EVだけがすべてなのか?自由な選択肢でCO₂削減に参加できる、マツダのマルチソリューション戦略|MAZDA MIRAI BASE|MAZDA 企業サイト

EVだけがすべてなのか?自由な選択肢でCO₂削減に参加できる、マツダのマルチソリューション戦略


2024年2月、東京国際フォーラムで2日間にわたり開催された『サステナブル・ブランド国際会議』。持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めるリーダーたちが集う、アジア最大級のコミュニティイベントです。

 

日本では8回目の開催となる本イベントに、マツダも参加。のべ約4,000人の来場者が集まる中、社長の毛籠勝弘による基調講演やサステナビリティな取り組みを紹介した展示ブースなど、カーボンニュートラルにまつわる活動を紹介しました。マツダが大切にしてきた「走る歓び」はそのままに、サステナビリティなカーライフの実現を目指す独自のアプローチについて、イベントの様子を振り返りながらお伝えします。

EVですべてを解決できるのか?マツダのマルチソリューション戦略とは

100年に一度の大変革期といわれる自動車産業。まさに約100年前に創業したマツダも、次の100年に向かうための探索を続けています。その一つがカーボンニュートラルの実現に向けた取り組み。マツダのみならず、世界の自動車メーカー、さらには産業界全体の最優先課題です。

 

カーボンニュートラルを達成するためにマツダは、クルマの電動化や生産・流通過程でのCO2排出量の削減、クリーンな燃料への転換など、クルマのライフサイクル全体でのCO2削減を推進しています。

クルマのライフサイクルアセスメントにおいてマツダはつくる、はこぶ、つかう、もどす各々の工程でCO2削減を目指しています

2024年2月21日・22日に開催された「サステナブル・ブランド国際会議」(東京国際フォーラム)。社長の毛籠による基調講演では、国や地域ごとの状況や技術の進化をふまえ、多角的なアプローチで課題解決に取り組む姿勢と決意を語りました。

毛籠:

「(クルマの)電動化の流れは今後も続くでしょう。では、世界中のすべての自動車が電気自動車に置き換われば問題は解決するのでしょうか? 化石燃料への依存度が高い日本でいえば、電気を使う電気自動車とガソリンを使うハイブリッドでは、ライフサイクル全体でのCO2の排出量はほぼ同程度ということになります。この考えをふまえ、当社ではマルチソリューションというアプローチをとっています。

 

お客さまのライフスタイル、クルマの使い方、主な発電方法、充電ステーションの普及率などの社会インフラの整備状況は、国や地域によって異なります。その状況に応じてクリーンディーゼルエンジン、ハイブリッド、プラグインハイブリッドや電気自動車などの多様なソリューションをご提供し、お客さまの選択の自由を担保する。それが、より早く、より多くの方にCO₂削減に参画・貢献いただける合理的かつ現実的な道筋であると考えています」

基調講演でマツダのマルチソリューション戦略について語る社長の毛籠

最近では欧米をはじめ、国や地域ごとに環境規制に対する取り組みやインフラ整備も一様ではない実態が浮かび上がり、これまでのような「EV一辺倒」のメディアの論調にも変化が起こりつつあります。

そんな中、2023年にマツダでは、独自技術である「ロータリーエンジン」を発電機として転用することで環境負荷を減らす「ロータリーEV」を開発しました。さらに、2023年10月のジャパンモビリティショーでは、未来のコンパクトスポーツカー「MAZDA ICONIC SP()」を出展。水素やバイオ燃料など様々な燃料を燃やせる拡張性の高いロータリーエンジンを活用した、2ローターRotary-EVシステムは、カーボンニュートラル燃料で発電します。また搭載バッテリーは、再生可能エネルギー由来の電力で充電することによって、実質カーボンニュートラルでの走行が可能となるシステムです。

MAZDA ICONIC SP……マツダのクルマづくりへの想い、デザインへのこだわり、自動車メーカーとして環境課題に取り組んでいく責任と決意など、さまざまな意思が込められたコンパクトスポーツカーコンセプト。2023年のジャパンモビリティショーで初披露された。

毛籠:

「当時は小型、軽量、高出力で『夢のエンジン』と言われたロータリーエンジン。マツダでは6年半かけて実用化に取り組み、世界で初めて本格的な量産化に成功しました。もともとは官能的なスポーツカーに搭載され人気を集めてきたエンジンですが、CO₂をまったく出さない『究極の環境エンジン』としての可能性も秘めています。私たちが夢に描いたロータリーエンジンが未来の環境エンジンとして社会に役立つよう試す時代が到来したのだと思っています」

マツダのブースで展示されたロータリーエンジンのカットモデル。

社会との対話の場がマツダを持続可能な未来へとドライブさせる

展示ブースではロータリーエンジンを発電機として搭載したMX-30 Rotary-EV以外にも、広島大学と共同で研究を進める「微細藻類」を用いた次世代バイオ燃料や、広島特産の牡蠣の廃殻をアップサイクルしたクルマのパーツなど、カーボンニュートラル社会の実現に向けたマツダのさまざまな取り組みが紹介されました。

植物性プランクトンの微細藻類から油脂を抽出し、バイオ燃料を生産するプロジェクトを進めている。展示ブースでは来場者の方々に「生きた微細藻類」を顕微鏡で観察してもらった

これらの展示に最も反応していたのが「クルマ離れ」といわれて久しい若い世代でした。

 

グランツーリスモ好きでマツダ車に惹かれてやってきた大学生や、藻類の展示ブースをみて「藻の研究をやってみたい」と語っていた高校生。さらには、ジャパンモビリティショーで見た「MAZDA ICONIC SP」に憧れ、目を輝かせながら30分近くもデザイナーと話し込む高校生もいました。

 

また、それまでクルマに興味がなかったという高校生からは、こんなコメントも。

 

「マツダでは電気自動車だけでなく、さまざまなニーズに合わせてバイオ燃料やロータリーエンジンなど、色んなものに取り組んでいると知って、すごく面白いなと感じました」

 

「クルマって目的地に向かうためだけのツールという印象でしたが、マツダの人々の『走る歓びを追求する』という思いに触れて、考え方が変わりました。特にロマンを感じたのはロータリーエンジン。いまになってもう一度復興してきたという点に魅力を感じて、私もクルマを運転してみたいなという気持ちにさせられました」


展示ブースを訪れた高校生たち。


実際に現場を担当した各部門の専門家が、それぞれの持ち場で自身の体験をベースに「生きた言葉」で解説。訪れた人も興味深く耳を傾け、担当者と話し込んでいたのが印象的だった。


パーパスの根底にあるマツダの思想

講演後、記者の質問に答える社長の毛籠。

マツダは2023年から「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というパーパスを掲げています。環境への負担低減という責任を果たすと同時に、マツダが大切にしているのはやはり、人々に歓びを届けること。新しいパーパスには、そんな思いが込められています。

毛籠:

「『前向きに今日を生きる人の輪を広げる』というパーパスは、戦後の広島で1日1日復興に向けて頑張って、1日1日がいい日になって、人々に笑顔が広がり、地域の輪が広がって、今日の平和都市へと歩みを進めてきた、そういう広島の先人たちの100年の生きざまとも重なります。だからこそ、マツダは、『走る歓び』や『人生がうれしくなる』ことに、どうしてもこだわりたいと考えています。」

マツダが目指すのは、あくまで「走る歓び」と「サステナビリティ」の両輪。そのために、これからも時代に適合しながら新しい技術を磨き続けていきます。

サステナブル・ブランド国際会議の運営に関わったマツダ社員


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