うちの猫は、蛇口から水を飲む。珍しいことではないみたいだ。そのほうがフレッシュで美味しいに決まっている。細く水を出すと、ピンクの舌で器用に飲む。うちに帰ると2匹揃って水を待ちかねている。難は水を止めるのを忘れること。特に夫は毎回忘れる。もったいないので、娘が水飲み器を買ったら、最初のうちは珍しがって飲んでいたけど、定着しなかった。蛇口から飲むくせに、水は怖いのでお風呂にお湯を入れていると逃げ出す。...
うちの猫は、蛇口から水を飲む。珍しいことではないみたいだ。そのほうがフレッシュで美味しいに決まっている。細く水を出すと、ピンクの舌で器用に飲む。うちに帰ると2匹揃って水を待ちかねている。難は水を止めるのを忘れること。特に夫は毎回忘れる。もったいないので、娘が水飲み器を買ったら、最初のうちは珍しがって飲んでいたけど、定着しなかった。蛇口から飲むくせに、水は怖いのでお風呂にお湯を入れていると逃げ出す。...
ネヴェンカ(Nevenka、この読み方でいいでしょうか?)は25歳の若さでポンフェラーダ市(スペイン)の市会議員に選ばれる。市民から支持される市長イスマエル・アルヴァレスは、ネヴェンカをいきなり予算担当につける。その結果、市長の傍らにはいつもネヴェンカの姿。この抜擢に、古株はあきれ、ネヴェンカは舞い上がり「何でもしますから」と市長の信頼に応えようとする。でもこの贔屓には理由があった。市長が気に入ったのはネ...
5~6月はアリが大発生した。アリは1匹で歩いていると可愛くないこともないけど、何十匹が行列してうちの中を行進していると、これはなんとかしなければ。image: Qivio猫がいるので殺虫剤は使えない。重曹+チョウジが効くと教わって、アリの通り道に重曹をふりかけ、間隔を開けてチョウジを置いてみた。うちに来る人が「ナニコレ!?」という顔をするたびに「コカインじゃありません」。この方法は、効果はあったけどアリのネッ...
歩きたがらない夫を歩かせるのは至難のワザ。歩いて7分のスーパーに行くのに、10分バスを待つ、という人だ。最近PTから「毎日最低30分歩かないと、今に歩けなくなる」と言われ、わたしが「もう一緒に旅行できない」と脅したので、少し気を付けるようになった。「ちょっと歩いてくる」と出かけるのはいいけど、あっという間に帰ってくる。ニンジンをぶら下げないと30分以上歩かない。生徒さんのひとりから、オテル・ドゥ・ラ・マリ...
ブルックリンのクラブでストリッパー&エスコートガールをするアノーラは、ロシアのオリガルヒの息子ザハロフと出会う。高校生に見えるザハロフは両親の豪華なアパートにひとりで暮らし、親の金で遊んでいる。「君を1週間独占したらいくら?1万ドル?」「1万5千ドル!」親の金を湯水のように使っている放蕩息子と玉の輿を夢見るストリッパーは気が合った。“1週間の独占”から「結婚しちゃえばわたしをずっと独占できるよ」「し...
エルザ夫妻市場の最終日には、お孫さんまで家族全員、昔の店員さんもやってきて、賑やかな「さよなら」になった。その時、エルザから、「10月に大昼食会をするから必ず来てね。車はある?」わたしは運転できないし、夫はパリの駐車場が高すぎるので、古い車は田舎に置いてある。エルザ夫妻はオルリー空港の近くに住んでいるので、空港まで電車で行ってタクシー?「空港を右に曲がって、すぐを左に曲がったとこよ。すごく簡単」オル...
25年間通った朝市の八百屋さん、エルザおばさんが72歳で定年退職したのは今年の7月。退職後のエルザ夫妻、素敵なツーショット「死ぬまでやめない」と言っていたので「えっ?!」と思ったけど、「アレ(とご主人を指さし)がもう無理って言うから」過酷な職業だから、逆に「よく70過ぎまでがんばった」と言うべき。夜中の12時に起きて(!)冷蔵室の野菜果物をトラックに積み込む。定番の商品だけで50種類以上あり、そこに季節もの...
眼科で視力検査。「文字列が8つありますけど」「・・・・4つしかありません」視力は変わっていなかったけど、ダブルに見えるのは乱視のせいではなく、「両目が一緒に機能していないからです」個別に見ているから像が2つ見える、ということ。理由は(前にも書いたけど)10年くらい前に遡る。老眼が出てきたせいで(おかげで?)近眼が是正され、近くはコンタクトなしで見れるようになった。当時の眼医者さんが、「片目だけコンタクト...
情けない言い訳をする被告たちに対し、ジゼル・ペリコの勇気ある凛とした態度にはひたすら感心。彼女は最初「恥をさらすのはいやだから法廷に出ない」と言っていたが、「恥をさらすのは被害者ではなく加害者だということを世間に伝えるべき」と考えを変えて出廷。photo: TF1 info被告側の弁護士の「あなたは本当に意識がなかったのか?」「快感があったのではないか?」のようなひどい質問にもめげず、「なぜ被害者が口をつぐむの...
目下裁判が行われているマザン強姦事件。左が被害者ジゼル・ペリコ主犯の夫ドミニック・ペリコの携帯&パソコンから83人が“参加”したのがわかり(つまり2回やった男がいる)、そのうち身元が割り出された51人が逮捕、拘置された。51人のプロフィルをニュースでは「hommes ordinaires/ふつうの男性」と言うけど、こんなことをした男性を「ふつう」と呼ばないでほしい。年齢は27~73歳(犯行当時22~67歳)。全員がペリコ夫妻と同じ...
裁判が始まり、その様子が毎日ニュースになるマザン強姦事件(マザンはプロヴァンスの地名)。ドミニック・ペリコ(↓)が、10年に渡って妻に強い抗不安薬を飲ませ、ネットで募った志願者に強姦させていた、という信じがたい事件だ。image: 7sur7.be発覚したのは2020年9月。スーパーで女性客のスカートの中を盗み撮りしていたドミニック・ペリコ(当時67歳)が警備員に捕まった。携帯には何人もの女性客が撮られていた。警察はパソ...
生徒さんA(60歳男性)がNetflixでかかっている『テラスハウス軽井沢』を観ていて、よくその話をする。「面白い」「わかりやすい」「会話の勉強になる」というので、観てみたら(そう、今頃!)確かに面白い。周囲に聞いたら(当然、みんな既に観ていて)「軽井沢が一番面白い」でも、これで“会話の勉強”をしないほうがいい。60歳の彼が「めっちゃよかった」「ムズい」「エグい」を連発したら滑稽なだけでしょ。フランス語でも同...
「実は男ともやったことがあるんだ」「えっ、どうして今まで言わなかったの?」「フラれると思ったから」「バカね!・・・・女より嫉妬しないかも。でもわたしから離れないで」「絶対離さない」(エイズの怖さや知識がまだ浸透していなかった頃の会話)深夜のディスコから歩いて帰るエマとサミーは幸せで、未来は輝いていた。間もなく生まれてくる息子のため、サミーはアパルトマンの改装を始める。同じ建物で仕事をする写真家のシリル...
舞台はメキシコ。有能な弁護士リタは今日も被告に勝訴をもたらした:妻を殺した暴力夫に無罪判決。勝ったのにリタは全然うれしくない。最近は、正義のためではなく犯罪者をシロにするための弁護ばかりだ。うんざりしてトイレに入ったリタに、新しい仕事を提案する謎めいた電話。待ち合わせ場所に行ったリタは頭から袋をかぶせられバンでどこかへ連れていかれた。目隠しを取ると、目の前に有名な麻薬カルテルのボスが座っている。「...
歩行器を押しながらいつもロビーを歩き回っているおばあさん。小柄でウェーブした白髪、お伽話に出てくるおばあさんのように可愛く、背中は曲がっているけどスタスタとよく歩く。わたしが受け付けで「来訪者」の記入をしていたらやってきて、受付の女性に「主人はいつ帰ってきますか?」「病院に行っていてあさって帰ってきますよ」そうですか、と立ち去ったかと思うとすぐ戻ってきて「主人はいつ帰って来るんですか?」翌日も同じ...
いつも借りているワンルームは駅まで徒歩15分。緑が多い住宅街で、パリでは聞けなくなった蝉の声が聞こえる。午前中に駅に向かって歩き出すと太陽が背中に照り付ける(つまり背後が東?)。駅から母のいるホームはさらに15分。これを2週間、毎日やっていたら首と腕がかなり焼けた。土方焼け。パリは日照時間が少なく、ヴィタミンD不足の人が多い。骨粗鬆症の初期で、お医者に「一日10分陽に当たりなさい」と、日本女性なら真っ青...
一方母は、わたしが発つ前に腰の激痛でホームから病院に運ばれた。圧迫骨折が疑われたけど、母はレントゲンも検査も拒否し「薬だけ欲しい」。母の頑固さにお医者さんも負け、鎮痛剤をもらって帰ってきた。名前すら知らなかった「圧迫骨折」とは、骨が脆くなった老人や閉経後の女性に、少しの衝撃で起こる背骨の骨折。ドスンと座っただけで折れるとか。レントゲンだけでも撮ればよかったのに、と言ったけど、圧迫骨折とわかっても手...
数日後、田園都市線→南武線→小田急線と乗り継いで、駅で待っていた娘とさらにバスに乗り、新百合ヶ丘総合病院へ行く。駅と病院を往復しているバスは1時間に2本しかない。病院は丘の上にあるので「歩いて行くと暑くて死ぬ」そうだ。5分で新しい明るい病院に着き、まずリハビリの理学療法士に会った。30台前半の優しい雰囲気の先生で、骨折周辺の固まった筋肉をもみほぐし、まだ上げられない腕を少しずつ上げたり(「イテテッ」と...
退院したあと、娘はシャワーを浴びるのも、服を着るのも、髪をまとめるのも彼に手伝ってもらわないとできない。料理はもちろん、電車い乗るのも怖いし、腕を伸ばして寝ることもできない。ご飯は左手で食べれるように練習。手術した病院で週2回リハビリが始まった。シェアハウスから駅まで15分歩き、そこから病院送迎バス(1時間に2本)で5分。リハビリだけが彼女の予定であり「目標」になった。一番の気がかりは手がしびれてい...
ひょんなことから娘のカミーユが腕を骨折、救急車で運ばれた。2か月前のこと。週末だったので手術は3日後。ギブスをされて「バッファリンより少し強い」痛み止めをもらってシェアハウスに帰ってきた。でも強烈に痛かったのは手術後。投薬のプロトコルが日仏で大きく違う:フランスでは手術後モルヒネを使う。日本は「バッファリンより少し強い」痛み止め。子供の時から滅多に泣かなかった娘が電話で泣いている。何もしてやれない...
目が覚めると、機内が明るくなってスチュワーデスさんたちがエプロンをつけている。夕食から9時間、やっとご飯にありつけるというわけ。アナウンスでは「ランチ」が配られるということだったけど-日本時間ではお昼過ぎだし-出てきたのはどう見ても朝ごはん。ブラインドを上げると、青い空に雲の絨毯。「雲の上はいつも晴れ」は本当なのね。飛行機は高度を下げ、間もなく雲が割れて、小石を敷き詰めたような家々が見えてくる。ど...
わたしが日本にいた頃だから30年以上前『異人たちとの夏』という映画があった。主人公の原田(風間杜夫)は離婚して一人暮らしのシナリオライター。ある日、子供の頃住んでいた浅草に行ってみた。両親は彼が12歳のとき、交通事故で亡くなっている。はずなのに「おお!よく来た」と父親(片岡鶴太郎)が実家から出てきた。言われるままに家に上がると、亡くなったころのままの若い母親(秋吉久美子)が笑顔で迎える。思いがけな...
翌日、貼り紙ができなかった隣の建物の住人に電話することにした。Pages Blanches(白いページ)というサイトがあって、住所を打つと住人の電話番号がわかる。お金を払うと番号が隠せるListe Rouge (赤いリスト)というのがあって、勧誘電話などを防ぐことができる。でも最近は勧誘電話をかけるほうも方策を練って、防ぎきれないらしい。住人は半分以上このListe Rougeで、番号が出ている人たちに片っ端から電話した。見事に誰も...
毎朝6時半に「腹が減った」と起こしに来るのはリュリュだ。でも今朝はタマで、時計を見ると7時を過ぎていた。パリに戻って3日後のこと。キャッツフードの音を聞いたらどこかから飛んでくるかと思ったけど現れない。野良猫だったリュリュは基本的に人間が怖いので、人が寝静まってから中庭をうろつくのが好きだ。でも朝には必ず帰ってくる。ご飯より大切な用事なんてあるんだろうか?雨も降っているので心配になって探しに行く。...
「ポルクロル島に行け」「すごく綺麗な島だ」とあちこちから言われた。島が好きなので(島国生まれのせい?)ポルクロルを見ずには帰れない。岬の先端の港から、夏場は30分置きに船が出ている。わたしは船を予約し(往復21€)、バスの時間を調べ、ぐずる夫を急かして時間通りバス停に着いた。のに、バスが15分も遅れてやってきたので既に汗びっしょり。バスは満員で、港が近づくと渋滞で進まなくなった。どうやらイエール近郊にい...
海の反対側は、最初、海の続きかと思ったら、実は池で、無数の白鳥が遊んでいる(「遊んでるわけじゃない」と言われそうだ)。池はキラキラする水面と土手が交互になっていて、遥か彼方まで続いている。つまりどっちを見ても見渡す限りの風景。人影はない。夕刻になると、白鳥はどこかに行き、今度は空に無数の凧が上がる。この光景は、歩いて10分のミニスーパーに行かない夫(「歩きたくない」)は見ないので、写真に撮ったけど凧...
翌朝、礼儀正しい青年がやってきて5分でエアコンを修理してくれた。5分で済むなら昨日来てくれればよかったのに。お陰で寝不足だ。彼はマットピンクの従弟だそうで「エアコンを設置したのもぼくです」。ファミリービジネスなのね。水着の家族について行ったら本当に5分で海岸。砂浜が左右に、はるか彼方まで続いている。海はすごく遠浅で、背が立たないとパニックになるわたしでも安心。子供連れが多い訳だ。水は、底が見えるほ...
両側に松林がある県道をタクシーはひたすらまっすぐ走る。ホテルもお店もない。海側にちょっと入ったところにピンクフラミンゴはあった。小さい建物で、外側に急な階段がある。エレベーターがない!と絶望的な声で夫。わたしたちが借りたアパートは3階だ。汗だくになってスーツケースを引っ張り上げ、アパートに入る。ボーリューのアパートに比べてかなり小さい。居間兼キッチンとこちらが寝室最上階なので天井が勾配していて夫は...
今回、いつも行くBeaulieu/ボーリューに行かなかったのはオリンピックのせいだ。春頃のアンケート調査でパリ住民の60%以上が「オリンピック中、パリから逃げ出す」と答えたので、地方のヴァカンス用貸しアパートが一斉に値上げをした。開催地パリのホテルは2倍~3倍だけど、コートダジュールの貸しアパートも2倍以上。ヨットハーバーがあり、芸能人が多いサン=ジャン=カップ=フェラは「一泊1000€という物件もある!」とドミ...
「火災などによる破壊行為」で、TGVの複数路線が不通になったのが7月26日。日本のニュースでも伝えられた。「今の社会を一度破壊して新しい社会を」と訴える反資本主義の“ウルトラ左派”の手口と言われ、捜査がが始まったけど犯人はまだ不明。やっと復旧したと思ったら、7月31日朝、ミニ竜巻が起こり木が倒れ、パリ→リヨン間のTGVと衝突。ちょうどヴァカンス7月組と8月組が入れ替わるときで8万人に影響。TGVに怪我人は出なかっ...
金メダルの数は中国が10個とトップで、8個の日本とフランスが追っている。総合ではフランスが26個とトップで、期待を遥かに上回り、オリンピックに懐疑的だった人まで盛り上がっている。開会式の翌日、男子ロードタイムトライアル(Course contre la montre)がバスティーユ広場を通った。文字通り「時間との戦い」。アンヴァリッド広場からアレクサンドル三世橋まで、自転車で一番速く走った人が勝ち。雨降りなのに、住人や旅行...
ニュースではレディ・ガガやセリーヌ・ディオンのインパクトを挙げていた。確かにステージで歌うのは4年ぶりのセリーヌ・ディオンの熱唱はファンでなくても感動した。けど何より、このショーの演出を手掛けたトマ・ジョリーの才能に大拍手。©Linternaute.comセーヌ川はパリを横切るだけでなく、何十世紀という時間を横切ってきたことを思い出させる演出。旧と新。伝統と斬新。コンシェルジュリー、パリ造幣局(ここでメダルが造ら...
ラジオや政府広報では「100年ぶりのスポーツの祭典」「成功させよう!」と宣伝しているけど、地元では盛り上がらないオリンピック『PARIS 2024』。あちこちの道が通行止めになり(理由がよくわからん)、渋滞がひどく、物価は上がり、旅行者より警官の数の方が多い。スポーツ相ウデア=カステラに続いて、パリ市長イダルゴが(重装備で)セーヌ川に飛び込み、「気持ちいい!」「ついにセーヌで泳げるなんて幸せ!」©mediapartいろ...
「同じ建物にいたミッシェルという娼婦のことを覚えていますか?」ドキュメンタリー作家だという女性から電話がかかってきた。彼女は、マレの娼婦の“生き残り”だったミッシェルのことを調べていて、通りのバーのオヤジから「あの夫婦が知っているはず」と言われたそうだ。覚えている、と答えたら週末にうちにやってきた。わたしたちがこのアパルトマンに越してきた96年、そのミッシェルは 60歳ぐらい、ブロンドに染めた髪、ミニス...
極右RNは単独過半数を取らないどころか、3位に落ちた。既に首相になったつもりだったジョルダン・バルデラは(がっかりすると垂れ目になるらしい)「これはマクロンらの陰謀だ。自分たちは被害者だ」photo: France BleuRNは被害者面するのが得意だ。裁判沙汰になる度に支持を増やすトランプに似ている。RNの失墜の理由は、第一次投票と決選投票間の1週間に、移民が殴られる、移民が働く店に差別的落書き、ポスターを貼っていた与...
「俺たちはフランス人、ここは俺たちの国だ、お前のようなアラブ野郎は出ていけ!」アン/Ain県の町で、チュニジア人男性が若い男2人に頭部を滅多打ちにされた。7月1日、国民議会総選挙第一回投票で極右RNが1位についた日のこと。犯人の2人(25歳)にすぐ懲役3年の刑が下った(ホッ!)アヴィニヨンでは、コートジボワール人の見習いがいるパン屋の壁に火がつけられ、「黒野郎!」「出ていけ!」の落書き。別のレストランの壁...
フランスではほとんどテレビ番組を観ないけど、日本では珍しいので、ひとりの時よくつけている。そのおかげで学んだのが「どうしてクセ毛と直毛の人がいるのか?」単純に「遺伝でしょ」と思っていたけど、正解は「脳の温度を調整するため」!人類が最初に出現したのはアフリカと言われ、そこでは日中は灼熱の暑さ、夜になると急激に温度が下がる。脳は過熱に弱い。クセ毛のほうが脳の温度を一定に保てるので、当時のアフリカ住人は...
JRというアーティスト、名前は知っていた。日本人には覚えやすい。頭文字だというから、ファーストネームはジャン、ジュリアン、ジュール…フランスの名前は基本的に聖人の名前だから限りがある。一方、姓は数えきれない。日本と逆。タモリみたいにいつもサングラスをかけている。本名も顔も不明だ。©Getty images.彼は「世界で一番大きい美術館を持っている」。「?」写真のコラージュ技術を使って巨大な作品を創り、世界中の地面...
クリストフが亡くなったあと、3週間休んでいたチーズ屋の息子さんが朝市に戻ってきた。「ご愁傷様」はもうメッセージで書いたし、なんと言えばいいだろう、「大変でしたね」とか?と思いながらお店に行くと、息子さんが出て来て両手を広げ、わたしたちは抱き合うことになった。言葉にできないときはこのテがあった。どんな言葉より雄弁だ。息子さんの話によると、急性白血病は猛威を振るい、肝臓も侵されて黄疸が出て、血小板が殆...
「国民議会解散、総選挙」とマクロンが宣言したときから、ロシアのウクライナ侵攻も中東戦争もフランスのニュースから消え、総選挙一色。週末には「ファシズム反対」「民主主義の危機!」の極右反対デモがフランス各地で行われ、警察発表25万人、労組発表64万人。2002年、シラクVSルペンの大統領選2次投票前の極右反対デモは130万人を集めたことを思うと、反対派は激減している。当時の極右党首ジャン=マリー・ルペンと比べると...
日曜日、ヨーロッパ議会選挙の結果、マクロン大統領のルネッサンスの候補者(14.60%)を大きく引き離して、極右RN(国民連合)のジョルダン・バルデラが圧勝(31.37%)。photo: La Tribune開票速報の直後にマクロンが「(選挙結果を見て)何事もなかったようには振舞えない」ので「国民議会解散、総選挙!」と叫ぶ。うんと好意的に言えば「勇気ある」、客観的に言えば「めちゃくちゃ」「自殺行為」の決断。しかも第一次選挙6月3...
日本にいる間、日曜日ごと(2回だけ)に夫にチーズ屋さん、クリストフの容態を聞いていた。1回目は「長時間の放射線治療が効いている」という希望の持てる知らせだったけど、2回目は「え、院内感染!?」放射線で弱っていたところへ黄色ブドウ球菌に感染。家族もガラス越しでしか会えない隔離された病室だったのに、なぜ?息子さんは夫に「もう父に会うことはないでしょう」と言ったそうで、「どういうこと?もう望みはないって...
スーツケースは無事に着いているだろうか?フランスなら心配になる。ヤマトは出発フロアの隅にあり、控えの紙を見せると「JL45…!」と係員が叫び、「ここに受け取りサインをしてください」「それは受け取ってから…」と言いかけて、2日前に別れたスーツケースが既に横にあるのに気づいた。日本のサービスは素晴らしい。ところで朝の8時前だと言うのに羽田は混んでいる。怖いほど誰もいなかった2022年6月の羽田出国してから夫に日...
帰りの便は10時20分、ということは8時すぎに羽田、ということは7時に出なければならない。「送っていくよ」と言っていた子供たちも7時と聞いて黙ってしまった。空港定額タクシーは予約しにくいので、着いてすぐから探し始める。果たして2週間先だというのに、どこも「予約がいっぱいで承れません」。連休は終わったのに、ウィークデイの早朝からみんなどこへ出かけて行く?電話予約ができる某タクシー会社も「いっぱいです」と...
けっこう頻繁に日本に来ているのは、ホームに入った母を見舞うためだ。彼女の雑用を片付けたり、買い物したり。その合間に子供たちに会い、打ち合わせが少し。実家の整理も続けなければいけないけど、これは8割方終わったところで止まっている。母は、最近のことは何度も聞くけど、しっかり会話ができるし、ユーモアもある。去年夫が会いに来たときは「まぁいいオジイサンになったわね!」97歳の母に「いいオジイサン」と言われた...
新百合ヶ丘は思ったより時間がかかり(移動にはいつも思ったより時間がかかる)息子とシェアハウスに着いたのは夜8時半すぎ。大きなキッチンで、娘と彼が鶏のグリルとズッキーニとポテトの準備に奮闘している。サロンには、料理を作ってひとりで食べている人、パソコンに向かっている人がポツポツ。そのうちテーブルのひとつでポーカーが始まり、仕事帰りの人も着いてにぎやかになった。顔ぶれはナイジェリア人、台湾人、ヴェトナ...
飛行機の座席は、最前列(前部はファースト&ビジネスなので区切りの最前列)を予約してあった。隣はお父さんと2歳くらいの子供。泣き続けたら眠れない…と心配になったけど、とても大人しく、大奮闘のお父さんの方が騒がしいくらい。彼はおむつ、タオルケット、食糧など荷物が多いので座席前のスペースが広い最前列を予約していた。ところがこの席は、TV画面やテーブルがひじ掛けに組み込まれているため倒せない。つまりひじ掛けを...
娘が日本に発って(正確には、一緒に行って置いてきて)から4か月。先日、やっと彼女が残していった衣類を片付けた。洗濯した浴衣を畳んでいたら、どこからともなくタマが現れて、浴衣の上にゴロリと横になる。洗剤の匂いしかしないのに、どうしてわかったの?浴衣の柄を見分けるはずもないし…おまえは天才猫か?娘の不在を一番悲しんでいるのは間違いなくタマ、彼女の”べべ”。(勢いわたしはおばぁちゃん)メッセンジャーで話す...
朝市の商店主たちは重労働だ。午前3時に起き、冷蔵室の商品をトラックに積み、市場に着くのが5時。それから出店を設置して商品を並べ値段をつけ終わると7時。早起きのお客がやってくる…とクリストフから聞いた。商品数が多い八百屋のエルザおばさんは午前3時出発と言っていた。店じまいは午後2時ごろ。残った商品をトラックに積み、帰って冷蔵室に入れると午後4時を過ぎている。2か所の市場で週に2回ずつ、それを17歳の時...
朝市の“クリストフのお店”でチーズを買うようになったのは、娘がお腹にいたときだから27年前 。当時はクリストフと奥さんと、品のいい中年のおばさんの3人で店を仕切っていた。クリストフが夏のバカンスを取る40日間は、他のチーズ屋に行くけど、それ以外は浮気をせず、毎週日曜日、顔を合わせていれば仲良くもなる。「息子さんはコンテ、娘さんは固めのロカマドゥール、あなたはあまり熟成していないロブロション、ご主人は・・・・...
娘カップルはボルダリングにはまり、週2回壁をよじ登っている。だんだん難易度の高い壁に挑戦していて、先週、娘は難易度“中”の壁の頂上まで上ったところで、「足が滑って一気に落ちた!」と聞いて母は一瞬青くなる。「どのくらいの高さの壁?!」「わたしの身長の3倍以上」というから5mくらいか。もちろん地上にはマットレスが敷いてあるので「かすり傷だけ」。でも「落ちている間に、これまでの人生が早回しで見えた」そうい...
というタイミングでフランスチームの開会式ユニフォームが発表された。中央の私服はパリオリンピック企画委員長のトニ・エスタンゲ。その左の私服はベルルッティ副社長のアントワーヌ・アルノーPhoto de ©KacperKasprzykそう、作ったのはLVMH傘下(やっぱり)のベルルッティ(高級メンズシューズブランドだけど服も作るの?)ブリジット・マクロンはよくルイ・ヴィトンの服を着ている 。デザインが好きなんだろうけど、彼女がパリ...
邦訳が再版になり、出版社に招待された作家のシドニー。行こうか、行くまいか、ギリギリまで迷い、遅れて空港に着くと、出発が3時間遅れていて飛行機に乗れてしまう。関空では編集者、溝口が待っていた。お話はシドニー(イザベル・ユペール)と溝口(伊原剛志)の、なんとも非現実的な雰囲気の6日間。第一、シドニーが招待された理由も現実味がない。訳書が再版になる度、著者を招待していたら日本の出版社は全部倒産してしまう...
1940年代後半、イタリアの田舎町。戦後の物資不足で人々の生活は貧しいけど、新しい民主主義への希望が感じられる。夫と3人の子供、寝たきりの義父と暮らすダリア。家事の合間に縫物や傘修理の内職に走り回り、ちょっと気に入らないことがあると暴力を振るう夫に耐えている。長女のマルセラはそんな母を見るのが、自分の将来を見るようで辛い。「どうして逃げ出さないの!」「逃げるって・・・どこへ行けって言うの?」そこへ突然、...
茶色くて2-3㎜で、外で見れば可愛いと思えるけど、それが群れをなしてうちの中にいると可愛くない。台所の壁際をせかせかと歩き、流しまで上ってきている。食べ物は全部隠し、猫がいるから殺虫剤は危いよね、と思いつつモノプリに見に行ったら、アリ&ゴキブリ専用で「子供、動物にも安心」という殺虫剤を見つけた。しかしあまり効果なし。数時間で戻って来る。ゴキブリは小動物より頑丈だから、アリとゴキブリを一緒くたにしてい...
コレージュ3学級(14~15歳)のフランス語の授業でロンサールの詩を勉強している。若い先生、ジュリアンは「Astéisme」という手法を「誰かを褒める時、非難のように聞こえる表現を用いること」と説明し、生徒たちの“ピンと来ない”という表情を見て、例を挙げる。「例えば『レスリー、その新しいヘアスタイル、素敵だね』という代わりに『レスリー、何そのヘアスタイル!』…」先生が言い終わらないうちにクラスは騒然となった。「...
人工妊娠中絶の権利が憲法に加えられた式典で、TF1のジャーナリストに聞かれたマクロン大統領。「間違った情報やでっちあげのシナリオが横行し、信じる人がいること。それが当事者、家族を深く傷つけること」持って回った言い方に、「それはブリジット・マクロンが男性だという噂のことですか?」「もちろんそうです」マクロンは答え、「これ以上話したくない」と苦々しく。この噂を知らなかったわたしは(読者の方に教えていただ...
娘カップルが新百合ヶ丘のシェアハウスに入居して2か月。部屋は狭いけどバス&トイレつき、キッチンやサロンの共有スペースは広くてきれい。サロンで会ったイギリス人の女性は「何でも聞いて」と親切そうだった。数週間経って聞いてみたら、「住人がアホばっか」「!?」娘曰く、英、米、豪、仏・・・つまり白人たちが、アフリカ系の住人に差別的発言&態度をするのだと。「それも精神年齢を疑っちゃうような、あからさまな差別」と...
片頭痛防止対策のひとつで、月に1回オステオパシー (骨矯正術)に通っている。うなじの左側が凝って-先生曰く“ブロック”されていて-それが片頭痛の一因になっているらしい。カイロプラクティックのように骨をポキポキせず-しても1回くらいー両手を頭や首筋に当ててじっとしている。だけなのに、よく効いてここ数か月大きな片頭痛になっていない。こういうのをマジックハンドと呼ぶのでは。なにしろ先生はオペラ座ダンサーた...
猫たちがソファを気に入ったのはいいけど、気に入りすぎて彼らの場所になってしまった。メリディアンヌ(méridienne)と呼ばれる長椅子で雑誌を読むのが夢だったけど、いつ行っても先客がいる。近寄るとキッと睨まれるので、「はいはい、お邪魔はしません」元祖メリディアンヌ。人間が寝そべり、猫は床、が正しかった。Edouard Manet 1862何がそんなに気持ちいいかというと、生地でしょうね。前のズタズタソファは皮でひんやりし...
相続をめぐる家族紛争が週刊誌をにぎわしていて、渦中の人、アヌーシュカ・ドロンがラジオで話していた。アラン・ドロンにはアントニー(59歳。母親はナタリー・ドロン)、アヌーシュカとアラン=ファビアン(33歳と30歳。母親はロザリー・ファン ブレーメン)の3人の子供がいる。この3人が、ドロンの近年の“伴侶”ヒロミさんを追い出した。追い出すまでは団結していた3人が仲間割れ。ドロンが遺産を圧倒的に多くアヌーシュカに...
Habitat倒産の被害者になり、その後どうなったかというと、弁護士2人が債権者代理になったことがネットで告知され、その人物に領収書や必要事項を記入した用紙を送った。「ほとんど望みはない」と夫。会社が倒産した場合、法定財産管理人が任命され、その人がまず自分の報酬を確保する。次に未払いの税金、社員の給料、契約会社の請求書が払われ、お客は最後だから。だからと言って、見ただけで気が滅入るこのソファ・・・・最近は猫...
最近ひんぱんに耳にする名前、ラファエル・クナール。金曜日のセザール賞授賞式では『最も期待される男優賞』『最優秀男優賞』、監督として『最優秀短編ドキュメンタリー賞』の3つにノミネートされ、『最も期待される・・・』を獲得した。射るような眼差し。笑うと優しくなる。©Capture d'écran canal+ 受賞のきっかけ映画『どう猛な犬』は、南仏の田舎町で仕事もしないでたむろしている若者たちのお話し。アントワーヌ(ラファエル...
アウシュヴィッツ強制収容所所長のルドルフ・ヘスは妻ヘートヴィヒ、5人の子供と大きい邸宅に暮らしている。使用人もゾロゾロいて、広い庭にはプールがあり花が咲き乱れる。みんなが飢えている戦時に、ここには食べ物も豊富にある。訪ねてきたヘートヴィヒの母親は「楽園のようね」と目を見張る。その通り、この邸宅はヘス夫妻の理想の楽園。しかし。壁の向こうはアウシュヴィッツなのだ。“囚人”たちの悲鳴、監視の怒鳴り声、殴る...
先着猫タマの砂箱は浴室の隅、後着猫リュリュのは2階の廊下に置いてあり、2匹ともルールを守って暮らしていた。と言っても、タマは不満があるとそれを表明するため、砂箱の外で用を足す。不満とは、-娘かわたしが不在。-砂箱が汚れている。最近、タマが頻繁に「砂箱の外」でするので、何が不満なのよ、と観察していたら、ある日、リュリュが我が物顔で、タマのトイレで用を足しているではないか。それをタマが洗面台から恐ろし...
Vasectomie(精管を切除して閉鎖)がフランスで急速に増えていて、2010年比で15倍(!)になったとニュースで言っていた。この手術、フランスでは2001年から許可され、アメリカや韓国と違って非常に稀だったのが、2010年には1940人、2022年に3万人を超えたそうだ。希望者は「これ以上子供は欲しくない」という35歳以上の男性が多かったのが、最近では子供がいない18から25歳の若者が増えている。これに反対する女性も少なくない。...
カンヌ映画祭でシナリオ賞を取ってから、ずっと観たかった是枝裕和の『怪物』。フランス版タイトルは『L’innocence/無垢』封切りになったのは12月末、日本は2023年6月公開だから半年遅れ。東京に発つ前日で観れず、戻ってからもグズグズしていたのは、観た人たちの感想がイマイチだったからだ。息子とその話をしたとき「自分の目で観なければわからないよ」と言われ、全くその通りだ、と観に行った。夫に先立たれた早織は、ひとり...
に降りたのは午前4時。零下6度。雪。外を歩くわけじゃないからいいけれど、雪景色とガランとした空港は寒々しく、東京の青空がもう恋しい。チケットはJALのサイトで買ったのに、東京-ヘルシンキもフィンエアー。正確にはJAL、フィンエアー、ブリティッシュの共同運航。後日、友人に話したら「それって文句言っていいんじゃない?」乗務員は愛想のないオバサンたちで「荷物の入れ場所がない」と言ったら「今忙しい」と一蹴された...
ある晩、息子がメガネを一緒に選んでくれと言うので、二子玉川のメガネ屋に行った。アレコレ試し、決まったのは8時の閉店間際。「うちでご飯を食べよう」と息子。駅から息子のアパートに向かって歩きながら(15分)、誘ってくれるのは嬉しいけど、寒いしお腹が空いた。今から買い物して料理して、食べるのは10時か?まず入ったのは魚屋。お刺身やお寿司コーナーまであり、こんな店が近くにあったら毎日通いたい、と思う魚屋。でも...
大学の友達が集まったとき、「コンビニのおでんを4回食べた」と言ったら、「コンビニのものはあまり食べないほうがいいよ」そういえば息子も同じようなことを言っていたっけ。別にわざわざコンビニのおでんを買いに行ったわけではなく、娘と夜道を帰りながら「もう一度出るのはめんどくさい」「寒いし」「そんなら・・・」と、通り道でおでんを買ったのだ。あったかくて薄味で飽きない味、とリピーターになったのは…中毒性があるって...
シェアハウスは寝具を有料で貸してくれるが、枕は小さいクッションのような、枕とは呼べないシロモノ。娘と駅前のショッピングセンターに買いに行った。西川で見たらあまりに高く(1万3000円から上は4万円台)。「もう少し手頃な枕は?」と聞いたら「それならあっち」。店員さんが指さした方向に行くと、イトーヨーカ堂の枕売り場、5000円台のメモリーフォームが並んでいる。わたしたちがアレコレ触っていると、中年の店員さんが...
娘がシェアハウスに住むことにしたのは、1年しか滞在しないのにアパートを借りて敷金や礼金を払い、家具を買うことはない、という理由から。彼と2人で滞在するのに2人入居可のシェアハウスを探すのに苦労したけど、新百合ヶ丘に見つかった。部屋の大きさも都内だと9㎡が、ちょっと離れると倍近くなる。Airbnbから引っ越しの日、スーツケース3つだから息子も動員して、新百合の駅に降りると、桜新町とは比べ物にならない大きな...
夕方、娘と2人で実家に行く。玄関までの小道は木が茂り、草が伸び、2年以上誰も住んでいない家は寂しそうだ。冷え切った家の中を点検していると、2階で床がきしる音がした。ギョッとしたけど、娘に言ったら2人でパニックになるので黙っていると、また物音。わたしの部屋は2階、行きたいけど行けない。ドロボーと鉢合わせしたらどうしよう?娘は平気な顔で、シェアハウスで使えそうなケースの寸法を測ったりしている。3回目、...
息子は日本に住んで4年。兄貴がいるうちに自分も日本に住みたい、と今度は娘が住むことになった。どこにいてもリモコンで仕事ができる、という時代になったのだ。三が日が終わると、住民票の取得、銀行口座開設、携帯電話の契約・・・・に娘と走り回る。彼女が住むのは新百合ヶ丘なので川崎市役所。休み明けで、待っている人が何十人もいて、ため息が出たけど、「午前中は200人待ちでした」と係の人。住民票(外国から転入)は、“申込...
年末ギリギリに着いた東京はパリより寒い。「例年より暖かいんだよ」とあきれる息子。そして年が開けるなり能登地方の地震。余震が収まらないうちに羽田の飛行機事故。日本は大変な幕開けになった。2度あることは…というので3度目はあるか?と心配だ。個人的にもツイていない年明け:Airbnbの廊下を走っていて(なぜ走った!)躓いて転び、膝を派手にすりむき、携帯の画面を壊した。メッセージを打つとき、右端の1列が打てなく...
「Habitat/アビタ倒産か?」のニュースを聞いて真っ先にすべきことは、クレジット払いの2回目、3回目引き落としをブロックすることだ。会社が倒産した場合、まず支払われるのは社員の未払いサラリー、次に未払い税金、取引先、そしてお客。「お客がHabitatから前払い金を払い戻せる可能性はまずない」とル・モンドの記事。即、銀行のカード・アシスタンスに電話すると、「引き落としをブロックするのはあなたの支店の担当者に聞...
猫たちが爪とぎに使ってボロボロになっているソファ。買い換えてもまたやるから、とクッションで隠したりして10年来(もっとかも)使っていた。わたしたちは見慣れているけど、初めてうちに来る人がギョッとして 、座るのを躊躇うようになり、ついに買い換える決心。数か所見て歩いて、値段もほどほどでデザインがいいHABITAT/アビタにしよう。HABITATはコンランショップのテレンス・コンランが「モダンな家具でインテリアを刷新」...
2つの戦争のせいか、インフレのせいか、世の中、沈滞ムードでクリスマス気分にならない。17日の日曜日に、次の日曜がイヴであることに気づき真っ青になった。ツリーさえ買っていない!娘と待ち合わせして(ひとりでは運べないので)セーヌ河岸の花屋へ行った。恐ろしく寒い晩、着ぶくれして花屋に着くと、2日前通ったときはたくさんあったツリーが少ししか残っていない。残っているのは1m以下の小さいやつばかり。迷っていると...
通っているラテンダンスの学校には週1回(1時間)~4回(4時間)まで各コースと、A volonté(無制限)があり、〈自分のやりたいダンス、相性のいい先生、都合のいい時間〉で選べることになっている。外見はちょっとダサいけど、いい先生が揃っている「無制限」は月170€もするのに、このコースを取っている人がかなりいる、という事実に気がついた。夕方6時から夜10時まで、お腹が空けばサンドイッチを買い、学校に住み着いて...
神社を境内を掃除する箒の音で目が覚める。布団を畳む。歯を磨く(朝ごはん、食べない!)道具を満載したワゴン車で都心に行き、公衆トイレを次々と清掃する。昼は公園のベンチでサンドイッチを食べ、木々の写真を撮る。仕事が終わると銭湯に行き、地下街の店(毎晩同じ)で食事。帰れば眠くなるまで本を読む…毎日判で押したような生活をしている平山。誰もやりたがらない仕事。娯楽と呼べるものがほとんどない、慎ましい生活。孤...
片頭痛の要因を減らしなさい、と言われて、わたしの場合はまず、〇コーヒーを減らす:毎日5~6杯飲んでいたエスプレッソを半分に減らし、目下実行中。〇お酒を減らす:わたしのことをお酒好きと思っている友人が多いけど、実は歳と共に酒量は著しく減っている(でも酒好きのレッテルは変わっていない)。この2週間ワインを飲んでいない。しかしこれからクリスマス、年末、新年と誘惑の季節が待っている。〇枕を変える:片頭痛対...
ヘアサロンで隣の男性客と美容さんの話を聞くともなく聞いていた。ずっとNYに住んでいたという美容師さんに、男性客が「パリとどっちがいいですか?」。「うーん…どっちも短所、長所があって比べられないけど、医療はだんぜんフランスがいい」確かに!医師不足は問題だけど、それでもフランスの医療は優れていると、今回身に染みて思った。救急医は来てくれたし、3日目、途方に暮れて、かかりつけのお医者さんにメッセージを送る...
まだ続くのか、もうたくさんだ、と言われそうだが、もう少しだけおつき合いください。期待したアキュポンの効果は4時間後に切れた。「もう一度救急医を呼ぼうか?」と夫。ムムム…確かに注射は効いたけど4時間後にまた始まることを考えるとウンザリだ。そこへ会社の人が「Hôpital Lariboisière(ラリボアジエール病院)のUrgence Céphalées(頭部救急)に行くといい」。そんなこと言われても・・・何しろまだ吐き気がしていて、タク...
以前は、SOSメディサンに電話すると生身の人間が返事をしてくれたけど、コロナから手続きがややこしくなった。画面に個人情報を入力して初めて電話ができる。しばらく「そのままでお待ちください」が流れてやっと出てきた人間に、名前、生年月日、住所(全部入力したのに)病状を伝えると「担当者に代わります」。2人目に同じことを聞かれ、繰り返し、ドアコードまで聞くから「おお、来てくれるのか?」と期待するが、「担当医に...
しばらく鳴りを潜めていた片頭痛の発作が土曜日の朝始まった。すぐに処方された薬(スマトリプタン+消炎剤)を飲んだら2時間くらいで治まった、と喜ぶのは早く、午後になってまたズーン!ズーン!…今度は薬が効かない。ウンウン言いながらひたすら鎮まるのを待つしかない。同じく片頭痛持ちの(つまり理解がある)娘は泊りがけで友達の別荘に出かけている。夫がいるにはいるけど、看病に向いていない人なのだ。95㎏の体重でドシ...
夫の実家があるシャンパーニュ地方の村は人口200人。パン屋もカフェもなく(でも教会はある)郵便番号と相手の名前だけで手紙が届く。そこで毎年11月の日曜日、村の“古顔”を集めて昼食会があり、義父は常連だった。今年は夫とわたしにも招待状が来たのだ。夫はしょっちゅう田舎に行くけど、殆ど行かないわたしまで“古顔”扱いしてくれるとは(年齢のせいか?)。これは行かないわけにはいかない、と言ったら夫がびっくり。冬の田舎...
日本から来る友達から「美味しいフレンチレストランを選んで」と頼まれ、ハタと考えてみれば、また行きたくなるフレンチに最近出会っていない。マレの「JAJA/ジャジャ」は美味しいことは美味しいけど、コロナ以後、量を減らし値段を上げた(どっちかにしろ)。それに騒々しいので怒鳴り合わないと話ができない。家の近くにある「H/アッシュ」はミシュランひとつ星を取り気になるお店だけど、コース95€~、料理に合うワインを組ませ...
11月1日、Cité Internationale de la Langue Française/フランス語国際都市がオープン。フランス語とフランス語圏のカルチャーの博物館で、場所はパリから北へ85㎞、エーヌ県のヴィレール・コトレ城。1539年、国王フランソワ1世が『ヴィレール=コトレ勅令』に署名し、ラテン語に代わってフランス語を公用語に定めたという象徴的な場所だ。マクロン大統領が特に力を入れたそうで、高校時代、フランス語教師(ブリジット)と恋に...
フランソワと高校生の息子エミールは渋滞に閉じ込められていた。父はイライラとタバコを吸い、息子はポテトチップスをボリボリ食べ、「友達とやることがあったのに…」「やることってバカなゲームだろ。今日は2人で行くって約束したじゃないか」ムッとしたエミールは突然車から降りて歩きだす。オイ、待て!と追いかける父。その時、渋滞の中にいた救急車が異様に揺れ動いて、ドアから飛び出してきたのは羽が生えた人間。大きな羽...
ずっと会っていなかった友人と日本レストランでご飯を食べた。「最後に会ったの、コロナの前だっけ?」「いや、いくらなんでも…2021年?」コロナ前・コロナ後が戦前・戦後のようなマーカーになっているのは何処も同じ。2人とも鮭の照り焼きを選び、最後に残った甘辛ソースに、彼はご飯をぶち込んだ。残ったソースをパンで拭って食べるフランス人がよくやること。気持ちはわかるが、日本人はうちではやるけど、外ではあまりしない...
先週からフランス各地の空港に爆弾予告が相次いでいて、「その数は70件近い。予告はメールで届き、殆どはスイスの同じアドレスから送られている」と運輸相。なぜスイスかと言うと、EU(欧州連合)に加盟していないので、EUの処罰が課せられないから。なるほど。運輸相曰く、犯人は「悪い冗談が好きの大バカと、あくどい愉快犯」その度に機動隊が駆け付け、人々はパニックになり飛行機が遅れ、それを見て喜んでいるんだから全く大バ...
文学少女ヴァネッサが作家ガブリエル・マツネフに初めて会ったのは、母親が“文学友達”を夕食に招いたときだ。リベルタンとして知られる彼の淫乱な話を、お客たちは面白がって聞いている。でも50歳のマツネフの視線は、執拗に13歳のヴァネッサを追っていた。間もなくヴァネッサはマツネフから手紙を受け取るようになる。「あの晩から、あなたのことが頭から離れない」「あなたのような人に出会ったのは初めてだ」詩的な言葉で綴られ...
「その晩、お酒を飲んだの?どのくらい?」「今年、何人の男子とつき合ったの?10人以下?以上?」「そのうち何人と寝たの?」・・・・警察の尋問のように畳みかけるアンヌの前で、若い女の子は震えている。アンヌは警察官ではなく有能な弁護士。これから弁護する、強姦された女子に質問しているのだ。家に帰れば、打って変わった優しい表情。アンヌは夫と2人の娘と大きな家に暮らしている。絵に描いたような幸せ?そこへ、夫の前妻と...
「鼻、咳、悪寒…」最後まで言わないうちに、薬屋のオジサンは「COVIDかもしれない!」「症状がぴったりです」となぜか嬉しそうに言う。「鼻・咳・悪寒」が症状の病気は他にもあると思うけど。「テストをしますか?」夫は心不全、高血圧、高齢、肥満…と悪条件が揃っているからうつすとマズい。「はい、するする」と言ったら、「え?症状は昨日から?じゃテストするのは早すぎる」3日後に来いと言われた。家族はみんな罹っていて(...
1位はアントワーヌ・デュポン。ラグビーW杯フランス代表チームの主将。9月21日、対ナミビア戦で顔面骨折した(痛そう…)。翌日トゥールーズの病院に運ばれ口腔専門の外科医が手術し、顔にプレートを入れて補強。フランスチームの運命を担う選手だから、最優先で手術が行われ、経過はよく「準々決勝には出られるかもしれない」(なんて乱暴な…)サッカーは観るけど、ラグビーはルールがわからないし興味もない私でさえ、アントワ...
のは銀行の扱いだ。まず普通預金口座しか持てない。さらにネットバンキングができない。海外にいるからこそ必要なのに。日本にいないで振り込みをするときには誰かに頼まなければならないし、誰かが振り込んでくれても確認ができない。「届きました?」と聞かれても「さぁ…多分」その上、帰国中に、日本の企業なり個人に振り込みをするときは「外国向け送金」扱いになる。その操作は、わたしの銀行の場合、窓口ではなくブースに入...
それは免税!去年の12月、娘と帰国したときは、2人で念願の資生堂の化粧品を買い(娘のほうがたくさん買った。必要なのはワタシなのに)免税カウンターでパスポートを見せ、免税額でお昼ご飯が食べられた。ところが今年4月に免税制度が変わりパスポートだけではダメ。「日本国籍を有する非居住者」は戸籍の附票か在留証明(2年以上)が必要になった。なぜ?在留証明を日本大使館に申請するには、日本のパスポート、フランスの滞...
北フランスのダンケルクで、37歳の女性がナイフで13か所刺し夫を殺す、という事件があった。女性は元高校教師、今は市議会議員、児童書の著者。夫はダンケルク大学の教授、51歳。2人の間には20カ月になる子供がいる。9月18日の夜、彼女は警察を呼び「家に泥棒が入り、夫は血まみれになっている」警察が駆けつけ、息絶えている夫を発見。血の付いたゴム手袋の裂け目と妻の手の傷が一致することから、妻を疑い始める。間もなく妻は...
飛行機の予約するとき、最前列の座席を選んだ。脚が延ばせるし、トイレに行くとき隣の人(たち)の邪魔をしなくて済む。乗ってみると、そこは非常口に接している席だった。すぐ逃げられる、と思ったのは大間違い。座るとすぐにスチュワーデスが近づいてきて、紙切れを渡し「これに同意していただけますか?」紙切れによると、この非常口席は、以下の条件を満たす人しか座れない。1)満15歳以上(十二分に満たす)2)付き添いや係...
息子がわたしに包丁をプレゼントしてくれるというので、やってきた。よく来るわけではないけど、下町っぽくて好きな界隈。こういう家並みが残っている。リシャール・コラスという日本通の実業家&小説家が「日本はミルフィーユだ」と言っていた。前の時代を残したまま、時代が変わっていくので何重もの層になっているから。彼曰く「一方中国は前の時代を塗り替えて変化する」入った刃物屋のおやじさんは「どこから来たの?フランス...
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うちの猫は、蛇口から水を飲む。珍しいことではないみたいだ。そのほうがフレッシュで美味しいに決まっている。細く水を出すと、ピンクの舌で器用に飲む。うちに帰ると2匹揃って水を待ちかねている。難は水を止めるのを忘れること。特に夫は毎回忘れる。もったいないので、娘が水飲み器を買ったら、最初のうちは珍しがって飲んでいたけど、定着しなかった。蛇口から飲むくせに、水は怖いのでお風呂にお湯を入れていると逃げ出す。...
ネヴェンカ(Nevenka、この読み方でいいでしょうか?)は25歳の若さでポンフェラーダ市(スペイン)の市会議員に選ばれる。市民から支持される市長イスマエル・アルヴァレスは、ネヴェンカをいきなり予算担当につける。その結果、市長の傍らにはいつもネヴェンカの姿。この抜擢に、古株はあきれ、ネヴェンカは舞い上がり「何でもしますから」と市長の信頼に応えようとする。でもこの贔屓には理由があった。市長が気に入ったのはネ...
5~6月はアリが大発生した。アリは1匹で歩いていると可愛くないこともないけど、何十匹が行列してうちの中を行進していると、これはなんとかしなければ。image: Qivio猫がいるので殺虫剤は使えない。重曹+チョウジが効くと教わって、アリの通り道に重曹をふりかけ、間隔を開けてチョウジを置いてみた。うちに来る人が「ナニコレ!?」という顔をするたびに「コカインじゃありません」。この方法は、効果はあったけどアリのネッ...
歩きたがらない夫を歩かせるのは至難のワザ。歩いて7分のスーパーに行くのに、10分バスを待つ、という人だ。最近PTから「毎日最低30分歩かないと、今に歩けなくなる」と言われ、わたしが「もう一緒に旅行できない」と脅したので、少し気を付けるようになった。「ちょっと歩いてくる」と出かけるのはいいけど、あっという間に帰ってくる。ニンジンをぶら下げないと30分以上歩かない。生徒さんのひとりから、オテル・ドゥ・ラ・マリ...
ブルックリンのクラブでストリッパー&エスコートガールをするアノーラは、ロシアのオリガルヒの息子ザハロフと出会う。高校生に見えるザハロフは両親の豪華なアパートにひとりで暮らし、親の金で遊んでいる。「君を1週間独占したらいくら?1万ドル?」「1万5千ドル!」親の金を湯水のように使っている放蕩息子と玉の輿を夢見るストリッパーは気が合った。“1週間の独占”から「結婚しちゃえばわたしをずっと独占できるよ」「し...
エルザ夫妻市場の最終日には、お孫さんまで家族全員、昔の店員さんもやってきて、賑やかな「さよなら」になった。その時、エルザから、「10月に大昼食会をするから必ず来てね。車はある?」わたしは運転できないし、夫はパリの駐車場が高すぎるので、古い車は田舎に置いてある。エルザ夫妻はオルリー空港の近くに住んでいるので、空港まで電車で行ってタクシー?「空港を右に曲がって、すぐを左に曲がったとこよ。すごく簡単」オル...
25年間通った朝市の八百屋さん、エルザおばさんが72歳で定年退職したのは今年の7月。退職後のエルザ夫妻、素敵なツーショット「死ぬまでやめない」と言っていたので「えっ?!」と思ったけど、「アレ(とご主人を指さし)がもう無理って言うから」過酷な職業だから、逆に「よく70過ぎまでがんばった」と言うべき。夜中の12時に起きて(!)冷蔵室の野菜果物をトラックに積み込む。定番の商品だけで50種類以上あり、そこに季節もの...
眼科で視力検査。「文字列が8つありますけど」「・・・・4つしかありません」視力は変わっていなかったけど、ダブルに見えるのは乱視のせいではなく、「両目が一緒に機能していないからです」個別に見ているから像が2つ見える、ということ。理由は(前にも書いたけど)10年くらい前に遡る。老眼が出てきたせいで(おかげで?)近眼が是正され、近くはコンタクトなしで見れるようになった。当時の眼医者さんが、「片目だけコンタクト...
情けない言い訳をする被告たちに対し、ジゼル・ペリコの勇気ある凛とした態度にはひたすら感心。彼女は最初「恥をさらすのはいやだから法廷に出ない」と言っていたが、「恥をさらすのは被害者ではなく加害者だということを世間に伝えるべき」と考えを変えて出廷。photo: TF1 info被告側の弁護士の「あなたは本当に意識がなかったのか?」「快感があったのではないか?」のようなひどい質問にもめげず、「なぜ被害者が口をつぐむの...
目下裁判が行われているマザン強姦事件。左が被害者ジゼル・ペリコ主犯の夫ドミニック・ペリコの携帯&パソコンから83人が“参加”したのがわかり(つまり2回やった男がいる)、そのうち身元が割り出された51人が逮捕、拘置された。51人のプロフィルをニュースでは「hommes ordinaires/ふつうの男性」と言うけど、こんなことをした男性を「ふつう」と呼ばないでほしい。年齢は27~73歳(犯行当時22~67歳)。全員がペリコ夫妻と同じ...
裁判が始まり、その様子が毎日ニュースになるマザン強姦事件(マザンはプロヴァンスの地名)。ドミニック・ペリコ(↓)が、10年に渡って妻に強い抗不安薬を飲ませ、ネットで募った志願者に強姦させていた、という信じがたい事件だ。image: 7sur7.be発覚したのは2020年9月。スーパーで女性客のスカートの中を盗み撮りしていたドミニック・ペリコ(当時67歳)が警備員に捕まった。携帯には何人もの女性客が撮られていた。警察はパソ...
生徒さんA(60歳男性)がNetflixでかかっている『テラスハウス軽井沢』を観ていて、よくその話をする。「面白い」「わかりやすい」「会話の勉強になる」というので、観てみたら(そう、今頃!)確かに面白い。周囲に聞いたら(当然、みんな既に観ていて)「軽井沢が一番面白い」でも、これで“会話の勉強”をしないほうがいい。60歳の彼が「めっちゃよかった」「ムズい」「エグい」を連発したら滑稽なだけでしょ。フランス語でも同...
「実は男ともやったことがあるんだ」「えっ、どうして今まで言わなかったの?」「フラれると思ったから」「バカね!・・・・女より嫉妬しないかも。でもわたしから離れないで」「絶対離さない」(エイズの怖さや知識がまだ浸透していなかった頃の会話)深夜のディスコから歩いて帰るエマとサミーは幸せで、未来は輝いていた。間もなく生まれてくる息子のため、サミーはアパルトマンの改装を始める。同じ建物で仕事をする写真家のシリル...
舞台はメキシコ。有能な弁護士リタは今日も被告に勝訴をもたらした:妻を殺した暴力夫に無罪判決。勝ったのにリタは全然うれしくない。最近は、正義のためではなく犯罪者をシロにするための弁護ばかりだ。うんざりしてトイレに入ったリタに、新しい仕事を提案する謎めいた電話。待ち合わせ場所に行ったリタは頭から袋をかぶせられバンでどこかへ連れていかれた。目隠しを取ると、目の前に有名な麻薬カルテルのボスが座っている。「...
歩行器を押しながらいつもロビーを歩き回っているおばあさん。小柄でウェーブした白髪、お伽話に出てくるおばあさんのように可愛く、背中は曲がっているけどスタスタとよく歩く。わたしが受け付けで「来訪者」の記入をしていたらやってきて、受付の女性に「主人はいつ帰ってきますか?」「病院に行っていてあさって帰ってきますよ」そうですか、と立ち去ったかと思うとすぐ戻ってきて「主人はいつ帰って来るんですか?」翌日も同じ...
いつも借りているワンルームは駅まで徒歩15分。緑が多い住宅街で、パリでは聞けなくなった蝉の声が聞こえる。午前中に駅に向かって歩き出すと太陽が背中に照り付ける(つまり背後が東?)。駅から母のいるホームはさらに15分。これを2週間、毎日やっていたら首と腕がかなり焼けた。土方焼け。パリは日照時間が少なく、ヴィタミンD不足の人が多い。骨粗鬆症の初期で、お医者に「一日10分陽に当たりなさい」と、日本女性なら真っ青...
一方母は、わたしが発つ前に腰の激痛でホームから病院に運ばれた。圧迫骨折が疑われたけど、母はレントゲンも検査も拒否し「薬だけ欲しい」。母の頑固さにお医者さんも負け、鎮痛剤をもらって帰ってきた。名前すら知らなかった「圧迫骨折」とは、骨が脆くなった老人や閉経後の女性に、少しの衝撃で起こる背骨の骨折。ドスンと座っただけで折れるとか。レントゲンだけでも撮ればよかったのに、と言ったけど、圧迫骨折とわかっても手...
数日後、田園都市線→南武線→小田急線と乗り継いで、駅で待っていた娘とさらにバスに乗り、新百合ヶ丘総合病院へ行く。駅と病院を往復しているバスは1時間に2本しかない。病院は丘の上にあるので「歩いて行くと暑くて死ぬ」そうだ。5分で新しい明るい病院に着き、まずリハビリの理学療法士に会った。30台前半の優しい雰囲気の先生で、骨折周辺の固まった筋肉をもみほぐし、まだ上げられない腕を少しずつ上げたり(「イテテッ」と...
退院したあと、娘はシャワーを浴びるのも、服を着るのも、髪をまとめるのも彼に手伝ってもらわないとできない。料理はもちろん、電車い乗るのも怖いし、腕を伸ばして寝ることもできない。ご飯は左手で食べれるように練習。手術した病院で週2回リハビリが始まった。シェアハウスから駅まで15分歩き、そこから病院送迎バス(1時間に2本)で5分。リハビリだけが彼女の予定であり「目標」になった。一番の気がかりは手がしびれてい...
ひょんなことから娘のカミーユが腕を骨折、救急車で運ばれた。2か月前のこと。週末だったので手術は3日後。ギブスをされて「バッファリンより少し強い」痛み止めをもらってシェアハウスに帰ってきた。でも強烈に痛かったのは手術後。投薬のプロトコルが日仏で大きく違う:フランスでは手術後モルヒネを使う。日本は「バッファリンより少し強い」痛み止め。子供の時から滅多に泣かなかった娘が電話で泣いている。何もしてやれない...
まだ続くのか、もうたくさんだ、と言われそうだが、もう少しだけおつき合いください。期待したアキュポンの効果は4時間後に切れた。「もう一度救急医を呼ぼうか?」と夫。ムムム…確かに注射は効いたけど4時間後にまた始まることを考えるとウンザリだ。そこへ会社の人が「Hôpital Lariboisière(ラリボアジエール病院)のUrgence Céphalées(頭部救急)に行くといい」。そんなこと言われても・・・何しろまだ吐き気がしていて、タク...
以前は、SOSメディサンに電話すると生身の人間が返事をしてくれたけど、コロナから手続きがややこしくなった。画面に個人情報を入力して初めて電話ができる。しばらく「そのままでお待ちください」が流れてやっと出てきた人間に、名前、生年月日、住所(全部入力したのに)病状を伝えると「担当者に代わります」。2人目に同じことを聞かれ、繰り返し、ドアコードまで聞くから「おお、来てくれるのか?」と期待するが、「担当医に...
しばらく鳴りを潜めていた片頭痛の発作が土曜日の朝始まった。すぐに処方された薬(スマトリプタン+消炎剤)を飲んだら2時間くらいで治まった、と喜ぶのは早く、午後になってまたズーン!ズーン!…今度は薬が効かない。ウンウン言いながらひたすら鎮まるのを待つしかない。同じく片頭痛持ちの(つまり理解がある)娘は泊りがけで友達の別荘に出かけている。夫がいるにはいるけど、看病に向いていない人なのだ。95㎏の体重でドシ...
夫の実家があるシャンパーニュ地方の村は人口200人。パン屋もカフェもなく(でも教会はある)郵便番号と相手の名前だけで手紙が届く。そこで毎年11月の日曜日、村の“古顔”を集めて昼食会があり、義父は常連だった。今年は夫とわたしにも招待状が来たのだ。夫はしょっちゅう田舎に行くけど、殆ど行かないわたしまで“古顔”扱いしてくれるとは(年齢のせいか?)。これは行かないわけにはいかない、と言ったら夫がびっくり。冬の田舎...
日本から来る友達から「美味しいフレンチレストランを選んで」と頼まれ、ハタと考えてみれば、また行きたくなるフレンチに最近出会っていない。マレの「JAJA/ジャジャ」は美味しいことは美味しいけど、コロナ以後、量を減らし値段を上げた(どっちかにしろ)。それに騒々しいので怒鳴り合わないと話ができない。家の近くにある「H/アッシュ」はミシュランひとつ星を取り気になるお店だけど、コース95€~、料理に合うワインを組ませ...
11月1日、Cité Internationale de la Langue Française/フランス語国際都市がオープン。フランス語とフランス語圏のカルチャーの博物館で、場所はパリから北へ85㎞、エーヌ県のヴィレール・コトレ城。1539年、国王フランソワ1世が『ヴィレール=コトレ勅令』に署名し、ラテン語に代わってフランス語を公用語に定めたという象徴的な場所だ。マクロン大統領が特に力を入れたそうで、高校時代、フランス語教師(ブリジット)と恋に...
フランソワと高校生の息子エミールは渋滞に閉じ込められていた。父はイライラとタバコを吸い、息子はポテトチップスをボリボリ食べ、「友達とやることがあったのに…」「やることってバカなゲームだろ。今日は2人で行くって約束したじゃないか」ムッとしたエミールは突然車から降りて歩きだす。オイ、待て!と追いかける父。その時、渋滞の中にいた救急車が異様に揺れ動いて、ドアから飛び出してきたのは羽が生えた人間。大きな羽...
ずっと会っていなかった友人と日本レストランでご飯を食べた。「最後に会ったの、コロナの前だっけ?」「いや、いくらなんでも…2021年?」コロナ前・コロナ後が戦前・戦後のようなマーカーになっているのは何処も同じ。2人とも鮭の照り焼きを選び、最後に残った甘辛ソースに、彼はご飯をぶち込んだ。残ったソースをパンで拭って食べるフランス人がよくやること。気持ちはわかるが、日本人はうちではやるけど、外ではあまりしない...
先週からフランス各地の空港に爆弾予告が相次いでいて、「その数は70件近い。予告はメールで届き、殆どはスイスの同じアドレスから送られている」と運輸相。なぜスイスかと言うと、EU(欧州連合)に加盟していないので、EUの処罰が課せられないから。なるほど。運輸相曰く、犯人は「悪い冗談が好きの大バカと、あくどい愉快犯」その度に機動隊が駆け付け、人々はパニックになり飛行機が遅れ、それを見て喜んでいるんだから全く大バ...
文学少女ヴァネッサが作家ガブリエル・マツネフに初めて会ったのは、母親が“文学友達”を夕食に招いたときだ。リベルタンとして知られる彼の淫乱な話を、お客たちは面白がって聞いている。でも50歳のマツネフの視線は、執拗に13歳のヴァネッサを追っていた。間もなくヴァネッサはマツネフから手紙を受け取るようになる。「あの晩から、あなたのことが頭から離れない」「あなたのような人に出会ったのは初めてだ」詩的な言葉で綴られ...
「その晩、お酒を飲んだの?どのくらい?」「今年、何人の男子とつき合ったの?10人以下?以上?」「そのうち何人と寝たの?」・・・・警察の尋問のように畳みかけるアンヌの前で、若い女の子は震えている。アンヌは警察官ではなく有能な弁護士。これから弁護する、強姦された女子に質問しているのだ。家に帰れば、打って変わった優しい表情。アンヌは夫と2人の娘と大きな家に暮らしている。絵に描いたような幸せ?そこへ、夫の前妻と...
「鼻、咳、悪寒…」最後まで言わないうちに、薬屋のオジサンは「COVIDかもしれない!」「症状がぴったりです」となぜか嬉しそうに言う。「鼻・咳・悪寒」が症状の病気は他にもあると思うけど。「テストをしますか?」夫は心不全、高血圧、高齢、肥満…と悪条件が揃っているからうつすとマズい。「はい、するする」と言ったら、「え?症状は昨日から?じゃテストするのは早すぎる」3日後に来いと言われた。家族はみんな罹っていて(...
1位はアントワーヌ・デュポン。ラグビーW杯フランス代表チームの主将。9月21日、対ナミビア戦で顔面骨折した(痛そう…)。翌日トゥールーズの病院に運ばれ口腔専門の外科医が手術し、顔にプレートを入れて補強。フランスチームの運命を担う選手だから、最優先で手術が行われ、経過はよく「準々決勝には出られるかもしれない」(なんて乱暴な…)サッカーは観るけど、ラグビーはルールがわからないし興味もない私でさえ、アントワ...
のは銀行の扱いだ。まず普通預金口座しか持てない。さらにネットバンキングができない。海外にいるからこそ必要なのに。日本にいないで振り込みをするときには誰かに頼まなければならないし、誰かが振り込んでくれても確認ができない。「届きました?」と聞かれても「さぁ…多分」その上、帰国中に、日本の企業なり個人に振り込みをするときは「外国向け送金」扱いになる。その操作は、わたしの銀行の場合、窓口ではなくブースに入...
それは免税!去年の12月、娘と帰国したときは、2人で念願の資生堂の化粧品を買い(娘のほうがたくさん買った。必要なのはワタシなのに)免税カウンターでパスポートを見せ、免税額でお昼ご飯が食べられた。ところが今年4月に免税制度が変わりパスポートだけではダメ。「日本国籍を有する非居住者」は戸籍の附票か在留証明(2年以上)が必要になった。なぜ?在留証明を日本大使館に申請するには、日本のパスポート、フランスの滞...
北フランスのダンケルクで、37歳の女性がナイフで13か所刺し夫を殺す、という事件があった。女性は元高校教師、今は市議会議員、児童書の著者。夫はダンケルク大学の教授、51歳。2人の間には20カ月になる子供がいる。9月18日の夜、彼女は警察を呼び「家に泥棒が入り、夫は血まみれになっている」警察が駆けつけ、息絶えている夫を発見。血の付いたゴム手袋の裂け目と妻の手の傷が一致することから、妻を疑い始める。間もなく妻は...
飛行機の予約するとき、最前列の座席を選んだ。脚が延ばせるし、トイレに行くとき隣の人(たち)の邪魔をしなくて済む。乗ってみると、そこは非常口に接している席だった。すぐ逃げられる、と思ったのは大間違い。座るとすぐにスチュワーデスが近づいてきて、紙切れを渡し「これに同意していただけますか?」紙切れによると、この非常口席は、以下の条件を満たす人しか座れない。1)満15歳以上(十二分に満たす)2)付き添いや係...
息子がわたしに包丁をプレゼントしてくれるというので、やってきた。よく来るわけではないけど、下町っぽくて好きな界隈。こういう家並みが残っている。リシャール・コラスという日本通の実業家&小説家が「日本はミルフィーユだ」と言っていた。前の時代を残したまま、時代が変わっていくので何重もの層になっているから。彼曰く「一方中国は前の時代を塗り替えて変化する」入った刃物屋のおやじさんは「どこから来たの?フランス...
数か月、人が入らなかった実家は雑草が腰の高さまで伸び、お腹を空かせたやぶ蚊が待ち受けていた。鍵を探している間に4か所刺される。今年は暑すぎて蚊がいないんじゃなかったの?それに息子の血の方がフレッシュで美味しいのに…身体中に虫よけスプレーを振りかけた。近くの公園(空地?)で遊ぶ真っ黒に日焼けした子供たち。「腕白でもいい」という古いCMが浮かんだ。腕白がいいよね。しかし暑い。この暑さが80日以上続いてい...
空港に向かうタクシーの運転手さんは定年間際のオジサン。おしゃべりで愛想がいいのはいいけど、「あ、あそこがわたしダンス学校」と夫に言うと、そっちを向き、「あそこに〇×が住んでいる」と夫が言うと、そっちを向く(前を向いて運転しましょう)。それからパリ市長イダルゴの悪口になり(歩行者、自転車用ゾーンを広げて渋滞を悪化させたイダルゴ市長は全タクシーから嫌われている)、「パリ・オリンピックはダメだね」「どう...