こんにちは。 今回は「EPZ Q5」です。50ドルオーバーの価格レンジに属するシングルダイナミックのモデルです。今回はLinsoulが最近取扱いを始めた新バージョンのパッケージでの紹介となります。外観というかフェイス部分の円錐型の部分がアレではありますが(^^;)、ハッキリした印象の明瞭なニュートラルサウンドでなかなか手堅い仕上がりだと思います。
■ 製品概要と購入方法について
前回に引き続き中国のイヤホンブランド「EPZ」の製品です。今回の「EPZ Q5」はセラミックカーボン・ナノコンポジット振動板デュアルキャビティ二重磁気回路ダイナミックドライバーをシングルで搭載し、高品質3Dプリントシェルで仕上げられたHiFiインイヤーモニター(IEM)です。
「EPZ Q5」のドライバー設計においてはデュアルキャビティおよび二重磁気回路を採用。デュアルキャビティ構造は周波数応答を正確に分離し全周波数帯域のバランスを調整し、二重磁気回路は高負荷時の気的および熱的安定性が確保されることで高調波歪みが低減し解像度と明瞭さが向上します。これらの特性を組み合わせることでダイナミックレンジや音場感が向上し豊かなサウンドを実現します。
また自社開発の「セラミックカーボン・ナノコンポジット振動板」を採用。高速なレスポンスと高い解像度を実現し、高い硬度と強い安定性により歪みを軽減することで自然で優れたパフォーマンスを実現します。
「EPZ Q5」のシェルは肌に優しい樹脂素材を使用して3Dプリントにより成形。長時間の装着でも快適に過ごせるとともに、最適化された構造により音質性能がさらに向上しています。カラーバリエーションは「ブラック」と「ホワイト」の2種類を用意しています。ケーブルコネクタには安定性と信頼性の高いMMCXコネクタを採用しています。
「EPZ Q5」の購入はLinsoul(linsoul.com)にて。価格は77.70ドルです。
Linsoul(linsoul.com): EPZ Q5
免責事項:
本レビューではレビューサンプルとして Linsoul より製品を提供いただきました。機会を提供してくださったことに感謝します。ただし本レビューに対して金銭的やりとりは一切無く、レビュー内容が他の手段で影響されることはありません。以下の記載内容はすべて私自身の感想によるものとなります。
■ パッケージ構成、製品の外観および内容について
「EPZ Q5」のパッケージは黒箱にゴールドのラインアートでデザインされています。今回は「ブラック」モデルで届きました。なお、パッケージは以前のバージョンよりギミックをおさえた一般的なボックスになっており、いちおう後期型、みたいな感じになるのかもですね。
パッケージ内容は、イヤホン本体、ケーブル、イヤーピース(2種類、S/M/Lサイズ)、クリーニングクロス、ハードケース、説明書など。付属品は後期バージョンでも特に変更は無いようですね。
本体デザインはいわゆるShureがけタイプのコンパクトなデザインで、本体は3Dプリントによるレジン製。ドライバーと直結したゴールドカラーの円錐型のベント(空気孔)が特徴的なデザインですね。まあ明らかに「Meze Advar」を意識したデザインではありますね(^^;)。ただシェル形状自体はかなり異なっており、「EPZ Q5」のほうがよりシンプルな(というか一般的な)IEMタイプの形状となっています。
本体はコンパクトかつ軽量で、耳にしっかり装着できる形状のためしっかりイヤーピースを併せれば装着性で困ることは少ないでしょう。イヤーピースは通常タイプの黒軸白シリコンのタイプとより耳奥まで装着する小さめな黒色タイプ。個人的には黒色タイプのほうが耳奥までしっかり装着できましたが個人差がありますので合う方を選ぶのが良いでしょう。
ケーブルは4芯タイプの銀メッキ銅線ケーブルが付属します。左右それぞれの線材の透明な被膜のなかに2本の銀メッキ線が撚り線となってまとめられ、さらに2本の撚り線として編み込まれています。コネクタ・プラグ部は本体のアクセントにあわせたゴールドカラーの金属製。被膜はやや硬めですが撚り線とすることで取り回しは良い印象です。
■ サウンドインプレッション
「EPZ Q5」の音質傾向は、ニュートラル方向で明瞭感のある印象の寒色系弱ドンシャリ。サウンドバランスはお馴染みのハーマンターゲットカーブに準拠しつつ、全体として明るくドライな印象のやや派手さのあるサウンド。
寒色傾向ですが傾向としてはU字またはW字寄りでボーカル域は近く多少厚みを持っています。明瞭感のあるハッキリした音で高域もある程度の主張があるため歯擦音や刺さりが気になる方はやや刺激を感じやすいかもしれませんね。低域も厚みを持ちつつニュートラル方向のバランスで調整されており直線的な締まりがあります。
ハッキリした印象のニュートラルサウンド、というアプローチの製品のなかでは比較的低価格で「デザインがもろAdvarのパ○リ」であることを除けばなかなか手堅い選択肢、といった印象ですね。
「EPZ Q5」の高域は明瞭でハッキリした明るい音を鳴らします。最近は高域の刺激を感じやすい帯域をコントロールして聴きやすく仕上げることが多いのですが、「EPZ Q5」の場合は再生する音源のままに、鋭い音は鋭く、煌びやかさとともにある程度の刺激を感じる直線的な伸び感があります。
硬さを感じやすいカーボン系振動板を採用しているため、自然な高域とはちょっと違うかもしれませんが、最近の製品で物足りなさを感じていた高域好きの方にはお手頃価格で「思わぬ掘り出しモノ」感が得られるかも。寒色傾向のハーマンターゲット方向で寒色傾向のイヤホンは100ドル前後でも何種類か存在しますが、「EPZ Q5」はそれらの製品のなかでは比較的低価格で、かつ生き生きとした質感が楽しめます。
中音域はニュートラルな印象ですがボーカル域は比較的近く定位します。女性ボーカルは明瞭な伸び感がありハッキリした印象で、男性ボーカルは厚みを持っています。そのため一般的なV字傾向の寒色系ドンシャリのイヤホンと比べるとより豊かでエネルギッシュな印象を感じやすい印象。
いっぽうで前後のコントラストはやや少なく感じる場合もあります。それもで解像感は高く分離も良好のため混雑することはほぼ無く、クリーンな明瞭感は維持されます。音場は左右と上下に自然は広がりがありますが、やはりドンシャリ傾向のような多層感は得られないため比較的正確な定位が得られる代わりに臨場感はやや少なくなります。
ボーカル曲を中心としたロック、ポップス、アニソンなどと相性が良く寒色傾向が合う音源と相性が良いですが、バラード系の曲はドライすぎるかもしれません。
低域は厚みのある音を鳴らしますが量的には若干控えめでニュートラル方向のバランスにチューニングされています。男性ボーカルの低音など中低域付近に若干の厚みがあり、以下の低域は支配的では無く全体を下支えする印象でコントロールされています。ミッドベースはある程度の締まりが有り中高域との分離も良いもののパンチ力は自然な範囲でアタックもそこまでスピード感のある印象ではありません。いっぽうで重低音はある程度の深さと重さがあり存在感を示すため、ボーカル曲を中心に考慮すればそれほど不足を感じることはないでしょう。
■ まとめ
というわけで、たぶん改めて、という感じでの「EPZ Q5」の紹介となりました。寒色系のニュートラルサウンドで特に高域がしっかり出る点が個人的には好印象でしたが、逆に高域の刺激が苦手な方にはウィークポイントになるかも、という部分で好みが分かれそうですが、全体としては価格に対しての完成度は高いイヤホンだと思いました。寒色傾向のニュートラルサウンドで、ボーカル曲を中心に楽しみたい方にはお手頃価格で良い選択肢になるのではと思います。なお印象としてはおそらくアマゾンなどで現在も購入できる従来のタイプと内容は同じ(音質傾向的な変更は無い)と思いますので興味のある方は買いやすい方法で購入いただければと思います。もっともとデザイン的な「パ○リ」を許容いただくことも条件にはなりますね(^^;)。