Zabbix6.0/6.2 AWS監視テンプレート - サーバーワークスエンジニアブログ

Zabbix6.0/6.2 AWS監視テンプレート

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みなさん、こんにちは。しずかです。2/8にTwitterで Zabbix Team Japan (@zabbix_jp) からこんな投稿がありました。

概要は、Zabbix6.0ならびに6.2で使える AWS環境を監視するテンプレートが公式から公開された! ようです。
内容を確認しながら、実際にテンプレートを使って、AWS環境の監視してみたいと思います。

目次

ドキュメントの確認

6.0並びに6.2のドキュメントを確認してみます。

What's new in Zabbix 6.0

まずは6.0のドキュメントを見ていきましょう。

18 Zabbix 6.0.13の新機能

テンプレート
新しいテンプレートが使用できます:
AWS EC2 by HTTP
AWS by HTTP
AWS RDS instance by HTTP
AWS S3 bucket by HTTP

6.0.13 で4種類のテンプレートが公開されてますね。

What's new in Zabbix 6.2

次に6.2のドキュメントを見ていきましょう。

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AWS EC2 monitoring
A new template AWS EC2 by HTTP has been added allowing to quickly deploy Zabbix monitoring of AWS EC2 and attached AWS EBS volumes by HTTP.

6.2.0 でEC2用のテンプレートが公開されてます。

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A new AWS by HTTP template is available now.

6.2.3 でRDSやS3のテンプレートも公開されてます。

Integrations から テンプレート取得

さっそくテンプレートの入手方法から使い方を見ていきます。

Integrationsとは

Integrationsとは、Zabbix公式または有志(3rd Party)が公開しているZabbixのテンプレート集です。冒頭で「AWS環境を監視するテンプレートが公式から公開された」と記載しましたが、AWS環境を監視するテンプレートは以前から3rd Party製はありました。しかし今回は 公式から公開された ことがポイントかと思います。

余談ですが、ネットワークスイッチの監視をする時に、Integrationsの3rd Partyで公開されているテンプレートにとてもお世話になった経験があります。特にベンダーMIBを使った詳細な監視テンプレートにはすごくお世話になりました。本記事では3rd Party製のテンプレートを否定する意思は一切ございません。

Integrations AWS

では、 Integrationsの以下のページにアクセスします。

www.zabbix.com

まずはご利用のバージョンを選択します。今回は6.0.13を使用するので 6.0 で見ていきます。

その下にさっそくソースURLが記載されてますが、、、まずは内容を確認しておきます。

Overview
For Zabbix version: 6.0 and higher
The template to monitor AWS EC2, RDS and S3 instances by HTTP via Zabbix that works without any external scripts.

外部スクリプトなしで動作する EC2などの監視テンプレート、とのことです。
Zabbixでは、スクリプトをサーバに設置し、ユーザーパラメータを用いて、特殊な監視をするケースがあるかと思います。そのような スクリプトが不要である ことは大きなポイントではないでしょうか。

Setup
Before using the template, you need to create an IAM policy for the Zabbix role in your AWS account with the necessary permissions.

ご利用中のAWSアカウントにて Zabbix用のIAMポリシーなどが必要になるようです。設定内容については、実際に設定するときに見ていきます。

テンプレートの取得

先ほどのソースURLにアクセスしましょう。
ブランチ名右側の (三点リーダー) から ダウンロード を押下します。Git環境がある方は左メニューバーからcloneしましょう。

Zipファイルを解凍して templates\cloud\AWS 配下にテンプレートのyamlファイルがあります。これがお目当てのテンプレートファイルです。(xmlではなくなったようですね。)

テンプレートの種類と概要

執筆時点ではAWS用のテンプレートは4つあります。それぞれのテンプレートとその概要は以下の通りです。
なお下記名称については、本記事での名称になります。ご了承ください。

  • AWS EC2 by HTTP (template_cloud_aws_ec2_http.yaml)
     EC2インスタンス用テンプレート
  • AWS RDS instance by HTTP (template_cloud_aws_rds_http.yaml)
     RDSインスタンス用テンプレート
  • AWS S3 bucket by HTTP (template_cloud_aws_s3_http.yaml)
     S3バケット用テンプレート
  • AWS by HTTP (template_cloud_aws_http.yaml)
     AWS上のEC2/RDSインスタンス・S3バケットのディスカバリ用テンプレート

テンプレートを使用した監視設定(EC2用)

EC2用のテンプレートを使用して、監視していきます。手順は以下の通りです。

  1. AWSマネジメントコンソールのIAMからポリシー、ユーザ、アクセスキーの作成
  2. 監視対象のリージョン、インスタンスID確認
  3. Zabbixにてテンプレートインポート
  4. 監視対象のホスト作成・テンプレート適用・マクロ修正
  5. 監視データの確認

AWSマネジメントコンソールのIAMからポリシー、ユーザ、アクセスキーの作成

IAMポリシー作成

AWSマネジメントコンソール(以下、マネコン)から IAM > ポリシー にアクセスします。ポリシーを作成 から新規に作成します。

ポリシーの作成画面1にて、JSON のタブを押下し、さきほどのIntegrations AWSに記載のポリシーを記載し、次のステップ: タグ を押下します。

タグは必要に応じて追加してください。今回は特に設定せずに次に進みます。
ポリシーの作成画面3にて、名前 を入力します。必要に応じて 説明 も入力しておきましょう。入力したら ポリシーの作成 を押下します。

ポリシーが作成されたことを確認できたら、完了です。

IAMユーザ作成

次に マネコン > IAM > ユーザー にアクセスし、ユーザーを追加 を押下します。

任意のユーザー名を入力し、次へ を押下します。コンソールアクセスを有効化 はチェック不要です。

ポリシーを直接アタッチする を選択し、先ほど作成したポリシー を選択し、次へ を押下します。

内容を確認し、問題なければ ユーザーの作成 を押下します。

ユーザーが作成されたことを確認できたら、完了です。

アクセスキー作成

作成したユーザーを選択し、ユーザーの詳細画面から セキュリティ認証情報 のタブを選択します。

ページをスクロールし、アクセスキーの欄にある アクセスキーを作成 を押下します。

主要なベストプラクティスと代替案にアクセスする、の画面にて サードパーティーサービス 並びに 上記のレコメンデーションを理解し、アクセスキーを作成します にチェックを入れ、次へ を押下します。

なお今回は検証目的のため、上記の選択をしアクセスキーを作成しています。ベストプラクティスなどについては、AWSドキュメントを参照してください。

docs.aws.amazon.com

必要に応じて 説明 を入力し、アクセスキーを作成 を押下します。

作成されたら、アクセスキー・シークレットアクセスキーを控えておきます。なおシークレットアクセスキーを忘れた場合はアクセスキーの再作成が必要になります。 控えたら 完了 を押下します。

作成したアクセスキーが表示されていれば完了です。

監視対象のリージョン・インスタンスID確認

監視対象のリージョン、並びにEC2インスタンスのインスタンスIDを控えておきます。
次の項目からZabbixの設定になりますが、以下の4つのパラメータが揃っていることを確認しましょう。

  • アクセスキー
  • シークレットアクセスキー
  • リージョン
  • インスタンスID

テンプレートインポート

ここからはZabbixでの操作です。ZabbixのWebUIからテンプレートをインポートします。WebUI > 設定 > テンプレート にアクセスします。名前に AWS を入力し、適用 を押下します。Zabbix6.0.13ではデフォルトでインポートされているようです。
しかし検証したところ、最新のテンプレートと差分があるようなので、インポートしてアップデートしましょう。

右上の インポート を押下します。

ポップアップが表示されるので、ファイルを選択 を押下します。

ダウンロードしてきたテンプレートを選択します。解凍したフォルダの中の以下のパスにファイルがあります。
 パス : templates\cloud\AWS\aws_ec2_http
 ファイル: template_cloud_aws_ec2_http.yaml

更新箇所を確認したら、インポート を押下します。

インポートに成功しました、と表示されれば完了です。

監視対象のホスト作成・テンプレート適用・マクロ修正

インポートしたテンプレートを使ってホストを登録していきます。WebUI > 設定 > ホスト から ホストの作成 を押下します。

ポップアップが表示されるので、ホスト名グループ を入力します。テンプレートの右側の 選択 を押下してテンプレートを指定します。

AWS EC2 by HTTP のテンプレートを選択し、選択 を押下します。

マクロ のタブを選択し、 継承したマクロとホストマクロ を押下します。変更するマクロ右側の 変更 を押下し、マクロを修正していきます。

マクロの実効値の欄のグレーアウトが解除されるので、値を入力します。

入力箇所とパラメータは以下の通りです。

マクロ 入力値
{$AWS.ACCESS.KEY.ID} アクセスキー
{$AWS.EC2.INSTANCE.ID} 監視対象のインスタンスID
{$AWS.REGION} リージョン
{$AWS.SECRET.ACCESS.KEY} シークレットアクセスキー

マクロを入力したら、追加 を押下します。ホストが追加されたことを確認できたら完了です。

最新データの確認

ホストを追加しただけでは、各アイテムはまだ登録されていませんので、ディスカバリを手動実行し、アイテムを登録します。
先ほど追加したホストの アイテム を開きます。設定 > ホスト > 対象ホストのアイテム にアクセスします。サブフィルターのタイプにて スクリプト を選択します。

すべてのアイテムをチェックし、監視データ取得 を押下します。

監視データの取得が完了すると、アイテムが自動で登録されます。
監視データ > 最新データ より 登録したホストを選択します。最新の値の欄にデータが取得できていることを確認します。

テンプレートを使用した監視設定(ディスカバリ用)

ディスカバリ用のテンプレートは以下の手順で使用します。

  1. AWSマネジメントコンソールのIAMからポリシー、ユーザ、アクセスキーの作成
  2. Zabbixにてすべてのテンプレートインポート
  3. ディスカバリ用のホスト作成・テンプレート適用・マクロ修正
  4. 監視データの確認

ディスカバリ用テンプレートの概要

ディスカバリ用テンプレートは、ディスカバリ用ホストにテンプレートを適用します。そのホストがデータを取得すると、AWS上のリソース(EC2インスタンス、RDSインスタンス、S3バケット)が自動でホスト登録されます。各ホストはそれぞれのテンプレート(EC2用、RDS用、S3用)が適用されます。
1~2 については、上記と同じ手順のため割愛します。またテンプレートについては、EC2用と同じ手順で、取得したRDS用、S3用テンプレートをインポートします。

ディスカバリ用のホスト作成・テンプレート適用・マクロ修正

設定 > ホスト > ホストの作成 からディスカバリ用のホストを作成します。テンプレートは AWS by HTTP を適用します。

またマクロについては、{$AWS.ACCESS.KEY.ID}{$AWS.REGION}{$AWS.SECRET.ACCESS.KEY} の3箇所を設定します。インスタンスIDは設定する必要ありません。

ディスカバリ用ホストの作成が完了したら、対象ホストの ディスカバリ を押下します。

登録されているディスカバリのすべてをチェックし、監視データ取得 を押下します。

ホストの一覧からホストグループを解除すると、ホストが登録されていることがわかります。

EC2 instances discovery: ディスカバリで登録されたEC2インスタンス
RDS instances discovery: ディスカバリで登録されたRDSインスタンス
S3 buckets discovery: ディスカバリで登録されたS3バケット
またデフォルトでは、それぞれのホストは以下のホストグループに登録されるようです。

EC2:Virtual machines
RDS : Templates/Databases
S3 : ap-northeast-1Templates/Applications

監視データ確認の際に、上記ホストグループでフィルターすることで、確認しやすくなるかと思います。なお最新データの確認方法は上記と同じため割愛します。

まとめ

長い記事になってしまいましたが、いかがだったでしょうか。それでは今回のまとめです。

  • Zabbix6.0/6.2で AWS監視テンプレート公式からリリースされた
  • Zabbix6.0.13 以降、ならびに Zabbix6.2.3 以降で、4つのテンプレートが使用できる
  • テンプレートはEC2インスタンス用、RDSインスタンス用、S3バケット用、AWS上のリソースディスカバリ用がある
    (名称については、本記事での名称になります。ご了承ください。)
  • テンプレートを使えば 外部スクリプトが不要 でAWS環境の監視ができる
  • IAMポリシー、IAMユーザーとアクセスキーが必要になる

またツイートのサムネイルにあるダッシュボードは、どうやらテンプレートには含まれてないようでした。。。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

静 優(執筆記事の一覧)

オンプレからクラウドに転身したインフラエンジニア