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Ernie K. Doe
Janus '71
1950年代半ばから活動したニューオリンズのR&Bシンガー、アーニー・K・ドー。
61年に「Mother-In-Law」の大ヒットを飛ばし、以降も60年代を通じてコンスタントにシングルをリリースしているが、シングル中心の時代ゆえアルバムはシングル・ヒットを受けて同年に制作された『Mother-In-Law』1枚のみ。70年代に入ってようやくリリースされた10年ぶりの2ndアルバムが本作『Ernie K. Doe』。
本作は全10曲中8曲が、「Mother-In-Law」の作者でもあるアラン・トゥーサンが作曲。アレンジは全曲トゥーサンで、プロデュースはトゥーサンとマーシャル・シホーン。ということは、(クレジットは無いが)バックはミーターズに違いない。
この時期のトゥーサン&ミーターズがバックアップした作品としては他に、リー・ドーシー『Yes We Can』があるが、それに比べると本作はまだ60年代のR&Bの残り香を感じさせるような曲が多い(リリースは本作の方が後ではあるが)。もちろんそういった曲でのアーニーの熱くソウルフルなヴォーカルは素晴らしいが、新時代のファンクに接近した数曲でも抜群のノリを見せる。
アルバムのオープニング「Here Come The Girls」は冒頭から強力なマーチング・ドラム・ビートに乗って、アーニーの冴えまくる歌唱と勇壮なブラス・バンドとともに威風堂々と行進するニューオリンズ・ファンク・クラシック。「Back Street Lover」はグルーヴィーでファンキーなナンバーでコレもカッコいい。
アーニーの歌いっぷりも素晴らしいアップ「A Place Where We Can Be Free」、ニューオリンズらしい泥臭さのあるスロー・テンポのR&Bナンバー「Who Ever's Thrilling You (Is Killing Me)」、「I'm Only Human」は60年代スタックスを思わせるサザン・ソウル・ストンパー。
R&Bバラードの「Kiss Tomorrow Goodbye」は、62年にダニー・ホワイトという歌手がリリースしたシングル曲のカバー。「Fly Away With Me」はズッシリとした重みのあるニューオリンズ・ソウル。
カントリーっぽくもある「A Long Way Back Home」、「Lawdy Mama」はブルージーなギターのリフも効いたファンキー・チューン。ラストの「Talkin' 'Bout This Woman」は熱く歌い込むソウル・バラード。
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