いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件 - 自動車情報誌「ベストカー」

いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件

いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件

 2022年のヒョンデ日本再上陸と同時に導入されたアイオニック5。そのスポーツグレードであるアイオニック5Nが登場した。アイオニック5とは別モノだという5N。EVならではの面白い仕掛けも用意されているという。テリーさんの評価はどうだった!?

※本稿は2024年10月のものです
文:テリー伊藤/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2024年11月10日号

【画像ギャラリー】疑似排気音も大迫力!! 自分の中のハイウェイ・エンジェルが目覚めるヒョンデ アイオニック5Nを夜露死苦(24枚)画像ギャラリー

■ヒョンデの話題作に試乗!

今回の撮影は新横浜にあるヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンターで行われた。コーヒーショップもあるオシャレな空間だった
今回の撮影は新横浜にあるヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンターで行われた。コーヒーショップもあるオシャレな空間だった

 ヒョンデの話題作、アイオニック5Nに乗れることになった。

 アイオニック5のスポーツグレードという位置付けだが、中身は別モノ。説明を聞くと、ホワイトボディから強化しており、サスペンションの取り付け位置も変えているなど設計自体が違うクルマなのだという。

 最高出力は通常609psで、ステアリングに付いている赤いボタンを押せば10秒間だけ650psになるシステムもあるという。650psって、何? もはや意味不明である(笑)。

 やはり興味は走りがどうかだが、乗ってみて素直に面白いと思った。EVの無機質さやつまらなさを技術でカバーしている。

 例えば音。アイオニック5Nは、アクセル操作に応じて擬似音を出しているが、同様のシステムを使っているほかのクルマよりも完成度が高く、オモチャっぽさがない。

 ヒョンデの2Lターボエンジンを模した音のほか、ジェット機やゲームの音もあるが、やはりエンジン音が一番いい。音を3種類作り分けるなら、V8エンジンやラリー車のエンジンなど、エンジンの種類で分けてもよかった気がする。

 エンジン音を響かせて走っていると、気持ちいいのと同時に、あまりの迫力に気分が高揚してきて『湘南爆走族』の出演者になったような気持ちになってくる。リーゼントが似合うEVは史上初めてではないだろうか。もちろん、この音は消すこともできる。

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■トヨタに挑戦状を叩きつけろ!!

走りの性能の高さはもちろんだが、このデザインだけでも欲しくなる
走りの性能の高さはもちろんだが、このデザインだけでも欲しくなる

 今回は街中を走っただけだが、それでも尋常ではない性能を持っていることが伝わってくる。ベストカーのテストではゼロヨン11秒台だったらしい。

 価格は858万円だが、GT-R、NSX、フェラーリ、ランボルギーニなど、この速さに匹敵するクルマは軒並み数千万円以上することを考えればバーゲンプライスなのかもしれない。

 文句なしの性能を味わったが、強いて言えば「しっとり感がないな」とは思った。ベンツのAMGにしてもBMWのMにしても、強烈な性能を持ちながら「しっとり感」も備えているものなのだ。

 それがどういうものかを説明するのは難しいが、私の場合はコーナリングやブレーキで感じることが多い。

 AMGやMはブレーキを踏むとボディ全体が沈んでいくような感覚があって、それが安心感とともに「しっとり感」として伝わってくるのだが、アイオニック5Nにはその感覚はなかった。

 おそらく欧州のスポーツカーに、まずはスピードとデザインで追いつき、追い越すことを目指したのだろう、つまり「しっとり感」の優先順位が低いということだ。

 ヒョンデのスポーツEVの挑戦はまだ始まったばかりであり、今後歴史を重ねることで、そこも進化していくのだと思う。

 もうひとつ、日本市場には日本市場用の宣伝方法があるべきで、このクルマには「挑戦的なプロモーション」が似合うとも思った。顧客への真心をアピールするのも大事だが、一発で話題になる、わかりやすさも重要ではないだろうか。

 私のお薦めは、トヨタに挑む姿勢を明確にすることである。世界3位のヒョンデが1位のトヨタグループに向かっていくという図式。ぜひ、TH戦争を仕掛けてほしい。今のトヨタなら横綱として受けて立ってくれるだろう。

 それはともかく、EV黎明期にこれだけのスポーツカーを作り上げたのは立派である。アイオニック5Nは後世に語り継がれるクルマになるだろう。

●ヒョンデ アイオニック5N(858万円)

ヒョンデ アイオニック5N
ヒョンデ アイオニック5N

 2024年6月から日本での発売が始まったEVスポーツ。ボディサイズは全長4715×全幅1940×全高1625mm、ホイールベース3000mmで車重2210kg。84kWhの大容量バッテリーを搭載し、最大650psを発生する4WDだ。

 フル充電での航続距離は561km(WLTCモード)で、最高速は260km/h。高性能だが、EVらしく日常使いにも適している。

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