家じまい まさしくそれは ふるさとに 別れを告げる悲しき儀式
ふるさとの 空き家解体 請求の 振り込み終えて秋の空見る
ハロウィンで にぎわう意味が 分からない お休みします渋谷のハチ公
嗚呼今日も スピーカーから「ふるさと」の メロディー流れひと日を終える
またひとつ 雑木林が すがた消す 再開発の美名のもとに
しとしとと 雨降る秋の 夕暮れは 何はなくとも寂しさつのる
一片の チョコを含んで また歩く 北アルプスの表銀座を・若き日の思い出
二次会は 酒を飲まずに 喫茶店 女性仲間にまぎれてカフェを・現役の頃
LINEにて 贈ってくれる さつまいも 友のはたけは秋満載に
曇天の 空でもなぜか 快活で 前見てあゆむ検診のあと
しあわせを 願う言葉は こだまして 言ったわたしのこころをつつむ
この昼は 投票済票 持ちて行く ラーメン店にたまごは無料
ふるさとの 弥彦の山と 信濃川 尋ねてみたいふけゆく秋に
熱血が どうにも苦手 野辺に咲く コスモスが好きピンクの色の
秋色の 武蔵の山を 窓に見て 深く息するひとりの部屋で
ポロシャツに 汗がにじんだ 六千歩 ここちよきかな秋晴れの道
青空に 淡いピンクの コスモスが 風に揺れたる団地の隅で
秋色の 朝に淹れたる コーヒーは 少し苦めのジャーマンロースト
あこがれは 螺旋をえがき 青空へ 今が青春二十歳のわれは・半世紀前
いつのまに 二万四千 歌を詠む 日々の生活振りかえりつつ
秋色が じわりじわりと 濃くなれば 京が恋しいいろはもみじの
あの頃は インスタントの ラーメンが 主食のようなひとりの部屋で
涼やかな 秩父の山を 窓に見て 一首をつづる極上のとき
すきとおる 鏡のような 秋空を ながめてあゆむ歩幅を広く
おそろいの 運動会の Tシャツを わたしはこばむ職員室で・現役の頃
冷えこんだ 今日の朝こそ 香り立つ コーヒー淹れる秋のリビング
セーターを 取り出し羽織る この寒さ 十月二十日日曜の朝
本当に 知恵ある者は いばらずに 謙虚であると今日の運勢
新聞の 文字は優しく あたたかい 無くならないで紙の文化よ
どことなく ノスタルジックに なりますね 金木犀のかおる土曜日
二年間 担任すれば 教え子の 文字は似てくるわがまる文字に・現役の頃
人生の 余白は広く 広くあり まだまだやれるまだまだできる
もくもくと 白線を引く 校庭に 子らの登校前のひと汗・現役の頃
しあわせは 足元にあり 香り立つ なぜかなつかし金木犀に
歴史とは 勝者の歴史 敗者にも 思いをはせる読書を終えて
早朝の 四時に目が覚め 歌を詠む さやかな風を個室に呼んで
ふるさとの 空き家解体 終了の LINEがとどく写真を添えて
青春の 思い出詰まる キャンパスを 訪ねてみたい小田急線で
曇天の 空でもかおる 金木犀 団地の隅のスーパー裏で
スランプの われを励ます 校庭の 隅に咲きたるコスモスの花・リタイアした年
亡きネコの 遺影にかざる リンドウの うすむらさきの花一輪を
透明の 音無き風は やわらかに 香りを運ぶ金木犀の
いつのまに ついていました 赤い実が 並木通りのハナのミズキに
灰色の 街をいっきに 抜け出して 軽くなったね二十歳のわれは・半世紀前
秩父多摩 丹沢すべてを 見わたせる 秋の武蔵野大地に立てば
咲き初むる 金木犀の 花の香に 秋を味わう秋を楽しむ
若き日は 時を忘れて はたらいた ブラックなんて考えもせず
天高く 生きるよろこび 三回の 手術乗り越え今を楽しむ
校庭に まっすぐ白線 引けたとき 自立できたよ新任として・教員なりたての頃
一瞬に 浮かんで消える ふるさとは ひかりのようです山河も友も
かえり道 ひとりコーヒー 飲むことを 喜びとして宴会終える・現役の頃 下戸なるわれは
一輪の コスモス渡し 戦争に 由美子は何も分からないまま・国語教科書 「ひとつの花」より
段々を のぼればそこは 長谷の寺 眼下に見える湘南の海
秋風に 吹かれて深く 息をする 歩くよろこび噛みしめながら
香り立つ コーヒー淹れて しあわせに 秋の日曜午前六時に
爽やかな 朝の日差しを 手にとって 口に運べば秋の味する
言葉では あらわし切れぬ 安らぎを 与えてくれるコスモスの花
朝の陽を 浴びた個室の 窓を開け 秋のかおりの風をとりこむ
あまりにも 爽やかなので コーヒーを 淹れるとしよう午前五時半
穏やかな ひと日を終える 夕暮れの 風に吹かれる十月十日
木々の葉が 色づきはじめ ようやくに 秋のにおいの武蔵野の丘
朝焼けの 秩父の山を 窓に見て ひとくちすするホットコーヒー
雨も止み 今朝は爽やか 今日の日を できることなら明るく過ごす
キャンパスの 螺旋階段 かけのぼり 富士をながめた二十歳のわれは
あの頃は ひたすら前を 見ていたね まっすぐだった二十歳のわれは
どんよりと くもれる空を 見る朝も なぜかひかりがこころの中に
匂うのは いつになるやら 金木犀 野辺を歩けど街を歩けど
朝刊を 隅から隅まで 読み終えて 窓を開ければ涼しき風が
神護寺の もみじの谷を 思い出す 行けるだろうかおのれの足で
ふるさとの 空き家解体 終了が せまる十月寂しさつのる
ありがとう 酷暑のあとの 贈り物 秋の風吹く武蔵の国に
人生の ひかりと影を 乗り越えて 今を楽しめわが良き友よ
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神無月 洒落たるひびき それだけで 時は豊かに流れて行くよ
もう異常 なんて言葉は 吹き飛んで 十月二日今日も真夏日
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曼珠沙華 なぜか季節を 知っている かならず咲くや彼岸の時期に
さて今日も お金かけずに ゆったりと こころの奥を旅してみるか
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この朝は 久しぶりにて 夢を観る 児等と楽しく交わる夢を・教職現役の頃の
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家じまい まさしくそれは ふるさとに 別れを告げる悲しき儀式
水仙は 群れてひかりを 閉じ込めて さらに花咲く小高き丘に
あの頃は 夢中で読んだ「古代史疑」学者のごとき松本清張
ミャクミャクが 泣いていますよ 万博の 販売低迷どうにもならず
体調の 不良のつづく このところ やっと詠えた復調間近
「吉原」を 美化するなかれ ジェンダーの 歴史に立てば汚点を残す
やわらかに 春のひかりの 差し込んで しら梅かおる武蔵の丘は
王様の ごとくふるまう トランプの 肌が泡立つその言動に
雪国で 生活したら 分かります ロマンなど無く雪とのたたかい
メロディーが 浮かんできます この季節 卒業ソング「旅立ちの日に」
なにひとつ 浮かばぬときは とりあえず コーヒー淹れる極寒の朝
西武線 ラブューに乗れば さりげなく 車窓に映るましろき富士が
雪国は 遠くにありて 思うもの 離れられないここ武蔵野を
今日もまた 三十一文字を 記す朝 白いページに日記のごとく
ふたりきりで 初めて帰る 約束の 雪降る駅の高三の夢
スランプを 抜け出せたのか わが友よ 返信ありてホッとする夜
キャンパスの 芝に寝ころび 夢を見て わくわくしてた明日のわたしは
音楽は 若い記憶を 呼び覚まし あの日に会える魔法の日記
夕暮れの マイム・マイムの 輪に入り 子らと踊ったキャンプファイヤー
またひとつ 遠くなります ふるさとが 実家解体更地になりて
可憐なる セツブンソウが 咲き初むり ひかり満ちたる秩父の里は
三回の 病い乗り越え 今があり コーヒーすする生きるあかしに
病歴を 語れば皆も 食いついて にぎわう今日の友だちLINEは
新聞を めくれば朝が はじまって お茶を飲もうかカフェを飲もうか
若き日の ローマの路地の バールにて 立ち飲みをしたエスプレッソを
空青き つくばの峰に ひかり差す 友のLINEで目覚める朝は
未熟なる 二十歳のわれを 追いかけて「なごり雪」聴く曇天の午後
問題と 課題のちがい 考えて 板書すすめた算数授業
日本史に うといわたしに 関心を 呼びこみました明日香の旅は
早春の ひかりの海を 窓に見て 下田に向かう踊り子号で・伊豆の下田
日曜の 朝日歌壇を 読むにつけ 妙に納得選者の意図を
民宿の ような朝食 生卵・海苔に梅干し・ホカホカご飯
リビングに 差しこむ朝の ひかり受け 上がるテンション今日も日曜
さて今日は わが誕生日 中華にて 十年ぶりの北京ダックを
ふるさとは 迎えてくれる いついつも 弥彦の山も信濃の川も
バースデー 祝うかのよう 路地に咲く 色とりどりのアネモネの花
親戚の 人らと語る 宴席で あらためて知る父のルーツを
ふるさとの 弥彦の山を 窓に見て 電車はすすむ越後平野を
のんびりと 街を歩いて カフェに入り ひとりで過ごす贅沢時間
コーヒーを 飲めるよろこび ドリップに 熱湯そそぐ冷たい朝に