みうらじゅんの記事:週刊文春デジタル : 週刊文春デジタル (週刊文春デジタル) - ニコニコチャンネル:社会・言論
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記事 49件
  • 人生エロエロ 第621回 みうらじゅん「マロンチックな気持ち」

    2025-03-13 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     アルピニストの野口健さんと昔、トークショーをしたことがある。
     その、どー考えても接点のない2人は当然、初対面だった。
     前もって打ち合わせをした記憶はないので当日、会場の控室で軽く挨拶を交し、そのまま登壇したんだと思う。
     客席より拍手と共に笑いが起ったのも、アルピニストと僕の組合せが余りにもおかしかったせいだろう。
     ま、それは予想してたことだし、だからこそ、この仕事を引き受けた。
     イベントを企画した人もそれは分かった上でのこと。
     一応、司会者を用意してくれていたが、トークが始まると、心配は吹っ飛んだ。 
  • 人生エロエロ 第620回 みうらじゅん「緊急登板!」

    2025-03-06 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     “バーター”って言葉。
     調べてみると「barter【動】物々交換する、(特に利益に目がくらんで)売る、安く手放す」と、書いてあるが、どうやら日本の芸能界では「A氏を出す条件として、まだ売れていないB氏もテレビに出す」そんなプロダクションの抱き合わせ商法のことをいうらしい。
     それとはかなり意味合いは違うけど、僕にもひとつ思い出がある。 
  • 人生エロエロ 第619回 みうらじゅん「男だったぁーらぁー♪」

    2025-02-27 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     洗濯物を畳むのは居間、テレビの前で行うことに決めている。
     テレビに夢中になっているようでは、作業がスムーズに行えないので、テキトーな番組がいい。
     要するにテレビはついていればいいのである。
     “オールドメディア”などと呼ばれるようになって久しいが、こっちもすっかりオールドピープル。
     難点といえば耳が遠くなったことだ。テキトーな番組でも、やはり何を喋っているかは聞きたい。 
  • 人生エロエロ 第618回 みうらじゅん「ボク・ディラン」

    2025-02-20 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     先日、居ても立ってもおられず、2月28日公開の映画『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』の試写会に行った。
     このタイトルは、ボブ・ディランの『ライク・ア・ローリング・ストーン』、その一節を取ったものだ。
     主演はティモシー・シャラメ。フォークからロックへ転身した時代の若きディランを演じていて、素晴らしくカッコ良かった。
     この伝説的ストーリーは、ファンからすれば、“桃太郎”や“かぐや姫”レベルの有名なお話だけど、脚本も素晴らしく、まるで梶原一騎原作のスポ根漫画を見ているようだった。 
  • 人生エロエロ 第617回 みうらじゅん「クッチョンさん」

    2025-02-13 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     最近、よく耳にする“紐付け”って言葉。
     マイナンバーカードに紐付けする健康保険証や、運転免許とか、そんなの。
     でも、アウト老(ロー)の頭には当然、あの紐付けが浮んでくる。
     それは、昭和生れには馴染み深い、天井から吊られた和風の傘が付いた照明器具。その中央から垂れ下がった紐のことである。 
  • 人生エロエロ 第616回 みうらじゅん「ムード音楽との出会い」

    2025-02-06 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     T・REXのアルバム『電気の武者』(原題“Electric Warrior”)が発売されたのは1971年。僕が中学生の時だった。ヒット曲『ゲット・イット・オン』や『ジープスター』が収録されてるLPレコードだ。
     当然、欲しかったが、その2曲はよく深夜ラジオでかかっていたので、ラジカセに録音し、我慢することにした。
     当時、LPレコードは2000円。僕が親から貰ってた月々のお小遣いと同額だった。中古盤屋やレンタルレコード屋はまだない時代。勢いで買って何度か失敗したことがあったから、おのず慎重にもなる。
     それは僕に限ったことではなかった。 
  • 人生エロエロ 第615回 みうらじゅん「お爺さんの特権」

    2025-01-30 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
    『老いるショック・セミナー(5)“4G”』
     おはようございます。早速ですが、みなさんはパートナーからこんな指摘を受けたことはありませんか?
    “ねぇ! 私の話、ちゃんと聞いてる?”
     または、
    “それ、前にも言ったじゃない。もう忘れてんの!?”
    「先生!」
     じゃ、そこのベレー帽をおかぶりになってる方。 
  • 人生エロエロ 第614回 みうらじゅん「初◯ッ◯◯の思い出」

    2025-01-23 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     ま、それはさておき“三十三年後の約束”が迫っているのである。
     下の写真は右が、いとうせいこう氏(当時31才)で左が、僕(当時34才)。共著である『見仏記(けんぶつき)』、その本のラストで二人はおかしな待ち合わせをしていた。
    “三十三年後の三月三日、午後三時三十三分に三十三間堂の前で会いましょう”
     この気の遠くなるような約束は半ば冗談であった。 
  • 人生エロエロ 第613回 みうらじゅん「へべれけめぇ」

    2025-01-16 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
     コロナ禍に柳家喬太郎さんの落語を聴き、すっかりハマッてしまった。
     理由は明快、面白いからである。
     それまで上方落語専門だった僕は、喬太郎さんをきっかけに、いわゆる江戸の落語も今ではよく聴く。
     上京してから半世紀近くになる。もはや、そっちの方が馴染み深いのかも知れない。
     いや、そうかな?
     やっぱ、江戸っ子のべらんめぇ口調で捲し立てられるとちと、怖い。
     先日、こんな現場に遭遇したのだった。 
  • 人生エロエロ 第612回 みうらじゅん「孤独とチャンスは背中合わせ」

    2025-01-08 05:00  
     人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。
    “孤独をいつの間にか 淋しがり屋とかんちがいして”
     これは吉田拓郎さんの『イメージの詩(うた)』のワンフレーズ。
     上京して間もない頃、淋しくなるとよく口ずさんでた。
     友達も出来なくて唯一の話し相手は定食屋のおじさん。年齢までは聞かなかったけど、30代半ばだったように思う。
     カウンターしかない狭い店で、たまにおじさんが暖簾を引っ込めた後も居残っていたことがある。
    「オレにはよく分かんないけど、美術の世界ってのも大変そうだね」
     もちろん僕が美大を目指していることは知っている。
     ある日、おじさんは店の常連で絵本の出版社に勤めているという人を紹介してくれたんだ。