今日はOfficeがフリーズする原因の一つである「ユーザ辞書の破損」をご報告します。
だいぶ前の話ですがOffice2003からOffice2010への移行過渡期で発生した事例です。
ユーザからの連絡
「Wordがフリーズするんですよね。」
唐突にPCが持ち込まれました。フリーズ?WUで不具合でも出ましたかね?
状況を聞いてみました。
「普通に起動するんですよ。ほら。」
といって適当なファイルをダブルクリックしWordは起動します。スタートメニューから新規文書作成でWordを起動しても問題なく起動します。
「装飾やメニューからフォントとか変更するのは問題なんですけどね~。」
で、何が問題なんでしょ?
「文字を入力するとフリーズするんです。」
え?いま入力してみていいですか?
「いいですよ。フリーズしますけど。」
文字を入力します。Aキーを押下して"あ"が表示されます。iキーを押下して"い"が入力されます。フリーズしませんけどね…。
「いいですか?よぉーーーく見ててくださいよ。」
マジシャン然とした口調で、何かイリュージョンでも見せられているような錯覚に陥りますが口には出さないようにします。
ユーザがその入力された文字列を変換するためにスペースキーを押下した瞬間…
「ほら!フリーズした!」
…。
……ちょっとテンション高いっす。
ユーザが示唆した動作によってWordのウィンドウのタイトルに
「(応答なし)」
の表示が追加されました。マウスアイコンは砂時計を表すあの円形がグルグル、収まる様子はありません。
って、ことは文字の入力というか文字を変換するとフリーズする、ってことですか?
「そうです。変換ですね。」
なるほど。入力ではない、ということですか。
でもなんだかユーザはモジモジしています。イリュージョン風に解説したのがちょっと恥ずかしかったんでしょうか?
何か気になることでもありますか?と発言を促すと、
「いやっ、でも、変換できることもあるんですよ。…確か。でもそういうときは保存しようとすると結局こうなっちゃいます。」
うーん。なんなんでしょ?聞いたことないなぁ…。
調査
いかんせん昔の記憶なので何をやったかはあまり記憶にないのですが、ひとまずアプリケーション(Word)自体がおかしくなったんじゃないかと、考えてOfficeを修復インストールや再インストールを実施してみた記憶があります。でも改善なし。動作は変わることなく時間を要した記憶があります。
原因はユーザ辞書の破損、だったようで、ユーザ辞書を再生成することで症状が収まりました。
ユーザ辞書はIMEのプロパティから「辞書/学習」タブをクリックして、ユーザ辞書の欄で確認できます。
図:IMEプロパティ図(※この図はOfficeIMEの画面と相違します。)
Office IME 2010のユーザ辞書は
%USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\IMJP14\imjp14cu.dic
に存在します(バージョンが違うと多少パスは変わります。例えばWindows8.1付属のIMEだと「%USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\IME\15.0\IMEJP\UserDict\imjp15cu.dic」となります。)
この箇所にあるユーザ辞書ファイルをリネームして再生成することで、フリーズは収まりました。
この動作の改善を見るまでに結構時間を使ってしまったのは若さゆえの経験不足、というところでしょうか。
幸い、ユーザ辞書ツールに登録されていた単語はエクスポートできたので、メニューから一覧の出力でユーザ登録の単語を全部エクスポートして、再生成したユーザ辞書ではテキストファイルからのインポートすることで、ユーザが手入力で登録した単語は失われずに済みました。学習結果が失われるのはやむを得ませんがそれほど気にならなかったようです。
こうして問題の解消が完了しました。
Office2010使いきる?
Windows7とOffice2010を最後の2020年まで使い倒そう、と覚悟を決めている方も世の中にはちらほらいらっしゃることとご推察します。
そもそもあと5年間でいま使っているWindows7のPCが壊れない保証はないですし、OSが延命できるとはいえOfficeは2020年でサポート終了、その後はオープンソースのOfficeを使うかリスク込みでOffice2010を使い続けるかの二択になってしまうので、メーカPCを利用されている方は無理に乗り換えずWindows7のまま利用されている方も多いように思えます。
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