■■ はじめに・・・ ■■ *当ブログは2人組で運営しております。*内容は男性同士の恋愛等をメインに取り扱った一次創作です。 BLなどのご理解を頂けていない方、嫌悪感を抱かれる方は回れ右でお願い致します。 ま
オリジナルBL小説です。主に高校生の恋愛(R-18)。管理人は2人で文と絵、基本ハピエン。毎日更新
CP傾向はドS×ネガティブ天然・後輩×先輩・弟×兄中心に展開です。 どんな形であれ受け溺愛。 S/鬼畜/わんこ/ツンデレ/ネガティブ/天然/不憫/小悪魔/クール/男前/など
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そろそろ昼下がりになるだろうか。切なくなるほど紺碧の、真っ青な空だった。何もかもが浄化されそうな明朗な青。吸い込まれそうなほどの青。 泣きたくなるような青の中、先ほどから胸が高鳴って止まない。鼓動の音が耳に届きそうな気がする。悠久の時を経
◆水晶の涙◆ ── とある王国 神の子が禁忌を犯し、居なくなってから長い年月が過ぎ去った……。 辺境の村で少年2人は、いつも通り平穏に暮らしていたはずだった。 *赤&ra
翌日、アルスが動けないためファインはとても献身的に何でもしてくれた。それもあるし、そもそも確かに誘ったのが自分のため、アルスは文句の一つも言えず献身的なファインに甘えさせてもらうしかなかった。 ようやく出発すると、二人はとりあえずフィール
*R-18指定あり注意今回のお話は性的表現が含まれる部分がございます。18歳以上でR指定大丈夫な方のみおすすみ下さい。
フォルアが初めてモナと出会った時のことを思えば、そして気が遠くなるような永久の時を経てもあれほどモナを求めていたフォルアを思えば、何ら不思議ではないと思えた。 アルスはといえば、そう聞いてから隣にいたフォルアをぎゅっと抱きしめている。さす
世話になった家には、たくさんの獲物や木の実などを置いてきた。ファインたちの生まれ育ったアイトールでもそうだったが、現金はさほど役に立たないというか、王国などへ出向くなら必要かもしれないが、普段の生活ではあまり必要なかった。それよりも食料や
子どもたちや家で話してくれた女性の話を聞くと、ファインでも間違いなく老婆がモナだろうと思えた。 森に魔物や獣が出なくなったのも、モナの影響だろう。転生したモナにまだ神の子としての力があるのかどうか定かではなかったが、きっとモナの力だと思え
少女の母親が言うには、気づけば魔物どころか危険そうな獣も見当たらなくなった森に、食べ物は必要なため木の実などを取りに恐る恐る入ったら、その老婆を見つけたらしい。 素朴な村だ。今すぐ餓死するといった風ではないが、決して裕福な暮らしもしていな
翌日、四人はプラデェ王国を出た。その足で今度は反対側にあるクーニグという村を目指す。途中、ちらほら小さな集落があったので、そこでもモナについての情報を集めようとした。ただ残念ながら王国で得た情報以上の話は入ってこなかった。 クーニグに入っ
ファインとそういった行為ができた翌日、アルスはさすがに自分の体の限界を知った。「普段から鍛えてるのに残念」「いや、さすがに……」「俺としては余すところなく鍛えてたつもりだったんだけど、まだまだだったんだなってち
*R-18指定あり注意今回のお話は性的表現が含まれる部分がございます。18歳以上でR指定大丈夫な方のみおすすみ下さい。
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ファインの考えを聞けて、アルスはとても嬉しかったし温かい気持ちになれた。 おそらくは「何を馬鹿な」と他人からは言われる甘い考えかもしれない。だが、ファインとならきっと実現できそうな気がした。 ううん、実現、するんだ。俺も、一緒に。 自分の
「カースと行動するようになるまでは、結構滞在した町や村で親しくなった人っていただろ」 アルスの言葉にファインは頷いた。「そうだな」 トーロイのアデールやシュロンの道具屋店主、シュイナール王国の鍛冶屋夫婦やドワーフ、アクアードのエヴゲニーヤや
翌日、カースとフォルアは出かけて行った。それを見送りながら、ファインは少なくともスッキリはしていなかった。 カースがそうせざるを得ないことはわかる。しょせんカースからしたらあまりに短い寿命であるファインにわかることなど、実際は何もないだろ
四人一部屋は少々残念ではあったが、夜こうして眠る状況になってファインは改めて「四人でよかったかもしれない」と思った。アルスと恋人という関係になってから初めてちゃんとした宿の部屋で眠るわけで、正直なところ二人きりで眠りたさは、激しくある。だ
あまり口にしたくないながらにアルスが言えば、ファインがまた「それな」と頷いた後、薬酒を飲む。ベクセジュと呼ばれる、クコの実やリコリスなどが入った発酵酒らしい。この地域独特の酒だろう。ほんのり甘くてアルスは気に入っている。成人してから酒もあ
ところでファインと両思いとなり、おそらく「つき合っている」という状態なのだろう、今は。ただ、アルスはいまいちまだ実感しきれていない。家族のような存在である二人という認識から脱し切れていないとでも言うのだろうか。 もちろんファインのことが好
きっとモナはプラデェ王国かその近辺にきっと、いや、絶対、いる。アルスはそう思った。 ファインの考察を聞いたからだけではない。野生の勘とでも言うのだろうか。それとも単に「いて欲しい」という願望からくるものだろうか。 わからないけど&hell
もちろん、すぐ何か有益な情報が手に入るとは思っていなかったが、やはり特にこれといった話は耳にできなかった。ただ、セルゲイが収めていたウラジード付近はさておき、他の国と比べて例の歌を知っている人が少なくない。他国ではモーティル教徒として歌と
森を抜けても山道へと入っていくしかなかった。このまま右方向へ進めばプラデェ王国へたどり着く。左側方向なら王国領である村、クーニグがあるようだ。「プラデェ王国領は大きいけど、俺らが把握できてる大陸の一番東にあるからか、周りにほぼ町村、ないみ
「俺も……俺は、ファインが好きだから」 一瞬聞き間違いかと思った。多分感情が少々入り乱れすぎて支離滅裂になってしまっているのかもしれないとファインは小さく、だが深く、息を吸い込む。そして吐く。「アルス&helli
ファインに言われたことはあの時、結構刺さっていたのだろう。「お前が何でああいうキスが嫌じゃないか、わからねえならもう、それでいい。それにお前の中では親にキスするのとオレとさっきのようなキスする感覚は同じなのかもしんねえしな。もう、いい」
「他人に置き換えるってどういうこと。第一、俺の体の状態と関係ないような……」 思ったことを口にすれば「いいから」とカースが続けてくる。「例えばさ、ナージフとファインが挨拶ってことでお互いハグしたとするだろ」「何で
ファインが好きだと、打ち明けられた。 アルスは肩の荷が下りたかのようにホッとした。ボルフォルドに会う前からひたすら悶々と考えていただけに、気持ちを口にして照れたり緊張したりするより使命を果たしたかのような、脱力にも近い安堵感がまず押し寄せ
やはり少々歩いた程度では村も町も見つからなかった。だが予想通り森には洞窟とまではいかなくとも四人が休むには十分な洞穴があった。 ちなみに洞窟や洞穴ができるには気の遠くなるような年月が必要で、雨水や地下水が何十年、何百年とかけてじわじわ岩を
急に動悸が激しくなった気がする。ファインは自分に落ち着けと心の中で言い聞かせた。 あれだ。いつもみたいにオレの都合いいように考えている可能性あんだろ。もう一度思い返せ。 だが深呼吸してから思い返しても同じ会話しか浮かばない。「&helli
ファインとアルスが言い合っている間に、カースとフォルアでボルフォルドを埋めてくれていたようだ。その上で改めてアルスを見て、話を遮ってでも治療を優先したほうがいいとカースは判断したのだろう。 ファインとて冷静だったならばアルスの治療を最優先
剣ではじかれるのが予想外だったのか、ボルフォルドの反応に遅れが生じた。それでもすぐ立て直そうとしていたが、些細であれアルスが見逃すはずなかった。今までどれくらい剣を振り、練習だけでなく実戦で体を動かしてきたかわからない。今もボルフォルドの
ずっと一緒に旅してきたからか、自然と動きの連携は取れていた。それに、ルビアと対決した時とやり方は似ていた。 あの時もファインが指示を出してくれていた。魔力や戦闘の強さで言うならダントツにカースやフォルアだと言い切れるが、こういう時にさっと
いい加減にしろとファインは本気で忌々しげに怒鳴っているが、目の前にいる老人をアルスは少々引きつった気持ちで見た。 あれから結構経っている。だが今でも覚えている。魔法が得意でないアルスですら、初めて見たボルフォルドに対し相当な魔力の持ち主で
結局アルスは何ともなかったようだ。診てくれたカースいわく「少し疲れてただけじゃないかな」らしい。フォルアも診てくれたのかもしれないが、とりあえず安定の無反応だった。「でも……」「本当に大丈夫だって。だいたいあの
しばらく抱きしめたままでいたが、アルスが「そろそろ離して」と言ってきてファインはようやくハッとなった。「あ、えっと、悪い」「ううん。悪くはないけど、ずっとだと何だか落ち着かなくて」「落ち着かない? 何で」 アルスに自分の気持ちがバレてから
カルフォンの王に提案されたことはさすがに即答するわけにもいかず、一旦持ち帰りでファインはアルスと話し合った。とはいえその話が長くなることはなかった。 二人ともに魅力的すぎる話だと理解はしている。だがありえないほど破格の申し出をされ、むしろ
ファインが持っていたクレブスだが、実際処方したのはフォルアだった。「オレだとまだ扱ったことなくて詳しくわからねえから何かあってもまずいし、万が一効きが悪くなっても困る」 ファインはアルスからすれば大抵何でも知っている。蓄えている知識は豊富
水晶の件はすぐ王の耳にも届いたようだ。アルスたちの存在も知ることとなり結果、クレブスのこともあからさまになった。 身元が確かではないため数日かけて様子を窺ってからとモーヴェルトが言っていたのは案の定、クレブスの存在を公にしないためとアルス
ここへ来てからのフォルアが何となくおかしいような気がして、アルスはとうとう直接本人に聞いた。「フォルア、どうかしたの?」 ただ聞き方が抽象的だったのだろう。フォルアは首を傾げながらアルスを見てくる。ついでにファインも少し首を傾げながらアル
「あれは私が持つべきものだ」 キャンドルの灯りの中、モーヴェルトは呟いた。 彼らと話していて不意に目に入ってきたそれを見た時、モーヴェルトは自分の目を疑った。ほんの一瞬過ぎて幻を見たのかとも思った。 何という……
そのアルスも成人して体がしっかりできてきたからだろうか。以前は馬鹿力であっても筋肉などまったくないように見えていた体が最近は結構引き締まってきているように思える。 ちなみにアルスの体を日々覗き見しているのではなく、風呂を時折一緒に入る羽目
「オレに奪われんのかって思ってるような態度よせ。オレが、んなことしてどうするよ。ったく。とばっちり過ぎんだろが」 微妙な顔でファインが見下ろせば、フォルアはじっとファインを見た後に抱きかかえた楽器兼武器に顔を摺り寄せた。 そんな様子のフォル
ふと少し口元がほころんでいるアルスに気づき、ファインはとりあえず心の中にその表情を秒で保存してから続けた。「でもな。それこそ神に一番近そうなヤツがそんなこと、考えたり言ったりするか? しかも患者は王族の誰かだろ? 普通、それこそ希望がある
横にも幅のある男だけに、身を乗り出すと勢いもあって迫力があるなとアルスはそっと思った。顔はおそらく整っていると思うのだが、横幅があるせいでそちらに気が行きがちだ。「その彼が持っている剣……」「は?」 ファインが
モーティル教徒、それも教皇と聞いてアルスは相当驚いたが、それはファインも同じのようだ。少し唖然とした顔してから、ファインは軽く頭を下げ口を開いた。「はじめまして。オレはファインと申します。いきなり不躾な質問で申し訳ないですが、何故モーティ
ギルドの部屋へ通され、責任者っぽい人と交渉しているファインを見て、アルスはなるべく顔に出さないようにしながら内心ひたすら感心していた。アルスだったら言われるまますぐにきのこを出していただろう。 でも目の前でファインと話しているギルドの上席
カルフォン王国は想像していた以上に大きな王国都市だった。風属性の土地で気温なども過ごしやすいということもあるのか、通常ならかなり賑わっていたと思われる。 ただ、噂や実際行っている通行制限のせいだろう。ようやく町中へ入った時はどこか閑散とし
「あの、ファイン? ほんと大丈夫か?」 どうやら不本意ながらフォルアのことを考えていて、アルスの問いかけに答えていなかったようだ。真剣に不本意だ。「ああ、悪い。問題ない。えっと、どういう話だってことだよな?」「うん…&hell
「リブス病……」 ギルドへ向かいながらファインが言った疫病の話に、アルスはポカンとしていた。だが少しして「あ! そうか、きのこ……」と独り言のように呟いている。 そう、とファインは頷い
唖然としてしまったが、しても仕方ない気がする。噂とはいえこれほど大掛かりな様子で話題に出る上、以前実際に出入りを制限していたのを知っている。多分本当に流行っているのだろう。 そんなヤバそうな疫病が、きのこで? 何を言っているのかとアルスは
カザンはさほど大きな町ではなかったが、それなりに賑わっていたのだろう様子が窺えた。とはいえ今は少々閑散としている。「カルフォンでどうやら疫病が出ているらしい」 そんな話をそこここで耳にする。そのせいで地元住民以外あまりいないのかもしれない
モーティル島から戻るには、いったんまたローヴァン王国へ向かうしかなかった。他の国へ向かう方法もあるが、未知の土地すぎて旅をしているとはいえさすがに警戒心のほうが好奇心よりも強い。カースは「もしかしたら言語とか文化は全然違っても、多分この辺
カースからここはかつて町だったと聞いていたが、今はその名残すらない。ただ木々に囲まれた自然あふれる島にしか見えなかった。 囲まれるっつっても、何だろな、自然織りなす森ってよりは手入れの行き届いた静かな自然公園って感じだけどな。 島に着いた
ローヴァン王国を出て南に下るも、町や村は見当たらなかった。ましてやそこから海へ出る船などあるはずもなく。「まあ、作ればいいわけだしな」 カースがさらりと言っている。普通なら「虚言癖か」とさえ思いそうなことだが、実際作って乗ったファインやア
ルビアを倒してからもたまにボルフォルドが送ってきたのだろうなと思われる魔物に襲われることはあった。何故そう思うかといえば、ファインたちをあえて狙っていると何となくわかる上にそういった魔物の大抵がアンデッド系の魔物だったからだ。「この辺なら
待ち合わせ場所には予定よりも早く着いてしまったようで、ダロッドは何をするでもなくぼんやりと立っていた。 この辺りは気温が低めでダロッドとしては心地いい。精霊の加護とやらが土地に根付いていると耳にしたことがあるものの、その辺の魔物ならまだし
「聞けよ。この俺が。この俺が直々にな、ボルフォルド様から命を受けてな、よくわかんねーやつら二人、殺しに行くんだぜ。ボルフォルド様のアンデッドをことごとく倒すようなやつららしいし、すげー楽しみ。つか、直々にこの俺が命を受けたんだぜ。すげーよな
気づけば迷い込んだのか、人間の町だか村だかにいて、そして気づけばそこの住民からひどい虐待を受けていた。 ただ、その時は虐待だとすらわからず、理不尽な扱いを受けようが奴隷のように扱われようが、ほんのたまにもらえる今思えば残飯が嬉しくてそこに
最初は渋々町中を一人、歩いたりしていたアルスだが、次第に散歩が楽しくなっていた。たった一人で行動するのが相当久しぶりだから余計なのかもしれない。 別に一人になりたいと日々考えたことなどないし、どちらかといえばアルスは昔からファインと一緒に
ローヴァン王国には様々な素材がそろっているからと、カースがアルスに対雷属性魔道具を作ってくれた。おかげでずいぶん楽になった。以前から使っていた青い髪紐とそっくりに作ってくれたそれは、魔力を高めるだけでなく雷に対して無効化とまではいかなくと
ローヴァン王国はそれなりに大きな都市だった。高い城壁に囲まれた町は寒い土地にも関わらず見るからに繁盛している風だ。「この場所は島を挟んでさらに大きな国、カルフォン王国とそしてかつてのモーティナ神殿のあるモーティル島に囲まれたようなものだか
だがフォルアはファインを見てきた後に「行っても問題ない」と呟いてくる。「え? あ、あ。っていうか今オレの心読んだのか?」 突然言われ、ファインは少々動揺した。アルスやカースに言われても動揺まではしないだろうが、基本無反応無口なフォルアだけ
とりあえず話したところでアルスの調子がよくなるわけでもなく、結局ファインはなるべく変なことを考えないようにしながらアルスを抱きしめて眠った。 以前だったら下手すれば一睡もできず朝を迎えるところだが、一応眠れたので我ながら多少は成長している
アルスはもしかして実は本当に頭、悪いとかじゃないだろうな。 思わずそんな心配してしまうのも無理はないとファインは自分に言い聞かせるように思った。本当に何を言い出すのか。心底「こいつ大丈夫か」とさすがのファインでも思ってしまう。「襲ってみて
「え、っと……ごめん」 勢いなどに圧倒されながらもアルスが謝ると、ファインはハッとしたような顔になり、またアルスを抱きしめてきた。「いや。オレが悪い。声荒げてごめん。あと調子悪くて寒いっつってんのに体離してごめん
抜こうかと言った後、まるでこの場の時間が止まったかのようにファインの反応が一切「無」になった。何も言わないどころか身動きすらなく、息をしているかも怪しい。「ファイン? 大丈夫か?」「……、…&he
ファインを意識しているのは嘘じゃない。ただそれが、ずっと昔から一緒だった幼馴染に言われたせいなのか、アルスも実はファインのことを憎からず思っているからなのか、わからない。 皆、どうやって誰かのことがそういう意味で好きだってわかるんだろ。
とはいえ一緒の部屋だからこそ、今アルスが言った言葉をもっと掘り下げ真剣に話し合いたいと思いつつも、やりにくさしかない。「……ジレンマ」「え?」「ぶは」 思わず口から勝手に漏れた言葉にポカンとしているアルスに対し
心の中でひたすら「かわいいかわいい」とファインは先ほどから悶えているが、さすがに表に出すわけにいかない。気持ちはばれているとはいえ、ちょっとしたことで絶えず「かわいい」と思ってしまうところまでばれてしまうのはさすがに引かれる気がする。それ
「そっか、アルスは水属性だっけか」 普段あまり属性云々気にしてないからピンとこなかったよ、とカースが苦笑している。ハーフとはいえエルフの血が混じっているカースはどうやらファインたちとは魔法の使い方もやはり違うようだ。「やっぱカースの魔法って
ということで気づけば翌朝だった。 寝落ちるの、早すぎない? 俺。 考え、悩んでいたとは思えない。いや、夜は考えるのをやめようと決めたからこそ一旦すっきりして眠ろうとは思った。思ったが、それでも早すぎないだろうか。 こういうとこだぞ。 アル
とりあえずわからないながらに意識してしまっているからだろうか。夜、ファインと二人きりで眠るのがこんなに落ち着かなかったことはないなとアルスはひたすら思っていた。 今日ファインから流れでだが「欲望を押しつける」的なことを言われた時も妙な意識
とりあえずファインと仲直りというか、変なわだかまりも失くせたようでアルスはホッとした。自分の至らない言動のせいでファインを傷つけたり勘違いされるのは本望じゃない。 ……勘違い、かぁ。 アルスがファインに対して嫌
多分困っているのだろう。元々アルスは口がうまいわけではない。 困らせたままとか情けないだろ、オレ。「アルス。ほんと、気、つかうな。オレは大丈夫だ」「違うんだ」 また「違う」をいただいた。何が違うと言うのか。ここは困っているのをわかりつつア
息を切らせながらアルスが近づいてきた。「ファイン、ここ、にいた、んだ」「……あ、ああ。風呂、入る前にちょっと散歩しようかなって」 風呂へ入ってくると告げて部屋を出ていたため、アルスが今ここへ来たということはいっ
ファインの気持ちに答えるまでいかなくとも、少なくともアルスは受け止めてくれた。それがとても嬉しかったが、やはり無理させていたのだろう。 気持ちを切り替えるためもあり、ファインは宿を出てその辺を歩きながら、結局先ほどのアルスについて考えてい
じゃあ、とアルスは今さらながらに気づいた。 ファインが言ってた「欲望押しつける」って、そういう? いや、欲望って言ってんだしそういうことだろうと漠然とどこかで多分思っていたかもだけど、えっと……子作り的なこと、
フォルアが一通り演奏し終えるのを待って、食堂で今後のことを話しながら食事した。 あいにくフォルアの歌を聞いて何か情報提供してくる者は残念ながらいなかったが、歌や演奏はかなりお気に召した者が多かったようだ。カースの用意した袋には客から得たチ
ファインの口から明確に「一生薄れない」と聞いたとたん、アルスの中で表現しがたいほどふわふわとした弾けるような何かが広がった。「何だろ。何かふわふわする」「ふわふわ?」「うん。何だろな。気持ちが上がる、っぽい感じっていうか」「&hellip
動揺が全然隠せていなかったのだろう。少しだけ黙ってアルスを見ていたファインが苦笑してきた。「いいって。言ったろ。お前はお前のままでいいと」「聞いたっ、けど、すごく優しいこと、言ってくれてる、けど! でもそれじゃあ」「いい。いいんだ。アルス
カースに言われて少しポカンとしていたアルスだが、ファインが「問題ねえ。大丈夫だから食堂先行ってて。すぐ行く」と口にしたことでハッとなった。 珍しい……か。確かにそういえば俺とファインって多少言い合うことはあって
どういう意味だと聞かれ、アルスは正直戸惑った。押さえつけられなくとも話すし逃げないと言った。それにもちろん逃げるつもりはないが、話そうにも言葉がうまく浮かばない。「意味、って……た、単に嫌じゃなかった、って、だ
食堂に集まることになっているから、いくら何でもこんな状況で気づけばアルスを押し倒しているなんてことはない。 それがまさかのフラグだなんて誰が思おうか。少なくともファインは思わない、というか思いたくない。 だが今、間違いなくファインはアルス
思えばカースが加わってからよりもずっと前のフォルアが加わって以来、ファインとアルスは昔のように二人きりでくっついて眠ったりしてこなかったように思う。 いや、セルゲイの城では二人で同じ部屋だったが、なるべく狭い部屋を希望したもののそれでも二
アルスが一応いつものように元気になると、カースが「君がいてくれてよかった」とアルスに笑いかけていた。「フォルアやファインはまた別だけど、俺みたいに基本魔法で戦うタイプには相当戦いにくい相手だったよ」「そうなんだ」「アルスも気づいてたようだ
打破したいが、普段の戦闘でもギルドの仕事でも、大抵カースやフォルアがいればあっという間にどうとでもなる。 そりゃもちろん、フォルアやカースの力はとてつもなくありがたいし、二人がいなかったら俺とファインはとっくにディロックにやられてたかもだ
「ディロックゥ……ッ」 おもわず出たファインの言い方が気に食わなかったようで、ルビアはますますこちらが凍りつきそうな表情で「私の弟を舐めた風に呼ぶとは」と睨んでいる。「いや、舐めてねえ、けど…&he
アルスの声に反応したファインは転がるようにとはいえ、よくとっさに避けられたなとアルスは思った。一瞬の内に体勢を変えるのは案外難しい。 やっぱファインって魔法系なのに運動能力も結構あるよなあ。 しみじみ思ってから、そんなことを考えている暇は
「そういや今も勇者たちって水晶のままってことなのか? モーティナも眠りについたままなのか?」 ふと思ってファインが聞くと、カースは「多分」と頷いてきた。「多分?」「俺はフォルアに聞いた話しか知らないから。フォルアさえ知らない内にもしかしたら
翌日、知り合いとなった人たちに改めて別れを告げてからファインたちはルナール王国を後にした。 王国から少し南に下ったところにあるセルデスという町から、島であるローヴァン王国へ向かう船が出ている。ギルドでそれを確認し、そこへ向かおうとファイン
勇者たちの願いを受け入れるにはかなりの勇気が必要だっただろう。だがモーティナも勇者の一人だ。迷うことなく決意した。 モーティナはまず自らの魂を二つに分けた。そして片割れを他の勇者たちとともに水晶へ封印する。そして片割れである魂の半身は永遠
セルゲイは言っていた。「あれはそれこそ真実について表現しています。モーティナの神話では神の子を放棄した少女は禁忌を犯して逃げ、そして世界が犠牲になったとありますが、本当はそれは関係なく、ただし勇者たちが自らを犠牲にして世界を守ってくれてい
「記憶、っていうのは?」 アルスが聞くとカースはにっこり微笑んできた。「歌かな」「歌?」「そう。英雄の真実」「ああ……」 ファインが頷いている。アルスにとっては話の断片を聞いているようで、全体図が見えてこない。と
これはやはり、罰なのかな。 少女は途方もない時間が経過しても、死を迎え転生されることも許されず、ひたすら眠り続けている。フォルアはそれをずっと目の当たりにしたまま、同じく死んで転生するどころか少女のように眠りにつくことさえできない。 どち
四度目の出会いも街中だった。「君は神の子だというのに、護衛もつけず一人で歩いていいの?」 勇気を出してフォルアが声をかけると、少女は少しだけいたずらっ子のような笑みを浮かべた。「ご褒美なの」「ご褒美?」「ええ」 頷くと少女はフォルアを共犯
モーティルは神殿のある町だったからか、神殿のある島そのものだったからか、どの国よりも信仰にあつかった。そしてその恩恵か偶然か、住民は強い魔力を持つ者が多かった。 そこで生まれたフォルアも、親に連れられて祈りに行くことはたびたびあった。だが
アルスとしては、あまりややこしい話だと頭に入ってこないため、いつもなら大抵ファインに任せていた。申し訳ないとは多少思うものの、難しい案件に対してだと頭がうまく働かないアルスが下手に対応するより絶対いいに決まっているため、そこは遠慮したこと
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◆水晶の涙◆ ── とある王国 神の子が禁忌を犯し、居なくなってから長い年月が過ぎ去った……。 辺境の村で少年2人は、いつも通り平穏に暮らしていたはずだった。 *赤&ra
翌日、アルスが動けないためファインはとても献身的に何でもしてくれた。それもあるし、そもそも確かに誘ったのが自分のため、アルスは文句の一つも言えず献身的なファインに甘えさせてもらうしかなかった。 ようやく出発すると、二人はとりあえずフィール
*R-18指定あり注意今回のお話は性的表現が含まれる部分がございます。18歳以上でR指定大丈夫な方のみおすすみ下さい。
フォルアが初めてモナと出会った時のことを思えば、そして気が遠くなるような永久の時を経てもあれほどモナを求めていたフォルアを思えば、何ら不思議ではないと思えた。 アルスはといえば、そう聞いてから隣にいたフォルアをぎゅっと抱きしめている。さす
世話になった家には、たくさんの獲物や木の実などを置いてきた。ファインたちの生まれ育ったアイトールでもそうだったが、現金はさほど役に立たないというか、王国などへ出向くなら必要かもしれないが、普段の生活ではあまり必要なかった。それよりも食料や
子どもたちや家で話してくれた女性の話を聞くと、ファインでも間違いなく老婆がモナだろうと思えた。 森に魔物や獣が出なくなったのも、モナの影響だろう。転生したモナにまだ神の子としての力があるのかどうか定かではなかったが、きっとモナの力だと思え
少女の母親が言うには、気づけば魔物どころか危険そうな獣も見当たらなくなった森に、食べ物は必要なため木の実などを取りに恐る恐る入ったら、その老婆を見つけたらしい。 素朴な村だ。今すぐ餓死するといった風ではないが、決して裕福な暮らしもしていな
翌日、四人はプラデェ王国を出た。その足で今度は反対側にあるクーニグという村を目指す。途中、ちらほら小さな集落があったので、そこでもモナについての情報を集めようとした。ただ残念ながら王国で得た情報以上の話は入ってこなかった。 クーニグに入っ
ファインとそういった行為ができた翌日、アルスはさすがに自分の体の限界を知った。「普段から鍛えてるのに残念」「いや、さすがに……」「俺としては余すところなく鍛えてたつもりだったんだけど、まだまだだったんだなってち
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ファインの考えを聞けて、アルスはとても嬉しかったし温かい気持ちになれた。 おそらくは「何を馬鹿な」と他人からは言われる甘い考えかもしれない。だが、ファインとならきっと実現できそうな気がした。 ううん、実現、するんだ。俺も、一緒に。 自分の
「カースと行動するようになるまでは、結構滞在した町や村で親しくなった人っていただろ」 アルスの言葉にファインは頷いた。「そうだな」 トーロイのアデールやシュロンの道具屋店主、シュイナール王国の鍛冶屋夫婦やドワーフ、アクアードのエヴゲニーヤや
翌日、カースとフォルアは出かけて行った。それを見送りながら、ファインは少なくともスッキリはしていなかった。 カースがそうせざるを得ないことはわかる。しょせんカースからしたらあまりに短い寿命であるファインにわかることなど、実際は何もないだろ
「お帰り。俺のが早かったな」 悠犀が帰宅するとリビングのほうから航太の声が聞こえてきた。だが悠犀の反応がないからか、少しの間の後、航太は玄関までやって来た。そしてとりあえず靴は脱いだものの俯いたままの悠犀に気づき「どした?」と静かに聞いてく
大げさ、なのか? かばった際に言われたことを悠犀は反芻する。大げさ、なのだろうか。 もしかしなくても、トラウマの一種なのかもしれない。幼い頃体験したあの絶望感にも似た不安を悠犀は何とか噛み殺す。 自分の知っている誰かが、それが例えただの顔
一年生、二年生と悠犀はかなりがんばった。目指している大学より上のランクの大学も余裕で候補に入れたらいいと教師に言われるくらいにはがんばった。 そして高校最後の学年。悠犀は無事、秋李と同じ高校へ通う。 実家から離れているとはいえ、高校生を一
秋、だな。 夕暮れの空を歩きながら眺め、秋李はぼんやり思った。 高校生になって初めての秋だ。通っている学校からの帰り道にはところどころで金木犀が咲いていて、オレンジ色の花から甘い香りを漂わせている。草木に強くはない秋李でも「金木犀だ」とす
戻らず両親の元へ向かったのは今考えても正解だったと理性ではわかっている。 理性では。 でも、駄目だった。自分だけ無事だった、怪我すらしなかったという事実が悠犀を苦しめる。自分の後ろで何が起こっていたのか知りもせず、ひたすら怖くて自分の保身
家に着く直前、悠犀は自分一人だけが走っていることにようやく気づいた。 も、戻らなきゃ……。 とっさにそう思ったが、引き返そうとして思い切り首を振る。 違う。俺がしなきゃなのは今すぐ父さんか母さんに言うことだ。警
気づいた男は懐に手をやると何か取り出した。そしておぼつかない様子とはいえ同じように走ってくる。 何……? 何を……。 二人を守りつつ桃史も駆けだしたが、何とか振り返り男の手元を見定め
そろそろ帰ろうと声かけ、結局一緒に遊ぶ羽目になった桃史だが、実はそれなりに楽しんではいた。高校三年にもなって弟たちと過ごすのが楽しいやつなどあまりいないかもしれないが、桃史にとっては楽しいし嬉しい。本当の弟ではないものの秋李はやたら懐いて
秋李と悠犀が十歳の誕生日を迎える日、二人は桃史と一緒にあの公園へ来ていた。悠犀が言った通り、誕生日だからか最終的には駄目と言われなかったものの、桃史と一緒に行くのと夕方の五時までには帰ることが条件だった。夕方までに帰る条件は、夜に家族ぐる
「桃史にいと航にいってさ」 秋李が言いかけると、飼っている愛犬と今まで戯れていた悠犀が「何?」と顔を向けてきた。「仲いいんだか悪いんだかわかんない時、あるなあって思って」 鳴海 秋李(なるみ しゅり)は両親と父方の祖父母と一緒に住んでいる。
ニアキスとラウラの屋敷へは、エルヴィンとニルスだけでなくリックも一緒に来ていた。ヴィリーは今回都合が合わなかったがその代わり、数日前に両親と先に甥と対面したらしい。だが楽しみにしているエルヴィンのためにむしろ感想を控えているようだ。城で会
◆彼は最後に微笑んだ◆ エルヴィン・アルスランは、冷たい牢の中で大切だった家族を思い、打ちひしがれていた。 妹はさんざんつらい思いをした上に出産後亡くなり、弟は反逆罪で斬首刑となった。母親は悲しみのあまり亡くなり、父親は自
*R-18指定あり注意今回のお話は性的表現が含まれる部分がございます。18歳以上でR指定大丈夫な方のみおすすみ下さい。
五日間の休暇だが、最終日はニルスの屋敷でゆっくり過ごそうと考えていたため、あと丸一日ゆっくりできる日はニルスとようやく初めて体を重ねた翌日のみという予定だった。 婚約パーティーの夜は一旦アルスラン家の別宅で休み、休暇初日は昼過ぎに起きたの
すごかった。 まだ疲れ切った上に逃しようもない痛みのせいで横たえた体を動かせないまま、エルヴィンは内心目を輝かせて思っていた。 あんなに……全力疾走並みに疲れて、あんなにニルスのが硬くて熱くて大きくて、あんなに
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確かにエルヴィンのことが大事すぎて慎重になりすぎていたのかもしれない。だが自分の欲よりも何よりもエルヴィンを大切にしたすぎて、ニルスはずっと堪えてきた。 本当ならば、できることならば、表情も体も何もかもがとろけそうなエルヴィンをめちゃくち
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ニルスは答えを待っているようで、ただじっとエルヴィンを見てくる。非常に落ち着かない。 友人としての付き合いはかなり長い。おまけに遡ってからのニルスは子どもの頃から特別な友人の一人であり、気が置けない仲だった。 だが好きだと意識したのはそん