こんにちは。今回は 「LETSHUOER DT03」です。音質面でも定評のある「LETSHUOER」ブランドからもオーディオアダプター製品がリリースされました。ESS「ES9219C」をデュアルで搭載し、独自回路により透明性を高めることで、さまざまな傾向の同社のイヤホンでも特徴を活かし快適なリスニングを実現します。発売と同時にアマゾンでも購入可能となっておりお手頃価格なのも魅力的です。
■ 製品概要と購入方法について
「LETSHUOER」は2016年に創業したユニバーサルIEM/カスタムIEMのファクトリーブランドで、中国国内ではカスタムIEMビジネスのほか話題のモデルを数多くリリースしています。平面駆動ドライバーを搭載した「S12」で一躍人気ブランドとなり、以降は自社ブランドでもマニアの間ですっかりお馴染みの存在になりました。同社製品の品質の高さと手堅い音作りは定評がありますね。
今回の「LETSHUOER DT03」は同社ブランドによるオーディオアダプター製品ですね。最近はスマートフォンによるストリーミングによるリスニングが一般的となったこともあり、高音質な有線イヤホンをリリースしているオーディオブランド自身が自社イヤホンをスマートフォンで楽しむために最適化されたアダプター製品をリリースするのがちょっとしたトレンドになっているようです。
「LETSHUOER DT03」はDACチップにESS「ES9219C」をデュアルで搭載し、独立の高精度水晶発振器を最小するなどのアプローチによりUSBクロック干渉を最大限に抑え、JITTERを低減しているのが特徴。PCM384kHz/32bit、DSD256のハイレゾ再生に対応し、最大SN比 119dB、THD/全高調波歪率 0.0006%(4.4mm)の低ノイズ、低歪みを実現しています。
また同社の比較的敏感なマルチドライバー製品から駆動力が必要な平面駆動ドライバー搭載モデルなど様々なイヤホンで十分な出力を確保出来るように「Low」「High」の2段階Gain設定を用意しています。最大出力は3.5mm シングルエンド 78mW(32Ω)、4.4mm バランス 195mW(32Ω)の高出力を実現。また本体に独立したボリュームボタンを備えています。
本体はCNC成形されたアルミニウム合金製でスリット形状のLEDステータスインジケーターを搭載。サンプリングレートに合わせてカラー表示を行います。
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして LETSHUOER より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
パッケージはシンプルなデザインの黒箱タイプ。今回はオーディオアダプター製品のため、いつものイヤホン用の箱とはサイズが異なりますね。
パッケーに内容は本体に加えて、付属品として2種類のUSB Type-Cケーブル、Type-A変換アダプタ、レザーケース、説明書、保証カード。レザーケースや2種類のケーブルが最初から付属するのはこの価格帯ではちょっと珍しいかもですね。
本体はCNC加工されたアルミ製で片側にゲイン調整スイッチと音量ボタンが配置されています。カラーインジケーターがスリット状で結構大きめなのが特徴的ですね。
サイズは一般的な4.4mm対応のオーディオアダプターとほぼ近いサイズ感ですね。本体はイヤホンをプラグしていなくてもUSBケーブルを接続するとONになるタイプです。
ゲイン切替が大きめのスイッチで分かりやすいのも良い点でしょう。フィルター機能などは無く非常にシンプルな仕様となっています。
■ サウンドインプレッション
「LETSHUOER DT03」の音質傾向は癖の無いニュートラル傾向の印象を維持いしつつ非常に透明感のある見通しの良い音で再生されます。
ESS系DACチップのキレの良い明瞭さはしっかり感じさせますがアンプ部分はメリハリを強調するような印象ではなく音源を直線的に再生させる印象。
ゲイン設定を「LOW」にしても籠もるような事は無く、敏感なCIEMなどもノイズレスのクリアなサウンドで楽しめます。また「HIGH」ゲインでは特にバランス接続時は非常にパワフルな出力を持っており直線的に出力はアップしつつ鳴らしにくヘッドホンなども最大音量まで上げなくても駆動できるパワーを持ちます。
低域がパワフルなイヤホンでも厚みや奥行きが損なわれることなくエネルギッシュに再生されており、シンプルながらとても使いやすい印象です。
ファクトリーブランドである「LETSHUOER」は自社ブランドでも色々なドライバー構成のイヤホンをリリースしており、V字方向の寒色傾向の製品から、多少ウォームなバランスの製品までキャラクターはさまざま。それでも共通して癖の無いリスニングサウンドを提供していることから、「LETSHUOER DT03」もそれらのイヤホンの個性を活かし、同時にしっかりと駆動させつつ、より特徴や性能を引き出すようなアプローチが行われているようです。
例えば平面ドライバーを搭載し明瞭感のあるV字方向のサウンドが楽しめる「S12」では「HIGH」ゲインで十分な駆動力を供給しつつ派手すぎずキレの良いサウンドを楽しめます。また「S12」シリーズでも若干フラット方向に寄せたためか付属ケーブルでは多少緩さも感じた「S12 PRO」では「LETSHUOER DT03」との組み合わせでは透明感が増し中音域の描写がより鮮明になることで音場感が向上する印象もあります。
一般的に小型アダプタの場合、据置きのDAC/AMPに比べてアンプ部の出力が低く多少音が淡泊になったり平坦になるケースが増えますが、現在リリースされているオーディオアダプター製品ではミッドセントリック、つまり中音域を僅かにカマボコ寄りにチューニングすることでより自然で奥行きのあるサウンドに仕上げるようなアプローチが増えています。「LETSHUOER DT03」でも癖を感じさせない範囲でミッドセントリックでまとめられており、同社のイヤホンの個性をより引き出すのにも良い影響を与えていそうですね。
■ まとめ
というわけで、「LETSHUOER DT03」は最近各社からリリースされている「LETSHUOER DT03」のなかではスペック的には比較的平均的な印象ですが、デュアルDAC搭載、4.4mmバランス対応でアマゾンでも1.5万円程度と比較的お手頃で、ニュートラル傾向の「LETSHUOER」のイヤホンをしっかり鳴らす十分なパワーとノイズレスな透明感による癖の無いサウンドが印象的でした。
またケーブルやレザーケースなど付属品も充実してる点も地味にポイントが高いですね。間違いなく「LETSHUOER」製イヤホンとの相性は抜群ですし、同社イヤホンを所有している方であれば持っていても損はないアイテムと言えるでしょう。またシンプルな音量ボタン付きアダプターを検討している方にも良い選択肢のひとつになりそうですね。