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  • けがらわしい、ではすまない

    「繰り返しになるけれど」2月12日オピニオン編集部吉井理記氏が、『「机上の空論」とは』という表題でコラムを書かれていました。その中に、私がこのブログで繰り返し書いてきたことが端的に書かれていて思わず、その通りとニンマリしてしまいました。それは、『僕は憲法9条改正に反対だ。つまり護憲派だが、護憲派こそは自衛隊や軍事に精通しなければならないと考えてきた』という一文です。私は、戦争の悲惨さを強調するあまり、情緒に流れ過ぎる我が国の平和教育に疑念を呈し、真の平和教育は、戦争阻止教育でなければならないと主張してきました。そして、戦争を阻止するためには、戦争そのものを知らなければならないと考えるのです。敵を知り己を知れば百戦危うからず。戦争を知ること、戦争が起きる状況、戦争を是とする社会を支配する心理、戦争を可能にす...けがらわしい、ではすまない

  • パンとサーカスの時代

    「今さえ良ければ」2月12日『「手取り増」最重要課題』という見出しの記事が掲載されました。『国民民主党は11日、定期党大会を東京都内で開き、2025年度の活動方針を採択した。「手取りを増やす」ことを最重要の政治課題に位置づけ~』ことを報じる記事です。手取りを増やすとは具体的は、『(年収103万円の)「壁」の引き下げたガソリン、電気代値下げ』といった政策を指すようです。この方針は、「主権者教育」的にはどうなのでしょうか。多くの識者が、主権者教育においては、生徒に身近な問題を取り上げ、自分事として考えさせることが大切だと主張しています。身近なことでいえば、手取りが増えることは歓迎すべきことに違いありません。家計の収入が増えれば、生徒の小遣いも増え、学品面から大学の選択肢も増え、やりたくても我慢していた習い事が...パンとサーカスの時代

  • 幼小中高特に次ぐ第6の免許を

    「校長は?教員は?」2月11日『「多様化学校」新設へ世田谷区不登校中学生対象』という見出しの記事が掲載されました。『不登校の中学生が増えていることを受け、せたがや区は、不登校の生徒に合わせたカリキュラムが組める「学びの多様化学校」を新設すると発表した』ことについて報じる記事です。記事によると、『すでに世田谷中学の分教室として「学びの多様化学校」があるが、学校を新設すれば校長など管理職を配置でき、きめ細やかな運営が可能になる』とのことでした。短い記事で、詳細はよく分かりません。ただ気になるのは、新しい「学びの多様化学校」の校長に求められる知識や経験、能力とはどのようなものなのか、ということです。普通の中学校の校長と同じなのでしょうか。異なる理念が求められるはずですし、その理念に沿ったカリキュラムの編成をリー...幼小中高特に次ぐ第6の免許を

  • 達人の境地

    「それほどでは」2月9日心療内科医海原純子氏が、『不完全であること』という表題でコラムを書かれていました。その中で海原氏は、イチロー氏が米野球殿堂入りしたことを取り上げ、『満票に1票足りない投票は、「ギネス登録された通産安打4367、通算打率3割2分2厘(略)ベストナイン7回、ゴールデングラブ賞7回も選手にも投票しない人がいるのだ」という意味で、「人はすべての人に認められることはない」ということをしめしている』と書かれていました。当たり前のことではありますが、改めて言われてみると、なるほどと思います。私はこれほどのことをしたのだから認められ褒められるのが当然、と考えがちなのが人間というものですが、人は十人十色、価値観も評価基準も人それぞれなのです。それなのに人は、自分の期待通りの評価が得られないと、評価し...達人の境地

  • 今が大事、の意味

    「今を大切に」2月8日書評欄に、東京科学大教授中島岳志氏による、『「手段からの解放シリーズ哲学講話」國分功一郎著(新潮新書)』についての書評が掲載されました。その書き出しは、『現代社会は、「いま」を失っている。子供の時には受験のために「いま」を犠牲にし、若者は、就職後もキャリアアップのために「いま」を酷使する。中年になれば老後のために資産運用をしろと言われ、老齢になると死に備えた終活が重要だと言われる。「いま」という時間は、目的のための手段となり、その時々の楽しさが収奪される』でした。嚙み締めたい言葉です。人は誰も幸せな一生を送る権利をもっているはずです。赤ん坊も子供も大人も。それにもかかわらず、我が国は国民の中で「幸せ」を感じている人の割合が低いことが指摘されています。その原因のひとつが、ここに挙げられ...今が大事、の意味

  • 小さな幸せ

    「教育環境改善」2月8日川柳欄に、福岡のA氏の『幸せな人は他人の句を誉める』という句が掲載されていました。その通りです。別に川柳や俳句に限らず、人を誉めるためにはある条件が必要です。それが「幸せ」なのです。愛する人が亡くなった、長年心血を注いできた仕事が失敗に終わった、不治の病を宣告されたなど、とてつもない悲運の最中にいる人に、他人を誉めなさいといっても、それは無理でしょう。大声を上げ号泣をしたい心理状況で、他人に「いつも仕上げが丁寧ね。簡単なようでなかなかできないことよ。ありがとう」などという言葉が出てくる人はいません。穏やかな笑顔を作ることもできないでしょうこれは教員にも当てはまります。教員が「幸せ」でなければ、子供の良さに目を向け、褒める、認めるなどということは難しくなってしまうのです。今、教員の働...小さな幸せ

  • キーセンパーティー

    「伝統」2月5日オピニオン編集部吉井理記氏が、『礼儀正しい日本人?』という表題でコラムを書かれていました。その中で吉井氏は、『宝石や時計など高価なものを買いあさる……ホテルの廊下を下着姿で歩く』『列車の中でインスタントラーメンを作り……食卓で大声で談笑』『(ホテルの)じゅうたんにツバをしたり、たばこを捨てて焦がしたり』といった観光客のマナーを列挙し、これらが全て60年から50年ほど昔の日本人について新聞記事に書かれたものであることを暴露しています。つまり、吉井氏は、「礼儀正しい日本人」は、近年漸く実現しただけで、かつては日本人のマナーの悪さは世界で顰蹙をかっていたということを指摘したのです。私も、日本人の「とんでも行動」については記憶にあります。小松左京氏の小説では、外国のホテルでトイレの使い方が分からず...キーセンパーティー

  • 競い合う相手は誰?

    「有効?」2月5日『テレビ業界の常識って?』という見出しの記事が掲載されました。タレント中居正広氏の問題について、二人の識者が語る特集記事です。その中で、元TBSアナウンサー・エッセイスト小島慶子氏が語られた言葉が印象に残りました。『国際競争にさらされる他の業界では、自らのビジネスに関わるすべての人の人権を守る姿勢が求められ、これを軽んじる企業は厳しく批判される(略)でも、テレビ局に国際競争はありません。コンプライアンスなんて言っていたら、番組がつまらなくなる、という勝手な理屈で、体質改善を怠ってきたのです』という言葉です。競争のないところでは改善機能が働かない、という論理です。確かにそうした側面はあるでしょう。しかし私は、競争原理を過剰に高く評価する考え方には疑問を感じてしまいます。20年以上昔のことに...競い合う相手は誰?

  • 攻撃か、協調か

    「方針です」2月2日心療内科医海原純子氏が、『三つのルール』という表題でコラムを書かれていました。その中で海原氏は、トランプ米大統領の『若い日を描いた映画「アプレンティスドナルド・トランプの創り方」』を取り上げ、そこで紹介されている『勝つための三つのルール』について述べられています。三つのルールとは、『最初のひとつが、「攻撃・攻撃・攻撃」というもの。暴言も脅迫も何でもありという教えである。ルールその2は、「非を認めるな、全否定せよ」。事実などは無視するように、というものだ。ルールその3は「どれだけ劣勢でも勝利を主張せよ」というものだ』です。すごいですね。まさにトランプ氏そのものという感じです。現在のトランプ氏を見て、後からもっともらしい話を捏造したという気さえします。それはともかく、この三つのルール、どう...攻撃か、協調か

  • たくさん質問できた

    「満載」2月1日書評欄に、大阪大特任教授大竹文雄氏による『「科学的根拠(エビデンス)で子育て」中室牧子著(ダイヤモンド社)』についての書評が掲載されました。テレビのコメンテーターとしても活躍される中室氏ですが、書かれている内容はさらに突っ込んで訊きたくなる興味深いものばかりです。まず、『将来の収入を高めるために、子どもたちがすべきことは(略)「スポーツをする」「リーダーになる」「非認知能力を高める」という三つ』という記述です。最初に浮かんだのは、非認知能力が目的で、スポーツとリーダーはそのための手段なのではないか、三つを並列に並べるのはおかしいのではないか、という疑問でした。さらに、スポーツをするというのはどういうイメージなのか、ということも気になりました。私は中高と卓球部に所属していました。週に3回ほど...たくさん質問できた

  • 「高邁」の意味、変わった?

    「今は昔」2月1日『「ドラゴン桜」無理じゃない』という見出しの記事が掲載されました。『地方の非進学校から東大を目指せ(略)地方の高校生が東大を目指すのは「どうせ無理」なのか。「リアルドラゴン桜」の育成に取り組む東北の高校を取材した』という記事です。その中に次のような記述がありました。『23年度の東大受験者は3人。いずれも合格には至らなかったが、「自分の人生を変えようと挑戦することに意義がある」』『東大に合格するという結果が一番大切なのではなく、合格を目指すプロセスに最も価値がある。可能性が低くても、高い目標と高邁な志を持ち励むことには大きな価値があり、尊いものであるはず』です。私は、時代は変わったという感慨を抱きました。かつて、受験戦争という言葉がありました。東大を頂点とする難関大を目指し、家族との生活や...「高邁」の意味、変わった?

  • 緩い感じが好き

    「辛い」1月30日『人前で歌う愛情が乗る』という見出しの記事が掲載されました。『名バラード「メリー・ジェーン」のソウルフルな歌声で知られる、つのだ☆ひろ』氏へのインタビュー記事です。その中で、つのだ氏は、『「元々、音痴な人なんかいない」というのが持論だそうですね』と訊かれ、、『ちゃんと先生について、音楽的なレッスンを受ければ、うまく歌えるようになります』と答えていらっしゃいました。音痴の皆さん、この言葉、どう思われるでしょうか。「そうか、頑張って練習すればうまくなれるんだ」と元気づけられる人がいるはずです。また、「そうか、自分が音痴なのは、音楽の先生がきちんと教えてくれなかったからなんだ」と恨みを抱く人もいるかもしれません。あるいは、「音楽の授業を真面目に受けてきたけど音痴。自分は努力が足りなかったのかな...緩い感じが好き

  • 追い出し作戦

    「今は無理だけど」1月29日『トランプ政権、職員200万人退職勧奨』という見出しの記事が掲載されました。『トランプ米政権は28日、連邦政府の大半の職員を対象に退職を勧奨した(略)2月6日までに退職に応じれば、9月30日までの給与が支払われる(略)対象は約200万人で、政権高官はそのうち「5~10%が退職に応じる」と見込んでいる』ということを報じる記事です。とんでもない暴挙だと思います。トランプ氏に不満をもつ職員を追い出し、イエスマンで固め、独裁的な権力を振るおうとする行為です。トランプ氏に対しては、不満と不安を抱く職員は少なくないと思われます。それだけに、予想外に多くの職員が職場を去る決意をするのではないかとも思います。トランプ氏の思う壺ですね。そうした思いとは別に、もしこうした策を我が国で用いたらどうか...追い出し作戦

  • しっかりやっています

    「私以下」1月29日『怒号飛び交う10時間23分』という見出しの記事が掲載されました。『中居正広さん(52)による女性とのトラブルを巡り、フジテレビの港浩一社長らが27日にやり直した記者会見』について報じる記事です。とてもおかしな記者会見でした。多くの人が『フジは「女性のプライバシー保護」を理由に明確な説明を避け』たことを問題視していたようですが、私は質問する側に疑問を抱きました。それは、事実を明らかにすることで問題点を浮かび上がらせるという追及するものの基本姿勢に欠けていると思ったからです。私は教委の指導室長時代、様々な問題を起こしてしまった教職員に対する聴取を行いました。私も人間ですから、「この野郎、覗きなんかして捕まりやがって。とんだ恥さらしだ。お陰で議会では吊し上げられることになるし、毎日市民から...しっかりやっています

  • 幻想は捨てる?

    「私だけの」1月28日精神科医香山リカ氏が、『私だけの楽しさ』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、石破首相の施政方針演説の『「一人一人が自己実現できる(楽しい日本)」を目指す』という言葉について触れられています。そして、『一人一人が「楽しい日本」を目指す、というプランには私も大賛成』と述べつつ、そのためには『人と違っていてもこれが私の楽しさ』という考え方がきちんと理解され浸透していくことが重要であると指摘なさっています。その通りだと思います。そしてそれゆえに、石破氏が施政方針演説において「楽しい日本」という表現を使ったのは失敗だと考えます。行政は大きな枠を決めて、最大多数を想定して行われるものです。今では古臭く実態に合わないとされる、男女の夫婦に子供が2人という「標準世帯」ですが、これ...幻想は捨てる?

  • このままでいい?このままがいい?

    「幸せの形」1月27日『ロシアと国境接するフィンランドシェルター5万カ所訓練も人気幸福裏に国防意識』という見出しの記事が掲載されました。『世界幸福度ランキングで7年連続トップの北欧フィンランド(略)ロシアと約1300㌔もの長い国境を接し、ウクライナ後の「標的」にされるのではという懸念もくすぶる。現地で有事への備えを探ると、幸福感の裏にある市民らの緊迫感と、強固な国防意識がうかがえた』ことを報じる記事です。書かれている内容は、長年平和ボケでいられるという幸福をじっくりと味わっている私には考えられないものでした。『国防大学への応募者はウクライナ侵攻の開始以降、毎年増加し、24年は前年より114人多い730人だった』『今のうちに自分も戦えるよう強くなりたいという人が増えた』『市街戦などに備える訓練に参加する市民...このままでいい?このままがいい?

  • 賢い行政マンは…

    「まず」1月26日ノンフィクション作家河合香織氏が、『子どものSNS規制まずは居場所の確保を』という表題でコラムを書かれていました。その中で河合氏は、『子どもを取り巻くこうした状況を考えると、SNSの年齢制限は必要だろう』としながらも、『犯罪は子どもの居場所のなさや、寂しさにつけ込んで発生している(略)まずは変化している社会や家庭のあり方を再考し、子どもの居場所を確保することが先決だろう』とおっしゃっていました。私も、SNSの規制や子供の居場所確保が大切であるといい認識をもっています。というよりも、多くの人がそう考えているのではないでしょうか。ただ、私が少し引っ掛かったのは、「まずは」という言葉についてでした。「まずは~」という表現は、いくつかの方策が想定されているときに、真っ先に取り組むべきという優先順...賢い行政マンは…

  • 郷愁

    「生き抜く力」1月23日『「後ろ向きのカリスマ」燃え殻さんとボヤく』という見出しの記事が掲載されました。小説家燃え殻氏へのインタビュー記事です。失礼な話ですが、私は燃え殻氏も氏の描かれた小説のことも知りませんでした。43歳で小説家デビューした燃え殻氏、どんな人なのだろうと興味をもって読み始めました。そして、燃え殻氏が語る人生や人間についての言葉に心を惹かれてしまいました。『誰でも根拠のない夢を気持ち良く語る瞬間があって言い(略)何一つ夢がかなわなくても大人になって酒を飲んで笑い話にできるって、人生の醍醐味だと思う』『生き抜くための特効薬なんて一つもなかった。結局、微調整に次ぐ微調整で地味に毎日を続けていくしかない』『夢がかなう人ばかりではない。でも、夢って必ずしも実現しなきゃいけないものでもない』などなど...郷愁

  • もうそんな時間はない

    「それまで待つの」1月24日『民主主義日々の実践から』という見出しの記事が掲載されました。政治学者・東大教授宇野重規氏へのインタビュー記事です。その中で宇野氏は、『いきなり国政や国防の話を「どう思う?」と聞かれても、多くの人は「さあ?」です。民主主義のリアリティーは、もっと日々の小さな実践から得られるものです。地域の中で、地域の課題をどう解決しようかと考える場です』と話されています。宇野氏の指摘は、現在の主権者教育の考え方と通底するものです。私は賛成できません。疑問に感じることはいくつもあります。まず、宇野氏の指摘ををそのまま受け入れるとすると、憲法改正や安全保障政策、原発再稼働の是非などの問題については、誰が関与すればよいということになるのでしょう。政治に対する意識が未熟な者は自分の地域の問題に取り組み...もうそんな時間はない

  • 立ち止まって熟議を

    「何もしないわけにはいかない、の弊害」1月23日京都大准教授小堀聡氏が、『{教員不足}平成の改革再検証せよ』という表題でコラムを書かれていました。教育現場の疲弊の背景について分析するものです。その中で小堀氏は、『行財政改革が教員の雇用控えと非正規化を促進したにもかかわらず、教育改革は業務を大幅に複雑化させた。これに価値観の多様化などの社会変化が重なった結果、教員の負担は増大。そして、過酷な労働環境が社会的に認知されたことで志願者が減少し、現職教員の負担は一層増えていく。悪循環が発生しているのだ』と書かれています。流石の慧眼です。そして、『今日の閉塞感は、決して何もしなかった帰結ではない。何かをしたにもかかわらず、発生しているのだ』と指摘し、改革の再検証を求めているのです。ある分野において、問題点が指摘され...立ち止まって熟議を

  • ご要望はお伺いいたしました

    「業務軽減」1月22日『コールセンター人の「限界点」』という見出しの記事が掲載されました。『解消されぬ「ただ今電話が大変混み合っています」』という状況について、背景と今後の動向について報じる記事です。その中に次のような記述がありました。『自動音声による番号の入力は、そうした状況の打開策だった。客に「予約は1、解約は2を」などと入力してもらい、内容別にオペレーターにつなぐシステム(略)人材育成上のメリットもあるという。新人が全ての業務知識を身につけるには時間がかかる。内容ごとに電話を振り分ければ、少しずつ計画的に現場で経験を積んでいける』というのです。しかもさらに、『AI(人工頭脳)への移行を見据えて(略)AIを活用した無人対応が一般的になり~』という未来が近づいているというのです。コールセンターの主業務は...ご要望はお伺いいたしました

  • 100枚と20枚

    「嫌な話だが」1月22日川柳欄に、奈良県W氏による『先生の評価でもあるテストの点』という句が掲載されました。意味は明瞭、子供のテストの点が悪いと、努力が足りないなどと子供を責めるが、テストの点数が悪いのは教員の教え方が悪いということをも表しているのだから、教員は子供を責める前にまず自分の教え方を反省すべき、ということです。まったくその通りです。私もこのブログで、子供は教員を映す鏡であり、子供を見て自分の欠点を自覚すべきという趣旨のことを書いてきました。しかし、今回は少し番う視点から考えてみたいと思います。それは、テストの点の悪さ、あるいは良さは、子供の責任であるという考え方についてです。私は若いころ、23区の周辺部、比較的貧しいとされる地域で教員をしてきました。6年生の35人ほどの学級で、私立中学に進学す...100枚と20枚

  • 何を読もうか、いつ読もうか、どこで読もうか

    「いくつもの知りたいこと」1月21日『全国の中学生に、さまざまな分野で活躍する人が語る』という趣旨の連載企画『14歳の君へ』、今回は、『「英語独習法」という本を書いて話題になった』認知心理学者で慶応大教授の今井むつみ氏が登場なさっていました。今井氏が語られる内容な興味深いことが多く、もっと質問してみたいという思いに駆られました。『全ての勉強の基礎は国語です』『本を読むことで支えられ、本を読んでつけた国語力に救われました』『英語の勉強も日本語が基本です。言葉を大切にし、本を読んで生きた知識を得てください。特に抽象的な言葉を含む本は考える力を伸ばし、学力がつく』などです。まず、国語が大事ということに関連して、小学校における英語教育についての見解を伺いたいと思いました。小学校で英語の授業を始めるにあたっては、そ...何を読もうか、いつ読もうか、どこで読もうか

  • 「先生は今幸せ?」

    「教員の幸福感」1月20日『人生100年クラブシニアが担う子ども向けサービス』という見出しの記事が掲載されました。『働くシニア層の活躍の場が子ども向けのサービスを担う仕事に広がっている』ことを報じる記事です。その中に、『小学生などを対象にロボット製作やプログラミングの教室を開く団体』の事例が紹介されていました。『複数のロボットを組み立て、それぞれ動かすためのプログラミングの構成を考える学びを通して、課題に対する子供たちの能力を育てるのが目的』の事業です。『(50~70代の元技術者などの)シニアコーチたちは、大学生のスタッフとともに子供たちの学びを支援し(略)当初は子どもたちの対応に戸惑っていた、シニアも、関わるうちに笑顔が増え、親しみを込めてお互いが下の名前で呼び合うなど良好な関係を築いている』『シニアの...「先生は今幸せ?」

  • 怖い、不気味もOK

    「社会科見学は可能?」1月18日書評欄に、『国際理解には宗教がほぼ半分法蔵館・2420円』の著者で相愛大客員教授三木英氏へのインタビュー記事が掲載されていました。その中に次のような記述がありました。『日本にあるマスジト(イスラム教の礼拝所)やブラジル出身者が集うキリスト教会、誰にでも平等に食事を振る舞うシク教の寺院などを訪ねてきた』。三木氏は、海外出身者を理解するためには宗教に関する理解が不可欠という考えをおもちです。私も同じ考えです。しかし、我が国では公立学校で宗教を扱うことに慎重であり、実践事例もほとんどないというのが現状です。私は、上述の言葉に、自分の無知を痛感させられました。三木氏は、身近なところに海外出身者の宗教施設があると言っているのです。私は、私の狭い生活圏内に、そうした施設があるのか否かさ...怖い、不気味もOK

  • 粗製乱造

    「何を考えている」1月15日『教員給与の引き上げ働き方の見直しと両輪で』と題された社説が掲載されました。その中に教員確保の方策として、『他業種からの転職を容易にする仕組みの構築も急務だ。文科省は24年末、社会人でも教員免許を取りやすくする方策などを検討するよう、中央教育審議会に諮問した』という記述がありました。文科省は何を考えているんだ、という気持ちです。先日、私はこのブログで、教員に対するリスペクトを高めることの必要性に言及しました。それがあってこそ、教職を志望する優秀な若者が増えると考えられるからです。そうした考え方からすれば、教員免許の取得を容易にするということは、どんなバカでも教員になることができるということになり、教員に対する世間のリスペクトを減じることにつながり、結果として教員志望者を減らすこ...粗製乱造

  • 凡人上等

    「私は凡人です」1月14日『「私権は大丈夫?」「もっと頑張れ」「必ず受かる」中学受験医師が説く3大NGワード』という見出しの記事が掲載されました。受験生専門外来がある「本郷赤門前クリニック」院長で心療内科医吉田たかよし氏へのインタビュー記事です。その中で吉田氏が語られている言葉に共感を覚えました。『褒めてはいけないところまで褒めることによって、自己愛が増長し、自分自身に意識が集中し、「自分は周囲から特別な扱いを受けて当然だ」と思い込んでしまうのです。また、自分自身へのネガティブな感情に対するストレス耐性が低下します』という言葉です。これは、最近の褒めて伸ばす教育への警鐘として発せられている言葉です。もちろん、吉田氏も褒めて伸ばすという考え方を肯定なさっているのですが、行き過ぎに注意を促していらっしゃるので...凡人上等

  • 悪を許せ?

    「どちらを重視?」1月14日植草学園大教授野澤和弘氏が、『SNS選挙と既存メディア政策求める切実な民意』という表題でコラムを書かれていました。その中で野澤氏は、先の兵庫県知事選について、次のように述べていらっしゃいました。『「SNSや動画サイト」はうそやデマばかり流したのだろうか。斎藤陣営が何を発信したかと言えば、県立大学の入学金・授業料の無償化、プレミアム付き商品券などの物価高騰対策、不妊治療の支援、学校トイレの改修などの有権者に密着した政策だ(略)有権者の関心はメディアが報じないところにある(略)政策や改革姿勢を知りたいという切実なニーズにメディアは応えることができていないのである』。野澤氏は、有権者は斎藤氏の政策や改革姿勢を支持したのであって、政策本位の選択をした有権者の姿勢は正しく、斎藤氏のスキャ...悪を許せ?

  • 分かっているなら教えてほしい

    「どうすれば」1月12日『そこが聞きたい危ぶまれる地域社会存続』という見出しの記事が掲載されました。『介護など人々の命や生活を「エッセンシャルワーカー」は、賃金の低さもあって(人材獲得競争で)苦戦を強いられ、このままでは地域社会の存続が危うい』という問題意識の下行われた、元総務相増田寛也氏へのインタビュー記事です。その中に次のような言葉がありました。『処遇や給与も大事ですが、エッセンシャルワーカーが生み出す「社会的価値」について周囲がリスペクトするような環境をしっかり作ることも重要です』という言葉です。的を射た指摘だと思います。そして同じことは、教職についても言えると考えます。介護職と教職、共に志願者が減り、新たに職に就く人が必要数に足りていないという悩みを抱えています。だからこそ、教職に対するリスペクト...分かっているなら教えてほしい

  • 俺様のお話を聴け

    「自分はできる」1月11日『無知、未熟な指導者なぜ』という見出しの記事が掲載されました。『2020年8月29日、福岡・私立博多高1年の女子剣道部員が自殺した』顧問による指導死事件について、追跡取材した記事です。その中にとても印象に残った記述がありました。『和解協議で夏美さん(生徒の母親)が強く求めたのは再発防止(略)驚いたのは、2人の顧問に異なる対応を求めたことだ。不信感が消えないA氏には剣道の指導に今後一切関わらないことを和解の条件とする一方、暴言や暴力を振るったはずのB氏には同じ条件を課さなかった。むしろ今後も指導に関わることを望んだ』という記述です。娘を死に追い込んで直接の加害者B、彼に剣道の指導を続けるよう訴えた真意はというと、『B氏は剣道四段だったが、暴力的な言葉が子どもを死に追いやると考えもし...俺様のお話を聴け

  • 「他人を押しのけてでも前に出ろ」とは言えない

    「それぞれに可能なこと」1月10日『タブーが社会の欠落映す』という見出しの記事が掲載されました。雑誌「創」編集長篠田博之氏へのインタビュー記事です。その中に、印象に残った記述がありました。『(やまゆり園事件の犯人)植松聖死刑囚は、やまゆり園の元職員だった。なぜそんな彼が事件を?実は事件の動機について新聞やテレビが彼の言葉を通じて報じることは少なかった(略)彼の「障害者」観が差別的で身勝手すぎて、読者や視聴者に不快感を抱かせるため、控えざるをえない面があったからだ。一方、創は植松死刑囚の手記を度々掲載している。「新聞やテレビは読者や視聴者全員に向けた配慮が必要ですが、雑誌の場合は読者が不快な供述が載っていることを知ったうえで買ってくれるわけだから、掲載できる裁量が大きいわけです」』。メディアは事実を報じなけ...「他人を押しのけてでも前に出ろ」とは言えない

  • コミュニケーション、それ自体が悪の温床

    「コミュニケーション」1月10日読者投稿欄に、石川県公務員K氏(60)の『ハラスメント乱用「昔だったら…」』と題された投稿が掲載されていました。その中でK氏は、『今では「フキハラ」もあるそうです。「不機嫌ハラスメント」の略で~』と書き、以下、セクハラ、パワハラ、アルハラ、カスハラと列挙し、最後には『カラオケを強要する「カラハラ」』を挙げていきます。そして、『「不快、不当」を声高に叫ぶ社会ですが、往々にしてコミュニケーション不足から生じるのではないでしょうか』という言葉で投稿を締め括られています。人間関係におけるトラブルについて、このコミュニケーション不足が原因という考え方は多くの人が口にされます。我が国は、民族や文化における均質性が高く、そのせいか「話せば分かる」という感覚が広く共有されています。離婚でも...コミュニケーション、それ自体が悪の温床

  • 正義に力を

    「清く正しく…」1月9日東京大名誉教授田中明彦氏が、『「世界から信頼される」日本国際協調の主導役担おう』という表題でコラムを書かれていました。その中で田中氏は、いくつかの国際調査の結果を紹介なさっています。まず、『東南アジア諸国連合各国の有識者調査』です。『世界の平和、安全保障、繁栄、統治に関して○○(国名)が「正しいこと」をしていると、どれだけ信頼していますか』という設問に対し、『日本への信頼は58.9%、以下アメリカ42.4%、EU41.5%、中国24.8%、インド24.2%と続く』という結果だそうです。また、別の調査で、一般人を対象にした『世界のなかで最も責任ある行動をしている国』という設問では、『87%が日本だと答えており、4年連続で1位だという。アメリカは56%、中国は17%、ロシアは8%である...正義に力を

  • 「推し」はダメ

    「陥りがちな」1月8日『トランプ氏「半年で停戦」に後退』という見出しの記事が掲載されました。トランプ次期米大統領が、『これまでは「大統領就任前」や「就任後24時間以内」の停戦実現に意欲を示してきたが、今回は「(停戦まで)6カ月あれば良い」』と目標を後退させたことを報じる記事です。私は、そんなに簡単に停戦ができるはずがないと思っていましたから、驚きはありません。ただ、熱狂的なトランプ支持者はこのことをどのように評価するだろうか、と考えてみました。その答えは、何も変わらずトランプ氏を支持し続けるだろうということです。明らかな公約違反であるのになぜ責めないのか。それは、彼らがトランプ氏の政策を評価するのではなく、トランプ氏という存在そのものを評価しているからです。おそらく今後もトランプ氏は、数えきれないくらいの...「推し」はダメ

  • 一つだけではありません

    「一つだけではない」1月7日『全国の証券取引所変わる晴れ着大発会お飾り扱い「男尊女卑」と批判』という見出しの記事が掲載されました。大発会における『若い女性の晴れ着姿を強調する演出が「時代遅れ」との批判もあり、東京証券取引所を中心に、その在り方が見直されつつある』ことに関する記事です。その中で、相模女子大大学院特任教授白河桃子氏の『「女性は若くてきれいなほうが価値がある」という古い固定観念を助長する演出は不適切』という言葉に考えさせられました。見出しには「男尊女卑」という言葉があり、これは女性差別について論じた言葉なんだと捉える人が多いのではないか、と思ったのです。「女性は若くてきれいなほうが価値がある」を女性差別の問題としかとらえられないような人は人権感覚が不足しています。私は教委で人権教育を担当していた...一つだけではありません

  • 小市民は許されない?

    「どんな国に」1月6日連載企画『混迷の時代に』は、作家阿刀田隆氏へのインタビューでした。『「そこそこの満足」を求めて』という見出しが付けられた記事の中で、阿刀田氏は、『日本は、そもそもが2いや3位といった「大国」でいられる国ではないんです(略)日本はそこそこの満足を求めていくしかない国』と語っています。それに対し記者は、『そこそこの満足。確かにぱっとしない。でも永田町や保守論断誌あたりに多い「大国・日本」に執着する言説より、よほど地に足がついている』と評価しています。さらに最後に阿刀田氏は、『軍備ではなく教育を。そして月並みですが、真面目に学び、働き、ウソはつかない。そうすれば、そこそこ満足できる国になると思う』という言葉でインタビューを締めくくっていらっしゃったのです。個人的には大賛成です。私は阿刀田氏...小市民は許されない?

  • 認められたぞ!

    「教員の場合」1月6日『「承認欲求」と誇り鮮烈に』という見出しの記事が掲載されました。『PRIZE-プライズ-』の作者村山由佳氏へのインタビュー記事です。「プライズ」は賞という意味で、『周囲の作家や編集者たちから「怖い」と言われるほど、貪欲に直木賞を追い求める作家の姿を書ききった』小説だそうです。山村氏は、自身について『私に中に強い承認欲求があるんです』『割りと分りやすいものを欲しがるタイプなんですね。欲望にはきりがない』と語られています。また、記者の指摘を受け、『プライドが核なのだとすれば、プライズはそれを保証するもの』とも話されています。読みたくなりました。私も承認欲求が強い人間なので。ところで、人によって強弱はあるでしょうが、承認欲求は誰にでもあるものだと思います。そして、承認欲求がある程度満たされ...認められたぞ!

  • 勉強するのはカッコイイ

    「新しい活用法」特別編(チャイナウォッチ)12月26日新年で、一般の記事が少ない中、中国内のニュースを報じる「チャイナウォッチ」から気になる記事を選び出しました。それは、『ネット空間で「一緒に学ぼう」動画とライブ配信を通じて「共同学習」集中力、やる気を高めて継続を』という見出しの記事です。記事の中に、次のような記述がありました。『張秋〇さんは「一緒に学ぼう」系の動画を熱心に視聴していた。これらの動画は、配信者がカメラで自分の机を撮影し、勉強法を詳しく紹介。視聴者は配信者のペースに合わせて、動画を見ながら、自分も勉強できるわけだ』。分かりますか。つまり、他人が勉強している映像を見て、自分も頑張る、ということです。この張氏は、その後自分でも動画を作り配信するようになります。『張さんは、動画でそれぞれの勉強の課...勉強するのはカッコイイ

  • もっと早く、それとももっとゆっくり?

    「ゆっくり、なの?」12月30日『横の関係でゆっくり優しく元吉ひろみさん「60歳からのピアノ教室」』という見出しの記事が掲載されました。『茨城県つくば市で「60歳からのピアノ教室」を主宰し、シニア層に特化したグループレッスンを行っている』元吉ひろみ氏へのインタビュー記事です。その中で元吉氏が語る言葉が気になりました。『子供や働き盛りの若い世代では受験や資格取得といった具体的な利益につながる「外発的動機から習う人が少なくない。そのためか「いきなり格好良い難曲を弾きたいと思う人が多いという特徴がある」(略)一方、60歳以上のシニアの場合、純粋にレッスンや練習を楽しみたいという「内発的動機」が多数派だ。ゆえにシニアがレッスンに求めるのは「ゆっくり、優しく、基礎から」だ』というものです。私はこのブログで、内発的動...もっと早く、それとももっとゆっくり?

  • 目先の損得

    「豊かさの実感」12月29日日本芸術文化振興会理事長長谷川眞理子氏が、『男女平等118位の現実理念だけでは動かない』という表題でコラムを書かれていました。その中で長谷川氏は、奴隷制度について触れ、『18世紀の啓蒙思想時代、自由と平等の概念が普遍化され、人を人として認めない奴隷という存在は悪だと認識されるようになった(略)ところが、最終的に世界中で奴隷制が廃止されたと言えるのは、なんと(18)88年なのである』と書かれていました。長谷川氏は、奴隷制が悪だという認識が広がってから、実際には死されるまでに100年以上もかかっていることを指摘し、その理由について、『プランテーションは奴隷労働で支えられており(略)プランテーションの所有者も、奴隷船の船主たちも、奴隷貿易がなくなるとただちに困る(略)奴隷制が廃止にな...目先の損得

  • あんた、神様になったつもり?

    「分かったつもり」12月28日『養護施設のクリスマス「空を飛べたらママに」-メタバース美術館』という見出しの記事が掲載されました。『インターネット上につくられた仮想空間「メタバース」に、全国の児童養護施設で暮らす子どもたちから寄せられた100点以上の作品が展示されている』メタバース美術館について報じる記事です。その中に印象に残る記述がありました。『「車も空を飛べる未来」は10歳の男の子が描いた。太陽が輝く空を旅客機と自動車が飛んでいる。それを子どもが見上げ、指をさす。私は未来社会を想像したワクワクと受け止めたが、そればかりではなかった。作品への思いをこうつづる。「飛行機を見て、車も空を飛べたら渋滞を気にせず、ママに会えると思ったから」』。教員は、子供に接し、子供を理解しようとします。絶対に必要なことです。...あんた、神様になったつもり?

  • 素晴らしすぎる

    「それだから無理なんだって」12月28日『不登校9年、でも楽しく』という見出しの記事が掲載されました。『小中学校9年間一度も登校せずに高校から音楽を始めて東京芸大に進学、作曲活動をする』という作曲家内田拓海氏へのインタビュー記事です。『ゲームのBGMなどへの関心から、好きだった「音楽」を作る「作曲」に挑戦してみたくなった』『学籍だけあった中学校を卒業後、通信制高校に進学』『本格的に音楽を習ったことはなく、ピアノすらほとんど弾けなかった』『目標に掲げたのが難関の東京芸大への進学』『2浪の末に東京芸大の作曲科に合格』『卒業し、日雇いアルバイトの肉体労働』『東京芸大大学院の入試に再挑戦し、合格』、『「不登校クエスト」』出版、これが内田氏の歩みです。凄いですね。内田氏は『子どもの自由意思を尊重し、できる範囲内で幸...素晴らしすぎる

  • 専門職なのに、それでいいの?

    「未熟な方が」12月27日『部活事故2億円賠償東京高裁判決元高校生逆転勝訴』という見出しの記事が掲載されました。『体操部のつり輪の練習中に重傷を負ったのは学校側が安全配慮義務を怠ったためだとして、当時2年の元生徒と両親が学校法人新静岡学園に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決』について報じる記事です。注目したのは、次の記述です。『高裁判決は「30年ほどコーチ、監督経験のあった顧問教諭には重大な事故を予見することが可能で、補助者を配置していれば事故を防止することができた」として、安全配慮義務違反に当たると結論付けた』。考えさせられました。30年に及ぶ指導経験があるから予見できた、ということが判決の重要な要素になっています。つまり、今年から顧問になり初めてつり輪の指導に当たる教員であれば、義務違反には該当しないと...専門職なのに、それでいいの?

  • 意外、嬉しい

    「へぇー」12月27日『アジア調査会60周年記念シンポジウム「世界は転回する~米大統領選挙後のアジアを占う」』という記事が掲載されました。基調演説と3人の識者が話された概要ですが、その中で慶応大教授小嶋華津子氏の話が印象に残りました。中国の台湾統一(併合?)をテーマに、『共産党中央への集権化』『社会主義現代化強国』などの禍々しい話を展開する小嶋氏が、結びで語っていらっしゃるのが、『新しい秩序形成に主体的に関わるためには、自由な学風の中から日本としての哲学や社会科学を発展させていかなければならない』なのです。とても意外でした。軍事大国化する中国という現実を強調する文脈からは、対抗して国力の増強、経済力や先端科学技術の強化充実を求めるのかと思っていたからです。それなのに、自由な学風の中から日本としての哲学を、...意外、嬉しい

  • 光あるところに影がある

    「蔭」12月27日私立の名門中高の校長が語る『公開座談会』で、桜蔭中高の校長齊藤由紀子氏が語られている言葉が印象に残りました。齊藤氏は、『校章には、花のような表舞台ばかりではなく、「蔭」で社会を支える堅実な生徒に育ってほしい、という願いが込められている』と語っているのです。桜蔭は、女子校トップの名門校、進学校であり、毎年多くの東大合格者を出す学校です。私は8回卒業生を送り出しましたが、同中学校に合格した子供は一人もいませんでした。「一般人」には手の届かない高嶺の花なのです。そこの校長が言うからこそ、「蔭で社会を支える堅実な生徒」という言葉が深い意味を持ってくると考えました。今、学校教育は、将来特別な存在として光り輝く人になることを目指すべきという思想で染まっているように思います。日本を飛び出し世界で活躍す...光あるところに影がある

  • 同病相憐れむ

    「同病相憐れむ」12月27日『自衛隊の人員不足変化に即した対策が必要』と題された社説が掲載されていました。『自衛隊の人員不足が深刻化している』という現状を示し、その原因として、『民間企業との人材獲得競争で後れを取っている。危険な任務が多く、組織に古い体質が残っていること』を指摘しています。危険ということだけは違いますが、多忙やMP対応など職務上問題があることや、サービス残業を当然視するような職場の体質に問題があるとされることは教職と共通しています。また、対策として、『給与水準を引き上げる』『人工知能による業務の効率化』『新たな領域に対処する人材の育成』『組織文化の改革』『性加害事件やハラスメントが表面化して、国民の信頼は大きく揺らいだ』ことへの対策などが挙げられています。これも、教職調整額の引き上げ、校務...同病相憐れむ

  • じっくりと考えない主体的な学習?

    「大愚策」12月26日『授業5分短縮検討多彩な学び/詰込み疲弊』という見出しの記事が掲載されました。『学習指導要領の改定が中央教育審議会に諮問された。目玉となるのが、各教育委員会や学校が編成する教育課程の「柔軟化・弾力化」だ。授業時間の5分短縮が具体策』ということを報じる記事です。要するに、小学校で1単位時間45分となっている授業時間を40分間にし、5分×1015(年間標準授業時数)=5075分を学校が自由に使うということです。その使い道としては、『児童の興味・関心分野を探究すする時間』という例が挙げられていました。ズバリ言います。とんでもない愚策、改悪です。文科省は、自ら問題を発見し、自ら考え解決する授業を目指しているはずです。そうした授業は、教科や単元によって違いはありますが、基本的には、ある事象との...じっくりと考えない主体的な学習?

  • 踏み止まる力

    「大人ができること」12月24日専門記者大治朋子氏が、『中国版「無敵の人」と絆』という表題でコラムを書かれていました。その中で大治氏は、『中国で無差別襲撃事件が起きている』と書き出し、その犯人像を表す言葉として、『五失人員』という用語を紹介しています。経済的に行き詰まり、生活の希望がなく、心のバランスや人間関係を失った人たちを指す言葉だそうです。大治氏はこの「五失人員」と日本の「無敵の人」を並べ、これ以上失うものがない人が起こす凶行を防ぐために『私たちは彼らを社会につなぎとめる仕組みを持っているだろうか』と自問してコラムを終えられていました。「無敵の人」について、私は以前にもこのブログで取り上げました。「無敵の人」問題は子供における様々な問題行動においても重要な概念です。深夜徘徊、薬物利用、性非行、飲酒喫...踏み止まる力

  • 奥州みかん

    「大切なのは」12月23日歌壇欄に、青森のK氏による『「林檎は青森」「みかんは静岡」と習ったが昔の話昭和の半ば』という歌が掲載されていました。おそらく私と同世代の方だと思われます。小学校の社会科の授業で、みかんの産地と言えば静岡と和歌山、りんごの産地と言えば青森と長野と教わったものでした。しかし、温暖化が進み、野菜や果物の産地は北上を続けています。あと十数年もたてば、みかんは長野と青森産がおいしい、というようなことになりかねません。このことは、学校で学ぶ「知識」というものについて考える材料を提供してくれています。みかん=静岡、りんご=青森という知識は、その時点では正しくても、時を経れば間違いとなってしまい、陳腐化するということです。ですから、知識の丸暗記はいみのないことなのです。では知識など不要かと言われ...奥州みかん

  • 痩せてくる

    「歳を取ると」12月23日俳壇欄に、福山市O氏の『声もまた使はねば痩せ秋深し』という句が掲載されていました。勝手な解釈ですが、歳を重ねた高齢者の一人住まい、話し相手もなく声を出すことも減っている、体は使わなければ衰える、声も例外ではなく、かすれて出にくくなってしまった、秋が深まるにつれてそんなことを改めて感じるようになった、というような情景だと思いました。私はこの句を読み、30年ほど昔のことを思い出しました。当時私は、教務主任と新規採用教員研修担当を兼ね、担任を外れていました。さらに翌年、都の教員研究生として都立研究所に派遣され、学校からも離れてしまいました。そして2年ぶりに戻った教壇で、子供たちに話そうとしたとき、声が出づらかったのです。大学卒業後教職一筋、元々声が大きかったこともあり、自分の声が自分の...痩せてくる

  • 感動の共有がない授業なんて

    「授業はどっち?」12月22日『オンラインでは同期しない脳』という見出しの記事が掲載されました。『オンラインだと人と人の脳活動がそろう「同期」という現象が起きない』と指摘している東北大応用認知神経科学センター助教榊浩平氏へのインタビュー記事です。その中で榊氏は、「同期」について『人と人が対面し、目を合わせてコミュニケーションをとる、協力して何らかの作業をするといったときに、本人たちの脳活動がそろう現象』と説明し、『「心が通じ合う」「波長が合う」といった状況』とも解説なさっています。その上で、実験を重ね、『オンラインだと脳活動が同期しないのでは』という仮説を証明したとおっしゃっています。そしてその原因として、『コミュニケーションというのは言語だけでなく、目線、うなずき、表情、ジェスチャーなど非言語の要素も含...感動の共有がない授業なんて

  • 伝統のお家芸

    「お家芸」12月21日『「103万円の壁引き上げはありがたいでも…」』という見出しの記事が掲載されました。『都内の大手回転ずしチェーンでバイトしている男子大学生』が、特定扶養控除の引き上げについて、本当の気持ちを述懐する記事です。その中にとても強く印象に残った言葉がありました。『そもそも学生の本分は学業であり、落ち着いて学問に取り組める環境を整備してほしい。学生や外国人が低賃金労働力として、質・量ともに基幹化している現状はおかしい』という言葉です。私はこの指摘は、我が国の問題対処の特徴、それも悪い特徴を的確についていると思いました。問題となっている状況を根本に立ち返って改善するというのではなく、現状を容認し、急激に変えると多方面に影響が及ぶということで本質的でない部分で微調整を考えだし、それで一歩前進と肯...伝統のお家芸

  • 対子供、対大人

    「対策は?」12月21日『性犯罪・性暴力で処分初の300人超え文科省調査昨年度の公立学校』という見出しの記事が掲載されました。『2023年度に性犯罪・性暴力やセクハラで処分された公立学校の教員は前年度比79人増の320人だった』ことを報じる記事です。由々しき事態です。対策は急務です。ただ、記事を読んで疑問に感じたこともありました。記事では、『児童生徒ら子どもに被害を与えたとして懲戒処分を受けたのは157人。前年度から38人増えた』とあります。つまり残りの163人の被害者は、子供以外ということになります。同僚の教職員?保護者?学校とは無関係の第三者?、よく分かりません。ただ、文科省が進めてきた対策は、『児童生徒らへの性犯罪などにより処分歴のある員物の復職を制限』『ネット交流サービスでの児童生徒への私的な連絡...対子供、対大人

  • ああ、それは嘘だ

    「大本は」12月19日『メディアリテラシー教育リスク知る機会拡充を』という見出しの記事が掲載されました。『玉成混交の情報を読み解く力「メディアリテラシー」が必要不可欠な時代となった。教育現場でも取り組みが始まっているが、さらなる拡大が求められる』という立場で書かれた記事です。いくつかの実践が紹介されています。共通しているのは、『情報源を確認する、報道や公的機関の発信と比較するなどの「ファクトチェック」』です。もちろんその通りです。正解です。しかし私たちは一年365日、一日24時間、膨大な量の情報に接して生きています。ある情報に接したとき、その情報について疑いをもちファクトチェックするという行為を、一日に数十回も繰り返すことは現実的ではありません。結局、何か特別なときに、チェックするだけになってしまいます。...ああ、それは嘘だ

  • 「好きだ!」と言えるほどの・・・

    「誰でも?」12月17日全国の中学生に、さまざまな分野で活躍する人が語る連載企画、『14歳の君へわたしたちの授業』は、国際農林水産業研究センター主任研究員前野ウルド浩太郎氏が登場されました。バッタ博士の異名がある前野氏の言葉で一番気になったのは、『苦労はあっても、やりたいことを続けていれば、そんなに気になりません。皆さんもぜひ、自分が好きなことを続けてください』でした。『理屈抜きでバッタが好きでした。あまりに好きすぎ、自分に群がってほしくて、バッタが食べる草の色に似た緑色の衣装を群れの前で着たほどです』という前野氏らしい言葉です。でも疑問なのです。一つの分野で何かを成し遂げた人は、前野氏と同じようなことを言われる印象があります。好きだからやってこれた、好きだから続けられた、好きだから他のことは考えられなか...「好きだ!」と言えるほどの・・・

  • 30点で上出来、頑張らなくていいよ

    「神も仏もない」12月17日『「遺伝は子どもの学力に影響」教育界の「タブー」に一石』という見出しの記事が掲載されました。行動遺伝学を専門とされる慶應義塾大安藤寿康名誉教授へのインタビュー記事です。安藤氏は『遺伝は常にその人の行動に影響する。子どもの学力においても例外ではありません』と語り、5割は遺伝、環境や子育ての影響は3割程度と指摘します。そうか、3割は~と思ったのもつかの間、読み聞かせなど効果的な指導をしても『偏差値で言うなら55から57に上る程度』とがっかりするようなことをおっしゃいます。そんな安藤氏は、『成績の結果などを単純に努力不足などに結びつけることは子どもにとって不条理と言えます』とも説き、親や教員が子供を責めることを諫めています。遺伝は、本人の責任ではありません。自分の努力ではどうにもなら...30点で上出来、頑張らなくていいよ

  • あなたは罪を犯しています

    「主権者教育のキーワード」12月16日『「ちょっと待った」と声上げて』という見出しの記事が掲載されました。長年、女性学・ジェンダー研究の先頭に立たれてきた社会学者上野千鶴子氏へのインタビュー記事です。その中にとても印象に残る言葉がありました。『わたしは差別や被害をだまって見過ごす傍観者も共犯だと考えます。「ちょっと待った」を言わないと、、差別は再生産されます。どんな人にも、被害者にも加害者にも、そして傍観者にもなってほしくありません』です。上野氏はこの言葉を、ジェンダーの問題を述べる文脈で使われています。一方、私はこのブログでも再三書いてきました、「いじめを傍観する人は加害者と同じ」と。傍観者=加害者論をいじめに限定して書いてきたというわけです。しかし、今回上野氏の言葉に触れ、傍観者=加害者論は、いじめ限...あなたは罪を犯しています

  • 下支えする力

    「シリアの将来予想」12月11日『「大人の学力」日本トップ級』という見出しの記事が掲載されました。『経済協力開発機構は10日、大人が社会生活を送る上で必要な能力を測る「国際成人力調査」の結果を公表した』ことに関する記事です。記事によると、『16~65歳が対象(略31ヵ国・地域が参加)』し、『日本の平均得点は前回1位だった「読解力」と「数的思考力」が2位、初めて調べた「状況の変化に応じた問題解決能力」が1位で、トップ水準を維持した』とのことです。しかも、『成績を段階別に見ると、日本は3分野ともレベル1以下の下位層の割合が最も少なかった』というのです。つまり、日本は、国民の知的能力が平均して高いということです。実に誇るべきことです。近年、我が国の学校教育に対して、団体主義、管理主義的で個性を伸ばすことができて...下支えする力

  • 三歩下がって二歩下がる

    「それじゃだめ」12月11日『部活改革「地域展開」に名称変更』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『公立中学校の部活動改革に関する有識者会議の第2回会合が10日、東京都内で開かれ、部活動を地域スポーツ団体などに委ねる「地域移行」について、学校と地域の二項対立の印象を与えかねないとの懸念があるため「地域展開」に名称変更する考えが示された』ということです。ダメですね。実質は変わらないで名称だけ変えるというのであれば反対はしません。しかしこのケースでは、名称変更は実質的な内容の変更につながる可能性が高いと考えます。「移行」は、AからBに移り、Aには何も残らないというイメージです。一方、展開は、Aという狭い範囲に収まっていたものが、周囲に広がっていくというイメージになります。つまり、展開後もAには残...三歩下がって二歩下がる

  • 私の理解力不足でしょうか

    「期待外れ」12月10日植草学園大教授野澤和弘氏が、『学校がなくなる日は来るか?150年変わらない「あり方」』という表題でコラムを書かれていました。その中で野澤氏は、不登校やいじめの急激な増加等を理由に、『このままでは学校はなくなるのではないか。そう思えてくるほどの急増ぶりだ。社会の変化から隔絶されたところで、「学校」というシステムは深刻な機能不全に陥っているのではないか』と問題提起されています。根源的な問題提起だと思いました。しかし、野澤氏なりの解は示されていませんでした。そこで細部について見ていくことにしました。そうするといくつかの「?」が浮かんできたのです。特に気になったのが社会性をめぐる問題です。野澤氏は、『時代遅れの集団主義が子どもたちを息苦しくさせている』と述べながら、『集団の中で自分とは違う...私の理解力不足でしょうか

  • 子供にハグはしないけれど

    「問題解決能力」12月8日専門編集委員滝野隆浩氏が、『孫娘にはかなわない』という表題でコラムを書かれていました。『九州で1人暮らしをしていた母が施設に入って、間もなく半年になる。関東地方に住む長女が「おばあちゃんに会いたい」というので一緒に会いに行くことに』なったときのことについてのコラムです。印象に残ったのは次の記述です。『孫娘とは女同士、キャーキャーギャーギャーを楽しそう(略)私とは心配ごとの話ばかりだ(略)固定電話は解約した方がいいのか。電気はどうだろう。水道を止めたら(自分が実家に帰ったとき)水洗便所が使えなくなる。台所の大小食器類、部屋のあちこちに母の服。すべてを捨てるのか。いつ捨てるのか。そもそもこの家は処分できるのだろうか(略)気づく、母に関することをいま、「問題」として扱っている、と。何と...子供にハグはしないけれど

  • それはケースバイケース

    「長々と」12月7日『丁寧に答弁でも具体論は…石破首相「熟議」模索』という見出しの記事が掲載されました。石破首相の国会答弁について分析する記事です。記事によると、『官僚が用意した紙に極力頼らず自身の言葉で答弁をつむいだ(略)首相なりに「熟議」の形を模索しているようだ。しかし長々と自説を語った上で具体論には踏み込まないことも多く、野党から「聞いているふりでは」との指摘も出た』とのことです。考えさせられました、熟議について。私は、しっかりと相手の話を聴き、その意味、内容を把握し、自分の持っている知識や経験を基に自分の思考力をフルに働かせて得た考えや問い、感想を自分で紡ぎ出した言葉で伝える、そうした行為を繰り返すこと、それを熟議というのだと考えます。そして世間の常識では、熟議は良いこととされています。一方、熟議...それはケースバイケース

  • 臭くないクサヤなんて

    「捨てがたい」12月7日書評欄に、ライター永江朗氏による『「悪文の構造」千早耿一郎著』についての書評が掲載されていました。その中で永江氏は、『悪文にはいくつかのパターンがある。たとえば、主格と述語の関係がわかりにくい文章(略)悪文を防ぐには、文章をできるだけ短くして、語と語の関係に注意を払う』など同書の内容の一部を紹介しています。妥当と思われる内容です。ただその後、『若いころのぼくなら、「なるほどなあ」と感心し、さっそく実践しようと思っただろう。でも現在のぼくは、悪文の実例をひとつひとつ読みながら「これはこれで、味があるなあ」と感じる(略)悪文だからこその魅力だろうか』と書かれているのです。分かるような気がします。「クサヤは臭い、でもだからこそ美味しい」というような感覚でしょうか。教員をしていても、同じよ...臭くないクサヤなんて

  • 弱者を笑う

    「何ができる?誰がする?」12月6日『「弱者男性」16の定義』という見出しの記事が掲載されました。『仕事や家庭、恋愛でうまくいかない、経済的に困っている、または社会的に孤立している、こういった男性について取材したライターのトイアンナさん(37)は「弱者男性1500万人時代」を刊行した』ことを受け、著者のトイアンナ氏にインタビューした記事です。記事によると、弱者男性とは、『出自や育った環境など、様々な事情を抱えているのに、同情を得にくく、自業自得と思われやすい。あるいは、存在を認識してもらえない』男性のことだそうです。今、国内に1500万人いると推計されているそうですが、それは、生産年齢人口に限った話です。つまり、15歳以下、小中学生は調査対象になっていないということです。しかし、『容姿にハンディキャップが...弱者を笑う

  • 先生には秘密に

    「情報共有」12月6日『養護教諭の8割超「男女別の制服は問題」』という見出しの記事が掲載されました。NPO団体が『養護教諭を対象に性的少数者に関する意識や当事者の子どもに接した経験などを尋ねた調査結果を発表した』ことを報じる記事です。その中に気になる記述がありました。『相談を受けた際に約9割が他の教師らと情報共有をしたと答えたが、そのうち子ども本人の承諾を得ていたと答えた割合は約半数にとどまった。性的指向や性自認を同意なく他者に伝えることは「アウティング」と呼ばれ、本人の承諾を得ることが求められる』という記述です。アウティングに対する無知、人権感覚の乏しさにはあきれる思いです。しかし、この問題は、養護教員を責めて済むようなものではありません。養護教員から話を聴いた教員や校長等の中で、「○○先生、その話は本...先生には秘密に

  • 本当の暗中模索

    「足りないもの」12月5日川柳欄に、町田市H氏の『眼鏡拭く時にメガネが要る不便』という句が掲載されていました。眼鏡を拭こうと思っても、老眼の目では、メガネがないとレンズの曇りもよく見えず拭くことができないという状況を詠んだ句です。メガネであれば、いくつかの予備の眼鏡を用意しておけば済むことですが、そうはいかないものがあります。その典型的な例が、「知識・理解」と呼ばれるものです。高校生のとき、私は英語が苦手でした。下町のレベルの低い中学校でこそ、5段階評価で4の成績でしたが、地域で一番伝統のある進学校に進んだとたん、赤点を取ってしまいました。どうにかしなければ、と焦ったものの、中学生時代には、中間試験と期末試験のときだけ教科書を暗記して乗り越えていた私には、単語も文法も知らないことばかり、そもそも英語の勉強...本当の暗中模索

  • おいてきぼり

    「ますます悪化」12月4日『都が週休3日制導入へ25年4月から選択制』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『知事は所信表明で2025年4月から週休3日を選択できる勤務制度を導入する方針を明らかにした』ということです。もちろん、全ての職種でということではないようですが、都の取り組みが民間にも広がっていくことが予想されます。一方で、公立校の教員に週休3日制が導入されることは非常に難しいと考えられます。子供は機械ではなく、肉体的、精神的に今よりも一日当たりの授業時間数を増やすのは無理ですし、小中高の6・3・3制という年限を延長することも難しいでしょう。かといって、授業時間数を減らす=学ぶ内容を減らすということも、社会が複雑化し学ぶことが増えてきている現状からすれば、非現実的です。つまり、将来的に、...おいてきぼり

  • 僕は坊ちゃん、俺はガキ

    「豊かさを枯らす?」12月2日劇作家・演出家のわかぎゑふ氏が『「役割語」という大きな枷「僕」「私」-一人称だらけの日本』という表題でコラムを書かれていました。その中でわかぎ氏は、『日本人は男言葉、女言葉をそれぞれ当たり前に使う。他にも大人言葉、子供言葉、不良言葉、上流階級言葉-などいろいろあるが、誰も不思議に思ったことなどないだろう』と書き、これら「役割語」について論じています。わかぎ氏は、『役割語とは、なんという便利な言葉だろうか!日本特有の文化と言っても過言ではない』とする反面、『人の立場を決めつけ(略)日本のジェンダーフリー化を阻む大きな枷になっていないか』と問題提起なさっているのです。今、学校は、「役割語」の使い方である種の変革期にあるように思います。かつての男→僕、女→私という言い方は、「公の場...僕は坊ちゃん、俺はガキ

  • お隣り納税

    「民主制を考える」12月1日『双方向性の選挙に道「デジタル民主主義」の可能性』という見出しの記事が掲載されました。『第52回マニフェスト大賞のグランプリを受賞したAIエンジニア』安野貴博氏へのインタビュー記事です。安野氏が語られている中で気になったのは次の2点です。『具体的な政治課題についてウェブ上で問題提起し、意見を集める仕組みを作れば、有権者が政策決定に関わる機会は広がる』『一つの政策決定の影響を受けるステークホルダーの範囲が広がっていることだ。既存の仕組みでは利害調整できないエリアが生まれている』。最初の点について安野氏は、政治家が有権者に政策を示すという一方向ではなく、ウェブ上で示された制作に有権者が意見を寄せ、その意見に基づいて政策が修正されるという双方向による政策決定をイメージしています。それ...お隣り納税

  • 競い合うのは好きですか

    「ぼんやりと」11月30日書評欄に、JT生命誌研究館名誉館長中村桂子氏による、『「崩壊する日本の公教育」鈴木大裕著(集英社新書)』についての書評が掲載されていました。その中に、『公教育に市場原理を取り入れ、点数での競争を軸にした結果、米国の公教育は荒廃した。今日本が、まさにその後を追っている様子が詳細に語られる。効率と生産性だけが求められる教育現場では、人が人でなくなっていくのである』『政治の教育への介入により、校長の指揮命令下で行われる業務が優先され、自主的・自発的・創造的業務は労働時間とされないという実情は、教師という仕事を消している』などの記述がありました。分かる部分と分らない部分があります。さらに、『生命の営みの中で教育を捉え直し、社会を支えている一人一人の力で動きを変えよう』という提言については...競い合うのは好きですか

  • 一筋に…、

    「たった1回の…」11月29日大学生が作るページ「キャンパる」に、H大のI氏が『幼稚園の先生との再会』という表題でコラムを書かれていました。I氏は、『15年ぶりにお会いして、近況を伺うなかで驚かされたのは、彼女の経歴だった』と書いています。どのような経歴かというと、『18歳で地元の農協に就職(略)幼稚園の先生になりたいという夢をかなえるため、27歳で短大への進学を決意。卒業後は幼稚園の先生(略)その後「人格が形成される前の子どもたちと接する仕事がしたい」と思うようになり、0~2歳児が通う子ども園で働く(略)3年前、今度は小中学生の成長を支援したいという別の夢ができた。選んだのは様々な困難を抱えた子供が集う放課後等デイサービスでの勤務』です。I氏はそんな恩師について、『何歳になっても、夢や目標を叶えるために...一筋に…、

  • ときの流れに身をまかせ

    「反応せず」11月28日『「戦争をしない」を続けるために-戦後80年』という見出しの記事が掲載されました。『日本と周辺地域がこのまま平和を維持し「戦後100年」を迎えるために、何をすべきか。来夏まで断続的に行う委員会形式の座談会で、「あの戦争」と戦後の私たち、そして未来を考えます』という企画の初回です。その中で、基調報告をなさった上智大教授佐藤卓己氏が、気になる言葉を使われていました。『情動社会に生きる私たちに重要なのは、古いリテラシーではありません。多くの人が情報の真偽を即座に見極める力を持つのは、そもそも無理。むしろ曖昧で不確かな情報を上手に見過ごす力、不用意に反応しない力が必要です。多くの場合、情報の真偽は時間の経緯で明らかになります。だから、「曖昧さに耐える」力、ネガティブリテラシーこそが必要なの...ときの流れに身をまかせ

  • 稼ぐ

    「ビジネス教育?」11月27日論点欄は、『トクリュウと闇バイト』というテーマででした。3人の識者がそれぞれの視点から語る中で。私は、東京大講師舟津昌平氏が書かれていることが印象に残りました。特に『短期で楽して稼げる合法的な仕事はない(略)稼ぐことの意味を学ぶビジネス教育を社会として推し進めていく必要があるだろう』という記述に注目させられました。不勉強で恥ずかしいのですが、ビジネス教育という言葉を初めて知りました。そしてそのビジネス教育について、舟津氏が「稼ぐことの意味」という表現を使って説明なさっていることが特に印象に残ったのです。近年、キャリア教育など自分の将来を考えさせる試みが盛んにおこなわれています。自分の夢、自分の才能や特性、生きがいや働き甲斐、自己実現そんな概念は頻繁に登場しますが、「稼ぐ」とい...稼ぐ

  • バナナとダンボール

    「分からなければいけないの」11月26日俳人坪内稔典氏が、一句取り上げ解説するコーナー『季語刻々』、短いので全文引用してみます。『石庭、能、文楽、茶、書…。苦手というか、敬遠しているものである。京都の寺院の石庭を見ても、深遠などとは思わない。石がころがっているだけ、なんということもない。能や文楽は眠くなるし、茶は道具をほめるのがいや。書はたいていが読めないのが不満。というわけで、俳人でありながら日本文化にとても疎い』。全く同感です。もちろん、坪内氏が書かれていることに中には謙遜もあるでしょうし、分からない、感じ取れないと言っても、私の分からないとはレベルが違う可能性は大きいでしょう。ただ、素晴らしいとされるものの中にも、みんながほめるからいいものなのだろうけれど、正直なところはどこがいいのか分からない、と...バナナとダンボール

  • 女性ならでは?

    「女性限定?」11月26日『公開座談会「私学が追求する優れた「学習の質」」』という見出しの記事が掲載されました。そこに登場した、豊島岡女子学園校長竹鼻志乃氏が話されたことが気になりました。重箱の隅をつつくような揚げ足取りだと言われることは承知の上で書きます。『スクールミッションは、志力を持って未来を創る女性の育成です』とおっしゃっているのです。人の育成ではなく、女性の育成という表現が気になったのです。女子校だから女性の育成当然、何が問題なんだ、という声も聞こえてきそうですが、一般的に男子校において、~をもった男性の育成という言い方はしていないように思います。この表現から想像すると、志力を持った人間には、当然のことながら女性と男性がいて、その上で志力のある男性と志力のある女性とでは、何らかの違いがあるし、違...女性ならでは?

  • それ以上は選択制で

    「だから…」11月25日『AI時代こそ語学に意義文化しりより良い意思疎通を』という見出しの記事が掲載されました。『人工頭脳の翻訳技術が進歩すれば、英語を学ぶ必要はない-。そんな「英語学習不要論」を耳にするようになって久しい(略)語学学習は廃れていくのだろうか』という問題意識の下、この疑問に上智大言語教育研究センター長藤田保氏が答える記事です。私はこのブログで、英語教育について、のような指摘をしてきました。以下に引用したのは平成27年に書いたものです。『東京五輪で技術力アピール』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『日本企業が2020年の東京五輪に向けて製品開発を本格化させている』とのことで、具体例として、『パナソニックは2月中旬、東京都江東区で取引先などに向けた展示会を開いた~(中略)~首か...それ以上は選択制で

  • ずるい!

    「ずるい!」11月25日『誰かを頼っていい社会へ』という見出しの記事が掲載されました。新著『「生きることは頼ること」(講談社現代新書)』の著者で哲学者戸谷洋志氏へのインタビュー記事です。戸谷氏は、『「強い責任」と「弱い責任」の対比』から話を始めています。戸谷氏によれば、『自分のことは何でも自分でできるという強い主体によって担われるのが強い責任』であり、『本来はみな傷つきやすさを抱えている。そうした人間観に基づくのが弱い責任』なのだそうです。私は断然、後者、つまり「弱い責任」の考え方を支持します。子育てや介護で追い込まれ、誰かを頼ろうとするのは責任放棄だと助けを求めず、結局無理心中というのでは、かえって責任を果たしたことにはなりません。保育士や介護士など、専門家の力を借りて、友人でも親戚でも近所の人でも、頭...ずるい!

  • 教育弱者を守る

    「悪?」11月25日余禄欄で、イーロン・マスク氏が取り上げられていました。トランプ次期米政権で影響力を発揮しそうなマスク氏の言動を危惧する内容です。その中に気になる記述がありました。『マスク氏が「規制や税金は、経済・社会の発展を阻害する元凶」との極端な考えを持つこと』という記述です。余禄の筆者は「極端な」と書いていますが、同じような考え方をする人は少なくないように感じます。学校教育においても、近年の改革論議は、規制は望ましくないという考え方を基本にして進められてきたように思います。確かに、学校教育は、学習指導要領によって、学ぶ内容や学年が決められています。学年や教科の壁を取り払い、指導における教員の特性や子供の実態などに応じて柔軟に取り組めるようにするということは、魅力的な発想です。しかしそれは、ある種の...教育弱者を守る

  • 教えるのが苦手

    「教員は苦手?」11月23日読者投稿欄に、18歳高校生K氏による『わび状』と題された投稿が掲載されました。K氏は、『小さなうそを積み重ねて生きてきた』とこの投稿を書き出しています。嘘を重ねてきたことを詫びたい、ということで「わび状」というタイトルになっているのです。ではその噓の中身はというと、『「大丈夫?」と聞かれ、大丈夫じゃないのに「大丈夫」と返す』『話にささいな脚色をする』『見ていないことを、まるで当事者のように話す』といったことです。K氏はこうしたうそについて、『どうでもいいようなうそ』と述べ、『小さなうそをつき続けてごめんなさい』と謝り、『私は今日も小さなうそを重ね、誰かの信頼を少しずつ裏切っていく』と自分を突き放しているのです。失礼ですが、私は最初、K氏が精神を病んでいるのではないかと思いました...教えるのが苦手

  • あの子とは合わない

    「肝心なのは」11月22日『1年生対象に「仮学級」導入港区・前区立小』という見出しの記事が掲載されました。『港区は来春から区立小学校1年生を対象に、入学から4月末までを過ごす「プレクラス(仮学級)」を導入する』ことを報じる記事です。記事によると、『児童の特性を把握してからクラスを分けることで、きめ細かい指導につなげる狙い』とのことです。具体的には、『性別や地域、幼稚園からの引き継ぎを基に編成(略)担任教諭が交代で担当し、授業をしながら各児童の特性や発達の状況、児童同士の相性を見極める』とのことです。二つの感想をもちました。まず、情報提供の信用性ということです。中学校においても、新入生の学級編成が行われます。しかし、中学校で仮学級は行われません。それは、小学校からの情報提供に基づけば、子供の特性や人間関係を...あの子とは合わない

  • 疑うことと信じ込むこと

    「間違っていた?」11月21日『不確かな世の処方箋は』という見出しの記事が掲載されました。連載企画『この国はどこへ2024年秋冬に思う』の一環で、歴史学者佐藤卓己氏へのインタビュー記事です。佐藤氏は現代について、『多くの文明史家が、農耕社会、工業社会の次に情報社会が到来すると信じてきました(略)ところが脱工業化の後にやってきたのは、情報社会ではなく情動社会だった』とおっしゃっています。情動社会とは、『喜びや驚き、怒りといった情動的な感情で結びつく』社会であり、『即時的な満足感の最大化が目的とされる』社会のことだそうです。『敵味方に二分された憎悪の感情が飛び交う』社会、米大統領選における分断も情動社会の分かりやすい例だということになります。我が国でも兵庫県知事選における爆発的な感情のうねりに見られるとおり、...疑うことと信じ込むこと

  • まわりまわって

    「まわりまわって」11月20日『保護者から会費徴収名古屋市教育会教員へ3万円使途問わず』という見出しの記事が掲載されました。『名古屋市の学校教員や児童生徒の保護者からの会費で運営されている任意団体「名古屋市教育会」が2023年度、教育研究に関する優秀な論文を執筆した教員108人に「教育研究派遣員費」として計約326万円を支給していたことが判明した』ことを報じる記事です。同会については、以前も教育委員会と混同させるような名称を使って保護者から半ば強制的に会費を徴収していたことが批判的に報じられていました。ですから、ここで改めてその件に触れることはしません。今回は、教員に支給したことに焦点をあてたいと思います。記事では、『保護者から会費を徴収している以上、予算は本来、子どもたちのために支出するもの。教員にお金...まわりまわって

  • 昔からの考え方にも

    「学校で学ぶこと」11月19日『全国の中学生に、様々な分野で活躍する人が語る「授業」』という趣旨の『14歳の君へわたしたちの授業』、今回は野球日本代表前監督栗山英樹氏が登場しました。栗山氏の授業の「教科」は保健体育となっていましたが、内容は学校で学ぶことについて広く触れるものでした。栗山氏が語った言葉の中で気になったものを挙げてみます。まず、『いやなことでも学校でやらされるのはいい経験になります』です。短いですが、示唆に富む言葉です。近年、学校教育においては、子供の自主性を尊重することが正しい、ゆえにやりたいことをやらせるのは良いが、やりたがらないことを無理矢理強制するのは避けるべきだ、という考え方が主流になっています。もちろん、間違いではありません。しかし、何事にも程度というものがあります。やりたいこと...昔からの考え方にも

  • 恥をかく勇気

    「研究授業」11月19日『背負うものがあるから』という見出しの記事が掲載されました。俳優中井貴一氏へのインタビュー記事です。私は、その中で中井氏の話す言葉に注目させられました。『「何歳まで恥をかけるか」というのが、進歩だと思う。恥をかきたくないと思った瞬間に、僕は役者を辞めるべきだと思うんです』という言葉です。私は恥をかくのが嫌いです。誰でもそうだと言われるかもしれませんが、私は変なプライドがあり、自意識過剰なところがあるのです。話は変わりますが、教員にとって一番大切なのが授業力です。人間性が大事という人もいるかもしれませんが、人間性など明確に評価する基準はありません。しかし、授業力は、研究授業をすれば、かなり明確に表れます。校内研修なら20人以上、区の教育研究会などであれば4~50人ほどの教員が見ること...恥をかく勇気

  • 苦情はなかったのか

    「許してもらえる?」11月15日論説委員小倉孝保氏が、『タイパと30分間の会話』という表題でコラムを書かれていました。その中で小倉氏は、英国の看護師シャーロットさんのエピソードを取り上げています。彼女は10代のころから精神的に不安定だったそうです。『命を絶とうと、中部ウェストヨークシャー州の線路内でしゃがみこんだ(略)列車は手前で停止した。運転手が降車し、近づくや膝を折って声を掛けた。「私はデイブです。何か嫌なことでも?」シャーロットさんが「うん、少しだけ」と答えると、14歳年長の運転士は「わかりました。気分が良くなるまで話せますよ」と言った。約30分間の「ごくありふれた会話」で、気持ちの落ち着いた彼女は警察に保護された』という話です。その後彼女は、『彼は時間を割き、私を人間として扱ってくれました』と語っ...苦情はなかったのか

  • 「先生」にはなれなかったけど

    「教員と先生」11月16日人生相談欄に、50歳女性が『手話の先生が怖くて苦痛』と題された相談が寄せられていました。『(手話講座の)先生は気が短い方で私が分からない状態が続くといら立ち、話を切られてしまい、怖い(略)楽しかった手話の勉強が苦痛になってきて、続けるべきか悩んでいます』という相談です。回答者の作家高橋源一郎氏の回答が秀逸です。高橋氏は、『小学校で覚えている「先生」は、T先生ひとりだけです。他の先生は名前も何を言ったかもまるで憶えていません』『中・高・大学で「先生」と呼べるのは大学で所属したゼミのK先生だけ』と述べた後で、『「先生」の役割は、学ぼうとする者の背中をそっと押してあげること(略)あなたが一人で学び続けてゆくうちに、大切な「先生」がいつかあなたの前に姿を現すのだと思います』と書かれていま...「先生」にはなれなかったけど

  • 抜本的ってどんなこと?

    「どうすれば?」11月14日『生活苦の子「学校楽しくない」』という見出しの記事が掲載されました。『公益財団法人「あすのば」が13日のオンライン記者会見で公表』した調査結果について報じる記事です。記事によると、『生活が苦しい子は、学校が楽しくないと感じている』という傾向が明らかになったということです。それ以外にも、『困窮家庭の子どもは授業の理解度が低く、学校で居場所がなく無気力に陥っている』『世帯の収入が低いほど「関係性の貧困」や、子どもの「機会の貧困」の程度が高くなる傾向がある』などの指摘がありました。こうした現状を踏まえ、同法人の代表理事は『公教育の抜本的な見直しが求められる』と語っています。確かに対策が必要な課題です。しかし、抜本的な見直しとはどのようなことをさすのでしょうか。記事にはそのことについて...抜本的ってどんなこと?

  • 最弱は最強を利用して

    「質か量か」11月13日『教員給与議論「乱暴」文科相財務省案を批判』という見出しの記事が掲載されました。『公立学校教員の業務縮減を条件として残業代を支払わない代わりに一律で上乗せされる「教職調整額」を段階的に引き上げるとする財務省案に対し、阿部俊子文部科学相は12日の閣議後記者会見で「教員定数を改善せずに業務縮減を条件とするのは乱暴な議論だ」と批判した』ことについて報じる記事です。文科相の発言に反対です。文科相は、業務削減を教育の質が低下するととらえているように思われます。文科相が描いている教員の業務を削減するということについてのイメージは、子供のノートにコメントを書きこんでいたのに「よくできました」のハンコだけで済ませるようになり子供との信頼関係が崩れるとか、地域と子供の実態に合った教材を開発して授業に...最弱は最強を利用して

  • 見せたい

    「見せたい」11月12日オピニオン編集部小国綾子氏が、『「死刑囚」の自己表現』という表題でコラムを書かれていました。『「死刑囚」の絵画やイラスト展示する「死刑囚表現展2024」』見に行ったことについて書かれたものです。同展は、『死刑制度廃止を求める団体が毎年、東京都内で開いている』ものだそうです。どのような作品がならんでいるのか詳細は記述されていません。ただ、『女性の裸体の絵が並ぶ。縛られている人もいる。怖い…。湧き起こる不快感と恐怖心をうまく抑えられない自分に動揺した』という記述から想像することができます。また、会場で偶然会った作家雨宮処凛氏の言葉、『私も最初、死刑囚たちは罪を反省し、写経や水墨画なんかを描くのだと思っていました。でも実際に見ると違う。女性の裸体に人気アニメのイラスト。同時代に生きている...見せたい

  • いじめとマイクロアグレッション

    「いじめと意図」11月9日書評欄に、東京科学大教授伊藤亜紗氏による『「モヤモヤする正義感情と理性の公共哲学」ベンジャミン・クリッツァー著(晶文社)』についての書評が掲載されていました。その中に、マイクロアグレッションについての記述がありました。マイクロアグレッションとは、『本人には悪意がなかったとしても、結果的に相手を傷つけることになる日常の中の言葉や言動』のことです。例として、『白人に対して「日本語がお上手ですね」と伝えるような行為』が挙げられていました。そして問題点として、『マイクロアグレッションかどうかの判断が被害者側の主観に委ねられていること』が指摘され、『司法の世界では当然考慮に入れられるはずの加害者の意図や客観的な基準がここでは無視され、被害者が不快に思ったかどうかですべてが判断されてしまう。...いじめとマイクロアグレッション

  • グッと我慢

    「抑制力」11月7日『先生にだから話せる真相学校現場「記憶の汚染」防ぐ研修強化』という見出しの記事が掲載されました。『性暴力や虐待被害に遭った子どもの精神的な負担を減らそうと、学校現場で教職員の役割の重要性が増している(略)捜査機関側も被害児童・生徒を巡る刑事手続きの理解を深めてもらうための、学校現場の研修強化に乗り出した』ことについて報じる記事です。要するに、被害に遭った子供から、そのときのことをできるだけ多く、正確に話してもらうために、子供を知り子供の身近な存在である教員が聴取を行うことが、有効かつ子供の負担が少ないという考え方に基づいて、そのための研修が始まっているということです。聴取の際の留意点は、講師役を務めた検察官の『子どもの言葉で自由に語らせ、正確に記録してください。誘導は禁物です』に集約さ...グッと我慢

  • 企業利益擁護

    「学校で教えるとしたら」11月7日『適正飲酒20万人にアピールサントリー来年からセミナー』という見出しの記事が掲載されました。『サントリーは6日、適正飲酒の大切さとお酒の魅力を伝える活動「ドリンクスマイル」を開始すると発表した』ことを報じる記事です。記事によると、『体質などを考慮した「適量」の飲酒の楽しさを伝え~』という内容で、『大学を対象』にするとのことです。とても不思議です。学校には、○○教育という形で、様々な教育課題が持ち込まれます。その中の一つに、薬物教育があります。覚醒剤などの害を伝え、使用させないように知識と行動を身につけさせる教育です。また、禁煙教育も一部では行われています。喫煙が健康に及ぼす害について知り、生涯にわたって喫煙する習慣を身につけないようにするものです。どちらも、広くとらえれば...企業利益擁護

  • 汚れ役はAIに

    「汚れ役」11月5日オピニオン編集部小国綾子氏が、『とりあいじゃんけん』という表題でコラムを書かれていました。とりあいじゃんけんとは、『リーダー2人が繰り返しじゃんけんをし、毎回勝った順に1人ずつ仲間を選んでいく』というグループ分けの方法です。小国氏は、『(ドッジボールのチーム分けでは)私は運動音痴で、子ども時代は大抵「最後の一人」だった』と述懐し、そうした子供にとっては残酷な仕組みで、とりあいじゃんけんはいじめの温床であるという指摘があることを紹介し、一方で一定の合理性があるという指摘があることも示されています。教員時代、多くのグループ分けを経験してきました。学習班、清掃当番、移動教室の行動班、リレーのチーム分け、球技大会のチーム分け、そのときそのときでさまざまな方法を取ってきました。とりあいじゃんけん...汚れ役はAIに

  • 大事なのは「楽しい!」

    「つまらない」11月5日『AI対「なんじゃ、こりゃあ」』という見出しの記事が掲載されました。藤原章生記者が、社会学者大澤真幸氏に取材した記事です。『AI的な書き方になって、言語のもっとも良質な部分が失われる感じ』『自分の言いたいことをAIに先取りされた気持ちになる』『我々が言葉を生み出す豊かさみたいなものが失われるのはあまりに悲しい』など、魅力的な話が満載なのですが、私が注目させられたのは、次の記述でした。『AIで仕事がなくなるというより、仕事がつまらなくなる気がするんです』です。私は、自分なりにAIのことを気にしていました。AIの普及で学校が変わる、授業が変わる、教員の仕事が変わる、さらに言えば、教員は不要になるのか、など考えていました。しかしその際に、要不要という考え方はあっても、つまらないか楽しいか...大事なのは「楽しい!」

  • いじめ傍観者に似たり

    「いじめ傍観者」11月5日専修大教授武田徹氏が、『民主主義守る戦略が急務「政治非関与層」の棄権』という表題でコラムを書かれていました。その中で武田氏は、『「政治的なことには、できればかかわりたくない」と答える、いわゆる「政治非関与層」が全体の約45%』というアンケート結果を示し、『政治的非関与層が、実は結果的に政治的影響力をもつのかもしれない』と述べられています。武田氏は、その理由として『私生活を守ることを優先する政治非関与層は、治安向上になればプライバシーや権利の制約に賛成する傾向がうかがわれるという。つまり彼らは、私権の制約をいとわない権威主義体制と親和的な心情をもつ(略)政治非関与層の増加が、専制的な政治体制の成立を許す懸念が日本社会にはある。「政治とは監視していくもの」という設問に35%もが否定的...いじめ傍観者に似たり

  • お国(支持率?)のため

    「お国のため?」11月5日『浸透する金融教育の功罪』という見出しの記事が掲載されました。私はこのコラムで、金融教育に対する問題意識を述べてきました。今回の記事は、私の懸念を後押しするものでした。記事は、『国が「貯蓄から投資へ」と動き出したのは20年以上前(略)国が個人金融資産を株式投資にシフトする方針を打ち出すと、金融庁は文部科学省に金融教育の推進を要請(略)05年を「金融教育元年」と位置付け~』と、国の経済政策に寄与するための施策であったことを示しています。このようにして本格化した金融教育の現状について、大坂公立大商学部准教授西尾圭一郎氏は、『国は投資促進による経済的な効果ばかり期待するのではなく、国民がお金を通じて幸せになれるようなリテラシーの向上に向け、丁寧な情報発信をすべき』と注文を付けているので...お国(支持率?)のため

  • 明治維新のときのように

    「明治は遠くなりにけり」11月5日精神科医香山リカ氏が、『「シン・ふるさと」に期待』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、現在勤務している診療所で『看護課の有志が、患者さんに聞かせようと縦笛やオカリナの練習をしている』ことについて触れ、『一番喜んでもらえるのは「ふるさと」だ。一緒に口ずさみ、中には涙ぐむ人もいる(略)「われは海の子」や「夕焼け小焼け」などもほとんどの高齢者が知っている』と書かれています。光景が浮かぶようです。私が将来高齢者施設に入ったとして、そのときに歌われる歌は何なのか、と考えてしまいました。そして、その後の香山氏の指摘に考え込まされてしまいました。香山氏は、『今の若い人たちはどうなのだろう(略)何十年後かに高齢になり病気になって入院し、そこの看護師も笛の練習をしていた...明治維新のときのように

  • 無色透明

    「望ましい方向性」11月4日『男子高校生キス経験22%過去最低コロナ禍影響か』という見出しの記事が掲載されました。『日本製教育協会による「青少年の性行動全国調査」』の結果を報じる記事です。記事には、『2023年度の男子高校生のキス経験率は5人に1人で、1974年度の調査開始以来最低となった』『性交経験率は男子高校生が同3.5㌽減の12.0%、女子高校生が同5.3㌽減の14.8%だった』『デート経験率は中高生男女で落ち込んだ』『自慰経験率が中高大学生の男女全てで増加』などの結果が並んでいます。もちろんこうした結果についての分析も掲載され、『コロナウイルス禍が、中高生の性行動の経験率を押し下げた』『(自慰経験の)増加は、「マンガなどで性表現に触れる機会が増えたことが要因」』等の記述がありました。興味深い結果で...無色透明

  • 勉強嫌いは私の個性、多様性を認めて

    「多様性考」11月3日日曜日の読者投稿欄は、『多様性互いを認め合おう』というテーマの特集でした。多くの投稿の中で、兵庫県の54歳T氏の『心配多い高齢者介護』と題された投稿が気になりました。T氏は『80代の父の介護が始ま』ったという方です。施設を検討中ということですが、『上手に団体生活を送れないといけないのが大問題だと分かった。父母は人付き合いが苦手なのだ』ということで不安を抱かれています。そして、『高齢者になった時も社交的にならないといけない施設しかないのか。認知症を防ぐためにいきなり社会参加せねばならないのか、。難題ではないか。ならば今、私の親のような性格の高齢者の多様性を認める施設や方法はないのか』と書かれているのです。私の両親も介護の末に施設でお世話になりました。確かに施設では集団で体操をしたり歌を...勉強嫌いは私の個性、多様性を認めて

  • メディアは最先端では?

    「2周遅れ」11月2日ナレーター近藤サト氏が、『「奥様」か「妻」か言葉が変わる時は社会が動く時』という表題でコラムを書かれていました。その中で近藤氏は、バラエティー番組中で「早速、奥様に聞いてみると」というフレーズが問題になった顛末を書かれています。『当事者が語るのは良しとしても、令和の今は「妻」とした方がベター』という決定が『聞きなじみがなく耳に障るので「奥様」に戻してください』という再修正依頼に遭い、結局2パターンを収録。最終判断は制作トップに委ねることになったという話です。こうした騒動を踏まえ、近藤氏は『ジェンダー平等という成熟した社会の新しい概念に、なじみのある慣習的表現が合わなくなった今、私たちはどうすればいいでしょうか』と問うのです。私が奇異に感じたのはその後の記述です。『奥様、嫁、家内、細君...メディアは最先端では?

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