激辛カレーソースの末路
2023年 11月 23日
今年の11月は雨が多くて、20年前の初バーミンガム訪問時を回顧。今考えると、かなり自己中だったけど、「約束はできないけど、前向きに」と結婚に向けての第一歩として夫の本拠地を知る一週間の旅のほぼ全日程で、激しいシャワー(にわか雨)に遭い第一印象は最悪だったイギリスの秋。それでも話は進み、今では、全く気にならない日常の一コマになっているから、人間の適応能力ってすごいなと我ながら感心中。
(開封)
加齢で、諸事の所要時間が長くなって来ているのを痛感し、今までの感覚を改めて、少し余裕のある計画を立てないと、まずい事になりそうだと始めた、早目の段階的大掃除で賞味期限が近い食材を整理。普段から新しい物を奥に収納するので、だいたいはOKだったけど、随分前に夫が「きっと好きだろう」と買って来てくれたカレーソースが出て来てゴメン
たぶん、あまり興味がなかったから放置→問題の先延ばしを無意識にやっていたようで、反省飯を作ることに。

(アレンジ)
何かの具材とソースを混ぜれば、イギリスで人気のカレーを色々と試せるシリーズで、大手のスーパーではほぼ入手可能につき、随分前にいくつか試してみたけど、私には優しすぎて物足りなかったんで、今回も手直しを。ソースの種類は、VINDALOOで、バーミンガム発祥とされているバルチレストランの中では、一番辛いとされる西インド起源のカレーで、元々は、ポルトガル人が航海に、ワインにニンニクと肉を漬け込んだ物を樽に入れて運ぶ中で、段々と酸味が加わり旨味が増した状態になったところへ、ゴア周辺のスパイスが加わってできたという、歴史のロマンを感じる一品
そんなわけで、薫り高いスパイスを使いこなせるシェフのVINDALOOでないと、ただ辛けりゃ良いみたいな物ができてしまう残念なカレーでもあるから、このソースにもあまり期待してなかったのが本当のところで、その予想は如何ほどに。

(沼る)
まず、辛さはかなり控えめの仕上がりだったけど、そうでないと幅広い層には売れないし(笑)メーカー側の様々な妥協を感じながら、これをベースにするのはちょっと厳しいかと、思い切って、西アフリカ系にアレンジしてみたけど、決め手の油が無くて香りが出せなく頓挫。不覚にも、スパイスのミスマッチが起こり始めて、アフリカ大陸を脱出し、香りと円やかさを求めてココナッツを投入し、何とか辿り着いたのがブラジル北東部のバイーア系。
(自家製
)
本来ならば、油になじませたかった唐辛子だったけど、いかんせん事故料理みたいなことになってしまったので、最後の仕上げに唐辛子を使うことにして、ラッキーなことに、この夏、コッツウォルズで仙人のようなチリマニアのお爺さんから買ったレモンドロップ(ペルーの黄色い唐辛子系)が収穫前だったので、小さめの物を1つ使って終了。
かくして、西インドのカレーとは全く違った物になってしまったけど、思いがけないブラジル料理もどきは、なかなかいい感じに仕上がり満足でしたが、唐辛子をきれいに使いこなすのは本当に難しい。そんなわけで、私は、本来、使われていなかった種類の物をガンガンと適当に入れて、とにかく辛けりゃ良いみたいなノリのカレーは、他のスパイスの風味を殺しかねないので、食べないことにしていて、バーミンガムのバルチ屋さんでも数軒で常時提供されていたり、裏メニューとして存在している、これまたバーミンガム発祥とされる激辛カレーの「PHALL」は未だ試したことが無く、これからも、たぶん縁が無さそう。
(オマケ:自虐的)
20年前の11月は、ここぞとばかりにイギリスで発展を遂げた南アジア圏の料理を食べて過ごし、バーミンガムだけでは物足りなく、日本のご近所さんだったマンチェスター出身の若者お薦めのRusholme(当時は、マンチェスターのバルチトライアングル的な場所でしたが今は分かりません)まで遠征
そんな私の嗜好に、夫は若干引き気味だったのに、今では「今日の午前中の予定は、濡れ落ち葉だよ」なんて事を言って、未知なる食文化のお店へ同行するのが楽しみになっているほど、異文化を楽しんでくれているから面白くも。それにしても、夫が一発で覚える日本語には癖があって、濡れ落ち葉につづいて、愚妻にも仰け反りがえりながらも、その理解できない、不思議な感覚が強烈すぎて忘れられないんだとかで、彼の中ではギャグ扱いの活用になってしまった濡れ落ち葉。よく考えると、本来の意味は、なかなか酷い言葉だなと、周囲も含めて夫婦円満な人が圧倒的なので、ちょっと悲しくて複雑。

by bham
| 2023-11-23 19:21
| おうちごはん(アジア系)
|
Trackback