【WhereNext】インフラ整備をよりスマートに

【WhereNext】インフラ整備をよりスマートに

大量の廃棄物を出す建設業界の改革が求められる中で、建設業の責任者たちはステークホルダーの懸念に答えるため新たな形のオペレーショナル インテリジェンスを試しています。

海洋ゴミの集積地や繊維製品の埋立地の話題が広まるにつれ、サステナビリティについて関心を持つ経営者にとって、ゴミを削減することはビジネス上の必須事項になっています。最もゴミを排出する業界である建設業界の責任者たちは斬新なオペレーショナル インテリジェンスを通してより環境に優しいゴミの管理方法を確立しています。

アメリカ環境保護庁によるとアメリカ合衆国だけで、建設現場から出る廃棄物は年間6億トンを超え、その種類はコンクリートからガラス、木材まで多岐にわたります。捨てられるものを最小限にすることはサステナブルな重要な実践です。LEED 、BREEAM 、B Corp といった廃棄物管理の計画を必要とする認証を取得するのに必要な基準でもあります。

廃棄削減に取り組む建築、エンジニアリング、建設 (AEC) 企業はデータ収集の高速化、報告精度の向上、オペレーショナル インテリジェンスの提供を実現する技術から恩恵をうけることでしょう。
地理情報システム (GIS) はどこでどのような種類の廃棄物が出て、そして環境への影響を最小限にするためにはどこに捨てられるべきかを明らかにします。

モバイルアプリ、デジタルマップ、ドローン、ダッシュボードのように GIS 技術を組み合わせることで建設現場の責任者たちは廃棄に関するデータを地理的に分析し、持続可能な取り組みを改善することができます。

デジタル媒体が現場のオペレーショナル インテリジェンスを強化

建設現場の多くの材料は新しいものに生まれ変わる可能性を秘めています。木材チップは段ボールに、砂利とセメントは粉々にしてコンクリート骨材に、ガラス・プラスチック・金属は溶かして新たな製品に変身することができます。適切なオペレーショナル インテリジェンスを通じて建設会社はこのような二次利用の機会を見つけることができるのです。また余分な資材を削減して再生資材に変更していくこともできます。

建設現場の多くの材料は慎重に分別される必要がありますが、埋立地に材料を送るよりも材料を分別してリサイクルする方が費用対効果は高いので、その作業には効率的な見返りがあります。加えて、廃棄物を追跡して分別することで経営者たちはどの資材が必要以上に購入されているかを把握できます。これは建設現場のサプライチェーンが厳しい時期に、余った資材を再利用することや発注量を削減することにとっても重要なことです。

位置情報対応のデータ収集アプリは廃棄物関連のデータ収集や、管理プロトコルに従う複雑さを削減します。スマートフォンやタブレットを使い、現場の作業員が廃棄物の種類やサイズなどの詳細を記録することができます。また写真を追加することでその廃棄物が再利用・リサイクル可能な状態かどうかがわかります。それらの情報が統合されたマップを通して、廃棄物を移動し分別する作業員はどこに廃棄物があり、現場のどこに特定の資材が格納されるべきかを確認できます。

ドローンや AI、GIS を活用したフライト プランや画像解析を通して、さらなるオペレーショナル インテリジェンスを実現できます。建設現場や解体現場の上を飛ぶドローンは重要な現場の状況情報をとらえることが可能です。廃棄物はリモートから画像を用いて認識することができ、機械学習のアルゴリズムは特定の廃棄物を大量の画像からスキャンすることもできます。危険物や不安定な地形に人員を近づけることなく、廃棄物が引き揚げ可能かを特定できるため、ドローンは危険な現場での重要な資産です。

情報の可視化・共有により次のステップとポートフォリオ全体の改善が促進

現場での業務の効率化に加えデジタルデータ収集によって意思決定者の手元に正確な情報がより速く届くようになります。GIS プラットフォームによってアプリやドローンで取得した情報はリアルタイムに同期され、離れた場所からもマップ上で廃棄物の状況を把握でき、その後の取り扱いに関する意思決定に役立てられます。

スマートマップによるオペレーショナル インテリジェンスは作業現場にとどまらず、最も近い処理現場はどこか、近くの作業工場で余分な資材を再利用できるかといった課題にも答えることが可能です。同じダッシュボードを用いて責任者たちは現場での最新の各指標を確認でき、廃棄物の発生と処理パターンを見つけだし、そしてステークホルダーや認証委員会向けの報告書を作成することができます。

持続可能なインフラについての議題は、エネルギー効率の高い高層ビル、交通の便がよい住宅地、自然の景観を生かした商業施設など完成したプロジェクトによく注目が集まります。しかし、このような構造物を実際に建築する企業にとって、持続可能性は結果であると同時にプロセスでもあります。GIS と関連する地理空間の技術はプロジェクトのライフサイクルのどの段階においても、持続可能な実践を行うためのスマートなシステムを提供します。位置情報をベースにしたオペレーショナル インテリジェンスによって企業は環境に優しい資材を選ぶことができ、そして廃棄物を再利用・リサイクルする新しい方法を見つけ、建設により効率的に資源を利用することができます。

この記事は WhereNext のグローバル版に掲載されたものです。

原文: Getting Smarter about Building Infrastructure