KBF MAYA

こんにちは。今回は中国のイヤホンセラーKinboofiのオリジナルイヤホン「KBF MAYA」の紹介です。予定よりレビュー掲載が少し遅れてしまいました(ちょっとしたアクシデントがあってしばらくレビューが書けない状態でした・・・^^;)。「KBF MAYA」は、カーボンナノチューブ振動板ダイナミックドライバーをデュアルで搭載するちょっと珍しい構成の2DD仕様イヤホンです。カーボンナノチューブらしい解像度の高い中高域メインのサウンドながら比較的聴きやすいバランスで、この手のイヤホンにありがちな強い個性はないものの使いやすくまとめられていると思います。Kinboofiのシリーズのなかでは少し地味な印象もある製品ですが、今回もとても良いイヤホンだと思いますよ。

KBF MAYAKBF MAYA
KBF MAYA」で採用される「カーボンナノチューブ」は、非常に軽く高い剛性(アルミの半分の軽さで鋼鉄の20倍の強度)を持つ材質として知られており、この素材を振動板(ダイヤフラム)に採用したダイナミックドライバーは通常の樹脂製ダイアフラムと比べより繊細さとキレの有るサウンドが特徴とされています。以前に比べ採用される製品も増えており、最近では中華イヤホンでもLZ系の「SEMKARCH」および「LZ Z05A」、最近レビューした「BLON BL-03」など時々見かけるようになってきました(あとはHCKのカーボンナノチューブとピエゾセラミックの組み合わせた「N3」やさらにBAを追加した「NX7」もありますね^^;)。
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KBF MAYA」ではこのドライバーをデュアルで搭載しているとのと。採用されているドライバーの口径や詳細仕様は不明ですが、サイズ的には「NICEHCK NX7」でも見かけた複合ドライバー(1個のドライバーハウジング内に2つのドライバーユニットを持つ、一体型タイプの2DD)を搭載しているのではと考えています(詳細仕様がわかれば追記します)。

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購入はアマゾンの「Kinboofi」マーケットプレイスにて。表示価格は 9,900円 です。
※現在「KBF MAYA」購入時に 10%OFFとなるキャンペーン中です。
Amazon.co.jp(Kinboofi): KBF MAYA


■金属製ハウジングは重量感と高級感あり。イヤーピースを交換してより奥まで装着するのが好印象

KBF MAYA」のパッケージはこれまでのKinboofiのものから新タイプのデザインになりました。新しいパッケージは以前レビューした「TRI-i4」と同じサイズのボックスで「Kinboofi」のロゴがプリントされています。中には本体とブラウンのフェルト生地の布製ポーチが現れます。このポーチも「TRi-i4」に付属のものの「ロゴ違い」になります。
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パッケージ内容は本体、2pin銀メッキ線ケーブル、イヤーピース(白色およびグレー、それぞれS/M/Lサイズ)、布製ポーチ、説明書など
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KBF MAYA」はダークブルーの金属製ハウジングにシルバーカラーのカーボン柄が特徴的なハウジングデザインです。またKinboofiのシリーズではこれまでMMCXコネクタを採用するモデルが中心でしたが、「KBF MAYA」では0.78mm 2pinコネクタを採用しています。標準でシルバーカラーの銀メッキ線ケーブルが付属します。
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シェルの形状および大きさは 「KB EAR OPAL」と全く同じですが、OPALがカーボンファイバー樹脂製だったのに対し「KBF MAYA」は金属製ハウジングのため、重量感や手にした印象は全く異なりかなり高級感を感じる仕上がりになっています。シェルの大きさは厚みはありますがサイズ自体は思ったより小さく装着性は比較的良いと思います。イヤーピースは付属のものが2種類あるので好みで選ぶとよいでしょう。ただ音質傾向的には耳奥までしっかりフィットさせた方が印象が良くなりますので、可能であれば耳に合うものに交換する方が良いでしょう。私は例によってJVCの「スパイラルドット」を使用しています。私自身、耳穴がちょっと小さいため、太めのステムで耳奥まで入れて装着したい場合は「スパイラルドット」をサイズダウンして使うのが重宝しています。


■中高域メインの明瞭感のあるサウンドながら使いやすいバランスが魅力的

KBF MAYA」の音質傾向は中高域寄りの印象で、カーボンナノチューブらしい硬質でキレのある高域が特徴的なサウンドです。全体的に解像度は高く、スッキリした明瞭感が印象的ですね。また、開封直後より数時間~数十時間程度のエージングで結構印象に変化が現れるようです。

KBF MAYA高域は伸びの良さを感じる硬質でスッキリ目の音。シンバルなどの煌びやかさをしっかり感じつつ、音の抜けが良くスッと伸びる印象の音を鳴らします。ただ多少の刺激はあるため、中低域寄りのサウンドが好みの方は多少聴き疲れしやすい音かも知れませんね。個人的には見通しの良い比較的好みの音ですが、付属ケーブルでは少し高域に曇りがある印象でしたが、後述の通りリケーブルにより明瞭感が格段に向上し、見通しの良い綺麗な音になりました。
中音域も高域同様に硬質で明瞭感のある音で、それなりに主張のある音を鳴らします。ボーカル帯域は非常に伸びやかでハイトーンの余韻も感じられる伸びの良さを感じます。全体的に癖が少なく解像度の高い印象で、1音1音をしっかり描写している音作りを感じます。カーボンナノチューブらしく分離性が非常に高いため、音場は広めに感じると思います。さらにリケーブルにより定位がハッキリした印象となり、レコーディング時の空間を再現するような立体的な音場感が実感できると思います。
低音域も高い分離性で解像度は高く締まりのある音を鳴らします。中高域に比べるとやや軽めな印象を受けるため、分厚い低域が好みの方には多少物足りなさを感じる可能性もありますが、量的には十分で、また重低音の沈み込みもしっかりとある質感の高い音だと思います。また歯切れの良い低域のため、音数の多い音源やスピード感のある音源でもしっかり対応してくれる印象があります。
全体的にカーボンナノファイバーらしい表現力の高さを感じる音、という印象で、ポップス、ロック、アニソンなどのボーカル曲ではキレが良く楽しく聴くことができると思います。

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また「KBF MAYA」はイヤホン自体のポテンシャルも高く、リケーブルによる音質変化もしっかり得られるイヤホンのようです。特に情報量の多いケーブルを利用することで高域の明瞭感が高まり、「KBF MAYA」の良さをさらに実感できると思います。お勧めは「KBF4851」(2,990円)や「KBEAR 4842」(2,900円)などの16芯銀メッキ線ケーブルで、全体的な明瞭感の向上と併せて中高域の伸びが良くなります。また「KBEAR 4841」(2,900円)16芯 高純度銅線ケーブルなどでは全体的なメリハリが強調さて低域の響きがより厚みを増すのではと思います。個人的にはパープルカラーの「KBF4851」あたりの組み合わせは見た目にも格好良く結構気に入っています。

というわけで、「KBF MAYA」はカーボンナノチューブ振動板ダイナミックドライバーのデュアル構成という特徴的なドライバー構成を活かしつ、使いやすいバランスにまとめられたイヤホンだと感じました。見た目はちょっと地味に感じてしまう部分はあるのですが、音質的には1万円程度の価格設定に見合った高音質イヤホンという印象でした。さまざまなジャンルの曲で使いやすく、聴きやすいイヤホンのため、思ったより利用範囲は広く、比較的多くの方にお勧めできる製品だと思います。