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うつと酒と小説な日々ー時々ホラー映画ー https://blog.goo.ne.jp/tobiomasahiro

躁うつ病を患い、酒に逃げながらも本を読み、ホラー映画や散歩を楽しむ孤独なおじさんの日記です。

平成16年4月にうつ病を発症して12 年近く。 病気は躁うつ病に悪化しつつ、酒に逃げながらも日々小説を読み、書き、ホラー映画や散歩を楽しむ孤独なおじさん(とびお)です。

とびお
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2011/08/18

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  • 三連休

    三連休。前回の診察で処方された新しい薬のおかげか、飲み始めて15日目くらいから明らかに調子が良くなってきました。激しい落込みから軽い落込みへと改善しました。軽い落込みがあると言ってもずいぶん楽です。初日の土曜日は大雨で、午前10時半に予約していた歯医者に行った以外は自宅でのんびりと過ごしました。半年に一度歯のクリーニングを行っており、土曜日がそうでした。おそらく誰でもそうでしょうが、歯医者というのは嫌なものです。歯を削ったり詰め物をしたり。私はクリーニングだけですが、それでもいつも億劫です。昨日、日曜日は午後そごう千葉店に出かけました。北海道物産展で買い物を楽しむためです。大変な人出でしたが、物産展のなかでも北海道はテンションが上がります。旨い海産物や北海道ならではのスイーツがあります。うす味の貝の漬物と...三連休

  • 眼鏡と選挙

    今日は選挙に出かけました。私が住む選挙区では、小選挙区は自民党、立憲民主党、維新の会、共産党が候補者を出しています。私は自民党に入れるか、共産党に入れるか、どちらかしか選択肢はありません。弱い自民党支持ですが、お灸をすえる必要を感じた場合には共産党に投票しています。共産党が小選挙区で勝つわけがないので、事実上死に票ですが、自民党に投票しなかった、という事実が大事なのです。帰りにかねて頼んであった運転用メガネを取りに行きました。EMPOROARMANIというブランドのメガネなんだそうです。メガネのフレームについてあまりブランドとかメーカーを気にしたことが無いので、納品時まで気づきませんでした。調べたら御大層なものではなく、ARMANIの廉価バージョンとのことで、確かに高い物ではありませんでした。明日からの仕...眼鏡と選挙

  • 変化

    私の部署が定員削減の憂き目にあい、そのために業務量が極端に増えて精神的に落ち込んでいることはすでにこのブログで報告したところです。このたび、そのために不義理をすることになってしまいました。コロナ前、半年に一度会食を楽しんでいた古い女友達二人と来月久しぶりに会う予定だったのですが、気持ちが沈んだままでは会っても楽しくないし、そもそも夜東京まで出かけて行って帰ってくるということがとてつもない難事業に感じられたのです。そんな私を元気づけようと、同居人が久しぶりの都内散歩に誘ってくれました。朝9過ぎに出発してなるべく早く帰ってこようという計画で、御茶ノ水から神保町、九段下を経て飯田橋から帰るというコースです。都内散歩というとこれまで車で出かけることを常としていましたが、左目の緑内障の悪化に加えて、憂鬱感、不安感、...変化

  • 臨時休暇

    今日は職場で電気点検があり、一時的に全てが停電するということで、臨時休暇となりました。折角のお休みでしたが、忙しく過ごしました。金額的にATMでの振込が出来ないため、我が家のメイン・バンクを訪れ、新車の費用を振り込みました。時代は変わったというか、キャッシュカードと暗証番号があれば、印鑑は要らないのですね。これならATMで振り込むのと変わりない気がしますが。それから区役所をに行って印鑑登録証明を3通取得。マイナンバー・カードがあればコンビニでも取得できることはその後知りました。さらには最近気になっていた眼鏡の度が合っているかを確認するため、眼科へ。視力は運転に耐えうるとのことでしたが、乱視が入ってきており、なるべくなら運転しない方が良いと言われました。そこで乱視を矯正する眼鏡を購入することを決意し、眼科で...臨時休暇

  • うんざり

    今日は10月も半ばを過ぎたというのに蒸し暑い日となりました。午前中はダラダラと寝て過ごし、昼は塩ラーメンを食いに行き、晩の買い物を済ませると、帰宅してまた寝て過ごしました。このところ仕事が忙しく、忙しいと嬉しくなっちゃうと言う人をたまに見かけますが、私は凡人ですので、忙しいのは本当に嫌です。そのため、毎日憂鬱で、休みの日でも憂鬱を引っ張てしまう損な性分で、自分で自分が恨めしくもあります。これから4週間に一度の精神科の診察があります。面倒くさいですが、薬を貰わないと生きていけません。薬をもらっても、生きているんだか死んでいるんだか分からない状況です。多分退職するまで、程度の差はあれこの憂鬱が続くんでしょうね。なんだか小学生の高学年くらいから、ずうっと長い憂鬱を生きてきたような気がします。生きるために仕方ない...うんざり

  • 稲毛から西千葉さらには千葉

    良く晴れた初秋の日曜日。散歩の季節到来ということで、今日は千葉市の稲毛駅から千葉駅まで歩きました。電車で稲毛駅に向かい、稲毛からまずは西千葉を目指しました。西千葉は千葉大学や私学、専門学校が集中する文教地区です。文教地区と呼ばれる所はどこもそうですが、大学の緑、街路樹の緑、公園の緑が溢れ、情緒を醸し出しています。西千葉で有機野菜を専門に扱うレストランで昼食をいただきました。食後は最近よく飲む紅茶です。その後ぶらぶらと千葉駅へ。そごう千葉店に寄ってフェイスタオル4枚と冬用のシャツ2枚を購入。さらにデパ地下で晩の総菜を買いました。疲れてしまい、喫茶店でまた紅茶。その後電車で帰宅しました。合計12,400歩の大散歩となりました。少し暑かったですが、心地よい散歩になりました。稲毛から西千葉さらには千葉

  • 脱力

    つい最近、緑内障で左目の視野が欠損していることが理由と思われる自損事故を起こし、もう夜間の運転はしないと誓いました。で、ちょうど同じタイミングで車の半年点検があり、点検と同時に車の傷を直そうとディーラーに車を持ち込みました。修理費用は10万円くらいかなと思っていたのですが、提示された金額は30万円。さらに傷がついた4年半乗っている車の下取りが100万円なので買い替えないかと勧められました。最初はそんな気はなかったのですが、新しい車に試乗し、色々と説明を受けているうちに、欲しいという気持ちが強くなりました。少し考えたいとディーラーを出ましたが、欲しい気持ちが収まらず、ついに即日契約してしまいました。大散財です。契約して初めて、大きな買い物をしてしまったと、後悔というか、すっかり脱力してしまいました。双極性障...脱力

  • 突然の休暇

    6月から二つの役職を兼務することになったのはすでにこのブログでお知らせしました。当初はなんとか乗り切ろうと頑張っていたのですが、思った以上に激務でした。最近いくら寝ても疲れが取れず、朝起きるのも必死の思いになってしまって、今日はどうしても出勤する気になれず、職場に電話をして休暇を取りました。おかげでたっぷりと眠れましたが、憂鬱感、不安感が強く、休んだ気がしません。それどころか、さぼってしまったという罪悪感、今日休んだことによる明日以降の仕事への影響に対する予期恐怖が起き、難儀しています。せっかく職場に完全復帰して15年も経ったのですから、これを続けたと切実に願います。突然の休暇

  • 特別養護老人ホーム

    義母が10月21日(月)に特別養護老人ホームに入居することが決まりました。今日、契約に行ってきました。契約関係書類の中には延命処置を望むか、と言った切実な問題が含まれていました。つい最近出来た施設で、我が家から車で10分ほどと至近です。しかも10月中に満員になるとのことでギリギリ間に合いました。義母は85歳。車椅子でしか移動は出来ないし、車椅子に自力で乗ることも出来ません。認知も危うくなってきました。誰もが年老いてやがては死んでいきます。当然私も。それがいつ来るのかは誰にも分かりませんが、必ず来ることだけは避けようの無い事実です。怖ろしいことです。人間は生きたいもの。私が死を迎えようとする時、どんな心境になっているのでしょうか。義母が老いていく過程をみて、死ぬということについて考えさせられます。特別養護老人ホーム

  • 雨中

    今日は雨。雨に閉じ込められて、魚屋と八百屋に行った以外家でごろごろしていました。そんな風に過ごしていると、知らず、過去のことが想起されます。思えば子供の頃から躁鬱気質だったような気がします。ほんの幼い頃を除いて。12歳くらいから、時折訪れる激しい高揚感と、なんとなく憂鬱な日が続く日常を繰り返していました。ただその頃は、己の心理状態に目を向けることが無かったため、とくだん苦しいとは思いませんでした。幸せな時代です。15歳くらいから落ち込みと高揚が激しくなりました。その時初めて、自分の精神は異常なのではないかと感じ、風邪薬や鼻炎カプセルの副作用で心が落ち着くことを経験的に知り、体調が悪くないのにそれらを飲むことが増えました。それでもまだ精神科を訪れようとは思いませんでした。高校・大学時代をそんな風にしてやり過...雨中

  • 自損事故

    先週、雨の夜道で自損事故を起こしてしまいました。車の左側をガードレールにこすってしまったのです。理由ははっきりしています。緑内障による左目の視野の欠損です。眼科医からは車の運転は控えた方が良いと言われていました。ただし、今の法律では運転に関して視力の検査は必須ですが、視野の検査は行われません。したがって、視野が欠損していても法律上は運転が出来ることになります。私もそれを頼りに運転を続けてきました。しかしもう無理です。同居人に運転を頼るしかないようです。残念です。自損事故

  • 浄水器と秋刀魚と塩ラーメン

    残業続きだった今週。今日はなんだか早起きしてしまい、早朝5時に起きてシャワーを浴びました。その後生卵と納豆で白飯を食い、しばし食休み。9時に浄水器を交換するための業者が来て90分ほどで作業を終えました。先週の脱衣所の引き戸に続き、2週連続の屋内の修繕となりました。前の浄水器、蛇口がくるくると動くようになってしまったので、是非とも交換したかったのです。こんな感じです。お昼は近頃我が家でブームのあっさり塩ラーメンを食いに行きました。私はここで塩ラーメンに味玉、チャーシュー、雲吞が載った全部載せを食すことを慣例としています。毎週末通っています。すっかり常連です。これほどしょっちゅうラーメンを食うのは初めてです。温麺のようなまっすぐ細麺と浅利の出汁が効いたスープが食欲をそそります。食後、大分涼しくなってきたので近...浄水器と秋刀魚と塩ラーメン

  • シルバー川柳

    数か月前まで私が住むマンションのすぐ近くに大型の書店とDVDレンタル店があって、ずいぶん使わせてもらいました。ところがインターネット通販の影響でしょう、両店とも閉店してしまいました。私自身、映画やドラマはNetflixで観るようになり、また本もネット通販で購入することが多くなりました。リアルな店が潰れるわけです。しかしネット通販で本を購入すると、本との偶然の出会いがありません。偶然の出会いが欲しかったら、わざわざ千葉まで行かなければ大型書店はありません。電車か車で行かざるを得ません。難儀なことです。今日は千葉の駅ビルに在る大型書店に行きました。そこで小説2冊と、珍しく川柳集を買いました。早速川柳集を読みました。五七五が1頁に書かれているので一瞬で読み終わってしまいます。シルバー川柳14「ワシだって財布の中...シルバー川柳

  • 忘れる

    もう9月の下旬だというのにひどく蒸し暑い日が続きます。三連休の真ん中。通常であれば出かけたく日ですが、体がだるくて一日中寝ていました。最近なんだか体がだるく、何をするにも億劫です。一週間ほど前に風邪で仕事を休み、内科に行って薬を処方してもらい、ほぼ完治したと思っていたのですが、まだ本調子ではないようです。体調が良くないと悪いことばかり考えるか、思考が停止します。今回は思考が停止したようで、何も考えられなくなりました。良いことも悪いことも。それはそれで良いのかもしれませんが、頭がぼうっとして、呆けたようになります。あるいは認知症の始まりのような。世間には若年性認知症と言うものがあって、50代で罹患して、何もかもを忘れてしまう人がいるようですね。なんだかそれに罹患したのではないかと疑ってしまいます。近頃人の名...忘れる

  • 引き戸

    今日は午前中建具屋が来て、洗面室というか、脱衣所の引き戸を交換してもらいました。引き戸に脚立をぶつけて凹みが出来てしましましたので。来週は浄水器の交換があります。両方昨年リフォームをお願いした業者に頼んで、合わせて20万円弱の出費。痛いですが、結構長く住んでいるマンションですし、ここに生涯住むつもりなので仕方ないことです。建物といえども一種の消耗品。メンテナンスを怠ればたちまちボロ家になってしまうでしょう。それは人間も同じで、年とともあちこちガタが来て、治療しなければ長生きできません。もっとも、長生きすることが良いことなのかどうかは一概には言えません。もっと根源的な問題なのでしょう。衰えるということ、痛みとわずかな哀しみを伴うようです。引き戸

  • ふたりぐらし

    今朝目覚めたら喉がひどく痛み、咳が止まりません。体の節々が痛み、微熱がありました。出勤できないことも無いかなと思いましたが、こじらせる前に治したいと思い、仕事を休んで内科に行きました。つい一週間ほど前に同じ部屋で執務する後輩がコロナに罹ったことも心配でしたし。内科でコロナの検査を行った結果、幸い大丈夫でした。抗生物質やら咳を止める薬やら色々薬が出て、朝と昼に飲んだら大分楽になりました。ただし、喉の痛みは相変わらずです。多少体調が良くなったので、「ふたりぐらし」という小説を読みました。ふたりぐらし(新潮文庫)桜木紫乃新潮社今では職業として成り立たなくなった映写技師で脚本家になる夢を捨てきれない40歳の男と看護師で36歳の妻との生活がそれぞれの目線で交互に語られる連作短編集の体裁を取っています。看護師の妻が夫...ふたりぐらし

  • 夜のピクニック

    昨日は一昨日と打って変わって静かに読書をして過ごしました。恩田陸の「夜のピクニック」です。この人はミステリーやホラーの作家というイメージを漠然と持っていましたが、「夜のピクニック」はいわゆる青春小説と呼ばれる分野かと思います。夜のピクニック(新潮文庫)恩田陸新潮社田舎町の進学校、北高。ここでは1年生から3年生、全員が参加する奇祭、歩行祭が毎年行われています。朝8時に学校を出発し、途中で休憩や2時間の仮眠を挟んで80キロの道のりを翌朝8時までに歩き通すという過酷なものです。しかし、ヘトヘトになりながらも達成感があるらしく、多くの生徒は歩行祭の実施を支持しています。ただ歩くだけで何の事件も起こらないのですが、歩行中に生徒達の間で交わされる会話が面白く、文庫本で447ぺージの作品を一気に読んでしまいました。最後...夜のピクニック

  • 異動

    昨日、10月1日職場内の異動が示されました。6月17日という中途半端な時期に私の部署の職員が定員削減になったばかりで青息吐息なのに、またもや1名削減となりました。立ち直れなくくらいショックです。私を辞めさせたいとしか思えません。しかしそうは言っても勤め人。上層部が決めてしまった人事に何を言っても切ないばかりです。もう少し頑張って、どうにもお手上げとなったら、15年ぶりの病気休職もやむ得ないかと思っています。精神科医はいつでも診断書を書く、というか休めと言っていますし。で、残暑厳しい今日という休日、少し歩き回って気分転換をしたいと、冷房の効いた巨大ショッピングモール、イオン幕張新都心店に出かけ、ペットショップで犬や猫を見たり、北欧家具の洒落れた店を冷やかしたり、喫茶店で紅茶を飲んだりして1日を過ごしました。...異動

  • 寂しい

    今日は同居人が休日出勤を命じられたため、独りで過ごす日曜日となりました。こんな日、普段私はどれほど同居人に依存しているかを思い知らされ、愕然とします。奥様が留守だと嬉しいと言う中年男性のほうが多いというのに。お昼は近所のあっさり系ラーメン屋で塩ラーメンを食したのですが、店に向かう一時間ほど前から、食前酒と称して禁断の昼酒を呑んでしまいました。寂しさゆえだと思います。食前酒を飲むと食事が美味しく感じられることは確かですが、昼酒は変に効きます。実際、今日はラーメン屋から帰宅して2時間も昼寝してしまいました。晩御飯には鰹のたたきと蛸ぶつ、それにフルーツトマトと枝豆を買ってあります。呑みメニューです。晩も吞んでしまうんでしょうね。同居人と一緒に過ごす休日であれば、昼酒を呑むのは正月と花見の時だけです。こんなことで...寂しい

  • 幸せ

    待ちに待った土曜日。今日は読書などしてのんびり過ごそうと思っていたのですが、同居人がLOFTと無印良品に行きたいと言います。これはすなわち、そごう千葉店に行きたいということ。LOFTと無印良品の両方があるからです。少々暑くはありましたが、車で行けばどうということも無いので、気分転換に出かけることにしました。10時45分に出発して11時には着いてしまいます。少々早かったですが、寝坊して私も同居人も朝食を摂っていなかったため、昼飯にしました。いつもの椿屋茶房のビーフカレーのセットです。食後も紅茶を飲みながらダラダラして、2時間もお店に居座ってしまいました。店外で待っていた方々、ごめんなさい。10階にある飲食店街からエスカレーターで1階降りては店を冷やかしを繰り返し、2階に辿り着くまで2時間かかってしまいました...幸せ

  • 地球星人

    かねて読み進めていた村田沙耶香の「地球星人」を読み終わりました。この人の小説を読むのは「コンビニ人間」、「消滅世界」に続いて3冊目です。「コンビニ人間」や「消滅世界」はジェンダーレスの世界を描いていて、それだけでも世の中の常識から反する、いわば反社会的な作品でした。しかるに「地球星人」はそんな生半可な小説ではありません。人間社会の全てを否定しているかのごとくなのです。地球星人(新潮文庫)村田沙耶香新潮社コンビニ人間(文春文庫)村田沙耶香文藝春秋消滅世界(河出文庫)村田沙耶香河出書房新社最初は世の中というものに違和感を持つ少年少女の淡い恋物語の様相で始まります。その違和感はますます大きくなり、長じて、人間社会を工場と呼ぶにいたります。勉強を頑張り労働する、女の子を頑張り生殖する、この二つが地球星の成り立ちで...地球星人

  • おじさんはどう生きるか

    今朝は6時半に起きて生卵と納豆で白飯を食いました。その後日曜日の朝恒例の洗濯。朝が弱い同居人は夢の中です。午前中はテレビなど観てだらだら過ごし、昼は近所の蕎麦屋で鴨せいろを食しました。その後床屋で散髪しました。午後は読書。軽い物が読みたいと、かねて購入してあった松任谷正隆の「おじさんはどう生きるか」というエッセイ集を読みました。おじさんはどう生きるか(中公文庫)松任谷正隆中央公論新社私はこの人、松任谷由美の旦那で音楽関係の仕事をしているとしか予備知識はありませんでした。しかしこのエッセイを読むと、文章を書いたり、音楽劇の演出をしたり、バンドをやったりと多彩な活動をしていることを知りました。内容は偏屈なおっさんの繰り言という感じで、我が意を得たり、と思うことが多くありました。そのなかに、寂しがり屋の一人好き...おじさんはどう生きるか

  • 台風

    台風10号の影響か、今日の千葉市は突如雷を伴う大雨になったり、すぐに止んだり、奇妙な天候となっています。こういうのは珍しいのではないでしょうか。もう5年も前になるでしょうか、台風で停電し、信号機が止るという異常事態が発生しました。あの時は本当に怖かったですねぇ。出勤時はなんともなかったのですが、帰りにそういう目にあいました。台風というのはひどい惨禍をもたらしますが、どこか気分を高揚させる作用があるように思います。往年の名作、「台風クラブ」では、台風の晩にバカ騒ぎをする中学生たちが描かれています。台風クラブ工藤夕貴そうはいっても、それほど大規模な台風で無いからそんなことが出来るので、激甚災害となったらそんな悠長なことはやってられません。今度の台風はあまりにも遅く、いつまで経っても関東にやってきません。いっそ...台風

  • アーモンド

    昨日は珍しく、韓国の小説を読みました。翻訳部門で本屋大賞を受賞した「アーモンド」です。アーモンドソン・ウォンピョン祥伝社生まれつき偏桃体(アーモンド)が極端に小さく、そのためにほとんど感情を持たず、他人に共感することもできない怪物と呼ばれる少年と、逆に感情の塊のような粗野で乱暴な不良少年との不思議な交流を描き、それぞれの少年が少しづつ成長していく過程を描いています。私は「箪笥」や「半地下の家族」などの名作映画を作り出した韓国のエンターテイメント作りの巧妙さに惹かれますが、小説は読んだことがありませんでした。韓国には著名な古典文学も無く、文学不毛の地だと思っていたのです。箪笥<たんす>(字幕版)イム・スジョンパラサイト半地下の家族(字幕版)ポン・ジュノしかしこの小説を読んで、それは私の誤解であったことに気付...アーモンド

  • 診察

    昨日は4週間に一度の精神科への通院日でした。二つの役職を兼務することになったことへの不安を訴えました。薬を大量に飲んでいますが、その内の1種類を切り、別の薬に変更することになりました。効いてくれれば良いのですが。精神科は千葉駅から徒歩10分弱の所に立地しています。私が住まう地域の最寄り駅から千葉駅までは6分。通うのにストレスはありません。診察は17時からで、薬局で薬を貰ったのが17時40分。夕飯にすることにしました。千葉駅近くのイタリア料理店で一杯やりました。各種のつまみを食い、ビールとワインをしこたま飲み、最後はマルゲリータで締めました。好い週末だったと思います。ただし、新しい薬が効いてくれれば、という条件付きで。診察

  • 55歳

    今日は私の誕生日。55歳になりました。ひと昔前なら定年退職する年齢です。この年まで大病せずに生きてこられたことに感謝しなければなりません。近頃同世代の友人や同僚が病死することが増えてきましたから。日々憂鬱な仕事にいそしんでいるわけですから、今日くらいはということで、同居人と二人、特に予定は無かったのですが、休暇を取りました。雨模様でもあり、近所のイタリア料理店に出かけた以外、家でのんびりと過ごしました。実家の母から誕生日恒例の特大の国産高級鰻が届きました。例年これを温め、わさび醤油で白焼きにして食べたり、タレをかけて蒲焼にして食べたりします。有難いことです。55歳、もっと精神的に落ち着いた大人の男になると思っていました。しかし精神状態は精神障害を発症した約20年前と大して変わりません。三つ子の魂百までと申...55歳

  • 夜行秘密

    今日はとても魅力的な小説を読みました。「夜行秘密」です。夜行秘密カツセマサヒコ双葉社作りは、いわゆる群像劇になっています。登場人物が次々と一人称で告白し、それがやがて一つの物語になっていく、という。天才映像作家、その熱狂的なファンの女、MVを作ってもらうことになった新人アーティスト、新人アーティストの恋人、天才映像作家のマネージャーを務める美女など。それらの人々がそれぞれの立場で告白し、それらが大きなうねりと小さな誤解とを生んで、悲劇的な物語へと昇華します。物語の終わりが近づいて、もう新人ではなくなったバンドのヴォーカルが独白します。おれが思い出すのは大抵、楽しかった記憶とかじゃなくて、後悔の記憶だ。あの時、ああしていれば良かったと、記憶を巻き戻してみては、選ばなかった方の人生を想像してしまう。どうしても...夜行秘密

  • 日本の職人

    昨日はそごう千葉店に出かけました。家にいてもクサクサするし、遠出は面倒くさいということで。気分を上げるため、濃紺の麻の着物で出かけました。この着物、極めて肌触りがよく、涼しいので気に入っています。11時半に到着し、そごう千葉店では馴染みの喫茶店でビーフカレーとサラダと冷製スープのセットを頼み、食後に紅茶を楽しみました。最近、珈琲を飲むとドキドキするようになり、紅茶を飲むようになりました。加齢に伴う嗜好の変化でしょうか。食後に無駄話などして、お店を出たのが13時。お昼に90分もかけるなんて休日ならではの贅沢です。その後6階催事場で催されていた「日本の職人」を観に行きました。御琴や三味線、尺八など和楽器の店があって、御琴には100万円以上の値が付いていてびっくり。どんな人が買うんでしょうね。その他鎌倉彫やら南...日本の職人

  • 一人称単数

    昨日から観測史上最大の大型台風が関東、特に千葉県と茨城県を襲うとの報道が繰り返し流されています。夏休みは昨日で終わり、今日から出勤の予定でしたが、安全な建物から出ずに外出を控えろ、とのことでしたので、大事を取って今日は急遽休暇を取ることにしました。リスクが高いことを承知で出勤するなんて馬鹿げていますから。で、小説を読みました。村上春樹の短編集「一人称単数」です。一人称単数(文春文庫)村上春樹文藝春秋この人の書いたものはノンフィクション以外すべて読んでいると思っていたのですが、偶然本屋で見つけて、購入しました。村上作品は長編が出ると大騒ぎとなり、書店に長蛇の列が出来ることがほとんどですが、短編集の場合そういった現象が起きないため、見過ごしていたようです。この作者にしては珍しく、私小説的な作品が多かったように...一人称単数

  • 呪う

    今日は我が国が連合軍に降伏することを全国民に知らせる玉音放送が流された日です。一般にこの日を以て終戦と言うべきか敗戦と言うべきか、とにかく戦争が終わった日とされます。国民は疲弊しきっていたでしょうから、内心ほっとしたという人も多いでしょう。また、大日本帝國は無敵であって、敗れるはずがないという信念を持って生き続けてきた人々にとっては屈辱の日だったでしょうね。戦後79年が経って、もはや太平洋戦争は歴史上の事件となりました。今は多分、次の戦争の戦前なのだろうと思います。戦争が悪であることは誰もが承知していますが、仮想敵国が何がなんでも戦争で相手を叩き潰すと固く決定してしまえば、戦争から逃れることは出来ません。いくらアホダラ経のように戦争反対を唱えたところで、それは虚しいばかりでしょう。戦争を避けるためには地道...呪う

  • 追分宿など

    昨日は軽井沢から少し足を延ばして信濃鉄道で二駅目の信濃追分に行きました。かつて宿場町として栄えた追分宿に行くためです。信濃追分駅、驚愕の無人駅でした。しかも追分宿まで徒歩で30分もかかるとか。バスもタクシーもありません。高原なので暑さはさほどでも無いですが、30分とは参りました。それでもここまで来た以上、突き進む他ありません。人けがほとんど無い道を歩くこと30分。追分宿郷土館なる小さな博物館に辿り着きました。まずは一安心。追分宿、あまり宿場町らしい風情がありません。本陣も脇本陣も残っておらず、旅籠もわずかです。どちらかというと洒落た喫茶店や骨董店が立ち並んでいて、車で来たと思しき観光客が散策しています。東京出身の小説家、堀辰雄がこの追分に魅せられ、自宅を構えて終の棲家にしたそうで、堀辰雄文学記念館というの...追分宿など

  • 軽井沢タリアセン

    今日は軽井沢2日目。予報は雨でしたが、どうにか一日曇りで持ちこたえました。ラッキーです。今日は南軽井沢に在る塩沢湖を中心とした広大な有料公園、軽井沢タリアセンを訪れました。軽井沢駅からタクシーで20分ほど。車が無いとこういう時不便です。バスは本数が少ないし、タクシーだと高いし。9時の開園ちょうどに到着。チケットを購入していざ、タリアセンへ。広い湖を取り囲むようにしてアスレチックや小さな遊園地が併設され、レストランも充実しています。いい年をして恥ずかしながら同居人と足漕ぎボートに乗りました。足漕ぎボートで湖に出てみると、鴨が何羽も追っかけてきます。そういえば鴨の餌を売っていて、ボートに乗りながら餌を与える人が多いのだと思います。鴨たち、私も餌をくれる人だと勘違いしたようです。お生憎様。ただで餌などやりません...軽井沢タリアセン

  • 軽井沢初日

    今日から2泊3日の軽井沢旅行。我が家を7時半に出て、9時半には軽井沢駅に降り立つことができました。私がよく行った奥日光は中禅寺湖畔に比べると軽井沢はそれほど涼しくないというイメージを持っていたのですが、東京駅の新幹線のホームが異常に暑かったせいか、軽井沢駅に降りた瞬間、涼しいと思いました。ガイドブックに載っていたサイクリングのモデルコース、わずか6キロメートルであったため、徒歩で見て回ることにしました。自転車のスピード感では感じられない良さも悪さも徒歩ですと実感できると思ったのです。まずは森林の中にある雲場池へ。軽井沢の森林地帯はどこも立派な別荘が建っています。私のような庶民には信じられないようなお金持ちがたくさんいるのですね。少し嫉妬。雲場池、マイナスイオンがたっぷり出ている感じでした。ただし入口にはレ...軽井沢初日

  • 墓参

    今日は午前中墓参りに行きました。私の実家ではなく、同居人の父とわずか18歳にして病死した妹が眠る墓です。久しぶりに行ったら雑草が生え放題で、掃除に難儀しました。しかもこの暑さ。頻繁に木陰で休憩を取りながら、2時間もかけて掃除を終え、線香に火をつけて拝みました。義妹はもう33回忌を終えています。とっくに成仏しているものと思います。義母はかろうじて生きていますが、そう長くないことは疑いようの無い事実です。義母が亡くなってしばらくしたら墓仕舞いを考えなければならない状況に追い込まれます。私たち夫婦以外にはお参りする人などいませんから。では私たち夫婦が亡くなったら?私の実家は寺なので、その寺の共同墓地というか無縁仏のための塔というか、そういう物があるので、そこに入れてもらいたいと思っています。今でこそ54歳は現役...墓参

  • また猫と

    今朝は朝一番で内科に行きました。4カ月に一度の血液検査のため、採血があったからです。その後しばし休んでそごう千葉店に行きました。今使っているバスタオルが大分くたびれてきたからです。ネット通販でも良いのですが、身に着ける物と同様、手触りを確かめてから購入したいと思いましたので。で、少し高いけど極めて肌触りの良いバスタオルを2枚購入。その後昼食を摂り、本屋へ。文庫本の小説を2冊購入。帰宅してから、かねて購入してあった歌集を読みました。「また猫と」という猫の挽歌集です。歌人は大の猫好きで、多くの保護猫を飼ったり、里親とのパイプ役になったり、猫無しの生活は考えられない人のようです。私はたまに愛でるくらいなら良いですが、飼うのは犬も猫も絶対に嫌です。実家で犬を飼っていたことがあり、野良猫を餌付けしたりもしていました...また猫と

  • 私、死体と結婚します

    今朝は半年に一度の視野検査のため、千葉大学医学部附属病院に行きました。大学病院はとにかく待たされます。視力検査で待たされ、視野検査で待たされ、診察で待たされ、会計で待たされ、合計2時間ばかり待たされたでしょうか。どうせ待たされると思っていたので、未読の小説を持っていき、文庫本で229頁、軽やかな文体で読みやすく、待ち時間の間に読み終わってしまいました。私、死体と結婚します(ハルキ文庫さ25-2)桜井美奈角川春樹事務所近頃お気に入りの桜井美奈の「私、死体と結婚します」を読みました。比喩的なタイトルかと思いきや、本当に死体と結婚してしまいます。結婚間近で同棲しているカップル。明日には入籍しようというタイミングで、女が帰宅すると、男が寝室で冷たくなっています。女は看護師で、一見して死んでいると分かってしまいます...私、死体と結婚します

  • 夏休み

    明日からから8月15日(木)まで土日を含めて7日間の夏休みです。7日間も休めるなんて正月休みとお盆休みくらいなので、嬉しいですねぇ。しかし、明日は朝から眼科受診のため千葉大学医学部附属病院に行かなければなりません。もともと緑内障のため近所のクリニックに通っていたところ、主治医から点眼治療だけではなく、手術も検討すべきだと、紹介状を渡されて千葉大学医学附属病院に初めて受診したのが3年半前。それ以来、2か月に一度の通院でクリニックに通って、薬を処方され、半年に一度、2月と8月に千葉大学医学部附属病院に検査のため通っています。40代、50代での手術は感染症のリスクが高いため、様子をみましょうと言われ続け、もう3年半が経ちました。明後日はコレステロールの薬をもらいに近所の内科クリニックを受診予定。4か月に一度の血...夏休み

  • B面の夏

    30年も前に刊行された黛まどかの句集「B面の夏」を昨夜読みました。この人の名前はもちろん30年前から知っているし、代表的な句のいくつかはなぜ覚えたのか分かりませんが、諳んじることもできます。それなのに句集を読まなかったのは、この人、もしくはその周辺のファン達のイメージが恋愛依存的な雰囲気を醸し出し、気持ち悪くて面倒くさいように感じたからです。改めて読んでみると特段恋愛依存とは感じませんでした。ふらここや恋を忘るるための恋のような句が恋愛依存的に感じたのかもしれません。公園デートでしょうか、ぶらんこに乗りながら前の恋を忘れようと新たな恋を求めているというほどの意かと思います。また、こんな句。夜桜やひとつ筵(むしろ)に恋敵なんて、怖いですねぇ。私が最も好む句は、飛ぶ夢を見たくて夜の金魚たちです。近頃では高校の...B面の夏

  • 殺した夫が帰ってきました

    近頃お気に入りの桜井美奈のミステリー「殺した夫が帰ってきました」を昨夜読みました。タイトルが極めて刺激的です。殺した夫が帰ってきました(小学館文庫)桜井美奈小学館DV夫を崖から突き落として殺した女。その後独身と偽ってファッションデザインの会社に勤め、充実した毎日を送ります。しかし罪の意識に苛まれるのも事実。そして夫殺害から5年も経って、記憶を失った夫が帰ってくるのです。崖下で奇跡的に生き残ったのか、はたまた化物か、とにかく女は記憶を失ってすっかり優しくなった夫と奇妙な同居生活を始めます。女の不幸な生い立ちが語られ、様々な登場人物が真実に近づき、あっと驚く結末を迎えます。謎が重層的に絡まる物語で、何を書いてもネタバレになってしまうので、これ以上は書きません。切ない真実に、つい、落涙を禁じ得ませんでした。殺した夫が帰ってきました

  • 犬のように

    昨日はイオンモール幕張新都心に出かけました。夏になるとよく訪れます。夏は暑すぎて外散歩が出来ないため、歩くために空調の効いただだっ広いイオンモールは快適で便利だからです。普段運動などしない私にとっては散歩くらいしか体を動かすことがありません。散歩は私にとって死活的に重要です。犬のように。イオンモール幕張新都心へは東関道を使って車で20分ほど。11時半頃に着いて、まずは洋麺屋五右衛門で昼食。その後歩き始めました。同居人の体重が過去最も重くなってしまい、近所のジムに通い始めて一か月半。食事制限はしていないのに2キロ痩せたと同居人は喜んでいます。これまでほとんど運動をしていなかったのに突如として運動に目覚め、スポーツ用品売り場が見たいとか言いやがります。色々見て回り、トレーニングウェアを2着購入。私は本屋で小説...犬のように

  • 幻想列車 上野駅18番線

    金曜の夜、小説を読んで過ごしました。読んだのは桜井美奈の「幻想列車上野駅18番線」です。先般この作者の「私が先生を殺した」という上質なサスペンスを読んで気に入り、他の作品も読んでみようと手に取った1冊です。幻想列車上野駅18番線(講談社タイガ)桜井美奈講談社私が先生を殺した(小学館文庫)桜井美奈小学館内容は「私が先生を殺した」はサスペンス、「幻想列車上野駅18番線」はファンタジーというか寓話というか、とにかくこの世の存在では無い者が登場します。心に傷を持った者が上野駅の隅、人けの無いベンチに座っていると、不思議なことが起こります。テオと呼ばれるぬいぐるみのように可愛らしい架空の生き物が、その外観からは不釣り合いな乱暴な口調で鍵を渡し、秘密のドアを開けるよう誘います。ドアを開けるとレトロな一両編成の列車(一...幻想列車上野駅18番線

  • ドグマチール

    昨日は4週間に一度の精神科通院日でした。最近仕事が増えて落ち込み気味で、今も多くの精神病薬を飲んでいますが、もうずいぶん前、初めて精神科で処方され、救われたと感じたドグマチールを処方してほしいと主治医にお願いし、処方してもらいました。思えば今までたくさんの薬を試してきました。合う物もあり、水を飲んでいるかのように効かない薬もありました。精神病の薬というのは飲んでみなければ効果があるかどうか分からないようなところがあります。内科の薬、例えば解熱剤などは、誰が飲んでも効くと思いますが、精神というもの、まだ得体が知れず、脳の一部に作用して薬効を得るわけですが、これがじつに難しい。解熱剤の例でいえば、熱を測ればその効果はすぐに分かりますが、精神科の薬はあくまで患者がどう感じたかに依るところが大きく、脳内を検査して...ドグマチール

  • 私が先生を殺した

    今夜はミステリーを読みました。テンポが良くて物語が疾走する快感に心奪われ、400頁を一気読みしてしまいました。読んだのは「私が先生を殺した」です。私が先生を殺した(小学館文庫)桜井美奈小学館物語の冒頭、ある私立高校の避難訓練で校庭に全校生徒が集まる中、27歳の人気教師が屋上から飛び降り自殺します。一体何があったのか。物語は語り手が次々と変わり、それぞれの視点から事件に関する一部が語られます。このあたり、湊かなえの「告白」との類似を感じさせます。告白(双葉文庫)湊かなえ双葉社告白松たか子語り手が変われば物語が多重的になっていくというのは、芥川龍之介の名作「藪の中」でよく示されています。藪の中・将軍(角川文庫)芥川龍之介KADOKAWAそのため、この手法は時折見かけますが、「私が先生を殺した」では、物語が多重...私が先生を殺した

  • 他人事

    今日はあまりの暑さのせいで家から一歩も出ず、冷房を効かせた自宅で快適に過ごしました。で、珍しく短編集というか、ショート・ショートを読みました。平山夢明という作家の「他人事」です。他人事(集英社文庫)平山夢明集英社私はこの作家を知らなかったのですが、本屋で偶然見つけて面白そうだと思い、購入。しばらく前までは本はほとんどネットで購入していたのですが、本屋では新鮮な出会いがあるので、よく大型書店に出かけるようになりました。この短編集、322頁に14のショート・ショートが収められています。どれも奇妙な味の、残酷で滑稽な物語たちです。短編集というもの、短い話ばかりなので、つい、もう一つだけ、もう一つだけ、なんて思いながら一気読みしてしまうことがあります。これがそうでした。ホラーだったりSFだったり、ブラックユーモア...他人事

  • 35年目のラブレター

    昨夜は珍しくノンフィクションを読みました。読んだのは「35年目のラブレター」です。35年目のラブレター小倉孝保講談社山間部に建つ小さな小屋で炭焼きを営む西畑家。そこの長男、西畑保の生涯に取材したもので、小説のような体裁を取っています。小学校までは獣道みたいな未舗装の細い道を3時間も歩かなくてはなりません。それでも同学年の友達が出来ることを楽しみに通い始めます。しかし、草鞋履きで継接ぎだらけのボロを着た見るからに貧しい彼は、その貧しさゆえにイジメにあってしまいます。しかも教師までが、彼を疎んじ、イジメを止めさせようとしません。西畑少年は登校拒否になり、山間部にぽつんと建つ自宅で父親の仕事を手伝ったり、同じ山間部に住む年上の少年と唯一の友達になり、遊びまわったりします。家庭では白飯を食うことなど出来ず、薄い粥...35年目のラブレター

  • 吸血鬼

    今日は読書をして過ごしました。読んだのは佐藤亜紀の「吸血鬼」です。吸血鬼とはいっても、ヴァンパイアが出てきて活躍するわけではありません。吸血鬼(角川文庫)佐藤亜紀KADOKAWA1845年のポーランド。その当時、ポーランドはオーストリア帝国の支配下にあります。ポーランドの片田舎の村にオーストラリアの行政官が赴任します。因習的で気味の悪い村です。ここで続いて3件、不審死が起こります。村民は動揺します。村民の不安を鎮めるため、行政官は村に伝わる因習的な方法を採ることを決意。それは棺を掘り起こし、遺体の首を切断するというもの。行政官は当然そんな迷信を信じているわけではありません。あくまで民心を安んじるための方便です。時を同じくして、ポーランド全土でオーストリア帝国打倒のための反乱計画が密かに進められます。この村...吸血鬼

  • 定年まで

    普段なら日曜日の夕方はひどく落ち込みますが、今週は月曜日がお休み。精神的にずいぶん楽です。火曜日になればまた地獄が待っているというのに。就職して33年目。若い頃よりはずいぶんずうずうしくなりました。休み明け辛いのは辛いですが、休みの最中も仕事のことを思って憂鬱になることは少なくなったような気がします。今日は雨が降ったりやんだりで、食材の買い物と昼食に出かけた以外、家でのんびりと過ごしました。退職すると毎日がこんな感じになるのでしょうか。そうするとずいぶん心穏やかでいられるような気がします。多分定年は65歳に延長されるでしょうから、そこまで勤めたらあと10年もあります。65歳までは気力、体力ともに持たないような気がします。そうなったら早期退職するしか無いでしょうね。とりあえず現在の定年である60歳までは勤め...定年まで

  • お買い物

    今日は雨が降る予報でしたが、意外にも晴れ間ののぞく陽気となりました。曇りがちなので、気温もそれほど上がらず、そごう千葉店にお買い物に行きました。まずはそごう千葉店でお気に入りの椿屋茶房でビーフカレーとサラダとスープの昼食。食後にはホットコーヒーをいただきました。私たち夫婦は飲食店ではつい長っ尻になりがちで、1時間半もかけてゆっくり食事を楽しみました。その後LOFTへ。同居人が欲しがっていたちいかわのぬいぐるみを購入。同居人、子供の頃お小遣いをもらえず、大人から見たらくだらない、しかし子供にはとても魅力的なぬいぐるみや駄菓子などを購入することが出来ず、思い残しゆえか、社会人になってからそういった物を買いあさるようにになりました。それは就職33年目の今も続いています。私から見たら馬鹿げているように見えますが、...お買い物

  • 寛解

    昨日は月に一度の精神科受診日でした。もう寛解にいたって15年以上経ちます。日常の苦しみはもはや生きるうえで避けられないと分かっています。単に予防的に飲む薬が欲しくて通っているだけのような状態が続いています。寛解

  • 独り

    今日は同居人が休日出勤を命じられたため、独りで過ごす日曜日になりました。我が家では土曜日はお出かけなどして遊ぶ日、日曜日は洗濯や掃除、一週間分の食料の買い出しなどの家事の日と定めています。それはどちらかが休日出勤をしていても変わりません。したがって、今日は独りで家事をこなしました。私は基本的に一通りの家事は自分だけでできちゃいます。料理もレパートリーは少ないながら、そこそこ美味しくできると思います。しかし、やはり独りで過ごす休日は面白くありません。結婚から26年。もはや独りが嬉しいはずなのに、私はそうではありません。とても寂しく感じます。同居人にどれだけ依存しているのかを思い知らされます。同居人に先立たれでもしたら、私は後追いはしないまでも孤独に耐えきれず、過度の飲酒や精神病薬のODなどにより、じきに亡く...独り

  • 大賀ハスまつり

    今日は千葉公園へ大賀ハスを観に行きました。大賀ハスは千葉市の花。大賀博士という方が千葉でこれを咲かせたそうです。幟があちこちに立っていました。こんな感じです。大乗仏教では亡くなる時に仏様がハスの花に乘って迎えに来てくれるのだとか。そうであるなら私はもっとこの花を愛でたいと思います。大賀ハスまつり

  • その世とこの世

    昨夜は京懐石の店(なぜか千葉にある)で結婚26周年のお祝いをしました。京都で長年修行したという板前が10年前に開いた店で、まぁまぁ満足できました。良い夜だったと思います。今日は「その世とこの世」という、大詩人の谷川俊太郎とライターのブレイディみかこの往復書簡集をお読みました。150ページ程度ですので、すぐに読み終わりました。その世とこの世谷川俊太郎岩波書店タイトルのその世とこの世は、あの世とは別にその世があり、世界はこの世とその世とあの世で成り立っている、という示唆に富んだ書簡から取ったものです。詩人とライターという関係性ですが、幽霊とお化けの話から、ウクライナ戦争やコロナ禍の話、果てはトランスヒューマニズムという一種の未来の人間の在り方を規定しようとする思想の話まで出てきて、スリリングな内容になっていま...その世とこの世

  • 儚い

    昨夕、義母が入院している病院から同居人が呼び出されました。この3日ばかりの間に義母の体調は著しく悪化し、もはや口から食事を摂ることは無理であろうこと、認知機能はまだそれほど衰えていないが、普通に会話することは無理であること、車椅子に座ることは体を支えられないために困難であろうこと、今後の治療は義母の年齢や状態から考えて、積極的には行わず、痛みや不快感を緩和するだけにしたいこと、等の説明があったとのことです。週末は主治医がお休みのため、金曜日のうちに説明しておきたかったとのことでした。最悪今日、明日にも危ないということです。義母は東京大空襲を生き残りますが、幼い妹と母親ははかなくなってしまいました。戦後は父親と祖母から可愛がられて育ち、少々わがままな性格になってしまいました。商業高校としては日本一と言われる...儚い

  • 26

    昨日、6月13日は26回目の結婚記念日でした。昨年は銀婚ということで、式を挙げた東京大神宮から祝詞に招待され、千葉からわざわざ飯田橋まで出かけました。東京大神宮に隣接するマツヤ・サロンで宴会もあったのですが、25年前に同じ式場で式を挙げたというだけのご縁で氏素性の知れない人々と宴席を囲むのはつまらんと思い、宴は欠席しました。その他に、二人で蓮池の路地裏にある千葉市一番の高級寿司でコースを食い、大酒をも喰らいました。あれから一年。今年は明日の土曜日に千葉駅から徒歩10分ほどの高級和食店で懐石料理を食いつつ、お酒をいただく予定にしています。唯一の心配は先般軽い脳梗塞を起こした義母が入院中だということ。脳梗塞はごく軽く、若ければ問題にならないらしいのですが、何しろ84歳と高齢ですから、どうなるか分かりません。食...26

  • 地獄の花園

    今日は息つく暇もないほど忙しく、酒を呑もうとも思わなかったので駅前の中華屋で冷やし担々麺を食って帰宅するなり風呂も入らずリビングのホットカーペットで1時間ほど眠ってしまいました。そうなると今度は眠れなくなるというのが世の常で、ネットフリックスでなるべく馬鹿々々しいドラマか映画を観ようと、「地獄の花園」というのが眼にとまり、なんとなく1時間40分ほどの作品を観てしまいました。地獄の花園永野芽郁大会社には堅気のOLと喧嘩に明け暮れるヤンキーOLが存在する世界。その世界で繰り広げられる抗争が描かれ、誠に馬鹿々々しいほど痛快です。そんな中、堅気のOLとして生きている主人公の永野芽郁演じるナオコ、普通に仕事をし、仕事帰りには同僚と食事をしたりして、彼氏が欲しいとぼやきながら普通のOLとして生きています。そんな中、途...地獄の花園

  • 永遠と横道世之介

    横道世之介3部作の最後、「永遠と横道世之介」を読み終わりました。上下2巻。合わせて700頁に及ぶ長編です。第1作では大学1年生の一年間を、第2作では就職に失敗してバイトで過ごす24歳の1年間を、今作ではまがりなりにもプロのカメラマンとなった39歳の世之介が描かれています。お調子者で誰からも好かれる世之介。唯一、女性からはもてません。今作では、30歳でお付き合いした薄幸の女性との思い出が頻繁に語られます。世之介が彼女に出会った時、すでに彼女は余命2年の宣告を受けていました。しかし世之介は、彼女に「早く出会えて良かった」と言います。2年遅かったら彼女は亡くなっていたと思うと、2年といえど長い年月なのかもしれません。短い夏の思い出も、クリスマスの思い出も、2回だけ。それでも世之介にとっては最高の彼女なのです。彼...永遠と横道世之介

  • 義母の入院

    今朝、義母が入所している施設から電話があり、朝食に箸を付けず、表情に精気が無く、血圧を測ったら上が190を超えていたとかで、掛りつけの内科に連れて行ったらその場で大きな病院へ行くよう紹介状を渡され、大病院で検査の結果、入院となりました。一か月程度ということです。今入っている施設は医療行為は行えないので、退院後は特別養護老人ホームに移る必要がありそうですが、果たして空いているか。もし空いていなかったら、同居人は介護離職せざるを得ないでしょう。人は簡単には亡くならないのかなと変なことを感じてしまいました。義母の入院

  • 定員削減

    6月17日(月)から、私の部署では1名定員削減の憂き目にあうことになりました。私にとっては衝撃的な出来事です。ただでさえ少ない人数でどうにか仕事を回してきたというのに。部下たちの仕事の分担を考えなければなりません。もちろん私の分担も。上層部は私の病歴を当然知っています。寛解に至って15年も経つので、もう負荷を増やしても大丈夫だろうという判断なのでしょうが、そんなに甘いものではありません。じつはもう精神科医から休養すべきだと言われ、診断書も貰っています。とりあえずはこの診断書を常に忍ばせ、様子を見つつ、もうダメだとなったら病気休暇に入ろうと思っています。自分を守るのは自分だけですから。定員削減

  • おかえり 横道世之介

    今朝はなんだかひどく体が重く、起き上がる気が起きなかっので、思い切って休暇を取りました。あらかじめ申請してあった休暇と違い、何となく罪悪感がありますが、仕方ありません。重い頭でベッドから出ずに読書しました。かねて読み進めていた「おかえり横道世之介」を読み終わりました。おかえり横道世之介(中公文庫よ43-5)吉田修一中央公論新社前作では18歳から19歳にかけての、大学1年生という設定でしたが、続編では24歳にして就職に失敗し、バイトとパチンコに明け暮れながらぼんやりと写真家を目指す姿がゆるーく描かれています。舞台が小岩のせいか江戸川区出身の私には親しみやすい物語でもありました。いわゆる良い人であることが唯一の取柄のゆるーい横道世之介、それでも生きていかなければなりません。死なないかぎり生きていかなければなら...おかえり横道世之介

  • 微熱

    月曜日から金曜日までみっちり働いて、土曜日を迎えたのは喜ばしいことですが、朝から体がだるく、熱を測ったら微熱がありました。思えばコロナ禍の時には風邪一つひきませんでした。多分手洗い、手の消毒、マスクなどが効いていたのではないかと思います。ところがちょっと油断しただけで微熱を発するとは、人間の肉体というもの、正直に出来ているようです。微熱

  • イノセント・デイズ

    昨日はどこに出かけるでもなく、読書をして過ごしました。読んだのは「イノセント・デイズ」という小説です。イノセント・デイズ(新潮文庫)早見和真新潮社早見和真という作家の本です。この人の小説を読むのは初めてです。書店で見て、興味を持ちました。ミステリー、ということになるんでしょうか。私には文芸作品のように感じられました。30歳の確定死刑囚の女が処刑される日から物語は始まります。その後に死刑囚の生い立ちや性格、生まれ育った環境等が友人や恋人らの視線から語られます。とりわけ小学生時代の仲良しグループで、秘密基地で遊んだ男の子が長じて弁護士になっており、弁護士は女囚に再審請求を勧めますが、拒否されます。女囚は死刑を怖れてはいません。それどころか、早期の執行を望んでさえいます。女囚は短い生涯のなかで、必要とされること...イノセント・デイズ

  • 横道世之介

    昨夜は吉田修一の長編「横道世之介」を読みました。平易な読みやすい文章と、テンポ良く転がる物語の世界に引き込まれ、文庫本で470頁強の小説を、少々夜更かしして最後まで読んでしまいました。青春小説ということになるんでしょうね。主人公の横道世之介はバブル全盛期に長崎県の片田舎から大学進学のため上京します。時に18歳。大学名は明記されませんが、武道館で入学式をやったとか、武道館から歩いて大学に戻るとかいった描写があり、法政大学で間違いないと思います。作者のプロフィールを見ると長崎県出身で法政大学卒業とありますから、かなりデフォルメしてあるにせよ、作者自身がモデルになっているものと思われます。18歳から19歳の、大学一年生の1年間が月ごとに章立てされ、描かれます。バイトやサークル、恋に友情等、青春小説のエキスとでも...横道世之介

  • しがみつく

    今日は小雨が降ったりやんだり。一週間分の食料の買い出しに行ったのと、近所のイタリア料理店に昼飯を食いに行った以外は、自室で読書をしたりユー・チューブを観たりしてのんびり過ごしました。明日からの長い長い5日間の仕事のことを思うと憂鬱になりますが、日曜日の夕方はいつもそうです。それは何も就職してからのことだけではなく、3歳で幼稚園に通い始めた頃からずうっと続いています。今年55歳になりますから、もう52年も憂鬱な日曜日の夕方を過ごしていることになります。大学生までは教育を受ける期間ですから仕方が無いにしても、職業は自分で選べるのに、堅い小役人になってしまいました。今さら転職したところで、給料が半分に減るだけでしょう。現在の職にしがみつくしかありません。浮世は憂き世とはよく言ったものです。しがみつく

  • 週末

    今日は朝一番で内科に行ってきました。4か月に一度の血液検査の採血のためです。朝飯を抜いたせいでひどく腹が減りました。昼はあっさり塩ラーメン。最近近所にできたあっさり塩とあっさり醤油の2種類だけのお店で、出汁が効いていてなかなかいけます。午後、12型のレッツ・ノートが届きました。自宅ではごっついHPのデスクトップを使っていますが、携帯用に購入しました。以前使っていた物が10年近く経ち、動作が遅くなってストレスでしたので、やむを得ず買い換えました。レッツ・ノート、ノートパソコンでは最強の性能を誇り、値段も他の機種の倍以上しますが、頑丈で長持ちするので購入したしだいです。初期設定を済ませてJ:comのwifiに繋ぎ、いつでも使えるようにしました。これで旅行先からでもブログの更新ができるし、職場で支給されているノ...週末

  • 夜想曲集

    昨夜はカズオ・イシグロの短編集「夜想曲集」を読みました。この作者の短編集は初めて読みました。というか、私の知るかぎり、短編集はこれ1冊だけだと思います。夜想曲集(ハヤカワepi文庫)カズオ・イシグロ早川書房いずれも音楽家が主人公になっています。酒場で演奏する売れないバンドからかつてスターであった老歌手まで、さまざまです。この短編集の刮目すべき点は、ユーモアが前面に出されているところです。しかしそのユーモアは、人生というものへの辛辣さが隠されていて、そこが深い味わいになっています。エンターテイメントのようでいて、文学になっている、素敵な短編集でした。夜想曲集

  • 思考の整理学

    昨夜は「思考の整理学」と言う本を読みました。なんでも東大、京大の学生に最も読まれた本だそうです。だからといって小難しい書物ではありません。むしろ軽い読み物と言った感じです。著者曰く、朝飯前というのは簡単な仕事というわけではなく、朝飯前が最も頭が働く時間帯で、だからこそ朝飯の前は難しい問題でも解決が容易だと言います。で、朝飯前の時間を長くするにはどうすれば良いかというと、早起きするのではなく、朝飯を抜いてしまえば良いのだとか。そうすれば朝飯前の時間が長くなって仕事がはかどる、なんてヘソの曲がったことが書いたりしてあって飽きさせません。しかし悲しいかな1983年に出版されたそうで、現代の整理とは異なっています。すなわち、ノート、カード、スクラップブックなどでの整理法が紹介されているのです。1983年と言えば、...思考の整理学

  • 猿の惑星/キングダム

    今日は久しぶりに映画館に足を運びました。観たのは「猿の惑星キングダム」です。映画『猿の惑星/キングダム』予告(60秒)|300年後の猿が支配する世界|完全新作5月10日(金)公開「猿の惑星」の第一作が公開されたのは1968年だそうです。私が生まれる1年前です。ですがテレビでたびたび放映され、私は何度も観て感銘を受けました。猿が人間を支配する世界を描いたもので、テンポよくスリリングな物語で、何度観ても名作だと感じました。猿の惑星(字幕版)チャールトン・ヘストンその後続編や新シリーズが制作されていますが、第一作に勝るものは未だ公開されていません。シリーズ物の宿命でしょうか。今日観た作品はチンパンジーとゴリラの死闘を描きつつ、そこに最も狡猾で野蛮な、しかし知能が高い人間の女が絡んできます。しかし、人間と猿とを正...猿の惑星/キングダム

  • 消滅世界

    昨日は村田沙耶香という作家の小説を読みました。「消滅世界」です。消滅世界(河出文庫)村田沙耶香河出書房新社人類の生殖は人工授精で行うことが当然になり、性行為は不潔とされ、忌み嫌われるようになった世界。さらに進んで、実験都市というのを作り、楽園(エデン)システムという気色の悪い方法で人間社会を変革させようと試みます。すなわち、男は人口子宮というものを取りつけ、男でも女でも出産を可能にし、生まれた子供は父母ではなくエデンシステムが育てる。子供は社会全体の物として、男も女も老いも若きも成人は全ての子供のおかあさんとなり、家族という概念は消滅してしまう。一種のSFであり、ジェンダー・レス社会を描いた作品と言えます。非常に興味深い内容で、感銘を受けました。もう10年も前になるでしょうかか、この人の芥川賞受賞作「コン...消滅世界

  • 日本橋あたり

    昨日は日本橋あたりを散歩しました。東京駅で降りて八重洲口から高島屋へ。徒歩10分もかかりません。ここで同居人は小さな絵画と洒落た日傘を購入。衝動買いでしょうかね。私は何も買わずに冷やかしました。その後日本橋を渡って三越へ。百貨店のハシゴです。お昼はスペイン料理のランチ・コースを頂きました。ワインを少々頂いてしまいました。禁断の昼酒です。この背徳感がたまりません。車を使わないとこういうことになってしまうこと必定です。日本橋に少々飽きて、お祭りをやっているという新橋へ移動。安い居酒屋で昼酒を楽しんでいる人が大勢いました。約14,000歩。気持ちよく歩けました。日本橋あたり

  • 遠い山なみの光

    今日は昨日とは打って変わって静かに過ごしています。まずは朝一番で散髪。夕方16時30分から精神科へ行く予定。その間にカズオ・イシグロの処女長編「遠い山なみの光」を一気に読みました。遠い山なみの光(ハヤカワepi文庫イ1-2)カズオイシグロ早川書房舞台は終戦後間もない長崎。そこで若い妊婦と彼女を囲む人々との日常が淡々と綴られます。その中に異色の人物が登場します。米国人の愛人から一緒に米国に行こうと誘われ、それに夢を抱きながら、いつまでも渡米がかなわない女です。主人公はそれを愚かな考えだとしています。しかし、その主人公自身が、その経緯は語られませんが、家族を捨てて英国人の夫と子供を抱えて英国に移住しています。主人公と他の登場人物たちとの間で交わされる会話が印象的です。そこはかとなく漂う時代の変化に伴う諦念だっ...遠い山なみの光

  • 大散歩

    昨日は雲一つ無い好天に恵まれました。しかも最高気温は23度と過ごしやすい陽気。じつに久しぶりにお上りさんになって都内散歩を楽しみました。渋谷から青山、神宮外苑のあたりを目指すことにして、電車に乗りました。コロナ前であれば渋谷だろうと六本木だろうと車で行っていましたが、今はもうダメです。怖すぎます。で、渋谷駅に11頃降り立ちました。渋谷はいつも工事をしているイメージですが、それが加速しているようです。浦島太郎か懲役帰りかのごとく、街の様子が一変していて、なんだか違う場所に来たような錯覚に囚われました。渋谷駅前のスクランブル交差点は外国人に人気の観光スポットだと聞きましたが、本当にそうでした。私がスクランブル交差点を渡っている時、スクランブル交差点がよく見えるスターバックスの2階から撮影している外国人が大勢い...大散歩

  • 新しい日常

    明日から4連休。しかも世間ではコロナはほぼ終息したことになっています。私は必ずしもそうは思っていませんが。久しぶりにお上りさんになって青山から神宮外苑あたりでも散歩しようかと思っています。長らく江戸川区の実家に帰る以外、都内には出かけていません。ブログ内検索で調べたところ、2024年になってからは一度も都内へでかけていませんでした。2023年は4月に「きのう何食べた?」のロケ地に行くために新小岩へ、5月に雅楽を観るために宮内庁へ行っただけです。2022年と2021年は一度も都内へ出かけていません。2020年も3回行っただけです。きのう何食べた?DVDBOX(5枚組)西島秀俊東宝【Amazon.co.jp限定】『きのう何食べた?season2』DVDBOX(5枚組)DVD5枚組よしながふみ東宝その間にコロナ...新しい日常

  • 湖の女たち

    昨夜は吉田修一の「湖の女たち」という小説を読みました。吉田修一といえば、芥川賞受賞作「パーク・ライフ」が非常に印象に残っていますが、なぜかその後この作者の小説を読むことはありませんでした。パーク・ライフ(文春文庫)吉田修一文藝春秋この小説、文庫本で400頁足らずですが、とにかく登場人物が多い。あまりにも多いので、相関図のような物を作ってしまいました。そうでないと混乱するからです。この小説では琵琶湖と戦前の満州国に作られた人造湖、平房湖を指しています。琵琶湖のほとりに建つ老人ホームでの事件とも事故ともつかない老人に死から物語は始まります。真相を追う刑事と施設で働く介護師との異常な性的関係、平房湖で起きた少年と少女の死、それらが複雑に絡み合って、ついには老人の死は731部隊の蛮行にまで繋がっていることが示唆さ...湖の女たち

  • ツツジ

    今日は朝一番でスバルのディーラーに行きました。インプレッサの半年点検のためです。早いもので購入してから3年半が経ちます。先代インプレッサには7年乗りましたから、通算するともう10年もインプレッサに乗り続けています。ただし、走行距離が大きく異なります。前の車は約10万キロ乗り、スバルの営業からはアクティブなドライバーと言われました。しかるに今の車は3年半で27,000キロ。アクティブとは言い難い距離です。最大の原因はコロナ。車で遠出することが無くなり、ほとんど通勤にしか使わなくなりましたので。さらに追い打ちをかけたのが左目の悪化。そのせいで運転するのが怖くなってしまいました。現役のうちは車通勤なので仕方ありませんが、定年を迎えたら早々に免許を自主返納したいと考えています。スバルでの点検が終わって帰宅し、イカ...ツツジ

  • あなたのため

    今日は小説を読みました。「毒母ですが、なにか」です。毒母ですが、なにか(新潮文庫)山口恵以子新潮社女子高生が毒母になり、娘を思い通りに育て上げようとする長い物語が紡がれます。毒母が70を超えて要介護3になっても、娘は子供の頃の記憶から逃れることが出来ず、絶縁状態を続けます。娘は幸せな結婚をし、毒母から逃れるわけですが、自らは妊娠しても堕胎し、母になることを拒絶します。自分が実母のような母親になって子供を支配しようとするのではないかと心配だからです。文章は少々雑ですが、内容の面白さから、一気に読みました。母と娘というのは難しいようです。実は同居人も、実母との関係性に苦しんだ一人です。言葉の暴力をシャワーのように浴びせ続け、わずか10歳にして自殺未遂を起こします。しかしそれは実母の怒りを倍加させるだけでした。...あなたのため

  • ある男

    昨日は同居人が休日出勤であったため、一人の土曜日となりました。世間の中年男は奥さんがたまに留守をすると、一人を満喫できるので喜ぶと聞いたことがあります。私はそんなことはありません。深く同居人に依存していますので、もし同居人に先立たれでもしたら、孤独に耐えられないのではないかと考えただけで怖ろしくなります。で、気晴らしに小説を読みました。平野啓一郎の「ある男」です。映画化もされているようです。ある男(文春文庫)ある男(文春文庫)ノーブランド品ある男[DVD]通常版DVD平野啓一郎松竹林業に携わる夫が事故死して、残された妻子は嘆き悲しみます。しかし、奇妙なことが起こります。ほとんど絶縁状態だった夫の実兄が焼香にくるのですが、遺影を見て、これは弟ではないと断言します。では、夫は何者だったのか、知り合いの弁護士が...ある男

  • 花見

    今日は昨日とは打って変わって好天に恵まれました。そこで、酒と主に乾き物のつまみにおにぎり弁当を仕込んで千葉県立青葉の森公園に出かけました。多くの老若男女、善男全女がシートを広げて花見に高じていました。ここはなにしろ県立公園なので、的屋もおらず、広々してしかも静か。花見は騒々しいのも良いですが、年を取ると静かな花見が良くなるようです。花見

  • 花冷え

    今日は小雨がぱらつき気温が上がらない、しかし桜は満開の花冷えでした。こんな日に飲食を伴う花見は行うのは無理なので、千葉県立青葉の森公園で花を観ながら散策しました。明日、天気が良かったら酒肴を仕込んで花見を行いたいと思っています。桜だけではありません。花の公園なのです。花冷え

  • マチネの終わりに

    平野啓一郎の「マチネの終わりに」を読了しました。知りませんでしたが、映画化もされているようです。恋愛小説というくくりになるのでしょうが、それだけではありません。天才クラシックギター奏者である蒔野とジャーナリストの洋子の関係性を軸に物語は構築されています。そこには天才音楽家であるための恍惚と苦悩が語られ、ジャーナリスト故の世界の出来事に対する一種の憤りみたいなものが色濃く描かれます。恋愛小説と言っても、若い人のそれではなく、38歳の男と40歳の女、中年同士の恋愛です。ただし、二人とも独身なので不倫というわけではありません。もっとも、洋子はアメリカ人の男と婚約していますが。二人はたった3回会っただけで、互いに激しく魅かれあいます。しかし、蒔野を慕うマネージャーの女の偶然が招いた策略により、二人はボタンの掛け違...マチネの終わりに

  • 時計

    年度の終わりの土日。新年度に襲い来る怒涛の忙しさに恐怖して打ち震えています。千葉市の気温は24度まであがり、不安を少しでも軽減するため、お出かけしました。桜が開花したばかりで花見は無理だと分かり切っていましたが、千葉城桜祭りの様子を見に行きました。ほんのわずか、咲いていました。それでもたくさんの人が花が無いのに野外で宴会を繰り広げ、静寂を破っていました。的屋もたくさん出ていて、すっかり気分はお花見です。来週末はきっと満開でしょうから、酒肴取り揃えてお花見に出かけたいと思っています。帰りにそごう千葉店に寄りました。色々見ているうちに、木工細工の掛け時計を発見、置時計にもなります。今リビングに置いている置時計、私が25歳で独り暮らしを始めるときに使い始めた物で、もう30年も使ってしまいました。リフォームをした...時計

  • 依存症

    大谷選手の専属通訳の水原氏が解雇されました。ギャンブル依存症で、使ってはいけない大金を使ってしまったようです。依存症というのは種類がたくさんあって、アルコール依存症、薬物依存症(合法薬も含む)、ギャンブル依存症、買い物依存症、セックス依存症、などなど。私は良くお酒を呑むし、抗精神病薬、抗不安薬を飲み続けているので、アルコール依存症や薬物依存症(ただし合法薬)になるリスクを常に持っています。いや、あるいはすでにどちらかもしくは両方の依存症になっているのかもしれません。抗精神病薬や抗不安薬を飲まないとまともに働けませんし、毎晩の晩酌はすっかり習慣になっています。自分は酒と薬で死ぬんだろうなと、ぼんやり思ったりします。3つ上の先輩で、肝臓がんで亡くなった人がいます。48歳でした。アルコール性肝炎から肝硬変になり...依存症

  • 鏡の中は日曜日

    先般読んで非常な感銘を受けた「ハサミ男」の作者、殊能将之の本格ミステリ「鏡の中は日曜日」を読みました。鏡の中は日曜日(講談社文庫)殊能将之講談社これを読んで、私は懐かしい気分になりました。小学校高学年の頃、学校の図書室にあったシャーロック・ホームズシリーズや、エラリー・クイーン、アガサ・クリスティのミステリを熱心に読んでいたからです。その後私は本格ミステリに興味を失い、読むことがなくなりました。「ハサミ男」はどちらかというとホラー・サスペンスの趣があり、興味深く読んだので、同じ作者の小説を読んだわけです。ハサミ男(講談社文庫)殊能将之講談社ハサミ男[DVD]豊川悦司/麻生久美子東宝フランスの詩や本邦の短歌、考古学に知識が豊富なことがよく分かる、教養のある作家です。それだけに文章にも品があってしかも読みやす...鏡の中は日曜日

  • 本心

    かねて読み進めていた平野啓一郎の「本心」を昨夜読了しました。平野啓一郎と言えば、大学在学中に「日蝕」でデビューし、同作で当時史上最年少で芥川賞を受賞しました。日蝕・一月物語(新潮文庫)平野啓一郎新潮社その流麗でやや難解な文章から三島由紀夫の再来とまで言われました。私もその作品を読んで、とんでもないやつが出てきたと思った記憶があります。しばらく平野作品を読まないでいたのですが、数年前「ドーン」という作品を読んで、違和感を覚えました。擬古典的で美的な作品が、近未来SFみたいになっていたからです。作家の興味関心は大きく変わり、人類はどこへ行くのか、ということをテーマにしているように思いました。ドーン(講談社文庫)平野啓一郎講談社で、今回読んだ「本心」。これも近未来を描いた作品です。最愛の母を事故で喪った29歳の...本心

  • 消えない月

    昨日、人事異動の内示がありました。私は動きませんでしたが、私が信頼する部下が異動することになり、ショックを受けています。東大卒で記憶力が良く、気が利く人でした。そろそろ30歳になろうかという女性です。後任はなんと54歳で、職場でも有名なヒステリックなおばさんです。ヒステリックなだけではなく、仕事が杜撰でミスが多い人です。私と同期で、大ベテランですが、就職したばかりの頃とあまり変わっていません。年度末はただでさえ憂鬱なのに、優秀な部下が去り、ミスだらけのおばさんが来ると言うことで、立ち直れません。午前中は憂鬱を吹き飛ばそうと近所をひたすら歩き回りました。少しは気が晴れたかというとそうでもなくて、来年度一緒に働いてみなければ何とも言えません。午後は気楽に読めるミステリを読みました。「消えない月」という本を読み...消えない月

  • 憂愁

    年度末のこの時季、毎年そうですが、意味不明な焦燥感に駆られ、気持ちが落ち込みます。まして今度の4月に頼りにしていた直属の上司が異動するとあって、例年に無く憂愁濃い日々を送っています。若い頃は50代にもなると全て達観して仕事関連で落ち込むことなど無くなるのだと思っていました。しかしそれは当然ながら大嘘でした。人間100歳まで元気で生きたとしても、その時々の問題を抱えて落ち込んだりするのだろうと思います。まして双極性障害を抱えた私ならなおさらです。昨日の日曜日は少しでも気を晴らそうと、千葉公園のあたりを2時間も歩き回りました。しかし肉体的疲労が精神を鈍麻させ、鈍麻するがゆえに頭がぼうっとして落ち込みが少々緩和されるだけで、それは酒に酔ってひと時落ち込みを忘れるのと変わりありません。要するに年度末に集中する仕事...憂愁

  • 荻窪メリーゴーランド

    昨夜は歌集「荻窪メリーゴーランド」を読みました。荻窪メリーゴーランド木下龍也太田出版35年くらい前になるでしょうか、俵万智が「サラダ記念日」という口語の歌集を出して論争が巻き起こりました。新しい短歌だ、とか、なぜ自由詩で書かず、三十一文字に載せるのか、だとか。当時大学生で国文学を学んでいたのですが、高名な歌人でもある岡野弘彦先生という方から源氏物語を勉強していました。岡野先生、古い歌人の代表として俵万智と比較されて激怒していました。サラダ記念日(河出文庫227ABUNGEICollection)俵万智河出書房新社懐かしい思い出です。そんな論争が嘘のように、今では口語短歌なんて当たり前の物になっているようです。「荻窪メリーゴーランド」は男女の歌人が歌を詠みあう相聞歌のような体裁を取っています。男の歌人が木下...荻窪メリーゴーランド

  • 死の時間

    昨夜は江藤淳による愛妻を看取った手記「妻と私」と自分史的な「幼年時代」それに福田和也、吉本隆明、石原慎太郎、3氏による江藤淳への追悼文が所収された文庫本を読みました。200ページ足らずということですぐに読み終わりました。妻と私・幼年時代(文春学藝ライブラリー)江藤淳文藝春秋江藤淳という高名な文芸評論家の名前くらいは知っていましたが、敬して遠ざけ、ついぞ読んだことがありませんでした。文芸評論を読むくらいなら、文芸作品を読んだほうが良いと思っていたからです。このたびその著作を読むことになったのは、書店で見つけてなんとなく、というのが実態です。「妻と私」は末期がんに侵された妻を看病し、看取り、さらには妻亡き後著者自らが大病して闘病する様子を描いたものです。その筆には鬼が宿ったがごとき迫力があって、読む者を圧倒し...死の時間

  • ハサミ男

    三日ほどかけて、ミステリの傑作と呼ばれる「ハサミ男」を昨夜読み終わりました。以前、もう15年ほど前に映画版を観たことがあるのですが、その時の印象はまぁまぁ面白かったかな、という程度のものでした。改めて原作を読んでみて、物語の重層性やミステリでありながら高い文学性を持った文章に深い感銘を受けました。タイトルは陳腐と言ってもよいくらいですが、中身はまったく違います。先日本屋を訪れた際、帯に、「古典にして大傑作!えっまだ読んだことが無い!?」という煽情的な言葉が並び、つい、買ってしまいました。結果、大当たりだったというわけです。ハサミ男(講談社文庫)殊能将之講談社ハサミ男[DVD]豊川悦司/麻生久美子東宝女子高生を絞殺し、その後喉にハサミを突き立てる、という殺人が2件発生。警察の捜査も虚しく3人目の犠牲者が出て...ハサミ男

  • 13回忌

    昨日は実家の寺で亡父の13回忌。首都圏に住む親族のみで執り行われました。父が亡くなってから12年経ちます。雪がぱらつく寒い日、浅草寺病院にお見舞に行って、その翌日の未明、帰らぬ人となりました。最後のお見舞いから葬儀、私が激やせしたことなど、父の死をめぐる日々のことは鮮明に覚えています。私にとっては世界の終わりが来たような、衝撃的な出来事でした。でも変ですね。40を過ぎたおっさんが父親の死をそこまで嘆くなんて。順番だから仕方の無いことなのに。昨日の法事で久しぶりに顔をあわせた叔父や叔母は当たり前ですが衰えていました。足が弱くなった者、人工透析になった者、様々です。私が54歳ですから、みなさん後期高齢者です。頼るべき子供がいない私たち夫婦の老後がどうなるのか、不安を感じました。そのなかで一人元気そのものだった...13回忌

  • 予言の島

    昨夜はホラー・サスペンスを読みました。「予言の島」です。予言の島(角川ホラー文庫)澤村伊智KADOKAWA1970年代にオカルト・ブームというのがありました。小学生だった私はモロにその影響を受けています「オーメン」シリーズや「エクソシスト」等のホラー映画、ノストラダムスの大予言、それに横溝映画シリーズの大ヒット等がその一端です。昨夜読んだ「予言の島」、横溝作品とよく似ています。作者は横溝ファンを公言しているらしいですから、当然かもしれません。思わせぶりでやや冗漫な前半。謎が深まり、引き寄せられてく後半。そして畳みかけるようなスピード感でグイグイ読ませるラスト。まるで教科書のようなホラー・サスペンスです。堪能しましたが、今後この作者の作品は名画「来る」の原作、「ぼぎわんが、来る」だけ読めばいいかなと思います...予言の島

  • 晴れ時々曇りの土曜日。風は冷たいながらプチ漂泊の思いに駆られ、千葉市内にある青葉の森公園に出かけました。わが家から車で20分ほどです。まずは千葉県の県花、菜の花がお出迎え。そして河津桜。さらには梅。各種の花を堪能しました。その後千葉市の中心地に移動。ボンゴレとサラダと珈琲の昼食をしたため、大きな本屋に行きました。このところ本を買うというとほとんどアマゾンだったのですが、本との新しい偶然の出会いをしたいと思ったら本屋に行くしかありません。本屋を1時間も周遊し、ホラー・サスペンスを1冊、江藤淳の絶筆となったエッセイ集を1冊、現代短歌の歌集を1冊購入しました。本屋を歩くのは結構疲れます。特に新刊書店は疲れます。あらゆる本が「読んで」、「買って」と騒々しく売り込みをしているように感じられるからです。古本屋だと本た...花

  • 化物園

    昨夜は恒川光太郎の連作短編集「化物園」を読みました。7つの短編が収められています。一つ一つの作品は独立した物語ですが、同じ化物が登場することによって、連作と見做すことができます。同じ化物とは言っても、猫だったり蛇だったり、果ては顔が無く、数センチ浮いているものだったり、見た目は様々ですが、それらは同じ物です。この短編集の圧巻は、最後に掲載されている「音楽の子供たち」の迫力でしょうね。化物園恒川光太郎中央公論新社「音楽の子供たち」によって、それまでは明かされなかった化物に関することが分かります。化物は人間が誕生するはるか以前から存在する物であって、その姿は変幻自在であり、かつては人間を喰らうこともあったことが示唆されます。その後異形の化物は人間世界の片隅で息をひそめ、長く、人間との関係を保ってきました。人間...化物園

  • 怖れる

    30年くらい前までは、天気予報はよく外れ、それを揶揄することが多かったように思います。しかし最近の天気予報は外れるということはまずありません。あたります。今日も予報どおり冷たい雨が降り続きました。なぜか分かりませんが、朝6時半に起きて朝食を摂り、週に一度の洗濯をして部屋干しを済ませたら眠くなり、ベッドに潜り込んだら深い眠りに落ち、14時まで眠り続けました。こういうこと、時折私を襲います。大抵、ひどい悪夢を見て寝汗をびっしょりかき、目を覚まします。何を怖れているのかは分かりませんが、私はいつも何かを怖れ続けています。それが私の本性であるかのように。怖れる

  • 成田山公園梅まつり

    3連休の真ん中。昨日は雨で明日も雨の予報。今日だけが晴れて気温が上がり、穏やかな一日になるとのことでしたので、梅を観ようと成田山公園梅まつりに出かけました。思ったほど咲き乱れてはいませんでしたが、そこそこの開花です。菜の花も咲いていました。まずは満足です。成田山公園に行くということは、成田山新勝寺にお参りすることと同義でなければなりません。広く長く、古くからやっているであろう各種のお店が軒を並べる参道を通って新勝寺へ。奈良の薬師寺や東大寺ほどではないにせよ、嫌になるほどの広さです。成田山でお昼と言えば鰻に決まっています。一番人気の川豊と言う店、4時間待ちの表示。アホですか。そんなに待ったら夕飯になってしまいます。以前この店でうな重を食ったことがありますが、おそらく蒸さずにいきなり焼いているであろう、荒っぽ...成田山公園梅まつり

  • 真夜中のたずねびと

    昨夜は恒川光太郎の短編集「真夜中のたずねびと」を一気読みしました。この作家の作品の多くが異界と現実を行き来するような幻想的なものですが、昨夜読んだ短編集は趣を異にしていました。つまり、現実世界で起きるミステリーの要素が極めて強く、異界との繋がりはほんのわずかばかり示唆されるだけなのです。また、一つ一つが独立した短編になってはいますが、ある作品の主人公が別の作品の端役で登場したりして、緩やかな連作と読むことが出来るようになっています。幻想的な要素が満載の恒川作品を期待すると肩透かしをくらいます。作家の作風は年とともに変わっていくものです。この短編集を興味深く読みはしましたが、もしこの路線を突っ走るようなら、私はこの作者から離れていくような予感を覚えます。真夜中のたずねびと(新潮文庫)恒川光太郎新潮社真夜中のたずねびと

  • またもや懐中時計

    性懲りもなくまた懐中時計を買ってしまいました。懐中時計では有名なアエロウォッチの手巻きで、デザインが現代的というか、スタイリッシュな黒で、暗い場所では文字と針が光るという、懐中時計にしては珍しい逸品です。懐中時計は百年以上前に作られ、オーバーホールを繰り返したアンティークの美品は200万円くらいするそうですが、新品は高級腕時計のように何百万円もする物はありません。しかしそれでも、ちょっとしたものなら何十万円とかかります。安月給の木っ端役人には無理目なコレクションです。今日購入した物も、私には分不相応な値段でした。もともと私は物欲があまりなく、コレクションなんてしたことがありませんが、懐中時計にだけはハマってしまいました。これで止めておかないと破産してしまいますね。またもや懐中時計

  • 躁鬱大学

    昨夜は「躁鬱大学」という文庫本を一気に読みました。現在は双極性障害と呼ばれ、かつては躁鬱病とよばれていた疾患を持つ人が書いた、双極性障害患者やその家族向けに書いたものです。「カンダバシ語録」と言う物をテキストにして15回、双極性障害患者の生き方や物の考え方を講義する、という体裁を取っています。ここでは著者は双極性障害という言葉は使わず、古い名称の躁鬱病と言っています。これは躁鬱病のほうが実態に近い言葉であるからだろうと思います。さらには躁鬱人と非躁鬱人という概念を作り出し、やや過激な書きぶりが面白く感じられます。・躁鬱病は病気というよりも一種の体質。・特有の滑らかな対人関係の持ちようは躁鬱病の証拠。・中高時代より好調と不調の時期があったはず。・躁鬱病の人は我慢するのが向きません。「この道一筋」は身に合いま...躁鬱大学

  • 白昼夢の森の少女

    昨日読み始めた恒川光太郎の短編集「白昼夢の森の少女」を今日の昼休みに読み終わりました。白昼夢の森の少女(角川ホラー文庫)恒川光太郎KADOKAWA作者が後書きで書いていましたが、アンソロジー等に収載された短編を集めたものということで、バラエティーに富んでいました。ほんの数ページの物から50ページほどの物、ホラー小説然としたものから私小説っぽい物。いずれも興味深く読みました。この作者、「スタープレーヤー」シリーズなど、長編も書いていますが、最も面白いのは短編から中編くらいの物なのだと思います。スタープレイヤー(角川文庫)恒川光太郎KADOKAWA白昼夢の森の少女

  • 日曜日

    今朝は5時にばっちりと目を覚ましてまい、もう眠れませんでした。そこで朝湯に入り、飯を食ってから洗濯をしました。わが家は日曜日の朝に一週間分の洗濯をするので結構な量です。そのために、大容量の洗濯機を使っています。同居人が夢の中にいる間に洗濯を済ませ、ベランダに干してしまいました。その後、しばし読書。恒川光太郎の短編集を半分くらい読みました。午後は春めいた陽気に誘われて千葉駅周辺を散歩しました。日頃町に出ることが出来ない田舎めいた所にある巨大研究所で働いているため、週末くらいは都会的な町を歩きたくなります。たっぷり歩いて疲れてしまい、喫茶店で珈琲を飲んで帰宅しました。今日の晩酌のお供は大きなカマスの開きと江戸川産のべらぼうに旨い小松菜の煮びたしとフルーツトマト、それに木綿豆腐の冷奴です。明日からの仕事を思うと...日曜日

  • 箱庭の巡礼者たち

    もう4年前のことになりますか。今の職階に上がるのとほぼ同時に、世界はコロナ禍に見舞われました。私は悪い気にあたると、ひどく気分が落ち込む悪い癖があります。コロナ禍の気も、非常に悪いものでした。それに加えて昇任によるストレスが加わり、私は小説を読む気力を失ったのでした。読書という悪癖から逃れられて幸せだ、なんて空元気を出していましたが、精神が一時的にせよひどく衰えたものと思います。しかし最近コロナ禍も収まりつつあり、加えて今の職階にも慣れ、少しづつ気力が充実してきたところ、村上春樹の新作「街とその不確かな壁」が上梓され、これを読むことによって長く続いた小説を読まない生活を終わらせることが出来たように思います。街とその不確かな壁村上春樹新潮社今日は私が敬愛する作家、恒川光太郎の「箱庭の巡礼者たち」を読みました...箱庭の巡礼者たち

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