「オタク」と呼ぶようになったのは、たぶん1980年代の初めごろだったかと思います。
私は自分のことをオタクと自認したことは、生まれてこのかた一度もないのですが…
1982年~3年ごろ、当時新人アイドルであった三田寛子さんのファンになって、レコードを買ったりテレビ番組をビデオテープ(!)で録画したり…
イベントに参加したりしていたので、客観的に見たら、アイドルオタクと呼ばれる人の第1世代だったのかもしれません。
ちなみに私は、思春期に自慰行為が母に発覚し、そのときひどい折檻を受けてから女性が怖くなり…
その後、性指向まで同性に向くようになっていたのですが…
(あの時代ですから、もちろん隠して自分の中で完結していましたけれど)
このころ三田さんのファンになったのをきっかけに、性指向がストレートに戻ったという経緯があります。
(性指向が時間とともに変わるというのは、ままあることです)
セクマイが悪いとは毛ほども思わないですが、ストレートに戻ることがなかったら、妻と結婚はせず、結果として息子が生まれてくることもなかった。
なので三田さんはある意味で我が家の恩人なのかもしれません。
その後三田さんはタレントを引退して梨園に嫁ぎ…
夫が繰り返し起こす不倫の話題で、なぜか妻である彼女がマスコミの前で頭を下げる姿を見ると、今でも気の毒で胸が痛みます。
その後長い長い年月を経た後に、息子の影響で声優の小倉唯さんに興味を持ち、そのうちに思いもかけずハマってしまって。
年甲斐もなく、自分よりずーっと年下の声優オタクさんたちと、同じ行動をとるようになりました。
(年甲斐もないということも、実は全然悪いとか恥ずかしいとか思ってないのです)
それで知ったのは、声優のオタクさんと言っても、応援している相手によって、だいぶ気質や「文化」が違うものなんだなということ。
いや、初めのうちは誰のファンも同じようなものなのかもしれませんが、時間が経過するにつれて「推し」の個性の影響を受けるのか…
ファン気質や応援するやり方、ノリに差が出てくるものなんだ、ということを、フェスなどでほかの人のファンと接触すると感じるのです。
もちろん、ファンの年齢層や男女比もその人によって違うし、また時間の経過によっても変わります。
たとえば小倉唯さんの「界隈」なら、昔はほとんど男性で、若い子が多かったのですが…
唯さんが年齢を重ねるのとともに、たくさんの若い男の子が、いつの間にかいなくなり…
唯さん自身が、ヘアメイクやコスメに関する情報発信をバンバンやるようになってから、女性ファンの割合が急激に増えて来たと思います。
気がついたら周りはおじさんと、ファッションやお化粧に気を使った「素敵なお姉さん」だらけに。
それとともにファンの「民度」も、正直言ってものすごく向上したと感じています。いわゆる「ヤカラ系」の野蛮なオタクがほぼ絶滅しました。
小倉唯ファンはマナーが良くなったので、久しぶりに先日アニサマに行って「アニメオタク」や他の「声優オタク」と接触したら…
平均した民度がちょっと酷かったのに愕然としてしまったのです。
そして「声優界隈」と「アイドル界隈」にも、実際はかなり違いがあるのだということも知りました。
アイドル界隈、世に言う「ドルオタ」が集まるところは、私の目から見てですが、やっぱり治安が悪い気がします。
マナーのレベルが低いし、殺気立っているというか、なんか怖い。
あくまでも、私の主観ですよ。
そして月曜日、NHKテレビの音楽番組『JOINT POPS』の公録に参加したとき…
(基本的にはアイドルが出る公演でしたが、声優から小倉唯さんが、そして一般の男性シンガーが1人と、バンドが1組出ました)
私の席の左側には男性アイドルグループを推す女性のアイドルファンの集団がいて…
右側には女性アイドルグループを推す女性ファンの集団が座る、という形になりました。
(偶然女性ファンばかりに囲まれたのです)
我々中高年世代だと、女性アイドルのファンにそれほどたくさんの女性ファンがつくという現象が、あまり想像つかないかもしれないですが…
今は「女の子を推す女の子」がすごくいっぱいいるんですよ。
小倉唯さん自身も、K-popの女性グループ「IVE」のファンであるほか、この日に一緒に出た女性アイドルグループ「超ときめき宣伝部」を推してもいます。
この日の右側の子たちも…
「キャー!○○ちゃんかわいい!」という感じで。
で、まあ私としてはものすごいアウェイ感で、さすがに居心地は良くなかったんですが、左右の女の子たちを観察していたら…
明らかに双方の「人種が違う」ということに気付きました。
右側の女性アイドルグループのファンたちは、もちろん自分の推しグループが登場すると一番盛り上がるし…
それぞれ固定の推しメンバーがいるのも分かりました。
それでも推し以外のグループにも興味を持って「ねえかわいくない?」とか「すっごいかわいいね!」と感激して応援していました。
男性グループが登場しても普通に興味深そうに見ていました。
一方左側の女の子たちは…
推しグループ以外のパフォーマンスに対しては、ペンライト(サイリウム)を振ることはなく。
推しグループがステージ上にいるときだけ、熱狂的に「ぶち上がって」いました。
そして女性グループが出てくると「ちょっと出てくるわ」と言って、席を立ってしまったり。
推しのグループの出番がもうないと分かると「帰ろっか」と。そして本当にぞろぞろと席を立って、帰ってしまったのです。
隣のグループだけではなかったようで、男性グループがもう出ないらしいと分かった終盤は…
会場全体の、4割くらいの席が空いてしまいました。
彼女たちは、徹底してるなあ、と。
それが男性アイドルたちのファンの「文化」なんでしょうかね。
そういえば、男性アイドルの女性ファンの間でだけ存在する「同担拒否」(どうたんきょひ)という現象もあるそうで。
つまり、同じグループを応援してる他の女性ファンと、一緒に観覧に行くのまではいいけれど…
「同担」すなわち同じメンバーを応援する者が同席するのは拒否する、というもの。
お互いにライバル関係だから、ということ?
それは女性グループを応援する女性のオタクには、たぶん無い現象です。
男オタクにも「推し」に恋愛感情を抱いている「ガチ恋勢」という者はいますが、彼らが「同担拒否」するというのは聞いたことがない。
不思議なものですね。
むかーしの、たのきんトリオとか少年隊とか、その時代の女性ファンには、そういう気質はなかったはず…
と、うちの妻は言っていますけど。
どうなんでしょうか。
80年代と比べてアイドルとファンの距離感が近くなって、よりリアルに、恋人的な感覚を持つようになったから…
なんでしょうかね。
まあいいのですけれど、個人的にはライブにしろこういう番組収録にしろ、まだ公演途中なのに中座して、いなくなってしまうのは…
演者たちに失礼なのではないかと思いました。
まあ、そんな人ばかりではないのでしょうけれどね。