■「foltia ANIME LOCKER」をiPad/iPhoneでリモートから楽しむ
さて、録画サーバとして快適に稼働するようになった「foltia ANIME LOCKER」ですが、単にネットワーク上のPCやメディアプレイヤー上での再生、Wi-FIでのiPad、iPhone、Android端末からの視聴という用途だけではまだまま真価を発揮したとは言い難いのではと思います。

というわけで、すでに構築済みのVPN環境下でどの程度快適に利用できるかを試してみました。

■現在の自宅VPN環境(Ciscoルータによる接続環境)

現在、「foltia ANIME LOCKER」サーバが設置されている東京都内の居住先はCisco製のルータ「Cisco 892J」が、NTT東日本のフレッツ光ネクスト回線で接続されています。福井県の自宅では下位機種にあたる「Cisco 861」が同様にNTT西日本のフレッツ光ネクスト回線で接続(双方とも同じISP)。


c3ab7491福井の自宅にいるときに、東京の環境にアクセスできるよう、2台のルータはインターネットVPN(仮想プライベートネットワーク)で接続されています。実際は、東京のCisco 892Jは別ネットワークで会社ともつながっています(仕事用VLANと、インターネットアクセスのみが可能なプライベートVLANが切ってありネットワークを分離している)。
なお、東京側のネットワークへはリモートアクセス(Cisco VPN Clientによる)が可能で、リモートアクセスソフトからの接続のほか、福井の自宅(Cisco 861)からのVPNも「Easy VPN」というルータでリモートアクセス環境に接続するしくみを使って接続しています。

ちなみに、東京に引っ越す前から福井の自宅では861を使用しており、もともとはリモートアクセス環境は福井のほうにありました。Cisco 861が内蔵しているOSライセンスでは高度なネットワーク構築には向きませんが、「Cisco VPN Client」によるIPSecリモートアクセスのサーバ設定は可能ですし、Android用にL2TP/IPsec PSKのコンセントレータとしての設定もできます。

ipad_vpn1また、Ciscoルータで設定するVPNの「Cisco VPN Client」はiPhoneおよびiPadに標準搭載されているIPsec VPNのクライアントであるため、設定が非常に楽だということもあげられます。同様にWindows用のクライアントはメーカーサポートに加入すれば無償でダウンロードが可能。Mac OS Xの場合はLion以降はiOSデバイス同様にOSにクライアント機能を内蔵しています。

なお、Cisco 861 (CISCO861-K9)は、実売でヤマハのNVR500(PPTPのみ対応)あたりと比較してもそれほど高くはなく、IPsecやL2TPが使用できるメリットは大きいですね。十分に個人で所有できるルータだと思います。


■リモート拠点(福井の自宅)からのアクセス

自宅からはフレッツ光どうしでルータ間VPNということもあり、ほぼ東京でのLAN環境と同様の利用が可能。自宅のWi-FIからiPadで「foltia ANIME LOCKER」にアクセスし、録画し、自動変換されたMP4動画を視聴したり、ライブ配信を視聴するのも全く問題なし。パフォーマンス的な劣化もLAN環境とさほど違いはありませんでした。

また、Apple TVを使用してiPadでの受信映像をTV画面に映すことでリビングでも快適に利用できました。

これはつまり、地方(福井)にいて、東京都内の地上波を視聴できることを意味するわけで、環境としてはなかなかすごいことです。この便利さはいちど使ったらやめられなくなります。


■外出先からのアクセス(リモートアクセス)

リモートアクセスも、上記のとおり、Cisco VPN Clientが内蔵されたiPhone / iPadであれば非常に簡単にアクセスができます。

まず、Wi-FIが利用できる環境であれば、上記VPN接続された自宅と同様に非常に快適にアクセスができる。またLTE回線環境やWiMAX回線でも、IPsec VPN接続環境でMP4データ(HD)を再生し、まったく駒落ちなどもなく再生ができました。ライブ配信もデフォルト値の1290kbpsやひとつ低い840kbps程度であれば問題なく視聴が可能でした。

あと3G回線ではさすがにHD画質で、というのにはむりがあるものの、SDでのMP4変換データや、ライブ配信では150kbps、240kbps程度であれば十分に視聴できました。
これでもiPhone5などで観る分には十分な画質でワンセグなどとは比べものにならないほど鮮明でした。


さすがに電車のなかでは無理だと思いますが、前日の深夜に録画した番組をチェックアウトやムーヴ作業なしでオフィスやカフェなどでまったり視聴する、といった生活が思いのほか簡単に実現できます。
外出先で録画映像を「持ち出さずに」ふつうに視聴したり、ライブでCSの番組をみたり、というのはなかなか楽しい体験ですね。