satinsoul
Never Gonna Leave You / Maryann Farra & Satin Soul
 Brunswick '76 

70年代後半にブランズウィックを中心にディスコ系の作品を多く手がけたプロデューサー、トニー・ヴェイラー。女性シンガーのマリアン・ファラをフロントに立てたグループ、サテン・ソウルの唯一のアルバムとなる本作『Never Gonna Leave You』も、ヴェイラーのプロデュース。

本作はシカゴのブランズウィック・レコーディング・スタジオの他、フィラデルフィアのシグマ・サウンド・スタジオやニューヨークのメディアサウンドなどで録音されている。演奏を担うサテン・ソウルの実態はトニー・ヴェイラー・サウンド・オーケストラのメンバーで、ミックスはトム・モウルトンが手がけている。
結果的に、シカゴとフィリーをイイとこ取りしたようなディスコ・ソウルの好盤に仕上がっているが、個人的にはキーマンはヴェイラーでもモウルトンでもなく、2曲の作曲と4曲でアレンジを手がけるユージン・レコード。

アルバムのオープニングとなるタイトル曲「Never Gonna Leave You」は、軽快なギター・カッティングが走るディスコ・ナンバー。アンニュイなマリアン・ファラのヴォーカルや、"チュッチュッチュラララ~"と歌うコーラスも享楽的かつ退廃的なムードを醸す。
ストリングスが回るグルーヴィーな「Forget That Girl」やダンサブルな「Just A LIttle Timing」「Do Those Little Things」など、ここまでは煌めきのディスコ・サウンドを連発。

B面2曲目からの3曲はシャイ・ライツのカバーで、アレンジャーはユージン・レコード。「You Got To Be The One」「Stoned Out Of My Mind」はいずれもレコード作(前者はマーシャル・アリントン、後者はバーバラ・アックリンとの共作)で、シャイ・ライツのカバー。ディスコ色は強いものの、シカゴ・ソウルの旨味もしっかりと感じさせる仕上がりで、特に「You Got To Be The One」は気持ちよく揺れるミディアム・ナンバー。
ラストの「Living In The Footsteps Of Another Girl」は本作中最もシカゴ・ソウル色が濃くディスコっぽさが薄いミディアム・ソウルで、コレは気持ち良過ぎる極上のシカゴ・ソウル・ステッパー。