2015-07-05-08-04-22


■地方ユーザの最も使うリスニング環境は「カーオーディオ」?
私も東京都内で仕事しているときは気にしないのですが、交通手段がほぼクルマ、という福井などの地方だと、音楽を聴く機会は圧倒的にクルマの中、つまりカーオーディオの稼働率が一番高いのは珍しいことではありません。

となると、ストリーミングで音楽を試聴するApple Music(に限らず、LINE MUSICやAWAなども)を使いたい、というニーズも半減以下に落ちてしまうのかもしれません。
それでもせっかくだからカーオーディオでもApple Musicを堪能したい!

というわけで、いろいろ試してみました。

■レベル1: まずはBluetooth接続で聴く
imageまずは、一番シンプルにBluetooth接続でカーオーディオに接続し、iPhone側のミュージックアプリでRadioをストリーミング再生します。私の車のオーディオはAUX端子があるためそのままライン接続でミニピン端子のケーブルでiPhoneとつなぐことが出来ます。またロジテックのLBT-CR01(LBT-MPCR01BK)などのAUX接続型のBluetoothオーディオレシーバーを使用することもできます。
ラインで直接接続すればいい気もしますが、あえてBluetooth接続ににする理由は、ペアリングしておけばiPhoneはカバンやポケットにいれたままで使用でき、わざわざオーディオケーブルで接続しなくてよいので、慌ただしい通勤の時にはすごく便利です。
そして、それ以上にBluetooth接続の場合、エンジンを停止すると自動的に一時停止になるため、iPhone側でいちいち操作するわずらわしさがありません。単純なことですがこれは使ってみればよくわかると思います。おそらく車載のうえでは必須の機能だと思います。

Apple Musicは標準でiTMSの音源と同じ256kbpsのAAC形式に固定されており、他社サービスと異なり転送レートを制限する機能がなく、さらに、デフォルトではLTEなどのモバイルデータ通信でのストリーミングがOFFになっています。ただ実際にはモバイルデータ通信利用時には自動的に転送レートを下げてストリーミングを維持する仕様になっていることが非公式ながら確認されています。

まず、Radioで聞いてみます。途切れることなく堪能できます。多少のバッファは効いているため電波状況が3Gになる環境でもさほど問題はありませんし、音質的にも満足のいく使用感です。



■レベル2: パケット上限のないWiMAX2+ルータでWi-Fi接続してストリーミング
imageしかし、LTEでのストリーミングでの再生は、データ通信の契約にもよりますが、あっという間に上限に達してしまいそうでなかなか怖いところがあります。

そこで、契約上では現在上限設定のないUQ WiMAX2+のモバイルルータを使用し、iPhoneはモバイルルータにWi-Fi接続で利用してみます。このケースだと、iPhoneはWiFi接続だと判断し、256kbpsのレートを維持しようとしますが、この場合も通信回線状況にあわせてレート変更が働いているのか、LTEと同様に途切れることなく快適に利用できました。



■レベル3: Apple Musicをカーオーディオで操作する!
 Dockコネクタ用の「Made for iPod」対応カーオーディオへiPhone 4Sを接続


ここで、利用端末をiPhone 6 Plus から解約済みのiPhone 4Sに変更します。

なぜか? 実は現在使用中のカーオーディオ(カーナビ)は従来型のDockコネクタのiPodに対応しており(いわゆる「Made for iPod」仕様)、普段はDockコネクタ対応の旧世代のiPod nanoを接続して利用しています。
最近のモデルでようやくLightningでの接続が可能なカーオーディオが出てきましたが、長く販売されていて、仕組みも簡単だったDockコネクタ対応のカーオーディオやカーナビは現在も多くのクルマに搭載されているのでは、と思われます。

そう考えるとDockコネクタを搭載し、iOS8.4にも、将来のiOS9にも対応するiPhone4Sは車載オーディオ用のiOSデバイスとしてはなにげに最強かも(笑)。

というわけで、お蔵入りしていた「解約済みiPhone4S」をあらためてiOS8.4にアップデートし、Apple Musicが利用できるようにします。さらにWi-Fi環境であらかじめ聴きたい曲はすべてオフライン利用可(ダウンロード)しておきます。

2015-07-05-08-04-30私の場合、iTunes Matchにも加入しているため、My Musicには母艦のiTunesのミュージックライブラリがすべてiCloudと同期しており、Apple Musicで追加した曲と、iTMSの購入曲、CDなどからリッピングした曲の混合のプレイリストが表示されています。これがすべてがオフラインで再生可能なようにiCloudからダウンロードしておきました。
なお、iTunes Match加入の場合は、あらかじめiCloudミュージックライブラリをOFFで同期を行い、必要なライブラリをiOS側に転送してからONにするとダウンロードの手間が少し省けます(64GBのiPhone4Sの場合、空き容量いっぱいに曲をいれると「少しの手間」どころではなかったり)。


また、ライブラリの選択画面で「オフライン再生可能な項目を表示」にチェックを入れておけば、カーオーディオで再生できる曲(ダウンロードされている曲)があらかじめ確認できるので便利です。
さて、この「解約済みiPhone4S」をもともとつながっていたiPod nanoの代わりに接続、ミュージックアプリを起動しておきます。

カーオーディオ(カーナビ)からApple Musicを含んだプレイリストも正常に表示され、普段と変わらず再生することが出来ました。
まあ、DRM付きとはいえiPhoneのミュージックライブラリに入っている訳ですから当然と言えば当然ですが、本来クラウドのはずのAppleMusicのプレイリストがCDエンコードの曲と同様にカーナビのリストに表示されるのはなかなか不思議な感覚です。

ここでひとつだけ注意が必要なのは、iPhone4Sの電源ONや再起動による起動直後はあらかじめ自宅のWi-Fi環境などネットワークが使える環境でミュージックアプリを起動させる必要があります。起動直後も完全オフラインだとAppe Music環境下ではそもそもミュージックアプリを起動しても「オフラインです」という表示で使用することができません。
ただ、いちど起動してしまえば、フォアグラウンドでもバックグラウンドでもカーオーディオで普通に使用することができます。もちろん外出先などiPhone4Sが通信できない環境でもスタンバイ状態であればエンジンをスタートした時点でふつうに続きから再生してくれます。


Apple MusicでダウンロードさせるDRMつき曲データはダウンロードしたデバイスでの再生のみをサポートしているため、昔のiTunes Storeの楽曲のようにiTunesを使ってiOS非搭載(Apple Music非対応)のiPodへ転送するなどの使い方はサポートされていません。
(参照: さっそくApple Music楽曲をiTunes 12.2で「ダウンロード」してみた

しかし、この方法なら普段のiPodとかわらず、従来型のMade for iPod仕様のカーオーディオでApple Musicの音源を楽しむことが可能でした。



■結論。Apple Musicは他社配信サービスとは一段レベルの違うカーオーディオでの使い勝手を実現
Apple Musicをカーオーディオで使ってみた印象は、「これなら使える」でした。
実は2013年ごろから音楽配信をカーオーディオで使用する試みはやっていましたが、やはりMade for iPodオーディオの機能を使いたい、あるいはBluetooth接続でも、ちゃんとエンジンを切れば自動で一時停止し、再度乗車してエンジンをスタートした際には、一時停止したところから聴ける。そういう「あたりまえのこと」を音楽配信サービスで行うことの難しさを感じることの連続でした。

Apple MusicはApple純正のサービスとしてミュージックアプリと統合することで、いくつかの制限はあるものの、従来の音楽配信サービスでは難しかった条件の多くを払拭することが可能になりました。

これならば、音楽はカーオーディオ派の皆さんにも十分におすすめできるサービスだとおもいます。