この記事では状態空間モデルと制御系の応答についてまとめます。関連動画は以下のものです。また、状態方程式について説明した関連記事リンクは最下部に置いています。
執筆者情報:岡島 寛 (熊本大学工学部情報電気工学科准教授,Web, YouTube)約20年教員をやっています。モデル誤差抑制補償器,状態推定,量子化制御など制御工学の研究をしています。
状態空間モデルと次数
制御対象の動特性を表現する方法として状態方程式があります。説明は次の記事「状態方程式の概要」で行っております。次数が大きいとより複雑な動特性を表現することができます。ここでは、, , の3パターンの制御対象を説明します。次の図がのケースです。
はスカラであり、も1入力である場合にはスカラになります。教科書的な説明では係数として整数を用いることが多いですが、実際は小数点以下の値を持つような実数が係数として与えられることになります。他方、状態が何等かの物理量で出力も物理量の場合にはがとなることもあります。
次に、の場合を考えます。
状態数はであり、行列は2×2の行列となります。これらを当てはめると行列ベクトル形式の状態空間表現が求まりますが、個々の状態量に分解しておよびのそれぞれのダイナミクスを書き下すこともできます。
の場合は以下の通りです。
状態数はであり、行列のサイズは3×3となっています。
状態空間モデルの入出力数
次に、入力数がの場合を示します。
このとき、行列が3行2列の行列となっています。また、入力はスカラではなくベクトルとして2行1列の行列となります。
最後に、2入力2出力の多入出力系の状態空間モデルを示します。
行列が2行3列の行列になっていることがわかります。出力の要素をとするとそれらが縦に並ぶ2行1列の形式で出力信号が表現されます。
数値シミュレーション例
パラメータ値が異なる9種類の制御対象について、応答の比較を行います。まず、インパルス応答を比較します。全ての図において、対象1を基準として与え、それと対象2,3、対象4,5、対象6,7、対象8,9を比較してます。
次に、ステップ応答を示します。
ここでは、意識的に対象の極の変更、零点の変更を行っています。それぞれ、同じ入力信号を印加しても応答波形が全く違うことがわかります。対象のパラメータが適切に与えられていないと、対象の特性を表現できません。また、対象ごとに制御のしやすさやしにくさは変わってきます。
極は零点については以下の記事を参考にしてください。
関連記事
以下は状態方程式について説明している記事になります。
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