近年、さまざまなところでコインパーキングが増えています。
私が利用している駅の周辺にも、小さなコインパーキングがちらほらとできてきました。みなさんがお住まいの地域でも同じように増えているのではないでしょうか。
それらのコインパーキングで、出入り口にゲートがない、新しいシステムが採用されていることがあります。
実は当社でも、新開発の在車センサー<RZ-P201>を用いたゲートレス、ロック板レス式コインパーキングシステムを取り扱っております。このシステムは従来のロック板ありのものと比べてどのような特長があるのか、新開発の「在車センサー」を中心に、商品企画担当の木村、技術担当の山田に聞きましたのでご紹介します。
そもそも、なぜシャープがコインパーキングシステムを開発したのですか?
(木村)当社が電卓事業から、スーパーなどのPOSシステムの開発、さらに、ガソリンスタンド向けPOSシステム開発という車に関連する事業を展開してきた中、「今までのゲート式やロック板とは違う、新しいコインパーキングシステムが必要である」という話が業界内で上がっていることを知ったのがきっかけでした。精算機は当社の既存のPOSシステムを活用できますし、他にも当社の技術とノウハウを活かせるのではないかと思い、コインパーキングシステムの開発を始めました。
今回、在車センサーを用いたコインパーキングシステムを手がけた背景は?
(木村)コインパーキングは、2021年の実績で全国に1,641,700車室が存在※1しており、今後は住宅地の小型パーキングが増えると見込まれています。
増え続けるコインパーキングですが、おなじみのロック板によるシステムは、車体との接触事故といった課題を抱えているため、業界ではロック板レスシステムの導入が進んでいます。
当社の在車センサーを用いたコインパーキングシステムは、小型パーキングとロック板レス化の流れにフィットしたシステムです。
※1 出典:一般社団法人 日本パーキングビジネス協会 一時利用有料駐車場(コインパーキング)市場に関する実態分析調査2021年度版より。車室とは、1台の車を駐車する場所のこと。
在車センサーとはどのようなものですか?
(木村)パーキングに駐車した車がどの車室に駐車しているかを判別するセンサーです。
具体的には、車の出入りによる磁場の変化を測定する地磁気センサーと、上方の物体までの距離を測定するレーダー測距センサーの2つで在車を判別し、特定小電力無線で精算機システムにワイヤレスで情報を知らせるものです。内蔵電池の寿命は、当社の想定する使用方法で3年※2を見込んでいます。
※2 入庫/出庫回数が40回/日の場合を目安にしています。使用できる期間は環境や通信頻度により変動します。バッテリーは定期的に交換が必要です。
在車センサーの開発で苦労したことは?
(山田)さまざまな車種による底面形状や車高、停車位置といった条件の違いや、天候などの測定環境の違いにかかわらず、もれなく検知するため、さまざまなパターンに対応する必要がありました。
そこで、2023年11月から5カ月間、実際のパーキングにシステムを設置して、データを取りながら、検知率向上のためのフィールドテストを行いました。データは24時間測定できるのですが、メンテナンスはお客さまの車が出庫されたタイミングに限られるため、フィールドテストは大変でした。現在も日々データを収集し、検知率向上のアルゴリズムを考え改良を続けています。
また、在車センサーの外観は平たい山形の形状をしていますが、この形状は、雨粒や塵、落ち葉などの異物の影響を極力受けないように、また、車に踏まれても壊れないことを目的にさまざまな形状を試してたどり着いた苦心の作です。コインパーキングで一般的に要求される仕様の2tの車に踏まれても壊れません。実力的には余裕のある頑丈な設計で対荷重性には自信があります。
ロック板方式のコインパーキングシステムに比べ、どんなところが優れているのでしょうか?
(木村)これまで普及してきた従来型のシステムで使用するロック板は、埋設のための大掛かりな工事が必要でした。
「在車センサー」を用いた場合は地面にボルト3本で固定するだけですし、電池式のため配線工事もないので、工事が容易で工期短縮・工費圧縮につながります。またパーキング閉鎖後の土地の復元も容易です。
当社は在車センサーのほか、精算機にも力を入れていますよね?
(木村)はい。コインパーキングシステムに使っている精算機は当社がこれまで多くのガソリンスタンド向けPOSシステムで培ってきた屋外設置に対応した技術を踏襲しており、高い信頼性があります。
当社の精算機にはガソリンスタンド向けと同様に12.1型タッチパネル付きカラーディスプレイを採用しており、屋外でも見やすく操作しやすいことが特長です。もちろん、防水機能やセキュリティ対策などにも対応しています。
現金(新札、新500円硬貨にも対応し、心配ありません)、クレジット、電子マネー、QR決済といった多彩な決済手段やサービス券※3にも対応しています。
※3 別売の2次元バーコードリーダー使用。サービス券を利用するためには、専用のアプリケーションと発券機が必要です。
クラウド上の管理システム(月額利用料がかかります)により、複数のパーキングに設置した精算機を一元管理することもできます。
駐車状況や売上などをリアルタイムで可視化するほか、レポートとして出力も可能です。遠隔からの設定や状態監視にも対応。パーキング運営における業務効率化に貢献する機能が充実しています。
最後にこのシステムにかける想いをお聞かせください。
(木村)当社のコインパーキングシステムは先進的なスタイルのパーキング事業を支援するソリューションです。ロック板レスのためロック板接触事故などのトラブルが無いほか、チケットレスやゲートレスに対応し、入出庫時のトラブルを低減することが期待できます。
ご利用者さまにとっても、運営会社さまにとっても、使いやすい駐車場を実現しましたので、きっと、ご満足いただけると思います。ぜひ、ご検討をお願いいたします。
ー ありがとうございました。
開発者のアイデアや努力の結晶が詰まった「在車センサー」や「精算機」を使った当社のパーキングシステム。開発担当者が「在車センサーは2tの車が踏んでも壊れません。実力的には余裕のある頑丈な設計で対荷重性には自信があります」と胸を張っていたことが印象に残りました。システム設置をご検討されている土地オーナーさまや既存のコインパーキングのリニューアルをお考えのオーナーさまにご採用いただけることを願っています。(広報C)
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