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市原さんは趣味の「池巡り」について、池1つにつき1ページを作成して「池単位」でまとめていく、データベースのような使い方でほぼ毎日更新されています。カテゴリを駆使し、池を名前や都道府県名でカテゴライズ。ブログの右サイドバーにあるカテゴリの量が、その規模のすごさを物語っています。
市原さんがはてなブログでそのような使い方を始めたのはどんな思いからだったのか、データベースとして使う際のポイントは何かについて、寄稿いただきました。
「ブログらしくない使い方」で開眼?!
こんにちは、市原です。中学生の時から池めぐりを始めて35年余。これまで訪れた全国津々浦々の池をはてなブログで記事化しています。掲載した池の数は9,000を越えました。池巡りという趣味についてWebメディアへ寄稿したこともあります。
はてなブログを使い始めたのは2012年。ちょうどブログというものが流行っていたので、どんなものなのかやってみようかな、くらいの動機でした。開設から1年ほどは、池の訪問紀行を書く時に更新する程度でした。
ある日、池の名を記事タイトルにし、一つの池ごとに写真、解説、地図を入れた記事とし、所在地の都道府県をカテゴリに設定してみたら……あらあら、とっても使いやすい池のデータベースになってしまうんじゃないかと、ひらめきました。当時のブログの使い方としては、ちょっと変わっていたんじゃないかなと思います。
10の池があれば10ページ。100の池に100のページ。あくまで池ごとの目録です。
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2019年に制定されたため池の新しい法律*1によって、今でこそ全国で一斉に池の徹底調査が行われ、データベースが整備・公開されましたが、当時は池の実態はおろか、名前や数さえもよく分からない状態。ならば池好きの自分が日本初の池データベースを作ろうと意気込んだこともあったのですが、個人でやるには管理コストやセキュリティの問題もあり、大量の写真やデータを扱うには使い勝手が悪くて、結局、うまくいきませんでした。
はてなブログを使えば、手軽かつスムーズに膨大な記事の作成・編集ができて、しかも世界中の誰もが安心して閲覧できる池データベースができてしまうんじゃないかと、当時ワクワクしたものです。
カテゴリ別の「記事数」が、強力なモチベーションに
データベース的にブログを使おうとする際に、ブログの基本機能である「カテゴリ設定」は極めて重要でした。
カテゴリとして都道府県を割り当てることで、池データの地域別検索がスムーズにできるだけでなく、県ごとのデータの登録数がひと目で分かります。
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今後の池訪問のプランを立てる上で「この県が弱いから、もっと強化しよう」など、いい目標にもなりました。
地域別のほかに、「全国ため池百選」「ダム湖百選」などのジャンル別カテゴリも設定しました。百選のうち、いくつまで記事化できたのかがぱっと見られるので、コンプリート率が分かり、おのずとモチベーションも上がります。
こうして、1日に何件もの池記事を書くようになりました。毎日、少しずつデータ化した池の数が増えていくのは充足感もありましたし、コレクションのような感じで愛着もひとしおでした。
最近、新たなカテゴリとして「ダム」を追加しました。これによって全国に3,000ほどあるとされるダム湖のうち、自分が実際に訪問したのが1,800程度でしかないことが分かり、まだ見ぬ1,200ものダム湖への熱い思いにつながりました。
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最初からカテゴリを設定しておけばよかったのですが、データ数が多くなってからカテゴリ追加したために、9,000近い池データをすべて洗い直すのに何日もかかりました。それでも、はてなブログには、カテゴリの変更や修正に便利な機能があって助かりました。
そういうわけで、ブログをデータベース的に使おうとする際には、最初にしっかりと、どういうカテゴリ分けをするのかプランを立てておくのが大切だと思っています。
6万枚を越える池写真を、いつでも引き出せる
池を訪れた際には必ず写真を撮ります。これまで撮りためてきた池写真は6万枚以上。そのすべてを「はてなフォトライフ」にアップしています。有料プラン「はてなブログPro」に入っていると、1ヶ月ごとに3GBの写真容量が追加されるので、これだけ膨大な量になってもストレージを気にしたことはありません。
また、ブログに格納した9,000の池記事と写真をひも付けすることで、「池写真のデータベース」としても重宝しています。というか重宝なんて言葉じゃ足りません。6万枚の池写真から目的の一枚を、シュパッと引っぱり出せるんですから。枚数が枚数だけに、写真アプリなどでの管理だったら、こうはいかなかったでしょう。データを持ち歩かなくても、端末と通信さえあれば、どこにいてもサクッと写真を引き出せるところもいいですね。
この記事に使っている写真も、出先から必要な一枚をダウンロードしました。ブログの記事本文には、検索したときに目的のものがすぐに出てくるように、自分で作った特殊な用語をしれっと忍び込ませておく工夫もしています。自分専用のハッシュタグのような感じでしょうか。
逆に、遠征先などで新たに撮影した池写真も、こまめにアップロードしておくと、池写真の紛失や機器故障のリスクにも対応できて心強く思っています。苦労して、やっとたどり着けるような離島の池などもありますので、写真データの紛失だけは恐怖。ブログでの記事化もあわせて行ってしまえば、煩雑な分類整理も現場で済んでしまいます。50代になって記憶力の低下との勝負になってきているだけに助かっています。
データベース的だからできる。もう埋もれさせない……過去記事に光と愛を。
ブログというと「時系列でずんずん新しい記事が作られ、古い記事は埋もれていく」といった側面があるかと思います。
しかし、私のデータベース的な使い方では、過去記事も1件1件の固有の池データとなるので、池を再訪した際などに、最新の写真や記事の加筆・修正をして、更新した日付にタイムスタンプを直してブログの冒頭に表示させたりもしています。自分では「サルベージ」と呼んでいます。ちょっと古びた池記事が新しくぴかぴかになってトップに躍り出るのを見るのは、何とも言えぬ喜びがあります。
おおよそ年に1回、計8回サルベージした池記事もあります。データベース的な使い方ゆえに、すべての記事にサルベージされるチャンスがあるのです。
コメント機能を使って、ブログを“池情報交換”の場に?
全国のひとつひとつの池に、それぞれのホームページを持たせてあげたい……そんなイメージを持って、9,000もの池ページを作ってきました。
私が池について書いたことや池の写真は、ひとつのきっかけにすぎないと思っています。その池の固有ページがあることで、その池に思い入れがある人の思い出話や、地元でいつも接している人から、生きた熱い情報が寄せられたり、その池のファン同士が情報や交流を深めたりする場ができたら。私はそんな「池ヌシ」たちの思いに引き寄せられ、またその池を訪れてしまう……これがデータベース化の根底にあった夢です。
さすがにこの夢の実現は、ブログでは難しい。そう思っていたのですが、ここ数年、コメント欄を通してその池の熱い思いや、情報を寄せてくれる方が増えてきました。
![f:id:hatenablog:20210623153832j:plain](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/h/hatenablog/20210623/20210623153832.jpg)
上記は、コメント欄で読者の方と情報をやりとりして考察している池の事例です。この方は私が質問したことを現地で調べてくれたり、古い資料を送ってくれたりして、やりとりを続けています。
コメントをいただけるのは、このブログをやっていて、一番うれしいことです。寄せてくれるコメントのおかげで池への理解が深まり、記事に血が通っていくような気がします。
* * *
あと2年ぐらいで全国の池データベースのミッションコンプリートも見えてきましたので、池データベースを駆使して、次は「里池百選」「山池百選」「島池百選」といった、さまざまなジャンルの池百選の選定を進めていきたいと思っています。「へんてこ名前の池」百選とか、「パワースポット池」百選、「怖すぎる伝説池」百選など、ちょっと変わった切り口も面白そうです。
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今後、これらをどのような形式で発表するかについては、まだおぼろげです。はてなブログProでは1つのアカウントで複数のブログを立ち上げることができる*2ので、池百選を進める上で相性がいいかもしれないと思っています。
著者:市原千尋(id:cippillo)
14歳より池や湖沼に惑溺。ライフワークとして全国の湖沼をめぐり、池文化の魅力を発信。著書に『日本全国 池さんぽ』(三才ブックス)。
ブログ:水辺遍路
Twitter:@cippillo
Webサイト:ニッポン池さんぽ
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