本記事では、初学者がLaTeXでレポートを執筆するための方法についてまとめます。熊本大学情報電気工学科・半導体デバイス工学課程の1年生(工学基礎実験)を想定して記事執筆しています。
TeXによる論文の執筆に関するメインページはこちらです。図表の作成などの詳細は以下のページから確認ください。
LaTeXの利用
簡単なTeXソースコード
ここでは、LaTeXの実行環境が揃っている場合を想定して説明します。クラウドサービスによる実行環境については、TeX論文のメインページに説明があります。
TeXのソースプログラムは「ファイル名.tex」という形で拡張子.texが必要になります。ファイル作成時には拡張子に注意してください。
テキスト形式であり、TeXソースプログラムを記載します。以下が簡単なTeXプログラムの例です。(なお、TeXではエンマークとバックスラッシュが同義であることに注意ください。)
\documentclass[a4j]{jarticle} % プリアンブル部 \begin{document} test %本文 \end{document}
「%」マークは以降の文章がコメントアウトされます。なお、上記のたった4行のTeXソースですが、コンパイルすると「test」と表示されたPDF(もしくはDVI)ファイルが出力されます。(情報電気工学科の計算環境ではplatexコマンドでdviに変換します。xdviコマンドで表示、dvipdfmxコマンドでpdfに変換します。)
次に以下のように文字ポイントを12ptに指定しましょう。また、sectionを使って、節を分けてみましょう。学術論文や卒論を執筆する際には、節をうまく設定する必要がでてきます。
\documentclass[12pt,a4j]{jarticle} % プリアンブル部
\begin{document}%本文
24X-T**** 情電 くまモン 太郎 \section{はじめに} aaa \section{アピールポイント} aaa \end{document}
このとき、出力において「24X-T****」と「情電」の間のスペースがどうなるかを確認してみてください。以下が出力結果(PDFの上部表示)になります。
一度試しに出力した後、{を消したり、\sectionの\を消したりしてどのような実行結果になるか試してみましょう。LaTeXのエラーメッセージは多岐に渡りますので、以下が参考になります。
空白と改行
空白や改行の設定は様々なコマンドがあります。文章のみのレポートの場合は多くは空行のみで済みますが、ケースにより使い分けることがあります。
\documentclass[12pt,a4j]{jarticle} % プリアンブル部 \begin{document}%本文 24X-T**** 情電 くまモン 太郎 \section{空白と改行} aaa\,bbb\ ccc r %下に空行:段落(インデントする)
ddd\par %段落(インデントする)
eee\\ %改行
fff\newline %改行
ggg
\noindent %インデントなし
hhh \end{document}
このとき、出力において空白や改行がそれぞれどのように表示されるかを確認してみてください。
簡単な数式
次に簡単な数式を書きます。数式の詳細は
をご覧ください。ラベルの付け方や、各種ギリシャ文字の書き方、行列の書き方などを記載しています。プリアンブル部にpackageファイルを用いて次のように記述します。
\documentclass[12pt,a4j]{jarticle} % プリアンブル部
\usepackage{amsmath} \begin{document}%本文 \begin{eqnarray}
e^{\pi i} = -1
\end{eqnarray} \end{document}
出力結果は次のようになります。
レポート作成では、数式の他にも図や表を用いるケースがありますが、これらについてはTeXまとめページをご覧ください。
レポートの書き方例
最後に、レポートの書き方例を示して終わりたいと思います。最低限必要な項目は
- タイトル
- 氏名・(所属や学生番号など)
- 本文
- 参考文献
です。以下は、レポート作成のサンプルファイルです。
\documentclass[a4j]{jarticle} % プリアンブル部 \usepackage{amsmath} \title{タイトル} \date{} %日付を記載(ない場合は{}のままにする) \author{所属,著者} \begin{document}%本文 \maketitle \section{はじめに} %短いレポートでは必ずしも必要ではない 本文を開始。以後説明を続けていきます。 \begin{eqnarray} e^{\pi i} = -1 \end{eqnarray} 本文を終了。文献\cite{num01}を引用。 \begin{thebibliography}{99} \bibitem{num01} 著者,タイトル,刊行物,巻号,ページ,年 \bibitem{num02} 著者,タイトル,刊行物,巻号,ページ,年 \end{thebibliography} \end{document}
あくまでサンプルとして参考にして頂き、適宜アレンジ下さい。課題提出物によっては、プリアンブル部が指定されている場合があります。その場合は、クラスファイルなどを用いて環境を設定します。
出力は次のようになります。文献の引用には\citeを用います。
以上で本記事を終わります。