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昔話・絵本いろいろ。語るのを目的としたものでしたが・・・。それにしても奥が深い。(2012.9から)

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2015/11/21

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  • できるよ できるよ

    できるよできるよ/ブリッタ・テッケントラップ:作絵/木坂涼・訳/ひさかたチャイルド/2024年冒険心と好奇心をもった小さなハリネズミが、「できるよできるよ」と、いろんなものにチャレンジ。落ち葉集めも、木のぼりも、とぶのも、いしとびも、はやくはしるのも、かたあしでたてるし、うたもうたえる。それを聞いて、大きなハリネズミが、「じまんもできるだよね」と、突っ込むと、小さなハリネズミは、ちょっぴりはずかしくなりました。湖でハリネズミがおよいでいると、カエルは、小さなハリネズミよりたかくとび、さかなはふかくもぐります。小さなハリネズミはビーバーみたいに木をかじってはこぶこともできません。「みーんなとくいなこともっているんだね」と、気づいた小さなハリネズミは、ゆったり夜空をながめました。落ち着いた、秋を感じさせる色合...できるよできるよ

  • 大人のためのおはなし会・・語りの会ずくぼんじょ 2016.11~

    ふじみの市「語りの会ずくぽんじょ」さんのおはなし会。「ずくぼんじょ」は、佐賀県の方言で「つくし」とHPにありました。2024.11.231親捨山(日本昔話百選稲田浩二・稲田和子・編著/三省堂)2鐘つき鳥(読んであげたいおはなし(下)松谷みよこの民話/筑摩書房3おしりをつねられたえびすさま(昔ばなし再話集/ひょうご昔ばなし大学再話編集委員会)4こんにゃく問答(かたれやまんば藤田浩子の語り第二集藤田浩子の語りを聞く会)5つるのあねさ(同名絵本大川悦生石倉欣二・絵/ポプラ社)6北斗七星(おはなしのろうそく25/東京子ども図書館)7魔法の夜(絵本アルブレヒト・リスラー・絵ドミニク・マルシャン・原作/講談社)8かわいそうなぞう(絵本つちやゆきお・文たけべもといちろう・絵/金の星社)9100万回生きたねこ(絵本佐野洋...大人のためのおはなし会・・語りの会ずくぼんじょ2016.11~

  • シラミの皮のスリッパ・・ロシア

    ねえねえ、きょうのおはなしは・・/大塚勇三:再話・訳/福音館書店/2024年王さまにひとりナスターシャというお姫さまがいました。ある日のこと、おつきの人がお姫さまの髪の毛をとかしていると、シラミが見つかりました。そのシラミをめヒツジのせなかにのせると、しらみはめヒツジのおおきさに、おヒツジのせなかにのせると、これはこれは、おヒツジぐらいの大きさになりました。王さまは、シラミの皮をなめさせ、その革で名スターシャのスリッパを作らせました。それからあらゆる国々につかいを出して、スリッパがなんの皮でできているか、それをあてたものに娘をよめにやろうと知らせました。だれもシラミの皮とこたえられませんでしたが、いいあてた者がいました。悪魔です。約束をやぶるわけにもいかないので、結婚の日取りをきめましたが、王さまは、娘を...シラミの皮のスリッパ・・ロシア

  • ギアナ・夜間飛行

    ギアナ・夜間飛行/あべ弘士/のら書店/2024年でだしは、赤道直下・ギアナ高地にあるR山のいいつたえ。「朝、雨つぶがあつまり、谷川をつくり、大きな川になり、竜になり、天空の山へとのぼる。そして、満天の星のもと、光る子たちが小走りにあらわれ、光る石のまわりでおどり、あそぶ。竜はよろこび、雲をよび、雨を、あらしをよび、そしてまた、ジャングルにおりていく。こうして一日があわる。」光る子どもはほんとうにいるのか?竜とはなにものなのか?敵か?味方か?兄と妹のヒコーキきょうだいが、ギアナ高地へむかいます。大自然の壮観な風景が、ダイナミックに展開していきます。巨大な滝、眼下に広がるうねった大河は、まるで竜の形。浸食されてできあがったへんな岩、地面いっぱいの水晶、稲妻を抜けると満天の星。A4判ですが、もっと大きな絵本だっ...ギアナ・夜間飛行

  • おばりてえなあ・・長野

    長野のむかし話/長野県国語教育学会編/日本標準/1976年村の衆が町へいって神明の大門とこへくると、暗闇の中から、「おばりてえなあ」て、気味が悪い声がして、みんなおっかながって、逃げかえった。ある日、喜作おっしゃんが、神明の大門とこへくると、やっぱり、「おばりてえなあ」て、気味が悪い声がした。喜作おっしゃんは、元気なもんだから「おばりたけりゃおばれ」というと、なんだかへんなものがおぶさったから、そのままおぶって歩いてきた。そしたら、家のほうに近づくにつれて重くなった。我慢して、うんとこ家までおぶってきて、家に着いたら、「ほれ、おりろ」と、せなかからどさんとおろすと、ガチャガチャとなって、小判がおちていた。隣の欲の深いおっしゃんが、この話きいて、神明の大門にくると、やはりと「おばりてえなあ」という声。よろこ...おばりてえなあ・・長野

  • 青いハト

    ねえねえ、きょうのおはなしは・・/大塚勇三:再話・訳/福音館書店/2024年大塚氏が朝鮮半島の話として紹介しています。分断されていますが、もともと同一民族。こんご一つになることはあるのでしょうか。村のだれよりも貧乏なお百姓が、いく道で、猟をしながら町へ行こうと、弓と十本の矢を作って町をめざしました。野ウサギなどをとったりしてすすんでいくと、いつの間にか六日たちました。矢は二本しか残っていませんでした。お百姓は、町までの道はまだ遠いというのに、矢が二本しかなくて、どうなるか心配になりました。木の下でひとやすみしながら、考えていると、ハトのなきさけぶ声がしました。上を見上げると、一羽の青いハトが、巣のまわりをバタバタと、とびまわっていました。一ぴきの大きな蛇が、木の幹をはいあがって、巣の中の小バトをのみこもう...青いハト

  • 竜とそのおばあさん

    グリムのむかしばなしⅡ/ワンダ・ガアグ・編絵松岡享子・訳/のら書店/2017年戦争がはじまりましたが、王さまが、少ない給料しか払ってくれないので、三人の若い兵士が軍隊から逃げ出しました。当初の目論見では軍隊がすぐ移動するのを見越していましたが、軍隊がいつまでたっても移動しないので、逃げ出すチャンスがきません飢えと渇きに苦しんでいたとき、竜が空からまいおり、ライ麦畑にかくれていた兵隊にわけをききました。兵士はこたえました。「王さまときたら、おれたちを戦に駆り立てるだけ駆り立てておいて、給料をほんのぽっちりしかくれないんでね。だけどいまは、ここで飢え死にしかけています。食べ物をとりにいこうとしたら、まちがいなくつかまって、この世とおさらばってことになるんでね。」この竜なんと親切で、ヒュッとひとうちすれば、空か...竜とそのおばあさん

  • くびが にゅーっと のびました

    くびがにゅーっとのびました/きくちちき/理論社/2024年かめがなかよしのぞうに歌を聞かせました。なかなか歌わなかったかめが、歌い終わるとどうだった?ときくと、かめのくびがにゅーっとのび、ぞうのはなもにゅーっとのびました。うしにいとさいねえがなにかをはじめようとしています。しばらくいくとらいおんじいときりんばがこわいかおをしていました。ともだちのかえるとがちょうがまっていました。ずるはだめだよといいながらせの高さくらべ。かえるははねて・・・・・・うれしくなるとかめのくびがにゅーっぞうのはながにゅーっ手書き文字、黒と黄色を中心にした最小限の色。どこから読んでも違和感がありません。動物たちの何気ない日常がゆったり続いていきます。絵本にしては長い。ページ数を数えようとしたら、ちゃんとページを数えている方がいて、...くびがにゅーっとのびました

  • ようきな大工・・リトアニア

    ねえねえ、きょうのおはなしは・・/大塚勇三:再話・訳/福音館書店/2024年大工道具をせなかに、手にはバイオリンをもった大工が、カミナリとオニと、一緒に一軒の小屋をたてました。(こうした組み合わせは昔話ならでは!)。小屋のそばに畑をつくり、ダイコンの種をまきました。ところが困ったことに、一人の魔女がやたらとダイコン畑をあらしにやってくるのです。かわりばんこに見張りすることにし、はじめにオニが見張りをつづけました。夜更けに魔女が鉄のそりでのりこんできました。魔女が、「ガラガラゴロゴロー!ほをかけたてつぞりでてつぼうさまがおでましだ!」と言いながら、鉄の棒でやたらめたらとオニを殴りつけたので、オニはキイキイひめいをあげ一目散に逃げかえりました。次の晩は、カミナリが見張りにいきましたが、これもやっぱりオニとおん...ようきな大工・・リトアニア

  • あずきがゆばあさんと とら

    /あずきがゆばあさんととら/パク・ユンギュ・文ペク・ヒナ・絵かみやにじ・訳/偕成社/2022年韓国の小学校二年生の国語の教科書にのっているという昔話。特徴的なのはでてくるばあさん、とらなどが人形で、立体感があって、あらためて絵本の奥深さを知ることになりました。ばあさんのにるあずきがゆはとってもおいしい。それであずきがゆばあさんとよばれていた。あるあたたかな春の日、山の小豆の畑で草取りをしていると、とてつもなく大きなトラがのそりのそり。ばあさんを食べようとするが、「雪の降る日おまえもたべものがないとき、おいしいあずきがゆをたべたらわたしをがぶっとくったらいい!」と、なんとかその場を切り抜けた。冬至の日、ばあさんは、あずきがゆをにながら煙突の前で、おいおい泣きはじめた。台所に戻ってもまだ泣いていた。そこへ「ぴ...あずきがゆばあさんととら

  • いらっしゃい

    いらっしゃい/せなけいこ/童心社/2019年こどものお店屋さん。”いらっしゃい”の掛け声とともに、商品がならび、”まいどあり”と威勢のいい声が聞こえてくるかのようです。八百屋、魚屋さんはハチマキ、洋服屋、おかしやさんがおでむかへ。お店屋さんになるのもいいし、野菜や魚などのあてっこも楽しそう。いつも利用している図書館、ちょとでかけたときのぞいた図書館のどちらにも、せなけいこさんと、なかがわりえこさんの企画展示がありました。ご冥福をお祈りいたします。いらっしゃい

  • 大きな赤いネコ・・スコットランド

    明かりが消えたそのあとで20の怖いお話/マーガレット・リード・マクドナルド著佐藤涼子・訳/編書房/2004年ハローウィーンの夜、行い正しい人々は我が家にとどまるか、教会に祈りに出かけた。だがムラド・マックターガタという漁師は、一年中漁に出かけた。その夜、暗く空は荒れ、稲妻がひらめき雷がとどろいた。けれどマックターガドは網の手入れに余念がなかった。ふいに戸口から緑の目の大きな赤いネコがはいってきた。ネコはにやりと笑い、鋭く白い歯をむきだし、シャーッとうなった。そして、大きな赤いネコは座ってムラドをじっとみた。するとこんどは、赤い目が燃えている大きな黒いネコがはいってきた。ネコはにやりと笑い、鋭く白い歯をむきだし、シャーッとうなった。そして、大きな黒いネコは座ってムラドをじっとみた。ふたたび大きな黒いネコ。四...大きな赤いネコ・・スコットランド

  • ペンギンのこまりごと

    ペンギンのこまりごと/ジョリ・ジョン・作レイン・スミス・絵岡野佳・訳/化学同人/2021年くちばしはつめたいしまわりはきうるさいしゆきなんかだいっきらいなのにまたよるにつもっているしうみはしおからいしたべるつもりがたべられそうになっちゃうしかおはそっくりだしママパパからどこの子だい?っていわれるしなのに、だれもわかってくれない!愚痴りまくるペンギンの声がきこえたか、セイウチがお節介?なにもかもいやだとおもってなやむときこそけっきょくいまのじぶん、いまのばしょがいちばんいいときがつくもんじゃそうかセイウチのいうこともまちがっていないそらも、うみも、ともだち、かぞくここがぼくのうち、ぼくはここにいたい。ペンギンにもいいことがあるかもしれないでもやっぱり、くちばしはつめたいし、くらくなるのははやいし・・・。どち...ペンギンのこまりごと

  • いたずらのすきな けんちくか

    いたずらのすきなけんちくか/原作・安藤忠雄はたこうしろう・絵/小学館/2020年建築家安藤忠雄氏が設計し、大阪市に寄贈した2020年7月オープンの大阪「こども本の森中之島」が舞台。小学生の兄と妹が、安藤さんらしき人に案内され、こども本の森を探検していきます。高ーい高ーい本棚にびっくりし、ふしぎな部屋にゆかいなきもちになったり。おじさんが?建築家の仕事を説明し、「たてものにいたずらをしこむ」というのにとまどったり。こんなふたりに、上海保利大劇院(オペラホール)、半山半島美術館+劇場」(計画案)、ベネッセハウス(ホテル・美術館)、光の教会ほかの建築を紹介していきます。雨の日に、傘をさしてあるく家をつくったこともあるという。「便利じゃないもの。いっけんむだにおもえるもの。すぐにはこたえがわからないもの。そういう...いたずらのすきなけんちくか

  • あんころもちこぞう・・長野

    長野のむかし話/長野県国語教育学会編/日本標準/1976年むかし永平寺山のふもとにおかしなこぞうがおったと。ねんががらねんじゅう、まっぱだかで、ふんどしいっちょうだけ。しごとはちっともせずにぶらぶらしとった。あんころもちがすきで、はらがへりゃ、「おっかああんころもち」とせがんでいたと。おっかあも、かわいい子どものことだから、毎日作ってくれたと。そのおっかも、年とって死んでしまったが、それでもこぞうは、「あんころもちくいてえな、あんころもちくいてえなあ。」と、村の中を歩いていたと。おっかあが死んでかわいそうにおもった村の衆は、はじめは、それくえ、それくえやと、くれとったが、そんなにやれんと、しぜんにやめてしまったと。それでも、「あんころもちくいてえな、あんころもちくいてえなあ。」とまわりあるいて、永平寺山の...あんころもちこぞう・・長野

  • 三人兄弟・・グリム

    グリムのむかしばなしⅡ/ワンダ・ガアグ・編絵松岡享子・訳/のら書店/2017年「英訳のグリムを何冊も読むうちに、その文章が堅苦しく、想像力に欠けると感じ、自分でもっと読みやすい、生き生きした文章に翻訳・再話しよう」と決心した作者の再話」・・松岡さんのあとがき。ある男が、三人のむすこに、「世の中へ出て行って、めいめいひとつ、心にかなう職をえらんで、その技をしっかり身につける。一年たったら、ここでおちあって、いちばんうまく技を身につけたものが、この家をつぐ。そうやってきめていいかね?」むすこたちにもんくはありません。いちばん年上のむすこは、鍛冶屋、二番目のむすこは、床屋、三番目のむすこは、りっぱな剣のつかい手になるため、でかけました。一年後、すばらしい技を証明するいい手だてがみつかりません。そこへ野原の向こう...三人兄弟・・グリム

  • おばあちゃんの白い鳥~ガザのものがたり~

    おばあちゃんの白い鳥~ガザのものがたり~/マラク・マタール・作さくまゆみこ・訳/講談社/2024年イスラエル軍の攻撃で、子どもたちが、未来を閉ざされているニュースを目にしたり、聞いたりしていると、なんとしてもこの戦争がおわってほしいと思う日々。この絵本は、パレスチナ・ガザ地区で生まれ育ち、2014年のイスラエル軍によるガザ攻撃で、約50日間も家に閉じこもることを余儀なくされたマルク・マタールが、自分をモデルに描いた絵本。そのときに描いた作品はSNSを通じて世界に発信され、外国からも招待状がとどいたというのですが・・・。マラクは、パレスチナのガザにすむ女の子です。毎週金曜日には、マラクたち家族はおばあちゃんの家を訪ね、世界一おいしいマクルーバ(炊き込みごはん)をごちそうになりながら、楽しい時間を過ごしていま...おばあちゃんの白い鳥~ガザのものがたり~

  • メロンパンナとひみつのはなぞの

    メロンパンナとひみつのはなぞの/やなせたか/しフレーベル館/2020年(12画面)お姉ちゃんのロールパンナのために、白いお花を育てていたメロンパンナちゃんとチーズ。そこへばいきんまんがあらわれて、花をかたっぱしからぬきはじめました。ばいきんまんは、やめてというメロンパンナを透明なカプセルにとじこめました。カプセルはどんどんころがって川へながれていきました。チーズが助けをよぶと、アンパンマンがとんできました。アンパンマンがとびかかろうとすると、インクがぴゅーっ。かおがよごれて力が出ません、カプセルがながれていく先には滝があります。このままでは・・・。するとおさるさんたちがやってきて滝の上に橋をかけて、カプセルをうけとめてくれました。子どもたちが大好きというアンパンマン。アンパンマンは、新しいパンで力がでてく...メロンパンナとひみつのはなぞの

  • ガチョウ番のむすめ・・グリム

    グリムの「ガチョウ番のむすめ」は、ある国の王女が、おつきの女性とふたりで、遠い国へ嫁ぎにいきます。が、途中でおつきの女性が、王女になりすましたので、王子から花嫁として迎えられ、一方、王女はガチョウ番として雇われます。王女は、真実を告げることができませんでしたが、やがて、国王の機転で、真実が明かになり、無事王子と結ばれるというややながめの話。ところで、あるお話会で、お輿入れの王女と同行する女性を”腰元”として話されていました。腰元というのはいかにも日本的。調べてみると、侍女や女官と訳されているものがあり、このほうが一般的ですが、語りやすさ、わかりやすさを考慮しで”腰元”と訳されたのでしょうか。グリムの場合は多くの翻訳本があり、文章も比較しやすいで、一つのテキストにこだわらなくてもよさそうです。タイトルも、「...ガチョウ番のむすめ・・グリム

  • スヌークスさん一家

    スヌークスさん一家(ウイリアムズ・作松岡享子・訳/おはなしのろうそく2/東京子ども図書館/1973年)おやおやろうそくを吹き消すのも一苦労のスヌークさん一家の話。スヌークさんの奥さんが、たまたま先にベッドに入ったので、ろうそくを消してくれるようスヌークさんにいいました。ところが困ったことに、スヌークさんは、下くちびるを上くちびるにかぶせなければ息がふけないでした。「ふッ・・ふッ!」なんどもやってみますが、どうしてもだめです。それを見て、奥さんがろうそくを受け取り、ろうそくを吹き消しにかかりました。ところが困ったことに、奥さんは、上くちびるを、下くちびるにかぶせなければ息がふけないでした。ですから奥さんの息は、全部床のほうにいって、ろうそくは消えませんでした。そこで奥さんは息子のジョンをよんで、ろうそくをけ...スヌークスさん一家

  • ふしぎなお客・・イギリス

    イギリスとアイルランドの昔話石井桃子・編訳福音館文庫2002年ある夜、女が一人すわって糸つむぎ。つむいでたつむいでた。客がほしいとつむいでた。そこへ大きな足がふたつ。そこへほそぅいすね二本やってきて足にのっかた。そこへ、ふとぅい膝ふたつやってきてすねにのっかった。それから腿胴肩腕手首おっきい頭。ばらばらの体が家に入ってきて、女が、「なぜおまえはここにきたんだね?」とたずねると「おまえをとって食いに!」スリラー風につぎからつぎへと体の部分!がやってきて?聞いている人の興味をかきたてます。昔話では繰り返しが特徴ですが、さすがに同じパターンが十回も続くのは?。石井訳をさらにながめにしたのが、「夜中にやってきたお客」(明かりが消えたそのあとで20の怖いお話マーガレット・リード・マクドナルド著佐藤涼子・訳)。「夜中...ふしぎなお客・・イギリス

  • 雨の夜のお客・・イラン

    世界名作おはなし玉手箱/齋藤チヨ/すずき出版/2000年雨の夜、ひとりぐらしのおばあさんのところへやってきたのはスズメ。おばあさんは、ぬれた羽に小さなタオルをそっとかけてやりました。だれかが戸を叩いて、おばあさんが戸口に出てみると、よたよたメンドリ。それから、カラス、ネコ、犬、雄牛がつぎつぎにやってきました。次の朝、おばあさんがゆっくり寝てめをさますと、どうでしょう、動物たちはみんなで、忙しく働いていました。スズメとカラスは、サモワールに火をつけて、お湯を沸かしています。犬は裏庭を掃いています。牛はぬれてでこぼこになった屋根をローラーで平らにならし、メンドリは牛の手伝いをしています。おばあさんは小さな家の中で、みんなが忙しく働いているのを見てうれしくなりました。そしてベールをかぶって、みんなのパンを買いに...雨の夜のお客・・イラン

  • 商工祭

    昨日は地元の商工祭り。地元の店の屋台があり、子ども向けのイベントも。子どもは、木材を切って、テーブルをつくっていましたが、のこぎりをつかう機会もほとんどないようで、悪戦苦闘していました。滑り台は風船式。これは持ち運びには便利そうでした。屋外舞台での催も。住宅地で子どもの姿はほとんどみられませんが、こんなイベントがあると、おおぜいの子どがいて、一安心!商工祭

  • おかお あらうの みーせて

    おかおあらうのみーせてもりと/いずみ・作きくちちき・絵/講談社/2024年かえるさん、あらいぐまさん、ねずみさん、ぞうさんに、「おかおあらうのみーせて」というと、みんなぱっしゃー。女の子もぱしゃーできたー!幼児のころ、洗顔するというのは、習慣になかった。いつのまにか習慣になってしまった。さっぱりすると気持ちいいという笑顔がいい。水彩画のさっぱり感もいい。<おまけ>水道の蛇口の上とアヒルさんのまえに黄色いチョウおかおあらうのみーせて

  • とんだ とんだ はっぱが とんだ

    とんだとんだはっぱがとんだ/澤口たまみ・文降矢なな・絵/こどものとも年少版572号/福音館書店/2024年11月桜、柿、梅の葉が散って掃除するそばから道端には枯葉がちらばっている今日この頃。これまでで平均気温が一番高いといってもやはり落ち葉を見ると秋を感じます。こんな時期にぴったりの絵本です。文は声を出してリズムを感じながら味わうことができます。枯葉が空に地面に湖へ黄色の葉っぱはひゅうひゅうひゅううん赤の葉っぱはざわざわざわん茶色の葉っぱはぶうぶうぐるぐるごうごうつよくふいたかぜがぴったととまったらぱさんこそんかさんこそんはっぱのあめはじめんにどんどんふりつもる三匹のかわいいこねずみたちが葉っぱとちょろちょろころんころんと、でんぐりがえりしています。とんだとんだはっぱがとんだ

  • 魔よけみそマメ・・兵庫

    兵庫のむかし話/兵庫県小学校国語教育連盟編/日本標準/1978年一夜の宿を頼み込んだ女の巡礼が、そのままおじいさんのところに居ついてしまった。女は、毎日よく働いていたが、そのうち、おじいさんは、米がびっくりするほどどんどん減っていくことに気がついた。おじいさんは、ある日町へ行ってくると家を出るふりをし、そっと家の裏側に回り、かくれるようにして窓から中をのぞくと、やさしい顔をした女の顔が、それはおそろしい顔にかわって、それだけでなく、おひつにいっぱいはいっていた飯をあっというまに平らげてしまった。おじいさんのふるえはとまらない。あてもなく歩き回って、「町のほうへ移り住むことになったから、あんさんもどこかにいってもらわん・・」というと、にっこりわらった女は、「大きな袋を一つ作ってほしい」という。おじいさんはや...魔よけみそマメ・・兵庫

  • むかし語りの会

    川越でひらかれている「むかし語りの会」。継続的に聞かせていただいています。2024.11.1夕方からは大雨の予報。さいわい午前中は晴れでした。1サルの生き肝(語りたいこんな民話みやぎの民話の会叢書第14集)2三人の糸つむぎ女(子どもに語るグリムの昔話こぐま社)3白いぞう(子どもに語るアジアの昔話2こぐま社)4分別才兵衛(日本昔話百選三省堂)5クロカゲの話(あいたくてききたくて旅にでるパンプクエイクス)6スヌークスさん一家(おはなしのろうそく2東京子ども図書館)7ネコの家に行った女の子(子どもに語るイタリアの昔話こぐま社)8泥坊(豊島与志雄童話集海鳥社)”泥坊”は泥棒修行の話、「スヌークスさん一家」と笑えました。クロカゲの話は、ジーンとくる内容でした。「サルの生き肝」は、外国の翻案ものかなと思ったら、竜宮が...むかし語りの会

  • おやゆびこぞう

    おやゆびこぞう/スペンサー・オットー・絵/矢川澄子・訳/評論社/1981年おやゆびこぞうが、馬の耳にはいって、「馬をたくみに誘導する」、「見世物小屋に売って人儲けをたくらむ男から、お金を巻き上げる」、「ふたりの泥棒を手玉にとる」、「牛に飲み込まれる」、さらに「おおかみにのみこまれる」と、ちょっとやりすぎじゃないかという冒険の連続。おやゆびこぞうからみれば、まわりは巨人の連続。靴や帽子、牛などとおやゆびこぞうなどの対比がうまく描かれ、まさに絵本の世界。「まったく、世の中の中には苦労のたねがつきない」・・まさにそのとおり。グリムでは、こどもいない夫婦におやゆびこぞうがうまれるところからはじまりますが、ペロー版では、七人兄弟の末っ子として登場し、貧乏な夫婦から捨てられようとするところからはじまっています。おやゆびこぞう

  • 樹々の宝・・ケニア

    世界名作おはなし玉手箱/齋藤チヨ/すずき出版/2000年木が満月の真夜中、川へ水を飲みに行くという昔話ならではの展開。この木の下には、たくさんの宝物がありふだんは木が宝物の番をしていて、見つかったら殺されてしまいます。宝物を手にいれようと森へ出かけたのは魔法使いのマコラ、そして親がなくなってマコラに預けられたムワンギ。マコラは、ムワンギを杖でびっしと打っていそがせます。とちゅうサルがおなかをすかせ食べるものをくれるよう頼みますが、マコラは、「腹がへったら、飢え死にしたらいいじゃないか」と、サルを蹴り上げました。しかし、ムワンギは立ち止まり、「おれの夕ご飯だけど、でもお前のほうが、もっとおなかがすいているだろう!」と、さげていた袋の中から、ゆでたとうもろこしを二本取り出してサルにあげました。目的地につくと、...樹々の宝・・ケニア

  • たたかいでも鳴る太鼓・・兵庫

    兵庫のむかし話/兵庫県小学校国語教育連盟編/日本標準/1978年タイトルからすると”親捨て”の話を連想しましたが、同じシチュエーションがでてきますが、組み立てがことなります。息子が畑で働いていると、通りかかった殿さまが、「朝からなん鍬打った?」と、むちゃぶり。息子が、「殿さまの馬はここまでくるのに何足あるきましたか?」と、返事。なんで怒ったかのか殿さまは、「三日の間に、灰で縄をなってまいれ」と命令し、できなかったら命はないという。父親は病気でねており、息子は、なんとかあやまって、家に帰ったが飯もろくろくのどを通らんようになった。どこか体でも悪いと聞かれても、息子は首を振るばかり。「なにか心配事があったら、わしにはなしてみんかえ」といわれ、殿さまから言われたことを話すと、父親は、「かたくかたく藁をなって、塩...たたかいでも鳴る太鼓・・兵庫

  • カイマンのクロ・・人とくらしたワニ

    カイマンのクロ/マリア・エウヘニア・マンリケ・文ラモン・パリス・絵とどろきしずか・訳/福音館書店/2022年ワニと人間がともに暮らせる?ベネズエラで実際にあった話といいます。ワニの仲間、カイマンの赤ちゃんを引き取った宝石店の若旦那ファオロ。ワニの赤ちゃんは、ワニの皮を目的にやってきた人の手からうんよく免れたでした。ファラオは、かただのいろがくろっぽかったカイマンのあかちゃんにクロとなずけました。はじめは掌の上にのるほどの大きさ。ファラオが、カイマンをつれてきたというわさがまたたくまに広がり、クロに触りたいという人々が、近くの村や町からもやってくるようになり、クロはいつもファラオのあとをついてまわるようになりました。カイマンは、庭にプールをつくりました。プールを掃除していると、ファラオはたまごに気はつきまし...カイマンのクロ・・人とくらしたワニ

  • みち

    みち/三浦太郎/あすなろ書房/2022年ほとんど白地の背景の真ん中にオレンジ色の一本の線。二人の子があるいていきます。坂道、下り道、長い長い道、曲がりくねった道。寒い日もあれば暑い日も。子どもにはちょっとものたりないのかもしれません。ただ、道は人生そのもの。でこぼこもあれば、寄り道も、迷うことも。”君の行く道は果てしなく遠いだのになぜ歯をくいしばり君は行くのかそんなにしてまで・・”歌を思い出しました。もし、道がとだえてもそこを乗り越えれば、新しい道が・・みち

  • ちょっと早いハロウィーン?

    ハロウィーン風格好の子どもがいて何かと思ったら、「百鬼夜行」なるイベント。いくつかの場所をまわってスタンプを集めているようでした。昨年につづいて実施とあったのですが、昨年は気がつきませんでした。ふだんとちがった格好。子どもも楽しそう。土曜日というので子どもも参加しやすかったようです。ちょっと早いハロウィーン?

  • 背中にコブのある男(アランダス)・・アラビアンナイト、酔っ払いペドロ・・スペイン

    死体を次々に他人に押しつける昔話。・背中にコブのある男(こぐま社/子どもに語るアラビアンナイト/2011年初版)アラビアンナイトの一つで、悪役が登場しません。人を殺したと思い込んだ仕立て屋が、死んだと思った男を医者の家に、医者は料理人へ、料理人は商人とたらいまわししていきます。人を殺した罪で商人が死刑になりそうになりますが、かかわった者が正直に自分が殺したと次々に名乗り出ます。実は死んでいなかったという落ち。途中まではどうなるかと思わせながらはらはらどきどき。最後の落ちでほっとします。ところでこぐま社版では、「背中に・・・」で講談社版(青い鳥文庫新編アラビアンナイト(下)/2002年初版)では「アランダス」とあります。講談社版では、背中がまがっていると表現されていますどちらでも物語の進行上は特別に影響する...背中にコブのある男(アランダス)・・アラビアンナイト、酔っ払いペドロ・・スペイン

  • ファンと空飛ぶ三頭の馬・・フィリピン

    フィリピンの昔ばなし/カラオの洞窟/荒木博之:編・訳/小峰書店/1989年日本の昔話には、馬が出てきても空を飛ぶという発想はなさそうです。この話では、白、黒、赤い馬が空を飛びます。この馬が、お城の庭の木の葉を食べると、きまって王さまが病気になっていました。誰のせいかようすを見に行ったのは、三人の王子。上の二人は12時を過ぎると、眠気がおそってきて、誰が、木の葉が食いちぎったのかわかりません。末の王子ファンはナイフとレモンをもっていき、眠気におそわれると、ナイフで指を切り、その上にレモンをたらし、一晩中起きていることができたのです。13時には白馬、14時には黒馬、15時には赤馬がやってきて、木の葉を食いちぎろうとしますが、ファン王子は、そのたびに馬をみごとに乗りこなします。馬はへたばって、「ご用のあるときは...ファンと空飛ぶ三頭の馬・・フィリピン

  • 男の子でもできること:みんなの未来とねがい

    男の子でもできること/国際NGOプラン・インターナショナル・文金原瑞人・訳/西村書店/2020年最初に赤ちゃんの写真とともにどこの国の子か説明があり、そのあとは十歳前後の子の写真が。そして子どもが、いまおかれている状況がでてきます。「男の子は、生まれたときからいろんな夢がもてる、いろんなことをさせてもらえる。その反面、戦って勇敢になれといわれることも。」女の子は・・・。いきいきした子どもの顔をみると、こちらもうれしくなります。だが、この先を見ると理不尽なことがいつなくなるかという思いも。タイトルの”でも”にひっかりました。「ぼくはいいたいことがいえる」・・でしょうか?「いつかぼくに女の子が生まれたら、その子もいいたいことがいえるといいな」・・”いいな”でいいのか?「ぼくは男の子だけど、みんなの世界をつくり...男の子でもできること:みんなの未来とねがい

  • ぼくのたからもの

    ぼくのたからもの/鈴木まもる/アリス館/2015年小学1年生のジュンくんが、ある日、2階の窓の近くにメジロが巣を作っているのを見つけました。メジロが、みどりのコケを白い糸みたいなもので、ひっかけています。お父さんがクモの巣からとってきた糸だとおしえてくれました。ジュンくんが観察していると、一日一個の空色の卵を産んで、四つになったら卵をあたためだしました。お母さんが出産したころに、ヒナもうまれます。お母さんの子育てと、メジロの子育てが並行していきます。やがて、ヒナたちも、羽をバタバタさせて巣立ちの練習です。そしてある朝、巣がからっほになって、巣立ちです。赤ちゃんとメジロによせるジュンくんの思いやりとやさしさがつたわってきます。子どもたちが小鳥の成長をじっくり観察できる機会があったらいいですね。お父さんもクモ...ぼくのたからもの

  • ふしぎな大名行列・・宮城

    宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年むかし、きれい好きなおばあさんが、たった一人で暮らしていた。おばあさんは毎日、囲炉裏の灰をきれいにならし、”火消し壺”には、ちゃんと蓋をしていた。ところがある朝、火消し壺の蓋をとると、その中から、大名行列が、ぞろぞろでてきて、「タギョウタギョウ」といいながら、囲炉裏のなかをぐりーっと、ひとまわりして、「かきならす灰は浜辺の潮に似てて・・・」って、歌の半分、上の句だけよんで、ぺろぺろって、壺にはいっていった。それが毎朝続くので、おばあさんが物知りおじいさんに相談にいくと、おじいさんは、「あんたの家で、半分よんだ人があったかもしれないから、下の句をつけ」るようにいう。物知りおじいさんが、いろいろ工夫して下の句をつけた。つぎの朝、「タギョウタギ...ふしぎな大名行列・・宮城

  • きみも こねこなの?

    きみもこねこなの?/エズラ・ジャック・キーツ・作絵当麻ゆか・訳/徳間書店/2017年4匹のこねこがあそんでいるところに、1匹のこいぬがやってきて、「きみもこねこなの?」といわれ、おもわず「えっと……そう!」と答えたこいぬ。それじゃあと、いっしょにミルクを「ペチャペチャ」。ところがこいぬはこいぬ。こねこが、「ニャーオー!」と鳴きますが、こいぬは「ニャ・・ワンワン!」、椅子から落ちて、「キャン」。ねずみをみんなでおいかけますが、穴のところで、「ドン!」おかあさんがむかえにくると、「こんどは、みんながこいぬになってね」と、わかれのあいさつをしたこいぬでした。背景は最小限で、大きくえがかれたこねこ、こいぬの表情がなんともいえません。きみもこねこなの?

  • カラオの洞窟・・フィリピン

    フイリピンの昔ばなし/カラオの洞窟/荒木博之・編訳三谷靭彦・絵/小峰書店/1989年天地創造の昔話(神話に近いのかも!)。ずっとむかし三人の神さまがいました。いちばんえらい神さまが、バタラ神といって天空を支配していました。そして大地をキャプタン神が、海をマグアエン神がおさめていたのです。ある日、バタラ神が、キャプタン神に人間を創るように命じました。キャプタン神は山の中腹にかまどをつくりました。それから河岸から両手に一つかみづつの粘土をとってきて、人間の形にこねあげ、それをかまどにいれて焼きあげました。かまどからだしてみると、それは焼けすぎて黒くなっていました。この人たちが黒人の祖先になったのです。つぎに、キャプタン神は、最初のように男と女の姿をつくり、それをかまどに入れて焼きました。今度は焼けすぎないよう...カラオの洞窟・・フィリピン

  • りょこうに いこう!

    りょこうにいこう!/五味太郎/偕成社/2024年おうちはりょこうにいかないのさふつうところがところがうちがりょこうですりょこうにいってきまーす!りょこうはなんといってものりものトラックで移動そのあとは船街に砂漠にりょこうはかえりがだいじすべりこみセーフで旅行に行った家族をおむかえです。ページの片隅にあるよく読めないマークは?おうちはつぶやいています。「ぼくホテルはいらないよ・・」「どこまでもあるいていきます!それがりょこうというものです」誰かきたのか?の住民の疑問には「きたんじゃないよいってきたんですよ・・」Adios!さけんでいるサボテンはメキシコか?りょこうにいこう!

  • ごんだら村・・宮城

    宮城のむかし話/「宮城のむかし話」刊行委員会編/日本標準/1978年村の若いもんが、おみつというむすめに朝に夕に「おみっちゃん、おみっちゃん」と声をかけるが、おみつはいっこうに耳を貸さなかった。いつのころからか、そんなおみつの顔色が悪くなり、口数も少なくなった。おみつの母親が、何か心配事があるのではと、となりのばあさまに相談をした。おみつが話したのは、「おらこのごろ、すきな人できた。」。ばあさまが名前を聞こうとしたが、ほかの村の人だという。村では、ほかの村のものというと、歓迎されなかった。ばあさまが、なにかふしぎなことなかったかときくと、その男は毎晩、家の人が寝静まると同じような時刻に来て、朝は夜の明けないうちに帰るという。つづけて、その男の体はとっても冷たいという。たまげたばあさまは、「今夜小豆をにて、...ごんだら村・・宮城

  • モーって いったの だあれ?

    モーっていったのだあれ?/ぶん・ハリエット・ツィーフェルトえ・シムズ・ターバックやく・はるみこうへい/童話館出版/1998年毎日朝早く、おんどりは、屋根にのぼって「コケコッコー」とときをつげます。いつもは、だれもこたえません。でも、あるおてんきのよい朝、だれかがいいました。「モー!」。おんどりが、ふとったぶた、ぶちのいぬ、はいいろのろば、とらねこ。くろいひつじにきいていきますが、こたえは、「モーとはいわないわ」。そして、しかけのページ(半ページほど)をめくると、それぞれの鳴き声がとびだします。なぜかどの動物も上を向いて・・・。最後のページでは、コケコッコー、ワンワン、メェー、ブーブー、モー、ヒーホー、ニュアーオの合唱です。あざやかな配色と、シンプルな仕掛。動物の鳴き声がわかりはじめた年齢のころ楽しめる絵本...モーっていったのだあれ?

  • イニーゴ・・フィリピン

    フイリピンの昔ばなし/カラオの洞窟/荒木博之・編訳三谷靭彦・絵/小峰書店/1989年家に帰るまで同行させてほしいと老人にたのんで、いっしょに歩きはじめたイニーゴ。家は遠いかとたずねると、四十キロいったところだと老人がいうと、イニーゴは、「なんとかその道をみじかくできんもんですか」といいました。こんなやりとりがつづいていきます。イニーゴは傘を持っていましたが、涼しい木陰につくと、わざわざ傘を頭の上にさしかけ休みました。またイニーゴは、靴を肩にかけ道中はだしで歩いていましたが、川をわたるとき、その靴をはきました。イニーゴは、死んだ人を担架にのせてやってくる一行にあうと、「おじいさん、あの人は生きているんですかい?」とたずねました。田植えをしているひとにあうと、「米を食べちまって、それでも米をうえているんだね」...イニーゴ・・フィリピン

  • 子ざるのかげぼうし

    子ざるのかげぼうし/作・浜田ひろすけ絵・なかむらしんいちろう/教育画劇/2007年(12場面)子ざるは自分の影にうんざり。こぶしをつきだすと、かげもまけずににぎりこぶしをつきだす。振り放そうと思っても、ちゃんときています。走ってもちゃんとおいついています。キツネが助け舟。キツネが影を縛ろうと思っても、子ざると影も一緒に、しばろうとおもってもだめ。穴に落ちた影に土をぶっかけても駄目。そこに犬がやってきて、話を聞くと、犬は木のそばにつれていきます。すると不思議なことに影がいなくなります。ずっと木の上か下にいることにした子ざるですが・・・。いまは、影ふみする子どももいなくなりました。大人が遊んであげるとちがうのでしょうが?時代を感じます。子ざるのかげぼうし

  • めん たべよう

    めんたべよう/小西英子/福音館書店/2018年うどんからはじまって、スパゲッテイ、そば、ラーメンと、麺尽くし。うどんは、きつねうどん、なべやきうどん、おろしうどん、わかめうどん、にくうどん、カレーうどんスパゲッティは、ナポリタン、ミートソース、カルボナーラ、和風スパゲッティ、めんたいこスパゲッティ、ボンゴレ、いかすみ、ペペロンチーニ蕎麦、ラーメンは?絵本を見たら、どれか食べたくなること間違いありませんし、料理にリクエストされそう。でてくるお店は昭和風。器やメニュー表にも注目です。美味しそうという意見が圧倒的ですが、個人的には、いま一歩です。めんたべよう

  • ありがたいこってす!(絵本)、うちの中のウシ、ぎゅうづめ家族

    ありがたいこってす!/作:マーゴット・ツェマック訳・渡辺茂男/童話館出版/1994年ある村に、母親と、おかみさん、6人の子どもたちと一緒に、一部屋しかない小さな家に住んでいた貧しい男。家のなかが、あんまり狭いので、男とおかみさんは言い争いばかり、子どもたちもがたがたうるさくてけんかばかり。ある日、貧しい男は、とうとう我慢ができなくなって、ラビ(ユダヤの法律博士。先生)のところに相談にいきました。ところが助言は、ひなどり2、3羽と、おんどり1羽、がちょう1羽を家の中に入れて暮らしなさいというもの。もちろん、小さな家の暮らしはまえよりひどくなり、もういちどラビのところへいくと、こんどは、ヤギを家に中にいれなさい、次には牛をいれなさいというもの。助けてくれと、もういちどラビに相談すると、「動物たちを外に出しなさ...ありがたいこってす!(絵本)、うちの中のウシ、ぎゅうづめ家族

  • パン どうぞ

    パンどうぞ/彦坂有紀もりといずみ/講談社/2014年「○○どうぞ」のあとに、パンの絵そして、ぱくっ!ぱくぱく出てくるパンはあんパンロールパンジャムパンクリームパン・・・・ハンバーグもでてきますよ!木版画で表現されているパンが、ほんとにおいしそうしあーわせな気分になれますパンどうぞ

  • 床屋とバラモン・・インド

    語りつぐ人びと*インドの民話/長弘毅/福音館文庫/2003年貧しい床屋とバラモンが、どこかの町で仕事を見つけ金を稼ごうと旅に出ました。どんどん歩いているうちに、深い森にさしかかったところで日が暮れてしまった。「深い森の中を夜、歩くのは無茶だ。けものにおそわれるか、それとも追剥にやられるかのどっちかだ」と、床屋はバラモンをひとりおいて家に帰ってしまいました。バラモンは一軒の家を見つけ、今夜はとまって、また仕事をさがそうと、その家に行ってみましたがだれもいません。バラモンが、暗闇の部屋にいると、ライオン、オオカミ、コブラがつぎつぎに入ってきて話をはじめました。バラモンはけもののことばがわかる力を持っていたので、片隅でちいさくなってきいていました。ライオンは、「くる日もくる日も小塚の上で張り番ばかり。くたびれち...床屋とバラモン・・インド

  • 鼻の崎の名づけ話・・長崎

    長崎のむかし話/長崎県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1978年腹をすかし、おまけに雨にあった旅人が歩いているうちに、道の地蔵さんの手元にみつけたのがにぎりめし。お地蔵さんに感謝して、口いっぱいほおばって食べると、お地蔵さんのかぶっていた傘をかぶり、そこで雨宿り。腹が太っていつのまにかうとうとしていた。「おるがけち(しり)ほれ、おるがけちほれ」という声で、ひょいと目が覚めると、もう雨は小降りになっていた。また同じ声がしたので、あたりをみまわすと、どうも地蔵さんの下から聞こえてくる。そこで地蔵さんをひっくり返してほってみたら、うちでのこづちがでてきた。旅人は、それをなでまわしたり、たたいてみたりしていた。おもしろくなって、「出れつん」といって鼻をたたいてみると、そのひょうしに鼻が、「ビュー、ビュー」と...鼻の崎の名づけ話・・長崎

  • 黄金の値打ち・・インド

    語りつぐ人びと*インドの民話/長弘毅/福音館文庫/2003年ご馳走をただでいただく話。小さな村にやってきた商人が、地主の旦那のところによばれたと、村びとに自慢話をはじめました。それを聞いた百姓のひとりがいいました。「それがどうだっていうだ。おらがその気になりゃあ、地主のところでたらふくご馳走ぐらい食うのは朝飯前だ」。商人が、むっとして、百姓が地主のところでご馳走になるはずはないと、「たぶん、この世じゃむりだな」というと、百姓は勢い込んでいいました。「それじゃあんた、なにをかけるかね?」。もし百姓が地主のところでご馳走を食べたら、商人は牝牛を二頭、百姓に買ってやる、そしてもし食べられなかったら、商人の畑をむこう三年間のあいだタダで耕す約束をしました。百姓は地主のところに出かけると、「旦那様!おらあないしょで...黄金の値打ち・・インド

  • 遺産、アッパージーの裁き・・インド

    インドの遺産相続のふたつの話。・遺産(人になりそこねたロバ/インドの民話/タゴール瑛子:編訳/筑摩少年図書館/1982年)インドらしい数のマジックの昔話。単なる勘違いではありません。思わず?。三人の息子と十七頭のラクダに囲まれていた老人が、自分が亡くなったらラクダの半分は、長男が、次男は三分の一、三男は九分の一に分けるよう遺言を残して亡くなりました。三人兄弟はとても仲良く、近所の評判も上々。ところが遺産分割となると、洋の東西をとわず紛争の種です。十七頭のラクダの半分となると、どうしてもうまく分けられません。長男は九頭をよこすようにいいますが、弟たちは不公平と文句を言います。それではと長男が八頭をとり、残りはお金に換えて分けようとしますが、こんどは長男がだまっていません。一頭のラクダを殺して、父親の供養に親...遺産、アッパージーの裁き・・インド

  • トシ来い ヨシ来い・・長崎

    長崎のむかし話/長崎県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1978年狭いようで広い日本。一度は行ってみたい五島の再話。むかし、夫に死なれ再婚した女の人には、ヨシという子がいて、再婚した相手にはトシという子どもがいました。女の人は、ふたりをわけへだてなくかわいがっていたので、まわりの人たちは感心していました。ある春の日、重箱にご馳走をつめ、ふたりの子を連れて、七つ瀬に遊びにいきました。ちょうど大潮で、ずっと沖まで潮がひいていましたが、キャッという声の方を見ると、子どもより大きなタコ。おっかさんは、わきにあった丸太ん棒をひっつかむと、死にものぐらいでかけだしました。滅多打ちにしたタコの足は七本しかありませんでした。めずらしい大タコだったので、おっかさんは持ち帰ろうとしましたが、おなごの力ではどうにもなりませ...トシ来いヨシ来い・・長崎

  • なんびきの ねこたち おどる?

    なんびきのねこたちおどる?/文・キャロライン・スタットソン絵・ジョン・クラッセン訳・いわじょうよしひと/犀の工房/2018年土曜の夜、路地裏から楽しげにラッパにあわせておどるかげ二ひきのねこがサンバを踊る四ひきのねこがスギーを踊る六ひきのねこがタンゴを踊る・・・・・・ねこは何ひきまで増える?ビルの屋上で外階段で物干しロープの上で・・・・・・うるさーい!!よるにおどっちゃダメ!おどりはペアで?おどるときは目をつぶる?ねこたちみんな目をつぶる毎ページ踊りに合わせてねこのきている衣装がかわる!サンバ、タンゴ、タップダンス・・はわかるが、スギー、フォックストロットは?音楽があれば楽しさは何倍にも!。ねこのかずを数えたり、偶数にふれたり、隠れている数字を発見する楽しみも。ジョン・クラッセンのデビュー作なんですね。なんびきのねこたちおどる?

  • 王さまの難題・・インド

    語りつぐ人びと*インドの民話/長弘毅/福音館文庫/2003年王さまが、たいそうな金持ちの商人の財産をとりあげようと、手に入れてきたいものをいいだしました。「ひとつはどんどんへっていくもの、二つめは、どんどんふえていくもの、三つめはへりもせずふえもしないもの、最後はへってもまたふえるもの」。証文を書き、王さまの頼みごとをもとめるように手配し、八方手をつくしさがしますが、どうしても見あたりません。このままでは、財産は残らず王さまのものになると、すっかり気を落としてしまいました。商人が元気のないことを見た女房がわけを尋ねますが、商人はなにもいいません。女房がしつっこく尋ねると、とうとう商人はわけを話して聞かせました。話を聞くなり女房は、「そんなものだったら、あたしがお嫁にきたとき里からもってきたわよ。いまもちゃ...王さまの難題・・インド

  • 横手五郎・・長崎

    長崎のむかし話/長崎県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1978年「あんたがたどこサ肥後サ肥後どこサ熊本サ」と、手まり歌ではじまりますが、最後はちょっとせつない。横手五郎は諫早の生まれで、おっかさんの手ひとつで育てられた。生まれつきの力持ち。おっかさんが仕事のとき石のひきうすに帯でしばりつけても、ちのみごの五郎は、この重たいひきうすをひきずった。おっかさんとふたり暮らしの五郎は、多良岳から薪をとってきては町へ売りにいって、暮らしをたてていた。ある日、五郎が枯れ枝をたくさんとって帰ってきたところ、おっかさんは留守。となりの人に、枯れ枝にさわらないように頼んで、また出かけた。おっかさんが帰ってきて、枯れ枝に手をかけようとしたので、となりの人はさわらんようにおしとどめたが、おっかさんは、「よか。よか。」と、...横手五郎・・長崎

  • こまった こまった

    こまったこまった/ふしみみさを・文山村浩二・絵/アリス館/2024年コウモリのおねしょかおにかかっちゃう!かたずけがにがてなカンガルーかぎがみつからず部屋に入れない!りすのくしゃみおべんとうがちらばってだいなし!むかでのおでかけくつをはいていたらひがくれた!動物たちをこんな視点で観察するのも別の楽しみ?コミカルな絵をみないと、この絵本のよさがわからないのかも!こまったこまった

  • 画本 風の又三郎

    画本風の又三郎/原作・宮沢賢治藤城清治・影絵/講談社/2014年宮沢賢治の「風の又三郎」を、藤城清治さんが、作中のいくつかの場面を影絵で描いています。制作過程のスケッチもそえられています。原作は、夏休みが終わって、九月1日の学校の再開からはじまって、九月十二日までの二週間に満たない期間を、日記風に展開していきます。「どっどどどどうどどどうどどどう、青いくるみもふきとばせすっぱいかりんもふきとばせどっどどどどうどどどうどどどう」とはじまる導入部。教室が一つで、全校生徒38人。運動場はテニスコートぐらいの小さな小学校にやってきた転校生の高田三郎。みんなは「風の又三郎」とよんでいました。・・・。赤い髪、ガラスのマント、光るガラスの靴。転校生というのははっきりしているのですが、どこか謎めいた三郎。たった二週間にも...画本風の又三郎

  • にじをかけたむすめ

    にじをかけたむすめ中国・苗族のむかしばなし/宝迫典子・文後藤仁・絵/BL出版/2024年むかし、ある小さな村に、花辺ねえさんとよばれる美しい刺繍飾りをつくるむすめがいました。むすめの刺繍した草花や動物は、生き生きとして、命がやどっているようでした。むすめのもとには、いつもたくさんの人があつまってきて、むすめは心をこめて、刺繍を教えていました。むすめの評判は、王さまの耳にもとどき、王さまは、むすめを手元におきたいと、村を離れたくないというむすめを、無理やり城につれてきます。王さまは、村に帰りたいというむすめに、「七日以内に、生きているように見える見事なオンドリを刺繍して見せよ。できれば、願いをかなえてやろう」といいました。オンドリと次に命じられたキンケイの刺繍ができると、むすめの涙で、オンドリとキンケイは、...にじをかけたむすめ

  • ひまんじょくれ・・長崎

    長崎のむかし話/長崎県小学校教育研究会国語部会編/日本標準/1978年親と早く死に別れ、仲良く暮らしていた二人の兄弟。次郎が庄屋で働くことになった。庄屋は条件を出した。「次郎、おまえがひまをもらうとき、もうそう竹の数を数えてもらう。そのとき四のすうじを口にしたら、おまえは、ただぼうこう。もしも、おれが、四の字を口にしたら、ほうこうちんは倍返しする」。約束の三年がたって、次郎がもうそう竹の数を数えることになった。もうそう竹は、四百四十四本。次郎は三年前の約束を忘れていて、「四百四十四本あったばない。」といってしまった。銭をたいそうもらって、家に帰れると思っていた次郎は、ひどく悔しがって、楽しみにまっていた太郎に、一部始終を話した。太郎もひどく悔しがって、倍返しのほうこうちんをもらおうと、庄屋のところへいった...ひまんじょくれ・・長崎

  • イグアノドンのツノは なぜきえた? すがたをかえる恐竜たち

    イグアノドンのツノはなぜきえた?すがたをかえる恐竜たち/文・絵ション・ルービン訳・千葉茂樹/岩崎書店/2024年すっかり姿がわかっていると思っていた恐竜も、その姿が明らかになる経過が詳しい。最初の発見は見たこともない大きな歯の化石。それにつけられたのがイグアノドン。1850年ごろのイグアノドンのイメージ・鼻先にツノ・トカゲノの舌・ドラゴンのように長いしっぽ・クジラサイズのイグアナ1854年ごろのイグアノドン・鼻先にツノ・大きなツノ・するどい歯・分厚いうろこ・四足走行・動きはゆっくり・サイとイグアナのあいだのようなすがたそして20世紀のイグアノドン・トゲのような親指・二本足で歩く・しっぽをひきずる・トカゲの舌とくちびる・たぶんノロノロあるく・二本足で歩くカンガルーのような巨大なトカゲ人間が見たことがないから...イグアノドンのツノはなぜきえた?すがたをかえる恐竜たち

  • むすこに世の中をおしえるゴハおじさん・・エジプト

    ゴハおじさんのゆかいなお話/千葉茂樹・訳/徳間書店/2010年初版ゴハおじさんのむすこは、他の人が自分をどう思っているか気になってしかたがない。そこでおじさんは、ロバに乗って隣の村へ。ゴハおじさんがロバに乗って、息子があるいていると、茶店にいた男は、「おい、みろよ、なんて自分勝手なやつなんだ。自分はロバにふんぞりかえっているのに、かわいそうに、息子は歩いているよ」とささやく。そこで、今度は自分がロバをおりて、息子をロバにのせていく。こんどは、「あの子はひどいもんだ。おやじを歩かせているぞ。目上の者を敬わないなんて礼儀しらずもいいところだ」。つぎに二人がロバにのると、それを見た人が、ロバがかわいそうだという。こんどは、二人でロバをかついでいくと、おかしな親子と大笑いされる。ここでゴハおじさんの教訓。全ての人...むすこに世の中をおしえるゴハおじさん・・エジプト

  • おうさまのひげ

    おうさまのひげ/脚本・横笛太郎絵・織茂恭子/童心社/2016年(12場面)りっぱなひげの威厳のあるおうさま。「わしは、国中でいちばんえらい。えらいからひげがある。ひげがあるからえらいんじゃ。」ところが、とうのひげは、いつもおうさまといっしょでつまりません。おうさまが寝ている間に外に飛び出した。ひろいそらのびのびとびまわっていると赤ちゃんの泣き声。ちょっといたずらとこまっているお母さんの顔にくっつくとあかちゃんは大喜び。ひげはびっくり。これまで一度だってひとをよろこばせたり、わらわせたりしたことはないんですから。コケコッコーいそいで、おうさまにくっつくとやさしい顔になぜって?ひげは逆さまにくっつきましたから・・。おうさまのひげ

  • 蛙にされた坊さま・・ベトナム

    ベトナムの昔話/加茂徳治・深見久美子・編訳/文芸社/2003年初版色っぽい場面が出てきて、大人向けでしょうか。厳しい修業を積んで、国中の噂になった僧が、ある寺院を訪れることにしました。若い僧の名声を聞いた観世音菩薩が、僧が旅に出る機会に、いかなる人物かを試してみようと、美しい娘船頭に姿をかえ、船を河岸につけて客を待っていました。僧が船に乗ると、娘船頭はすぐに船を漕いで、河の中州までくると、船をとめてしまいました。船にはふたりだけ。娘は、「こんな美男のお坊さまにお目にかかったのははじめててございます。だから、ここでお坊さまと情を交わしとうございます。」と、恥ずかしげもなく言いました。この地方の娘たちは、よくこんな悪さをすることを知っていた僧は、厳しい顔をしていいました。「阿弥陀仏、この修行者から娘を引き離し...蛙にされた坊さま・・ベトナム

  • 欲張りな人・・カンボジア

    カンボジアの民話世界/高橋宏明・編訳/めこん/2003年初版母親にいわれて、芋を掘りにいった少女が、森の深い穴の近くに小さな丘を見つけほっていると、もっていた鍬を穴の中に落としてしまいました。女の子が「鍬の刃をとっていただければ、ご恩返しします。」と叫ぶや否や、一匹の年老いたトラがあらわれました。トラは、「わたしが鍬の刃をとってきてあげよう。でもそうしたら、私の頭にいるウジをさがしてくれないかい。私は、感謝されなくてもよいからね」と話しかけました。トラが穴の中から鍬の刃を取ってきてくれると、少女はトラの頭にいるウジをさがし、鋭い針で、トラの傷口にわいたウジをほじくりだして捨てました。トラはなんども少女に尋ねました。「私の傷のはれは臭いかね、それともいい匂いかね?」少女が、「とてもいい匂いよ。おじいさん」と...欲張りな人・・カンボジア

  • おらびぐら・・宮崎

    宮崎のむかし話/宮崎民話研究会編/日本標準/1975年むかしむかし、ずっと山おくに炭焼きの小屋があった。ある夏のはじめの夜、おやじさんは、おかみさんや子どもたちを里の家に帰し、ひとりぐっすりねむっていた。すると夜中ごろ「ヨイ」と呼ぶ声がした。おやじさんは、はっと目を覚まし、ついうっかりして「オイ」と返事をしたが、耳をすましても何も聞こえない。だれじゃろうと考えていると、またつづいて「ヨイ」とよぶ声。またもや「オイ」と返事をしてしまった。するとまた、こだまのようなやみの声がしした。「ヨイ」「オイ」「ヨイ」「オイ」「ヨイ」「オイ」おやじさんは、はっと気がついた。「しまった。山んばの声くらべにひっかったか?。やりまけたら食い殺されるぞ。こら大変だ」「どうしようどうしよう」いまごろ気がついてももうおそい。そのあい...おらびぐら・・宮崎

  • ペンギンのウィリー

    ペンギンのウィリー/ロバート・ブライト・作こみやゆう・訳/好学社/2024年ペンギンのウィリーは、だれもが似た姿のペンギンたちと一緒にいると、じぶんがどこにいるのかみわけがつきません、そんなじぶんをかえようと、南極から街へでかけていきました。街では、ひとめでどれがウィリーかわかります。レストラン、地下鉄、どこでも目立ちました。しかし、ウィリーは目立ちたかったわけでありません。そこで、ウイリーはちょうネクタイ、かわぐつを買い、雨の日には傘もさしました。ある日の夕方、オペラをみるため、シルクハットを買い、帽子屋を出ると、同じような格好の人びとがいました。みんなはオペラを見に行くところでした。どの人も、ウィリーとそっくりで、ペンギンたちと一緒にいたころと同じです。そこで、ウィリーは、南極にかえることにしました。...ペンギンのウィリー

  • 石を裁く・・ベトナム

    ベトナムの昔話/加茂徳治・深見久美子・編訳/文芸社/2003年初版貧しい夫婦が、やっとのことで三日分の工賃を前借し、大晦日に正月の品々を買いにでかけました。買い物は妻が行きましたが、とちゅう、小さな川をわたるとき、ぬるぬるした石に足を滑らし、たったいま市場でかってきたばかりのコメ、肉、線香などの品々が川にのみこまれてしまいました。あまりの出来事に、彼女は、ぺたんとすわりこみ大声で泣いていました。県内を見回っている県知事が、泣き崩れていた彼女を見ると、駕篭をとめさせて、そのわけをたずねました。わけを聞いた知事は、「犯人は、川の中の石に違いない。たとえ、石でろうと法をまげることは許されない。やつをとらえて弁償させるべきである。それっ!犯人を役所に引き立てい!」と命令します。命令を受けた供のものはとまどいました...石を裁く・・ベトナム

  • あの木はなんの木か・・宮崎

    宮崎のむかし話/宮崎民話研究会編/日本標準/1975年どちらが頑固か、我慢比べの話。ばったり道であった日高笹衛と横山久之助のふたり。こんもりと木々に囲まれたお宮には、大きなエノキがあった。その下には小さなムクノキ。森の木のあて比べがはじまった。笹ぼんは、「あれはムクノキじゃ」というと、久之助どんは、すかさず、「あれはエノキというもんじゃ」。大勢の見物人が、ふたりをけしかける。ふたりの言い争いは、日が西にかたむいてもおわらない。見物人も、ひとりへり、ふたりかえって、とうとう、頑固なふたりだけになった。あたりが暗くなっても、まだふたりはがんばっていた。しかし、だんだんつかれて腹もへってくる。ついに笹ぼんが「エノキじゃ。」というと、久之助も、「ムクノキじゃ。」と、よわよわしくいいだした。とたんにふたりはおかしく...あの木はなんの木か・・宮崎

  • ノウサギの家に いるのはだれだ?

    ノウサギの家にいるのはだれだ?/さくまゆみこ・再話斎藤隆夫・絵/玉川大学出版部/2022年ケニアマサイにつたわる昔話ですが、日本人コンビによる絵本。ノウサギが家に帰ってみると、家の前に足あとがついて、「おいらの言えにいるのはだれだ?」と大声でたずねると「おれは、つよくてゆうかんな戦士だぞ。サイをはりたおすことだって、ゾウをふみつぶすことだって、ちょろいのちょいだ。なにしろいちどもまけたことがないんだからな」こわくなったノウサギは、ジャッカル、ヒョウ、サイ、ゾウに家をとりもどすように、たすけをもとめますが、みんな、声をきくと、にげていってしまいます。そばをとおりかかったカエルに、事情を話すと、カエルがノウサギの家にでかけます。・・・・絵本では、はじめにノウサギの家に入り込んだのが、青虫とあるので、そのあとは...ノウサギの家にいるのはだれだ?

  • パンツをはいたクマ もやもやする!

    パンツをはいたクマもやもやする!/ジョリ・ジョン・文エリン・グラーン・絵鈴木沙織・訳/化学同人/2023年〝朝ご飯、よし。お花の水やり、よし。体を洗って、毛並みもつやつや。ばあばからのプレゼントも確かめた。でも、何か忘れているような・・・あ—、モヤモヤする!どうしてだろう?なんかヘンな気分。すっきりしないなあ・・・」クマのジェフが、知恵を借りようと、うさぎのアンダースのところへ。ジェフの姿をみたアンダースがはじをかかせちゃうかな?と、一息入れて、「なんでパンツなんかはいてるのさ?」ときくと、「ばあばのプレゼントをためしにはいてみたんだった」とジェフ。ふたりが話し合っていると、ジェフがアンダースのところへやってくるときにであったシカ、アライグマ、ハリネズミ、キツネ・・・がやってきて、みんな「なんでパンツはい...パンツをはいたクマもやもやする!

  • 村のカラスが森のカラスに教える・・カンボジア

    カンボジアの民話世界/高橋宏明・編訳/めこん/2003年初版村の白いカラスが、森の黒いカラスに、食べ物をどうして探しているか尋ねると、森のカラスは、「いろいろなやりかたで食べ物を探しているか、他人の物は盗むことはしない。」と、こたえました。もっと簡単に見つけることができるという村のカラス。村のカラスは、食べ物を盗む方法を教えようとしますが、森のカラスは、「ほしがるのは自由だが。もしつかまったらひどい目にあう」と乗り気ではありません。しかし一回だけやってみようという村のカラスについて、人のいる村の方へとんでいきました。村のカラスは、荷車をとめて飯をたいている男を見つけました。男はおいしそうな魚を串にさして焼いていました。男の頭には一本のクロマー(*)が巻きつけられていました。村のカラスは、男のクロマーをくわ...村のカラスが森のカラスに教える・・カンボジア

  • 「こぶとりじいさん」に類似する外国の昔話

    「こぶとり」は頬のこぶ、「ノックグラフトンの昔話」「背中にこぶのある男」は、背中のこぶの話。どちらもこぶをとられますが、もう一人が前の人のものまでもらってしまうという話。「こぶ」は、なんの象徴でしょうか?。・こぶとりじいさん(こぶとり/宇治拾遺ものがたり/川端義明訳/岩波少年文庫/1995年初版)「こぶとりじいさん」の話は、だいぶ古そうです。・ノックグラフトンの昔話(イギリスとアイルランドの昔話/石井桃子・編訳/福音館文庫/2002年初版)ヨーロッパなどの話には、話のすじに直接関係しない背中にこぶのある人物がでてくることがありますが、このこぶがないと成立しない話。ラスモアという背中にこぶのある貧乏な男が、妖精が音楽を楽しんでいるところにでかけ、そこで歌われていた唄をより楽しいものにします。するとよろこんだ...「こぶとりじいさん」に類似する外国の昔話

  • トウモロコシのおもいで

    トウモロコシのおもいで/早秋丸・作小川糸・訳/講談社/2024年おばあちゃんとトウモロコシをとりにったわたし。トウモロコシの葉っぱのせいで、傷だらけになったうでをやさしくなでてくれたおばあちゃん。おばあちゃんがトウモロコシをもぐたびのパキッ!という楽しい音かごいっぱいのトウモロコシをもって道を歩くとたくさんのちょうちょがとんでいった。でも、わたしとおばあちゃんのおもいでも、ちょうちょといっしょにとんでっちゃった。ふだんは、おばあちゃんと離れて暮らしているわたし。いろいろなことをわすれてしまったおばあちゃんとのわすれられない夏の一日。「おばあちゃん、まって!わたしをおいていっちゃわないで。」「わたしをひとりぼっちにしないで。」・・・青い青い空、どこまでもひろがる畑の風景、夕暮れの人影。もっともっと思い出を紡...トウモロコシのおもいで

  • ひよこのろくちゃん

    ひよこのろくちゃん/かこさとし画・瀬名恵子/童心社/1975年(16場面)ろくぞうじいさんがかっているにわとりに六羽のひよこがうまれました。いっちゃん、ふうちゃん、さんちゃん、よっちゃん、ごんちゃん。ちょっとやんちゃなろくちゃんは一人遊び。かあさんどりに連れられて散歩です。いたずらずきのこどもたち、ちっともしずかにしていません。どろけりごっごをしたり、ミミズのひっぱりっこをしたり。かあさんどりは、ひよこたちをつれて散歩をつづけます。ところがいちばんうしろのろくちゃんは、まだあそびたくて、かえるちゃんとにらめっこをしたり、とかげをおいかけたり。ろくちゃん、草の間におもしろそうなものをみつけました。ちくんとつっつくとそれは、のらねこごろべえのしっぽ。ごろべえが、ひよこトーストにしようと、ろくちゃんにせまり、さ...ひよこのろくちゃん

  • おやすて山

    おやすて山/岩崎京子・文田代三善・絵/佼成出版社/1993年むかしむかし、あるくにのとのさまが、「はらけんものもやしなうのはむだじゃた」と、としよりを山へ捨てるようおふれをだしました。なんと、むじひなとのさまだろうとおもってもしかたなく父親をすてることになった若者。どんどん山のなかへはいっていった若者が、雨露のかからないところをみつけると、そこに父親をおろしました。父親は、若者がまよわず帰れるよう、みちしるべに木の枝を落としていました。若者は、やさしい父親を、山へ捨てることはできないと、せおいなおすと山をかけおり、床下に穴を掘り、父親を隠しました。ある日、とのさまがまたわけのわからないことを命じました。灰で縄をなえというのです。みんながこまっていると、若者の父親の言うとおり灰で縄をなうと、また、とのさまは...おやすて山

  • うばすて・・三重、静岡ほか、ドコ・・ネパール

    親を捨てるというのは、今昔物語にもみられる昔話ですが、中国やインドからのものが日本の話として語り継がれているといいます。ヨーロッパ、アフリカなどにも分布しているといいますが、であったことがありません。冒頭部は、老親が小枝を折っていき、親心に打たれた子が、老親を連れ帰るというのが多い。そこから難題がだされ、老親の知恵で解決し、それから親捨てはなくなるというものと、子どもから捨てるためにもっていった駕籠や車を、次には親を捨てるときに必要と言われ、考え直す二つのパターンがあります。・ドコ(ネパール)(アジアの昔話/松岡享子・訳/福音館書店/1978年)ドコとは竹かごのこと。この籠に年とったおじいちゃんを背負い、どこかに捨ててこようと市場にいって買ってきたものでした。ところが幼い息子がいいます。「とうちゃん、おじ...うばすて・・三重、静岡ほか、ドコ・・ネパール

  • 小鳥もこの暑さでまいっている?

    イチジクの時期。少し熟しはじめて、五個余りを収穫。いつもはヒヨドリやアリの格好のエサになっているが、今年は被害が少ない。そういえばこのところ小鳥の姿を見ることが少ない。猛暑のせいで、人だけがまいっているというわけでもなさそう。今日は、今年初めて落花生の試し掘り。周囲が雑草におおわれ埋没状態。マルチをしていてもほとんど役に立っていない状況。例年に比べて雑草の勢いも半端ない。我が家の落花生は、相変わらず不ぞろい。まあ、味は変わらないが・・。小鳥もこの暑さでまいっている?

  • 六文のあめ・・愛媛

    愛媛のむかし話/愛媛県教育研究協議会国語委員会編/日本標準/1975年全国各地に同じような話がありますが、一番まとまっていると思わせる話でした。収入の良かった千石船で働いていた婿どんがなくなり、子ども二人をかかえ、一文駄菓子の飴や金平糖を売ってはつつましく暮らしてた嫁はん。子どもをかわいがってちょいちょい飴をまけてやるのでよく売れていた。ある夜中のこと、白い着物を着たおなごの人が、あかんぼうをだいてきて、「一文のあめ、つかわさい」という。駄菓子屋のかみさんは、「こんな夜中に一文ぐらいのあめどうするんじゃろう」と思ったが、気持ちよくあげたら、その人は、あかんぼうにピッチャクッチャ、ピッチャクッチャなめさせていたと思うと、しらん間に帰ってしまった。つぎの晩も、つぎの晩も、「一文のあめ、つかわさい」とくる。五日...六文のあめ・・愛媛

  • 地球に 暮らす ぼくたちへ

    地球に暮らすぼくたちへ/作・なかがわひろたか絵・松田奈那子/アリス館/2024年さまざまな人種が輪になり、手をつないでいる子どもたちの絵が、印象的です。「この世に生を受けたぼくたちは、みんな等しく生きていい」「それぞれが、それぞれでいい」「この世に生を受けたぼくたちは、みんな等しく生きていい権利を持っています。そして、その権利に、重い軽いもない。」「ぼくたちは、なかよくしていきたい」そのために、「けんかをしない」「おこらせない」「ずるしない」「ずかずかしない」付録の宛名のない葉書の文面。「ぼくたちは、楽しく生きているか。自由に生きているか。ぼくたちは幸せか。いま、もう一度よく、考えてみようかな」・・誰かへの問いかけでもあるようです。生まれる時点で、環境に制約され、自由に見えて、じつは不自由な世界。権利も生...地球に暮らすぼくたちへ

  • じゃがいも うえたら・・

    じゃがいもうえたら・・/ユリ・トケイ/BL出版/2024年たてに見ていく絵本。二ページがワンセットで、断面図のうえは地上、したは地面の様子。何もなかった地下に、じゃがいもが植えられ、芽が出て、葉がだんだん大きくなり、地下にはたくさんのじゃがいもが。地中にはアリ、ミミズ、ネズミ、モグラが。じゃがいもの茎のまわりには、カメムシ、ハムシ、カタツムリ、そしてモンシロチョウがとびかっています。じゃがいもがおおきくなるまでは、百日余り。気温もかわっていき、活動する生き物もかわっていきます。文字が一切なく、ページ数もおおいので、巻末の生き物たちの解説を参考にしながらみました。この作品の原画は、炭やコーヒー、紅茶、ホウレンソウ、タマネギの皮、ウコンなど天然素材から抽出した顔料で描かれているとありました。作者はスウェーデン...じゃがいもうえたら・・

  • おとら岩・・愛媛

    愛媛のむかし話/愛媛県教育研究協議会国語委員会編/日本標準/1975年貝やヒジキ、ワカメをとって暮らしていたおとらばあさん。きょうも海へ行くと、おおきな岩の上に、今まで見たこともない大きな大きなタコが寝ていた。おとらさんよろこんで、タコをかごにいれようと思ったが、とてもはいりきらん。それで足一本だけでもと、鎌で切って町へ売りにいくと、いつもの二倍のお金をもうけた。つぎの日も、タコのおった岩にいくと、やっぱりタコはねとった。おとらさん、そろっと二本目の足を切って、また町へ売りにいった。つぎの日も、つぎの日もタコの足を切り取って、とうとう八日目に、八本目の足になったとき、タコはぐいとおきて、「この足はおまえにやれん」と、八本目の足でおとらさんをぐるぐる巻きにして、海へ引きずり込んでしまった。それでタコが寝てい...おとら岩・・愛媛

  • おいしさつながる昆布の本

    おいしさつながる昆布の本/松田真枝・文キッチンミノル・写真得地直美・絵/福音館書店/たくさんのふしぎ474号/2004年思わずうまみが伝わってくる昆布の写真。作者の料理への思いが伝わってきます。昆布の種類から、昆布ができるまでのこと、昆布をつかった料理、広まった歴史まで。輸送手段が限られたころには、ぜいたくだった食べ物。北前船もでてきます。作者の羅臼昆布愛が、伝わりました。羅臼昆布は富山から北海道に移住した人々が広めましたが、昆布漁が本格化したのは百年ほど前。昔からあったと思っていたら、つい最近のことです。羅臼昆布がヨーロッパにひろがった経過も興味深い。おいしさつながる昆布の本

  • 埋められることのない穴

    話はめぐる/聞き手から語り手へ/ナショナル・ストーリーテリング保存育成協会・編佐藤涼子・訳/リブリオ出版/1999年怪談ですが、歴史の裏側が知れて興味深い話。ときは、アメリカ南北戦争のころ。南軍に従事していた牧師のスケトウの妻が重い病気になった。スケトウは三年ものあいだ、戦場で勇敢に戦っていたが、スケトウは、スペインからやってきた移民の子で、面倒を見てくれる親戚がなかった。当時、個人的な急用で、自分の代わりを勤めてもらう兵を雇い、代わりの人に戦ってもらうのは、当時の南軍の兵士たちにとってはごく当たり前のこと。ただ兵を頼む費用は自分持ちで、たいそうな額だった。妻のもとにいたセケトウでしたが、南軍が劣勢になり、彼が外国人だと知っている者たちは、裏切り者ではないかとあやしみはじめた人たちがいた。国防義勇軍を名乗...埋められることのない穴

  • 大うその皮・・愛媛

    愛媛のむかし話/愛媛県教育研究協議会国語委員会編/日本標準/1975年船旅で一緒になった人がそれぞれ自慢話をはじめます。下関の人は、周囲12㎞の大きなケヤキの木があるといいました。粟井の人は、12キロもある牛がいる。すると大阪の人が、まわりが12キロある太鼓を作ったという。ほかのもんが、「そんな大きな太鼓をどんな木で作った」かたずねると、大阪の人は。下関のケヤキの木でつくったという。「太鼓の皮は、どこにあった?」ときくと、粟井の牛の皮を張ったという。「皮は、なんで張った?」ときくと大阪の人はいった。「三人のいう、大うその皮を張りつけてつくったんよ。わかったろうが」嘘もほほえましいものだったら、笑えるのですが・・・・大うその皮・・愛媛

  • 白い池 黒い池

    白い池黒い池/リタ・ジャハーン=フォルーズ・再話ヴァリ・ミンツイ・絵もたいなつう・訳/光村教育図書/2015年イランを舞台にした再話。シラーズの母は、シラーズをうむとすぐ亡くなりました。父親が再婚した相手にはシラーズと同い年のナルゲスという娘がいました。父が亡くなると、シラーズは学校にも行けず、家の仕事を全部させられるようになりました。ある日、シラーズはまもなく訪れる冬にそなえて、母が残してくれた毛糸玉でセーターを編もうとしました。そこへびゅうっと風が吹いてきて、毛糸玉は風に飛ばされてしまいました。シラーズは、ある家の庭の葉かげに、ちらちらみえる毛糸玉を見つけました。シラーズがその家を訪ねると、ぼさぼさ髪で、顔は汚れ、しみだらけの服のおばあさんが、条件付きで毛糸玉をかえしてやろうといいました。おばあさんは...白い池黒い池

  • ロンドンの でんしゃにのって

    ロンドンのでんしゃにのって/せきなつこ・作/福音館書店/こどものとも822号/2024年9月映像で見慣れていると思っている世界の風景でも、視点が異なると、違った景色がみえてくるようです。ロンドンにすむ男の子がトランポリンで遊ぶため、お父さんといっしょにおでかけ。地上を走るオーバーグラウンドにのり、地下鉄に乗り換え。セントラルラインで、別の電車に乗り換え。さらに自動運転のディー・エル・アールからケーブルカーへ。地下鉄の電車のドアが、平面でなくゆるやかな局面になっているのに驚き、都市部の上をケーブルカーで移動(テムズ川の横断のため?)するのを見て、これまで見たことのない風景も。電車の色、広々とした駅構内の様子も新鮮。ロンドンのでんしゃにのって

  • まじょさん またあした

    まじょさんまたあした/作・小野寺悦子画・山口みねやす/教育画劇/2000年(12画面)たった一人で、魔法の勉強ばっかりしていた魔女のところに、引っ越しのあいさつにやってきた女の子。魔女だと聞いてやってきという女の子は、魔女の部屋をみてびっくり。勉強ばかりしていて、魔女の部屋はちらかりほうだい。「呪文を唱えれば、掃除なんかすぐできるんじゃない魔法なんか知らないのね」とつっこみ、魔法の証拠をみせてほしいという女の子に、魔女は、なんでもみえる水晶玉を出しました。「お前さんの明日が見える」というので、女の子は、じっと水晶玉をみていましたが、「だめだめぼーっとかすんでてよくみえない。うちのテレビならよく見えるし、漫画もあるのよ」とこたえます。食べたいものをすぐだしてあげるというので、アイスクリームをお願いしますが、...まじょさんまたあした

  • 馬に話し方を教える・・トルコ

    三分間で語れるお話/地球をぐるっと77編/マーガレット・リード・マクドナルド・著佐藤涼子・訳出久根育・画/編書房/2005年あるとき、ホジャはおうさまのところに伺い、馬に話し方を教えたいと申し出ました。興味をもった王さまへ、「少し時間はかかります。六年あればきっと、教え込むことができます。が、馬に食べさせたり、そのほかの世話に金貨が十枚必要です」とうけあいました。立派な馬と金貨百枚をもらったホジャへ、友だちがいいました。「もし、六年たって、馬が口をきかなかったら、王さまは、おまえさんの首をはねてしまうだろう」。「心配無用」と、ホジャが答えました。「六年のうちには、いろんなことがおこる。わしが死ぬかもしれん。王さまが死ぬかもしれん。あるいは馬が死ぬかもしれんからのう」いまのごじせい、なにがおこってもおかしく...馬に話し方を教える・・トルコ

  • 花さかじい

    誰もが知っている?「花さかじい」ですが、地域や作者によっていろいろなバージョンがあり、さらに絵本も多いので、語る場合は、どれをテキストにするか悩む。出だしの部分をいくつかあげると・おじいさんが、つむぎを売りに行き、そのお金でいじめられていた犬を助ける(正月も近づいたころ)・じさまがお寺まいりに行って串団子を土産に買って帰り、途中いじめられていた犬をこの串団子とひきかえに助ける。・おばあさんが川に流れてきた柿を家にもちかえり、この柿を臼に入れておくと、子犬が食べてしまう。・おばあさんが川に流れてきた桃を家にもちかえり、この桃を臼に入れておくと、犬が食べてしまう。・おばあさんが川に洗濯に行くと、黒い箱と白い箱が流れてくる。白い箱をもちかえるとその中には、子犬がはいっている。柿や桃がでてくるものがあるが、これは...花さかじい

  • 食わず女房

    テキストも多く、絵本にも紙芝居にもなっており、端午の節句とよもぎと菖蒲が魔よけとなったいわれが盛り込まれているので、5月に語られることが多い。しかし前半部からは、こうした展開を予測することは難しい。「食わない女」をよめにしたいというのは、どうにも男の身勝手。「食わない女」、男と一緒にいるときは何も口にしないが、男が仕事にいくと、にぎりめしや味噌汁を頭の中の口に、ぽんぽんと投げ込むという山姥。怖い怖いと思いながらついつい引き込まれます。「食わない女」とは、山姥、鬼、河童、ヘビなどで、各地で異なります。・食わず女房(日本の昔話29信濃の昔話/日本放送出版協会/1980年)正月バージョン。松の枝を家のまわりにさしておくと、鬼ばばあは、どうしても男をみつけることができず、あきらめて山に帰っていくという結末。こんな...食わず女房

  • 美濃の桃太郎・・岐阜

    岐阜のむかし話/岐阜児童文学研究会編/日本標準/1978年川へ洗濯にいったばっさまが見つけたのがドンブラコドンブラコとながれてくるモモ。ここまでは「桃太郎」のでだし。ばっさまがさっそくひとくち食べてみると、そのうまいことうまいこと。じっさまにもあげようと、残りの半分を懐にしまい込んで、きれいな谷水をすこし手にすくって飲んだ。これが騒動のはじまり。六十あまりのばっさまの姿が、十七、八のむすめにかわってしまった。シバを背負ってかえってきたじっさまが、いえにはいると、ひとりのわかいむすめが、ばっさまとそっくりの着物を着て、庭のかまどのところにいた。ばっさまが、「まあまあ、おじいさん。おそかったなも。さあさあ、どうぞ足を洗いなされや」と、せきたてるので、じっさまは、まるでキツネにつままれた。どうもふしぎでならんと...美濃の桃太郎・・岐阜

  • ベッドのなかは きょうりゅうのくに

    ベッドのなかはきょうりゅうのくに/まつおかたつひで/童心社/2022年いつも、おやすみのまえにおかあさんから本をよんでもらっていた男の子。でもあかちゃんの泣き声で、おかあさんは、とちゅうで部屋を出ていきました。「つまんないの~」「おふとんのなかへもぐっちゃえ。」男の子はネコのミーコと、ほらあな探検とばかり、ふとんのなかにもぐりこみました。ふとんのなかをどんどんすすんでいくと、そこは恐竜の国。ランベオサウルスの子が肉食竜に追われていました。ティラノサウルスに見つかりそうになりますが、なんとかやりすごし、おかあさんをさがしにでかけました。夜だけど、いろんな恐竜がいて、おかあさんをみなかったか声をかけていきます。草食竜のアラモサウルス、そらをとぶプテラノドン、パラサウロロフスなどがでてきて、恐竜好きの子にはたま...ベッドのなかはきょうりゅうのくに

  • 天からふってきたお金・・トルコ

    天からふってきたお金/アリス・ケルジー・文岡村和子・訳/岩波書店/1964年トルコでは、みじかいお話六百ほどあつめた「ナスレッディン・ホジャ物語」が、何回も出版されているようです。実在の人物のようで1208年の生まれ。ホジャのとなりの金持ちの商人ディン・ペイは、ホジャが、「ああ、神さま、わたしはお金がいりようなのです。どうか一千クルシュをおさずけください」「ハ百クルシュではだめですし、九百九十九クルシュでもだめです。きっかり一千クルシュの大金がいりようです。それより、すこしでもすくなかったらおことわりもうしあげます。」と祈っているのを聞いて、みょうなことをいっているのものだなあと、思ったのです。こっけいなホジャが好きだったディン・ペイは、あることを思いつき、きっかり九百九十九クルシュの金貨を袋にいれ、ホジ...天からふってきたお金・・トルコ

  • カミナリさんの手つだい・・岐阜

    岐阜のむかし話/岐阜児童文学研究会編/日本標準/1978年カミナリさまのところでも人手不足のようで・・。田植えもすんでお伊勢参りにでかけた、キン、ゴン、サンという三人の男が、道にまよって宿をたのんだのは、ひとりでいたおくさんのところ。夕食に、お皿におかれた、まるいものを食べようとすると、かんでもかんでも食えない。何かと聞くと、泣く子のヘソを取ってきたものをにしめにしたものという。おくさんのだんなは、カミナリさま。三人は、えらいところに泊まったとふるえておったら、夜中になって、バリバリッという音がして、黒いふんどしで現れたのはカミナリさま。三人が、頭を下げてじっとしていると、カミナリさまが、「よく来てくれた。きたついでに、たのみたいことがある」という。「じつは、こちらはまだ田植えのさかりで、お百姓が雨をまっ...カミナリさんの手つだい・・岐阜

  • 戦争をやめた人たち・・1914年のクリスマス休戦・・

    戦争をやめた人たち/1914年のクリスマス休戦/鈴木まもる:文・絵/あすなろ書房/2020年1914年、第一次世界大戦開戦から5カ月後のクリスマスイブ。最前線の塹壕のイギリス軍兵士は、敵方の塹壕から歌が聞こえることに気づきました。ドイツ語なので、なんといっているのかわかりませんがメロディで、「きよしこのよる」であることがわかりました。「きょうは12月24日、クリスマス・イブなんだね」「こっちも、歌おうか」イギリス軍の若い兵士が「きよしこのよる」を歌いはじめると、まわりの兵士たちも歌いはじめ、ドイツ軍から拍手が聞こえました。つぎにドイツ軍が「もろびてこぞりて」を歌うと、イギリス軍の兵士も、いっしょに歌い、おわると拍手もおおきくなりました。こんどは、「みつかいうたいて」・・。両方の塹壕の中から、暗い夜空にいろ...戦争をやめた人たち・・1914年のクリスマス休戦・・

  • まっくろ

    まっくろ/作・高崎拓馬/絵・黒井健/講談社/2021年まったく最後が想像できませんでした。これだけびっくりする最後も珍しい。先生が「こころにうかんだことをかいてみましょう」と言うと、ひとりだけ画用紙を真っ黒に塗りつぶしている男の子がいました。先生がこまった顔をして、「ちゃんとしたえをかきなさい」と言いますが、男の子はやめません。みんなが描き終わってもまだひとり、画用紙に黒を塗りつぶしていく男の子。家に帰っても、朝になっても、休みになっても、男の子は、画用紙を真っ黒に塗りつづけ、大人はみんな心配顔。保健室でも書き続ける男の子。ともだちもみんな心配顔。それでも手を止めなかった男の子。やがて、男の子は黒い画用紙を体育館にならべはじめます。よくよくみると、画用紙はすべてが黒だけではなく、白い部分もありました。なら...まっくろ

  • 五つのちっちゃなカボチャちょうちん

    三分間で語れるお話/地球をぐるっと77編/マーガレット・リード・マクドナルド・著佐藤涼子・訳出久根育・画/編書房/2005年35秒ほどの指を使ったお話。五つのちっちゃなカボチャちょうちん、木戸の上に座っていた。一番目が言った。「暗くなってきた」二番目が言った。「魔女たちがとんでいる」三番目が言った。「かんけいない」四番目が言った。「面白いことをしよう」五番目が言った。「かけっこ、かけっこ、かけっこ」ヒューと、風吹いた。火がパッと消えた。五つのちっちゃなカボチャちょうちん、ころげて消えちゃった。文章ではなんとも味気ないのですが、指を使って、聞き手の反応をみながら、ゆっくり話したい。火が消えたところで、ぱんと手を打つのがみそ。五つのちっちゃなカボチャちょうちん

  • 森のカプセル探検帳-ドングリいっぱい大発見

    森のカプセル探検帳-ドングリいっぱい大発見/構成・文飯田猛写真・宮園晋一/技術評論社/2024年ドングリは、日本では22種類。家のコナラは、ドングリから育てて十数年。成長が早く、どこまでも伸びる感じで、三年おきに剪定していても、すぐに緑がいっぱい。落ちたドングリがすぐに芽を出し、成長をはじめます。写真で構成され新しい発見も。クリもブナ科の木になるので、ドングリの仲間。ドングリの帽子の部分は殻斗、実は堅果、殻は果皮という名前。19種類のドングリがずらりと並んでいて、いろいろな形があるのがわかりますが、どれがどれかを判断するのは大変そうです。あまり見たことがありませんが、ハイイロチョッキリという虫は、ドングリの実に卵を産み、幼虫になったら殻に穴をあけて、外へ出るというから、穴の開いたドングリをみつけたら、虫が...森のカプセル探検帳-ドングリいっぱい大発見

  • ジョナスのかさ

    ジョナスのかさ/作・ジョシュ・クルート絵・アイリーン・ライアン・イーウェン訳・千葉茂樹/光村教育図書/2020年傘の歴史は古いが、18世紀半ばのロンドンでは、雨が降ったら家から出ないか、馬車で出かけるか、ただ濡れるにまかせるのが当たり前。雨にぬれることがきらいなジョナス・ハンウェイが、雨の降らない土地をさがしていてペルシャの宮殿でみた傘をみて、びっくり仰天。これにヒントをえたのか、ある雨の日、傘をさして街へ出かけた。傘をさすジョナスを、ご婦人たちは息をのみ、紳士たちは、顔をしかめ、子どもたちはくすくす笑い、「ねえママ。あれなあに?」という。どこへいくにも傘をもっているジョナスは「ほらほらおおばかもののジョナス・ハンウェイだ」といわれ、馬車の御者からいやがらせをうけをうけても、いつも傘を使い続け30年。そし...ジョナスのかさ

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