こんにちは。気付いたら1ヶ月ぶりの更新です。いやー。こんなに期間が空く予定はなかったんですけどね。10月は出張や結構移動を伴うお仕事が多く、いつもはレビューを仕上げている「仕事の合間の時間」が全然確保できませんでした。まったく北関東の移動時間ナメてましたね(汗)。いよいよ仕事同様でレビュー書きのスケジュールを確保しないといけないなぁ、と思っていたところ多少耳の不調などもあり、さらに1~2週間ほど停滞してしまいました。そんなこんなありましたが、11月はどうにか復活できそうです。
閑話休題、というわけで今回は 「KEFINE Klean」です。手頃な価格設定で派手さは無いものの非常に手堅いイヤホンをリリースしている「KEFINE」ブランドのアンダー50ドル級の低価格モデルです。今回もニュートラル系の使いやすいサウンドに仕上げられています。
■ 製品概要と購入方法について
今回の「KEFINE Klean」は新進の中華イヤホンブランド「KEFINE」が10月25日にリリースしたアンダー50ドル級の低価格モデルです。10mmのDLC振動板ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、同社のイメージを踏襲したシンプルなメタルシェルデザインを採用。フィルター交換にも対応し、非常にバランスの良い手堅いサウンドを実現しています。
本体は合金鋳造による金属シェルを採用し、接着部の破損や外力による損傷を防ぐネジ設計で剛性を強化してます。鋳造後の研磨により、滑らかで洗練されたシンプルなデザインで仕上げられています。
本体は合金鋳造による金属シェルを採用し、接着部の破損や外力による損傷を防ぐネジ設計で剛性を強化してます。鋳造後の研磨により、滑らかで洗練されたシンプルなデザインで仕上げられています。
「KEFINE Klean」は、DLC(Diamond-Like Carbon)振動板を搭載した 10mmダイナミックドライバーを採用しています。優れた明瞭性とディテールを持ち、高周波数を拡張し、透明でクリーンなサウンド特性を提供。パワフルな低域、温かみのある中音域、滑らかな高域を持つ自然なリスニングサウンドにチューニングされています。
なた「KEFINE Klean」は、「シルバー」または「ブラック」のチューニングノズルフィルターを交換することで2種類のサウンド プロファイルを選択できます。
「KEFINE Klean」の価格は49ドル、アマゾンでは7,683円です。
Amazon.co.jp(HiFiGo): KEFINE Klean
HiFiGo(hifigo.com): KEFINE Klean
AliExpress(KEFINE Store): KEFINE Klean
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして KEFINE より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「KEFINE Klean」のパッケージはシンプルな白い化粧カバーに覆われたボックスデザイン。50ドル以下のモデルと言うことで従来製品よりコンパクトなパッケージですが、質実剛健な印象がありますね。
パッケージ内容はイヤホン本体、ケーブル、交換用フィルター、イヤーピース(S/M/Lサイズ)、ケース、説明書、保証書。低価格モデルですがケース等も付属するのは有り難いですね。
「KEFINE Klean」の本体はダイキャスト(鋳造された合金)製の金属シェルで、サイズはコンパクトにまとめられています。ステムノズルは金メッキ処理によりアクセントになっていますね。コネクタは0.78mm 2pinタイプです。
「KEFINE」の従来モデル同様に全体的にシンプルなデザインですがエッジの取り方など形状的にも工夫されており、フェイスプレートはシルクスクリーンにより格子状のデザインがプリントされるなどノウハウを持ったメーカーが手堅く作っている感じがうかがえます。
テムノズルは結構太く、イヤーピースを交換する場合は軸が細く硬いものは使えない可能性がありますが、耳へのフィット感は良く、装着性は良好です。ケーブルは銀メッキ銅線の撚り線タイプ。取り回しは良く使いやすい印象のケーブルです。
また「KEFINE Klean」のフィルターは交換式で、メッシュパーツのカラーが異なる2種類のタイプが付属します。標準の「シルバー」はニュートラルに近いU字方向のバランスで、「ブラック」はよりV字方向にメリハリが強化した印象になるようです。
■ サウンドインプレッション
「KEFINE Klean」の音質傾向は2種類のフィルターによって傾向は異なるものの、標準の「シルバー」フィルターではU字寄りの弱ドンシャリ。全体としてはニュートラル傾向で同社の「Delci」とも通じる多少暖色寄りのサウンドですが、「Delci」よりU字方向の印象があり「KEFINE Klean」のほうが中低域方向に聞きやすくまとめられています。アンダー50ドル級のイヤホンとしては高い質感を持っていると思います。
これに対し「ブラック」フィルターはよりV字方向に変化し、高域も多少エネルギッシュな印象があります。煌めきなどがより強調されますが、曲によっては中低域を抑制している印象もあります。寒色系ドンシャリ傾向のサウンドが好みの方は「ブラック」フィルターのほうが好感する可能性もありますが、「KEFINE Klean」の多少暖色寄りの傾向を活かしたサウンドという意味では標準の「シルバー」フィルターのほうが合っているように感じます。そのためフィルターは好みに応じて交換してみるのもよいと思いますが、リケーブルによる変化も結構大きいため、個人的には寒色方向に明瞭感や解像感を向上させたい場合は情報量の多い銀メッキ線やミックス線へのリケーブルも良い選択肢ではないかと感じました。
「KEFINE Klean」の高域は刺激を抑え聴きやすくまとめられています。標準の「シルバー」フィルターでは「Delci」に近くやや暗めの印象ながら、明瞭さは維持しており適度な煌めきがあります。長時間のリスニングでも心地よく楽しめるでしょう。「ブラック」フィルターのほうがより高域の主張が増し前面に出る印象ですが、標準ケーブルではやはり聴きやすい範囲でまとめられています。高域についてはリケーブルなどでも変化がありますが、ケーブルや再生環境によってどちらのフィルターが合うか変化する場合があるため色々と試してみるほうが良いでしょう。
中音域は凹むことなく鳴り滑らかなサウンドで、若干ウォームな印象ながら適度な明瞭感と分離の良さがあります。ボーカル域は多少前傾し存在感があります。多くのU字傾向のイヤホン同様に中高域は多少アクセントがあり女性ボーカルは鮮やかさがありますが、過度な派手さは無く、「シルバー」フィルターでは多少落ち着いて、「ブラック」フィルターでも歯擦音を抑え聴きやすくまとめられています。中低域はより豊かさがあり、自然な印象を維持しつつ厚みのある音を鳴らします。個人的には男性ボーカルやギターなどの厚みが非常に心地よく好印象でした。
「KEFINE」のイヤホンのなかで「KEFINE Klean」は低価格モデルのターゲットを想定してか、よりボーカル曲を意識したミッドセントリックなチューニングだと感じますが、高域より中低域に優れた特徴のあるサウンドだと感じます。分離は良いものの、音場は自然またはやや狭い印象で、ボーカル域が前傾しているため広さや奥行きでは「Delci」のほうが広く感じます。V字傾向の臨場感のあるサウンドを楽しみたい場合は「Delci」、ボーカル域を中心に分離の良いサウンドを楽しみたい場合は「KEFINE Klean」という選び方も出来そうですね。
低域は重低音を中心にタイトで締まりのある印象で鳴ります。量感的には「シルバー」「ブラック」のどちらのフィルターもほぼ同様だと思いますが、相対的に「シルバー」フィルターのほうが低域が厚く感じます。
「シルバー」フィルターではより○○ターゲット的なニュートラル方向のリスニングバランスになり、「ブラック」フィルターではよりブライトで明瞭感が増します。
ミッドベースは直線的で締まりの良さがあり分離も良好で、低域のキレ感では「Delci」より「KEFINE Klean」のほうがハッキリした印象もあります。
重低音は量的にはニュートラルなバランスでブースト感はありませんがタイトで解像感があり、適度な重さと深さを感じる印象です。明瞭なニュートラルサウンドを好まれる方には良い低域だと思います。
■ まとめ
というわけで、「KEFINE Klean」はアンダー50ドル級、1万円以下のお手頃価格ながらDLC振動板を採用し、若干暖色寄りで中低域に魅力のあるニュートラルサウンドにまとめられたイヤホンでした。明瞭感とメリハリのある寒色系の低価格ハイブリッドも楽しいですが、このように様々な音源をしっとり楽しめるイヤホンもなかなか魅力的な存在です。
DLC振動板らしい適度な柔らかさと暖かみを持ちつつ、明瞭さと分離の良さも両立しており、長時間のリスニングでも聴き疲れ無く質の高いサウンドを楽しむことが出来ると思います。非常に滑らかで上品な印象でまとめられたイヤホンとして、メリハリ強めのサウンドがあまり得意で無い方や、ゆっくりとリスニングを楽しみたい方には最適な製品のひとつだと思います。