【事例あり】デジタルマーケティング戦略立案の5ステップ|成功のポイントは?

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水落 絵理香(みずおち えりか)
水落 絵理香(みずおち えりか)

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デジタルマーケティングには、さまざまな手法があり、自社の目的に合った手法を採用することで成果の最大化につながります。しかし、デジタルマーケティングがカバーする領域が幅広いため、具体的な戦略の立て方がわからないという方もいるでしょう。

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顧客を惹き付けるためのデジタルマーケティング戦略ガイド

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    そこで本記事では、デジタルマーケティング戦略の要点や戦略立案の方法を解説します。成功事例もあわせて紹介しますので、自社の課題と照らし合わせながらご覧ください。

    デジタルマーケティング戦略とは

    デジタルマーケティング戦略とは

    デジタルマーケティング戦略とは、デジタルデバイスとテクノロジー、およびそれに伴う膨大なデータを活用するマーケティング戦略のことです。効果的かつ効率的なマーケティング施策を実行し、ビジネス目標の達成に向けた戦略です。ビジネス目標には、見込み客との関係構築、ブランド認知向上、売上増加などが含まれます。

    デジタルマーケティング戦略は、WebサイトやWeb広告、SNSなどのオンライン施策だけでなく、AI技術やビッグデータ、マーケティングオートメーション(MA)、デジタル広告など、幅広いデジタル技術を組み合わせた包括的な戦略です。

    デジタルマーケティング戦略の中に、Webマーケティング施策の手法が含まれているイメージです。

    デジタルマーケティングの概要や具体的な手法については、次の記事をご覧ください。

     

    デジタルマーケティング戦略立案の5つのステップ

    ここでは、デジタルマーケティング戦略の立案手順を5つのステップに分けて見ていきましょう。

    ここで紹介する手順は、デジタルマーケティング戦略に限った話ではありません。マーケティング施策を立案する際は、どのような枠組みであっても、目的の明確化、ポジショニング分析、ターゲットの特定、KPIの設定、施策の検討というステップが重要になります。

    デジタルマーケティングの特徴的な点は、最終ステップである施策の検討がデジタルチャネルに集約され、この部分でデジタルマーケティング戦略の独自性が発揮されることです。
     

    ステップ1. 目的を明確化する

    はじめに、マーケティング戦略の明確なゴールを設定します。デジタルマーケティングが活動全般で果たすべき役割を明文化しましょう。

    そのためには、具体的で測定可能な成果を明確に定義する必要があります。対象となる製品やサービスにおいて、デジタルマーケティングが果たすべき役割を明確にしたうえで、数値目標を設定することが重要です。

    例えば、「CVRを5%向上させる」「月間の新規問い合わせを10件増やす」など、具体的な目標を設定しましょう。
     

    ステップ2. 自社のポジショニングを分析する

    自社のポジショニングを分析する

    自社の市場ポジショニングを徹底的に分析することは、デジタルマーケティング戦略に不可欠なステップです。自社のポジショニングを分析するには、マーケティングの基本的なフレームワークである「STP分析」が役立ちます。

    STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取ったもので、自社が業界内でどのような立ち位置にあるかを把握するためのフレームワークです。

    STP分析では、セグメンテーションにより市場の全体像を把握し、適切なターゲット市場を選択します。さらに、自社の優位性を持てるポジションを明確にし、競合他社との位置関係を決定するといった手順で進めていく方法が一般的です。

    販売戦略の手法やフレームワークについては、次の記事をご参照ください。

     

    ステップ3. ターゲットユーザーを定める

    次に、自社の商品やサービスのターゲットを明確にしたうえで、ペルソナを策定します。

    ペルソナが設定できたら、それをもとにカスタマージャーニーマップを作成しましょう。カスタマージャーニーマップとは、潜在顧客や見込み客が、商品・サービスを認知してから購入に至るまでの行動や心理状況を可視化したものです。

    カスタマージャーニーマップを通じて、顧客の心理状態や行動パターンを詳細に把握できます。得られた情報をもとにコミュニケーションを取るのに適切なタイミングや場所、方法を検討することが可能になり、より効果的なマーケティング活動の計画・実施につながります。

    潜在顧客や見込み客が商品・サービスを購入するまでのルートや、それぞれのフェーズで必要としている情報を理解することは、戦略の成功に不可欠な要素といえるでしょう。

    カスタマージャーニーマップ

    ペルソナ、カスタマージャーニーの設計についての詳細は、次の記事で詳しく解説しています。

     

    ステップ4. KPIを設定する

    KPI(重要業績評価指標)とは、プロセスの進捗の達成度を数値化して定量的に示したものです。売上目標の達成などの最終的なゴールであるKGI(経営目標達成指標)を達成するために、中間的な指標であるKPIを設定します。

    KPIを決定する際は、最終的な目標であるKGIから、「How = どのようにして目標を達成するか」という疑問を段階的に検討し、細かい数値に分解していきます。

    KGIという大きなゴールを達成するためには、中間目標となるKPIを設定し、戦略の実行と進捗のモニタリングを実施することが重要です。

    KPIの一例には、次のようなものがあります。

    • 売上目標(KGI) = 平均購入単価×購入者数
    • 平均購入単価 = 平均商品単価×平均購入数量
    • 購入者数 = リピート購入者数×新規購入者数
    • 新規購入者数 = 成約率×商談数
      KPI(重要業績評価指標)

     

    ステップ5. KPI達成に向けた施策を検討する

    ここまでのステップで、自社のポジションやターゲット層の特性、KPIが明らかになったら、それに基づいて実行する施策を綿密に検討しましょう。

    デジタルマーケティングの施策は多岐にわたるため、自社の目的や現状、利用可能なリソースを踏まえたうえで、優先度の高い施策を選択することが重要です。

    Webマーケティングの領域ではSNS、オウンドメディア、SEO、広告などがあります。また、デジタル技術を活用する側面では、MA、CRM、AI、デジタル広告などが挙げられます。

    さらに、ビッグデータや幅広いデジタル技術を組み合わせ、業務変革によって優位性のあるビジネスを築く「マーケティングDX」に取り組むこともあります。

    戦略の柔軟性を持ちながらも戦術的に施策を選別し、ビジネス目標を達成するために最も効果的な方法を見つけ出すことが求められます。
     

    デジタルマーケティング戦略を実施する際のポイント

    ここでは、デジタルマーケティング戦略を展開する際に押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
     

    PDCAを回しブラッシュアップする

    デジタルマーケティング戦略を綿密に立案することは重要ですが、施策の実施後にPDCAサイクルを速やかに回し、持続的な改善を行うことも同じくらい重要です。

    PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(効果・測定)、Action(改善・対策)の頭文字を取ったもので、ビジネスプロセスの改善を促進する手法です。

    施策を実行したら、失敗した施策だけでなく成功した施策についても丁寧に分析し、その結果の背後にある理由を検証しましょう。PDCAのサイクルを継続的に回すことで、デジタルマーケティング戦略が自社の状況に合わせて徐々に最適化されていきます。

    成功体験や失敗体験から学び、戦略を最適化していくプロセスが、持続的な成果を生み出すカギとなります。
     

    他部門との連携を強化する

    デジタルマーケティングにおいて最終的な目標を達成するには、全社的な協力と取り組みが不可欠です。営業部門やカスタマーサクセス部門など、他の部門と緊密に連携し、共通の目標を確立しましょう。部門をまたいだ情報共有を行い、協力体制を築くことが重要です。

    ほかの部門と協力する際に重要になるのが、相手のメリットや利益を考慮したうえで相談や協力を依頼することです。単にマーケティング部門の目標や利点を伝えるだけでは、他の部門から協力を得るのは難しいでしょう。

    協力を依頼したい部門のメンバーも、それぞれ自身の通常業務を行っています。デジタルマーケティングの施策実行にリソースを割いてもらうには、相手にも協力するメリットがあることを示すことが重要です。
     

    複数の施策やチャネルを組み合わせる

    消費者の購買行動が複雑化している昨今、オウンドメディアやSNS、メールといった複数のメディア・チャネルを組み合わせた施策を実行することで、相乗効果を得られることがあります。

    顧客が購入に至るまでのプロセスを注意深く把握し、適切なタイミングでフォローアップすることで、効果的な結果を期待できます。

    顧客のニーズに応じて、異なるアプローチや視点から施策やチャネルを組み合わせ、見込み客の購買行動に関する相乗効果を狙いましょう。
     

    費用対効果を検証する

    デジタルマーケティングは、デジタルデバイスやテクノロジーを駆使して実行するため、多くのデータを取得できるのが特徴です。費用対効果を評価する材料が豊富にあるというメリットを最大限に活かし、費用対効果の評価を継続的に行いましょう。

    ROAS(広告の費用対効果)やROI(投資収益率)などの指標を設定し、施策を改善しながら実行することで、コスト効率を高めることが可能です。

    また、デジタルマーケティングを実行するために新たなツールを導入する際は、自社の状況を考慮し、費用対効果が高いツールを見極めるのがポイントです。
     

    デジタルマーケティング戦略の企業事例【BtoB・BtoC】

    ここでは、デジタルマーケティング戦略を行った企業の事例を紹介します。ケーススタディを通じて、自社の戦略を向上させるための重要なヒントを得ることができるでしょう。
     

    BtoB事例.株式会社エルテス

    株式会社エルテス

    出典:エルテス公式サイト

    株式会社エルテスは、SNS炎上などのデジタルリスクを解決するためのサービスを提供しています。
     

    課題

    同社はこれまで、フィールドセールス主体の営業活動を通じて成長してきました。しかし、さらなる事業拡大を目指すには、デジタルリスクに関心が薄い潜在層へのアプローチやリードナーチャリングが必要だと考えていました。
     

    施策

    現状の課題を明らかにし、MAツールを最大限に活用するための基盤を整備しました。

    具体的には、Excelにエクスポートしたリード情報を活用し、受注につながりやすいリードを定義しています。その後、MAツールを使用してリードの動向を分析・可視化し、営業チームに対してヒアリング内容に基づいてセグメントを設定しました
     

    結果

    MAツールを中心にしたメルマガやホワイトペーパー、セミナーといった施策を展開した結果、獲得したリードの数が昨年比で138%増加しました。

    また、営業メンバーはMAを活用したホットリードの共有により、アポイントメントの獲得が効率的に行えるようになり、商談に集中できる状況が改善されました。
     

    BtoC事例.ライオン株式会社

    ライオン株式会社

    出典:LOHACO公式サイト

    ライオン株式会社とアスクルが共同で運営する「LOHACO」では、子どもの乳歯期のオーラルケアを支援するためのIoTハブラシと専用アプリを連動させたデジタルマーケティングが実施されました。
     

    課題

    子どもの歯磨きは、成長に合わせて正しい方法で行う必要があります。IoTハブラシを導入して歯磨き行動をデータ化し、歯ブラシを交換するタイミングや成長に合わせたアイテムを提案することで、子どもの歯磨きの練習をサポートすることを目指しました。
     

    施策

    ライオンとアスクルが共同で運営する「LOHACO」は、IoTを活用したオーラルケア商品「クリニカKid's はみがきのおけいこ」のテストマーケティングを開始しました。

    テストマーケティングでは、LOHACOのデジタルマーケティングサービス「LOHACO Insight Dive」を活用し、ライオンのデータとLOHACOの購買・行動データを連携しました。データを分析しながらPDCAサイクルを回し、子どもの成長に合わせて歯磨きの練習を進められるようサポートを行う流れです
     

    結果

    IoTハブラシによって、子どもの成長に合わせたオーラルケアの提案が可能になっただけでなく、子ども用オーラルケア商品を起点とした顧客ロイヤルティの形成や家族分のアイテムの拡張といった成果も期待できます。
     

    BtoC事例 読売新聞グループ

    読売新聞グループ

    出典:読売新聞公式サイト

    最後に、読売新聞グループのHubSpotを活用したデジタルマーケティングの事例をご紹介します。
     

    課題

    読売新聞グループは140年以上の歴史を誇り、読売新聞を中心とした幅広いメディアを提供する総合メディア集団です。顧客に関するデータも有していましたが、社内に情報が散らばっており、データを有効活用するまでには至らなかったといいます。
     

    施策

    同社は、「本業であるメディアの強化」「デジタルへの挑戦」「新しい収益源の確立」の3つの柱をもとにデジタルビジネス推進チームを設立し、全社的なデジタル化推進へと乗り出しました。

    具体的な施策として、従来のチラシやハガキを主体とした告知手段から、申し込みフォームへの移行を行いました。また、データを有効活用し、デジタルマーケティングを実現するためのツールとして、HubSpotが積極的に活用されています
     

    結果

    HubSpotの導入により、「読売ID」の会員数が前年比で2倍以上になりました。また、チラシからメールへの切り替えは効率化だけでなく、紙代、印刷代、輸送代の削減にも貢献し、大きな経済的な影響をもたらしました。

    参考:HubSpot導入事例 | 株式会社読売新聞東京本社様

     

    自社に適したデジタルマーケティング戦略を立てよう

    現代では、デジタル技術の発展や消費者ニーズの多様化により、デジタルマーケティングへの取り組みが企業の重要課題の一つとされています。

    ただし、デジタルマーケティングの最新トレンドを闇雲に取り入れても、成果を上げることは難しいでしょう。大切なのは、緻密な戦略に基づいてデジタルマーケティング手法を展開することです。

    今回事例で紹介した企業は、共通して最初に課題を明確にする→それを解決するために適切な手法やツールを導入する→その後の検証と改善を繰り返すという方法で成功しています。

    ツールを導入することで課題が解決するのではなく、課題に合わせてツールを選ぶことが成功につながることを意識しましょう

    HubSpotは、デジタルマーケティングの推進を強力にサポートするツールです。無料で使用できるプランもあるので、まずは機能や使い方を確認してみてください。

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