こんにちは。今回は 「SUPERTFZ AQUARIUS」で朝食を・・・違いますね。「SUPERTFZ」の最新モデルです。日本では6月21日から発売を開始した「SUPERTFZ」ブランドの最新モデルですね。11.4mmの多層ナノスケール振動板とテスラ級の磁束強度の二重磁気回路デュアルキャビティドライバーを搭載した、1万円クラス、普及価格帯に投入された新たな意欲作です(ちなみに冒頭のボケの意味は中程を参照で^^;)。
■ 製品概要と購入方法について
というわけで「SUPERTFZ」ブランドですが、もともとの「TFZ」は日本でも多くのファンを持つ老舗の中華イヤホンブランドのひとつとして知られていましたね。デュアルチャンバー、二重磁気回路を採用したシングルダイナミックドライバー搭載イヤホンを最も初期から採用しており2016年のブランド誕生以降様々な進化を続け多くのファンを獲得し有名メーカーとなりました。同社は製品の品質とは全く別のところ(主にデザインやマーケティング的な部分)での「やらかし」も多く私もしばしネタにしていましたが、製品自体は結構安定して手堅いイメージがあります。
→ 過去記事(一覧): TFZ製品のレビュー、まとめ、変遷(チャート図)など
いろいろ紆余曲折のある「SUPERTFZ」ブランドですが、最近では中国以外でのマーケティングは商品や販売するセラーを絞っている方針のようで、特に新しいモデルは中国国内の次かほぼ同時期くらいで日本市場で販売開始になっているようです。今回の「SUPERTFZ AQUARIUS」も、中国国内とほぼタイミングを開けずに(他の国の市場より早く)日本市場に投入となるようですね(後述しますが一部の国で展開できなそうな理由もないわけではないです)。
「SUPERTFZ AQUARIUS」のドライバーはTFZの伝統的な二重磁気回路デュアルキャビティ構造を踏襲。ドライバーのいわゆる「世代表記」は「SUPERTFZ」ブランドを開始する前後から行わなくなっていますが、ある意味ドライバーとして成熟した、という捉え方もできるでしょう。振動板には多層ナノスケール振動板を採用し、テスラ級の磁束密度を持つマグネットを採用しています。
フェイスプレートは鏡面加工を施したアルミニウム合金製でトリコロールカラーのストーンにより水瓶座(Aquarius)の星図のデザインが施されています。また付属ケーブルは銀メッキ線タイプで透明度の高いPVC樹脂被膜に覆われておりデザイン的な親和性も向上しています。
「SUPERTFZ AQUARIUS」の国内販売価格は11,800円です。
購入は国内代理店の伊藤屋国際の各公式ショップまたは主要専門店等にて。
Amazon.co.jp(伊藤屋国際): SUPERTFZ AQUARIUS
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして 伊藤屋国際 様 より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
というわけで「SUPERTFZ AQUARIUS」のパッケージですが、今回からブルーのシンプルなボックスになりました。というか、このカラーでこの雰囲気って、まんまテ○フ○ニーですよね。カラーもティ○ァ○ー・ブルーというか・・・。パッケージだけで欧米あたりの市場では一発で、な気がします。まあTFZといえば「LIVE X」のフェイスのリングはブル○リでしたし、確かTFZの社長の奥さんがハイブランド好きでみたいな話だったと記憶していますが、以前のクマちゃんシリーズしかり、JHなロゴしかり、以前から書いていますが本当にちゃんとしたデザイナーでも雇った方がええかと・・・(汗)。
閑話休題、いきなり全開でツッコミを入れてしまいましたが、パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2種類、それぞれS/M/Lサイズ+装着済みMサイズ)、クリーニングクロス、ポーチ、説明書、保証書、謎のイラストカード。ポーチやイヤーピースもパッケージ合わせのカラーリングです。
本体は、お馴染みTFZサイズの樹脂ハウジングでフェイスプレートは金属製。鏡面処理されたプレートには「SUPERTFZ」の例のロゴではなく、製品名称と星図から着想を得たというデザインが施されています。うん。美しいシルバーアクセサリー風・・・(しつこい)。
ケーブルは銀メッキ線の2芯撚り線タイプで被膜は従来より弾力があり、取り回しは向上しています。金属部品などもちょっとリッチになりましたね。プラグは従来通りTFZタイプのカバーによる0.78mm 2pinタイプです。
イヤーピースはパッケージに合わせたカラーリングですが、内容的には従来同様に開口部の広いタイプと一般的な形状の2タイプで3サイズ。必要に応じてよりフィット感のあるものに交換をするのも良いでしょう。
■ サウンドインプレッション
「SUPERTFZ AQUARIUS」の音質傾向はバランスの良いV字を描くドンシャリ。今回はかつての「SERIES 2」や「T2 Galaxy」などの「最も幅広い人気があった」頃のTFZらしさを感じさせる寒色傾向で、若干中高域寄りでスッキリした明瞭なサウンドなのが好印象ですね。
「SUPERTFZ AQUARIUS」の仕様のインピーダンス50Ω、感度107dBは同社の「MY LOVE EDITION/2022/GT」のインピーダンス55Ωに準じる仕様で、かつての「KING PRO」の系統であることを感じさせます。
このタイプのドライバーは再生環境やゲインの調整により相応に印象が変わる印象があり「SUPERTFZ AQUARIUS」も同様の印象です。またリケーブル効果も大きいようですね。具体的には私の使用してる据置きの「FiiO K9 PRO LTD」などFiiO系のアンプやDAPではより中低域の厚みが大きく、「Shanling EH3」や「Shanling M5 Ultra」などShanling系のDAP/アンプでは低域は多少控えめで高域の鮮明さ(場合によっては刺さりなどの刺激)が強調されます。
ちなみに次回レビュー予定の「SUPERTFZ DECO.5」のような小型のオーディオアダプタで聴くと比較的自然なバランスで僅かに中高域寄りとなるため、この印象がベースとして考えられているのだろうと想定できます。
「SUPERTFZ AQUARIUS」の高域は、明瞭かつ煌びやかさを感じるスッキリした音を鳴らします。「SUPERTFZ DECO.5」では主張はやや大人しめで、刺さること無く聴きやすい印象で再生されます。
さらに駆動力のあるDAPやアンプではより鮮明さが向上する印象。この場合TFZらしい多少鋭さもある硬質な高域を感じる事ができます。この場合、曲によっては若干シャリ付きを感じる場合もありますが、刺さるか刺さらないか程度の刺激にコントロールされています。
中音域は分りやすいドンシャリ傾向のため曲によっては多少凹みますが、見通しは良くボーカル帯域には存在感があります。特に中高域付近のアクセントにより女性ボーカルは美しく伸びの良さが有り抜け感も明瞭です。中低域もスッキリしており音数が多くても分離の良さがあります。
寒色系のやや硬質な印象ですが輪郭は人工的にはならずにまとめられている印象です。音場は広くはありませんが自然な広さがあり、と奥行きがあります。V字傾向特有の過度に臨場感を強調している印象では無いため、定位も比較的正確です。また「SUPERTFZ DECO.5」では歯擦音などの刺激はほぼ感じず、聴きやすい印象ですが、若干暗めの印象になります。ここで駆動力のある再生環境やリケーブル等で鮮明さがアップし、より明るくスッキリした印象に変化しますが、解像感や分離の向上と同時に鋭さも増すため、多少聴き疲れしやすくなる、という側面もあります。
低域はキレが良く締まりのあるサウンドで、全体的な量感としてはやや控えめですが、力強いアタックと重低音の沈み込みがあります。ミッドベースはレスポンスが良くスピード感のある曲も直線的な印象で明瞭に鳴ります。膨らみや響きはほぼ無いためスッキリしてタイトな印象ですね。重低音は深さがあり解像感のある音を鳴らします。情報量の多い高純度銅線などにリケーブルすることで量感やパンチ力が増し、よりパワフルな印象に変化します。
■ まとめ
というわけで、しばらくぶりのTFZ、もといSUPERTFZですが、「FORCE KING」以降、かつての人気モデルをより低コストでブラッシュアップするようになってから音質面は安定してかつてのTFZらしさを取り戻したような気がしますね。他メーカーでは円安の影響もありますが価格面ではインフレーション気味の傾向もあり、お手頃価格の良モデルが購入できるのは有り難いですね。
ちなみに、現時点で未レビューの「QUEEN 2023」「NO.3 PRO」「LIVE1 PRO」と現時点では日本国内モデルのみが購入可能な「MY LOVE GT」「LIVE1 GT」はすべて購入済みです。いろいろレビューが立て込んでいるため記事にはしていませんが、気が向いたらまとめて紹介しようかなと思っていたりもします。