屋を訪ねて来た時、そう喜んでいた俺は翌朝、何もなかったように義勇を中学に送り出すと、深い悩みを抱えつつ不本意ながら真菰を呼ぶことにした。
──錆兎さん、今日一緒に寝ていい? とある夜のことである。
それを実行するかどうか、俺はぎりぎりまで迷っていた。 いけないことだって自覚はすごくある。
その話をしたのはいつだったのかな…。 1月2日だったのは確かだった。
錆兎さんの事で本人に言えない事は真菰さんへ…そういう認識だったからついつい真菰さんがいいって言っちゃったけど、落ち着いて考えてみたら異性の真菰さんに話すことじゃないのかもしれない…
中学1年生くらいでああいう漫画とかを見たら、女の人の裸とかで頭がいっぱいになるものなんだろうけど、その日に俺の頭をいっぱいに占めていたのは、登場人物の身体じゃなくて、表情だった。
小学生時代…学校側とも町会とも仲良しだった錆兎さんの数々の個性的な提案で、俺達の小学校は随分と変わったらしい。
不死川君と言い争っていた大垣君はいわゆるいじめっ子らしい。 1年生の時に不死川君が俺にそうだったみたいに、クラスメート全体に対して乱暴で、なかでも3年生から同じクラスになった秋山君に特に意地悪をしているそうだ。
そうして解いているうちにいつのまにか昼休みに。 「お前さ…一体何解いてるの? これ何?俺ちんぷんかんぷんなんだけど…」 頭上から村田の呆れた声が降ってくる。
「この問題は…、冨岡、解いてみろ」 科学の時間、教師に言われて立ち上がった義勇は白墨を手に硬直する。 さすが進学校。 問題が難しすぎて全くわからない。
――毒物が混入されていたのは、被害者の紙コップ…物理的に毒が混入できた可能性があるのは、ジュースと氷と紙コップか…。 緑茶のマグを片手に分厚い資料に目を通しつつ、そうつぶやく錆兎とそれに見惚れる義勇。 ああ、カッコいいな。 まるでドラマに出てくるイケメン刑事みたいだ…などと思いな...
──お前は脳内変換が激しすぎだ… なんだか止まらなくなって泣いて泣いて泣いて…泣き疲れるまでずっと胸を貸してくれて、あまつさえなだめるように背をさすっていてくれた錆兎に泣いていた理由を聞かれて正直に答えると、再度のため息と共に降ってきたのはそんな言葉だった。
「…あ……さびと…なんで……」 結局納得しようとしまいとさして役にたちそうな能力などないので拒否権などあるはずもなく、指令の通りに私立月陽学園に転入した義勇。
「やっと学校に慣れたところなんだ…転校は…勘弁してもらえないだろうか…」 立派な執務室に呼び出されて、思い切り困ったような…悲しそうな…そんな顔をする男子高校生……。
第1章_プロローグ
そうして駆け付けてみれば失血死しかけている天元と号泣している善逸。
そんなある意味少し不穏で和やかな日常は本当に絶妙なバランスで成り立っている。 それはある日のことだった。 当たり前に出動を命じられて、錆兎がいつものように車の助手席のドアを開けて義勇を乗せた後、自分が運転席に座る。
今日も元気に任務待ちである。 ただしいつもと違うのは義勇の服。
──君が噂の義勇ちゃんね。俺は村田。医療本部長なんだ。よろしくね。 実ににこやかで友好的。 そして警戒心を起こさせない彼は威厳が足りないと言われ続けているのだが医療部としては最適なんじゃないだろうか…と錆兎は思う。
「疲れたな…」 錆兎は部屋へ戻ろうとしたが、あまりの眠気に誘われる様に人気のない談話室に吸い込まれる様に入ると、そのまま窓際の椅子に腰をかけた。
──…宇随さん…もう痛くない? 夜…任務の帰りに泣き寝入った善逸が起きて来ての第一声がそれだ。 臆病でヘタレなくせに、自分より遥かに色々強い宇髄のことを気にかけるとか、馬鹿か?こいつは…と思いながらも、それがなんだか心地いい。
ああ、良い人生だった…と清々しく閉じるはずだった宇髄の人生の幕は、強引に開けられるどころか引きちぎられたらしい。
いいもん…というのは本当だと宇髄は思っている。 普通は滅多にみられないジャスティスの第三段階。 宇髄のそれはしかし、今まで何度か問題なく使っていた。
3つ目のイレギュラーで死を覚悟しつつ色々と最期の計画を建て始めた宇髄。 とりあえずしのぶに指示したほうのイヴィルは弱い方の個体だったので偶然ではあるが我ながらいい判断だったと安堵した。
善逸がパニックを起こしていた頃、宇髄はというと非常に淡々と状況分析をしていた。 (…これ、結構まずくね?) と気づいたのは詠唱を終えてジュエルを第二段階に変形させて前方に向かって駆け出した時だった。
全ての巡り合わせが悪かったと言って良いと思う。
「敵は前方300から半径約15mの範囲に雑魚豹35、イヴィル1。 俺の範囲攻撃着弾でゴーで。 善逸としのぶは左側のイヴィルに向かえ。 左側のイヴィルが片付いたら次は右。 それが終わったら全員で残った雑魚の後片付けだ」 「ん~、でもそれだと全部敵が宇髄さんのほうくるんじゃ?」 「俺...
──嘘~~!!! と叫んだのは善逸だけではない。 それまで気丈に頑張る宣言をしていたしのぶもであった。 ──こ、これ、どうしましょう?? ──逃げるに決まってるじゃんっ!! 慌てる二人。 そこに唯一冷静な宇髄が言う。 「これ…潰しとかないと基地に向かう奴じゃね? 最悪あっちの移動...