マネージドサービス部 佐竹です。
本日は驚きのアップデートとなりました「Savings Plans の返品(返却)機能」についてご紹介します。
はじめに
Savings Plans は AWS のコスト最適化には欠かせない価格モデルであり、購入することで最大 72 %のコスト削減が可能となっています。
本サービスについては以下のブログ等で詳しく記載しておりますため、ここでは割愛させて頂きます。
また、Savings Plans はリザーブドインスタンス(RI)と同様、「購入したあとのキャンセルは不可能」という決まりがありました。
これについては、re:Post にも以下の通り記載があります。
Savings Plans のキャンセルと修正
Savings Plans は、修正またはキャンセルできません。時間単位のコミットメントを増やすには、追加の Savings Plans をご購入ください。 https://repost.aws/ja/knowledge-center/savings-plans-considerations
ですが、本日からは Savings Plans の返品(≒キャンセル)ができるようになりました。
これまで RI においても一度もこのような返品機能はリリースされたことがなく、Savings Plans で初めてリリースされたことになります。
AWS 公式アナウンスページ
AWS announces a 7-day window to return Savings Plans
本日より、最近購入した Savings Plan がお客様のニーズに最適ではないことが判明した場合は、返品し、必要に応じて、お客様のニーズにより適合する別の Savings Plan を再購入することができます。
Savings Plans の返品を試す
実際にマネジメントコンソールから検証してみました。
まずは検証のために「$0.001」という最も安い Savings Plans を購入しました。
Savings Plan ID は e3f183a0-ac72-403a-bce6-25ebd95781b7
となっています。これを返品していきます。
Savings Plans の Inventory 一覧から、購入した Savings Plan ID を押下すると、以下のページに遷移します。
すると、画面右上に「Return Savings Plan by 2024-03-28 04:43:22 UTC」というボタンが表示されます。
ドキュメントに記載がある通り、「Return Savings Plan」はこの詳細画面にのみ表示されます。
The Return Savings Plan button is only visible in the details page when a Savings Plan is eligible for return.
https://docs.aws.amazon.com/savingsplans/latest/userguide/sp-purchase.html#return-sp
これはつまり、AWS Organizations の管理アカウントではなく、実際に Savings Plan を購入し保持しているアカウントで返品作業を行う必要がある、ということです。
上画面のポップアップが表示されるため、問題がなければ「Confirm return」を押下し返品を完了させます。
返品を行うと、対象の Savings Plan が「Pending-Return」ステータスになります。
ステータスが「Returned」になれば返品は完了です。
End Date を確認する
再び、Savings Plans の Inventory 一覧をみてみます。
Savings Plans の Inventory 一覧の右端には「End date」が表示されますが、この日付が Start date と同値になっていました。つまり今回新規に購入し、その後返品した Savings Plan は存在した時間が「0秒」にされるということです。
注意事項
AWS 公式ドキュメントの「Savings Plan return restrictions」を確認します。
Savings Plan return restrictions
If you submit a request to return a Savings Plan and it is ineligible, you'll receive an error related to one of the following reasons:
(翻訳) Savings Plan の返品リクエストを送信し、そのプランが対象外である場合は、次のいずれかの理由に関連するエラーが表示されます。https://docs.aws.amazon.com/savingsplans/latest/userguide/sp-purchase.html#return-sp
そのうち、恐らく以下の2つが特に重要となるでしょう。
The hourly commitment is greater than $100
1時間あたりのコミットメントが $100 を越える Savings Plan は返品の対象外のようです。ここまで大きな Savings Plan を購入することは稀と思われますが注意が必要でしょう。
The Savings Plan was purchased in a different month or in the same month but more than seven days ago.
翻訳すると「Savings Plan は別の月、または同じ月の 7 日以上前に購入されました」となりますが、前者は特に注意が必要です。
この注意事項が伝えるところは「7日以内であっても、別の月(つまり前月)に購入された Savings Plan は返品ができない」ということのようです。例として今月であれば、2024年3月31日に購入した Savings Plan は、2024年4月1日には返品できなくなる、ということになるでしょう。
仕様として AWS の利用料は月末に確定されます(締まります)。このため、たとえ返品が可能な Savings Plan を持っていたとしても、月末で費用が確定してしまうことで返品ができなくなります。
試しに、2024年3月30日に Savings Plan を購入してみました。画面キャプチャの通りですが、4月1日 11:00 JST 現在既に「Return」のボタンが消えています。
また Savings Plan の詳細には「Returnable until 2024-03-31 23:59:59 UTC」とあるように、月末が期限ということがわかります。
よって、Savings Plan の購入に不安を覚えるような場合は、月末付近の Savings Plan の購入を避けたほうが良いでしょう。
その他気になるクォータ
The limit for your consolidated billing family has been met. If you're using a single AWS account, the limit for that account has been met.
上記の記載に関連して、以下のページに新しく Savings Plans の Quotas が追加されています。
Maximum number of purchased Savings Plans you can return per calendar year, as long as within seven days of purchase in the same calender month
が 10 per management account
とのことですので、管理アカウント単位で年間(calendar year で)10回までが返品の上限のようです。
個人的には10回も返品することは無いのではと想定しますが、例えば「EC2 Instance Savings Plan を複数買う場合にまとめて間違えてしまった」というようなケースは注意したいところです。
まとめ
本日は驚きのアップデートである「Savings Plans の返品(≒キャンセル)機能」についてご紹介しました。また、実際にマネジメントコンソールから返品操作を行った各画面キャプチャも掲載しました。
記載したように Savings Plan の購入から7日以内であればそれを返品することが可能です。
なお、複数記載されていました注意点のうち、特に重要な2点をご紹介しました。
それは「コミットメントが $100/h を越える Savings Plan」と「7日以内であっても、別の月に購入された Savings Plan」はそれぞれ返品ができない、という2点でした。
最後にですが、Savings Plan のキャンセル(返品)はエンドユーザ様から何度も聞かれる頻出の質問及びご要望でしたため、今回実装されて大変うれしく思っています。
それでは、またお会いしましょう。
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マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023-2024 Japan AWS Top Engineers/2020-2024 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。