見積書の保管期間は何年?適切な保管方法もあわせて紹介 | 請求書ソフト「マネーフォワード クラウド請求書」
  • 更新日 : 2024年10月17日

見積書の保管期間は何年?適切な保管方法もあわせて紹介

見積書は法律で一定期間の保存義務が定められており、保管期間は法人と個人事業主で異なります。また、電子データとして保管する場合は、電子帳簿保存法が定める要件を満たさなければなりません。
今回は見積書をどこまで保管すればよいのか、書類を電子化してデータを保管する際の要件、適切な管理方法・保管方法などを解説します。

見積書は一定期間の保管が必要

見積書は請求書納品書などと同様に証憑書類とされており、法人税法などの各税法や会社法によって、一定期間の保存義務が定められています。

見積書のような証憑書類は、会計処理の真実性・正確性を裏付ける重要なものです。監査や第三者とのトラブルを防げるよう、一定期間保存することが求められます。

保管対象となるのは、自社が発行側の見積書の控えや、取引先に発行してもらった見積書です。契約に至らなかった見積書については、法律上保管は義務付けられていません。しかし、社内資料として残しておき、ほかの案件の参考にするケースも多くみられます。

見積書を電子データで保存する際は、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法を理解することが大切です。
改正電子帳簿保存法では、見積書を紙で受け取った場合、紙のまま保存する方法以外に、スキャンして電子データとして保存する方法が認められています。また、電子データとして受け取った見積書については、電子データとして保存することが定められています。

電子帳簿保存制度については、下記記事でも解説しています。

法人と個人事業主で異なる保管期間

見積書の原本や控え、あるいは電子帳簿保存法の要件を満たしたデータについては、法律で保管期間が定められています。保管期間は、法人は原則7年、個人事業主は原則5年です。ただし例外もあるため、それぞれのケースについて詳しく理解しましょう。

ここでは、法人と個人事業主それぞれにおける見積書の保管期間について解説します。

法人は原則7年

法人の場合は、7年間の保存が原則です。見積書の発行から7年ではなく、法人税の申告期限の翌日から7年間である点に注意しましょう。たとえば、3月31日が決算日である場合、法人税の申告期限は5月31日であり、保管期間は翌日の6月1日から7年間です。決算日の2ヶ月後が閉庁日である場合、次の開庁日が申告期限となり、保管期間はその翌日から7年間となります。

ただし、欠損金の生じた事業年度については例外です。税制改正により、欠損金の繰越期間は10年になりました。2018年4月1日以降に開始する欠損金の生じた事業年度については、見積書も10年間保管する必要があります。

参考:国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間

個人事業主は原則5年

個人事業主については、原則5年が保管期間です。青色申告であっても白色申告であっても、保管期間に違いはありません。

例外として、消費税の課税事業者である個人事業主について、保管期間は7年と定められています。つまり、前々年度の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主については、7年間の保管が義務付けられています。

見積書の適切な保管方法

前述のとおり、見積書の発行側は控えを、受け取った側は原本やデータをそれぞれ長期間保管する必要があります。不適切な方法で管理すると、途中で紛失してしまうリスクも否定できません。法律に従って正しく保管できるよう、適切な管理方法・保管方法を理解しましょう。

ここでは、見積書を紙で保管する場合と電子的に保管する場合について、適切な保管方法を紹介します。

紙で保管する場合

紙で保管する場合は、案件・取引先・取引年月日順ごとにファイリングして、保管庫で保管・管理しましょう。

以下の手順で整理・保管するのがおすすめです。

  1. 取引について1つのファイルを用意し、見積書や納品書などを順次入れていく
  2. 支払いが終わったら、書類ごとにファイリングして保管する
  3. ファイルが溜まったら、ファイルから取り出して紐で綴じ、段ボールに入れて保管庫で保管する

取引先ごとにまとめるか、取引年月日ごとにまとめるかは自由です。前者は取引先が多い場合に適しており、各取引先との取引を把握しやすいのが特徴です。後者は取引先が少ない場合に適しており、月間の業務・経理の動きが把握しやすいというメリットがあります。

2022年1月の電子帳簿保存法改正により、電子的に受け取った見積書をプリントアウトして紙で保存することは認められなくなりました。

電子的に保管する場合

電子的に保管する場合は、電子帳簿保存法における真実性確保と可視性確保の要件を満たす必要があります。

  • データの真実性を担保する措置(データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム、あるいは訂正削除ができないシステムを利用する、または訂正削除の防止に関する事務処理規程を備え付ける)
  • システム概要に関する書類(マニュアル)の備え付け
  • 見読可能装置(ディスプレイやプリンタなど)の備え付け
  • 検索機能の確保

電子メールで見積書のPDFを受け取った場合、メールを保存するだけでは不十分です。添付された見積書のデータを、ハードディスク・コンパクトディスク・DVD・磁気テープ・クラウドストレージサービスなどに記録・保存する必要があります。

紙で受け取った見積書をスキャンして電子化する際は、「スキャナ保存要件」を満たすことが必須です。国税関係帳簿書類のスキャナ保存の区分によると、見積書は資金や物の流れに直結・連動しない一般書類に該当します。一般書類のスキャナ保存要件は、以下のとおりです。

要件一般書類
入力期間の制限
200dpi以上の解像度での読み取り
赤・緑・青各256階調での読み取りグレースケール可
タイムスタンプ付与△(代用可)
解像度・階調情報の保存
大きさ情報の保存
バージョン管理
入力者等情報の確認
スキャン書類と帳簿の相互関連の保持
見読可能装置の備付け
(ディスプレイなど)
グレースケール可
整然・明瞭出力
検索機能の確保
電子計算機処理システム開発関連書類の備付け
事務手続きを明らかにした書類の備付け
適用届出書の提出

参考:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】
参考:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】

見積書を保管する際のポイント

見積書を保管する際は、以下のポイントに注意が必要です。

  • 他社から受け取った紙の見積書は原本を保管する
  • 自社で発行した見積書の控えは、コピーして紙で保管するか、スキャンして電子データで保管する
  • 見積書の番号は体系化する

他社に発行してもらった見積書を紙で保管する場合は、原本を保存しなければなりません。

ただし、電子帳簿保存法の要件に対応していれば、スキャンして電子化したデータを保存できるため、原本でなくても問題ありません。

自社が発行側の見積書の控えについては、紙で保管するか、電子データで保管できます。

また見積書を効率的に保管し、スムーズに参照できるよう、見積書の番号は体系化しましょう。たとえば同じ案件の見積書については、親番号はそのままで、枝番のみを増やすのがおすすめです。

管理方法や保管方法を効率化したい場合は、見積書を電子化してメールで送ったり、受け取った見積書を電子データ化して保存したりしましょう。紙の場合、経年劣化のリスクや保管スペースが不足する可能性はあります。書類のファイリングにかかる手間や、過去の見積書を参照する際の手間がかかってしまうのも難点です。

電子データで保存する際は、前述のとおり電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。一見難しく思えますが、2022年1月に法律が改正され、保存要件が緩和されたため、対応ハードルは下がりつつあります。これを機に、電子データでの保存を検討してみてはいかがでしょうか。

見積書は適切な方法で一定期間保管しよう

今回は、見積書の保管期間と保存方法について解説しました。見積書は証憑書類であり、法人であれば原則7年間、個人事業主であれば原則5年間保管する必要があります。見積書を長期間効率的に保管するためには、電子化して保存するのがおすすめです。

見積書を電子データで保存する際は、電子帳簿保存法の要件を満たさなければなりません。今回の記事や国税庁の特設サイトなどを参考に、適切な保管方法を理解しましょう。

よくある質問

見積書の保管期間は法律で定められていますか?

法人税法で、法人の場合は確定申告書提出期限の翌日から原則7年間、個人事業主の場合は原則5年間の保存が義務付けられています。詳しくはこちらをご覧ください。

見積書はどのように保管すれば良いですか?

紙の原本を保管する方法、スキャンして保管する方法、電子データをそのまま保管する方法があり、電子データで保管する場合は電子帳簿保存法における真実性確保と可視性確保の要件を満たす必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。


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