万年筆のおすすめインク|種類や使い方、出ない時の対処法

万年筆のおすすめインク|種類や使い方、出ない時の対処法

万年筆のおすすめインク|種類や使い方、出ない時の対処法

万年筆は書き味やデザインなど魅力的要素は沢山ありますが、インクを選ぶ楽しみもありますよね!

しかし万年筆 のインクの種類は多く、
■インク選びはこれでいいの?
■初心者が使うならどのインクがいい?
■インクの保管ってどうすればいいの?
など疑問はつきもの。

そんな方に向けて、本記事ではインクの基礎知識から、インク選び・使い方のお悩みをQ&A形式で解説、さらにおすすめインクもご紹介します。

インク選びにお悩みの方はご参考ください。

万年筆のインク基礎知識

インクの種類 | 染料・顔料・古典

インクの種類 | 染料・顔料・古典

万年筆のインクには大きく分けて染料インク、顔料インク、古典(没食子/もっしょくし)インクの3種類があります。
それぞれ特徴があるので使用する用途や求める機能などで選びましょう。

染料インク
染料インク

染料インクは万年筆の多くに使用されているインクです。
染料インクには水に溶けやすいという特性があり、ペン先でインクが詰まってしまった時も水につけるだけで簡単にメンテナンスすることができます。また染料インクはカラーバリエーションが豊富なため、好みの色と出会える確率が高いです。
その反面、耐水性が低くく書いた文字にじみやすい・光の影響を受け色あせしてしまうという弱点があります。
時間経過により文字が劣化してしまう可能性があるため、ビジネスシーンには向かず日記や手帳などに使用するのがおすすめです。

顔料インク
顔料インク

「顔料インク」は水や色あせに強い特性があり、またしっかりとした書き味で長期保存する書類などに最適なインクです。
ただ水に溶けにくい特性あるため、ペン先にインクが詰まってしまうとメンテナンスが難しく万年筆を痛めてしまう可能性があります。そのためこまめなお手入れが必要となり、万年筆初心者の方よりもに中級〜上級者方向けのインクとなります。
またカラーバリエーションが染料インクに比べて少なく、ブラック・ブルーブラックなどがメインとなります。

古典インク(没食子インク/もっしょくし)
古典インク(没食子インク/もっしょくし)

古典インクは過去には万年筆インクのメインとして使用されていましたが、現在は製造数が減り一部メーカーのみで販売されています。
古典インクには鉄分が含まれており、それにより耐光性・耐水性がよく長期保存にも向いているインクです。また化学変化を起こすことも特徴の一つで、時間の経過により当初書いた色味から黒色へと変化します。この変化を好んであえて古典インクを選ぶ方もいらっしゃいます。
ただこの鉄分の影響で万年筆内部で腐食を起こしてしまう可能性があり、こまめなお手入れが必要となります。

万年筆インクの種類まとめ

染料インク顔料インク古典インク
長所一般的なインク
カラバリが豊富
耐光・耐水性がある
長期保存に最適
耐光・耐水性がある
色の変化が楽しめる
短所水光に弱い
経年劣化しやすい
カラバリが少ないカラバリが少ない
メンテかんたんこまめなお手入れが必要こまめなお手入れが必要
使用法日記・手帳・メモに◎長期保存の書類に◎長期保存の書類に◎
初心者向け××

インクの形状|カートリッジ・ボトル

カートリッジ
カートリッジ

カートリッジは簡単にインク補充ができるので万年筆初心者さんの方におすすめ。持ち運びに便利なところも魅力です。
ただ使用できるのが万年筆のメーカーが販売している専用カートリッジのみのため、カラーバリエーションはボトルタイプに比べ少なくなります。

ボトルインク
ボトルインク

ボトルタイプはカラーバリエーションが豊富な点が魅力です。さらに混ぜられるインク※1を用いれば好みの色を作り出すことも可能です。またガラス瓶から直接インクを入れる作業は、万年筆ならではの醍醐味を感じることができます。
※1プラチナ万年筆・ミクサブルインクなど
※基本インクは同じメーカーでも混ぜると科学反応を起こしてしまう危険性があるので専用インク以外は行わないようにしましょう。

インクQ&A【耐水性について】

Q:インクの耐水性は重視した方がいい?

A:インクの耐水性は長期保存が必要な公的文書や契約書などに使用する際は注目するべきポイントとなります。長期保存が必要ない時は、特段気にする必要はないでしょう。

Q:耐水性が優秀なおすすめインク教えて!

A:筆者の個人的感想では下記インクがおすすめです。ご参考ください。

INK-70
メーカーパイロット
商品名INK-70
種類一般書記用インキ
参考価格1,100円

公式ページはこちら

極黒(きわぐろ)
メーカーセーラー
商品名極黒(きわぐろ)
種類顔料インク
参考価格¥2,530

公式ページはこちら

インクQ&A【インクの量について】

Q:ボトルorカートリッジ、コスパがいいのはどっち?

A:容量のみで考えるとボトルの方がコスパがいいです。ですが、インク形によって得られるコスパ(使いやすさ)は変わります。
自宅やオフィスなど決まった場所で使用するならボトル、出先で使用するなら持ち運びが便利ですぐにインク交換ができるカートリッジがおすすめです。

Q:ボトル50ccはカートリッジで何本分?

A:カートリッジは1本約1cc(0.8~1.2cc)のため、ボトルでは約50本分となります。

インクQ&A【インクの換え方】

Q:インクの色を換える時の注意点は?

Q:インクの色を換える時の注意点は?

A:必ず万年筆の中にあるインクを使い切る又は破棄し、綺麗に洗浄しましょう。
その理由は異なるインクが混ざってしまうと化学変化が起こり、ペン詰まりなどの原因になるためです。さらに色や品質にも影響がでる場合もあります。
必ず綺麗に洗い乾燥させた後に新しいインクを補充しましょう。

万年筆のお手入れ|初心者でも出来るペン先の洗浄

Q:他社インクでも似た色なら洗浄しなくてもいいですか?

A:必ず洗浄しましょう。
上記でも解説したように化学変化により万年筆が使えなくなる可能性があります。

インクQ&A【おすすめインク】

Q:初心者におすすめインクは?

A:万年筆にまだ慣れていない方は、ペン詰まりなどトラブルが起きにくく、お手入れも簡単な「染料インク」がおすすめです。
さらに万年筆と同じメーカーのインクを使用することもおすすめします。
インクの成分は各メーカーで異なっているため、他社のインクを使用したことにより万年筆にダメージを与えてしまう可能性があります。
なので最初はトラブルが起きる可能性が低くスムーズに使用することができる同じメーカーの物を使用しましょう。
万年筆の取扱いに慣れてきた頃に、他社のインクを試してみるのもいいかもしれませんね。

Q:公的に使えるおすすめインクは?

Q:公的に使えるおすすめインクは?

A:公的文書で使用する際は長期保存の観点から経年劣化しにくいブルーブラックインクがおすすめです。
ブルーブラックとはブルーとブラックの中間色と思われがちですが、本来は書いた直後はブルーで時間がたつと黒になるインクのことを指します。
水・光に耐性があり、また他の色に比べ社会的に認知されているので公的文書で使用するならブルーブラックが一押しです。

Q:おすすめブルーブラックインクを教えて!

A:筆者の個人的感想では下記インクがおすすめです。ご参考ください。

青墨(せいぼく)
メーカーセーラー
商品名青墨(せいぼく)
種類顔料インク
参考価格¥2,530

公式ページはこちら

INK-70
メーカーパイロット
商品名INK-70-BB
種類一般書記用インキ
参考価格1,100円

公式ページはこちら

インクQ&A【使い方】

Q:万年筆のインクは混ぜてもいいですか?

Q:万年筆のインクは混ぜてもいいですか?

A:基本万年筆のインクは混ぜてはいけません。※混色OKのインクは除く
その理由はインクを混ぜることにより化学変化が起こり、ペン詰まりなどのトラブルになる可能性があるからです。
そのため同じメーカーであってもインクは絶対に混ぜないようにしましょう。

Q:インクの消費期限はありますか?

A:各メーカーで異なりますが、約2年~3年と言われています。
期限を過ぎると、色あせや異物の混入による詰まりなどトラブルになる可能性があります。

Q:インクの保管方法を教えて下さい

A:光や熱を避け、冷暗所で保管しましょう。
インクの包装箱の中に入れ、クローゼットなど扉があるところで保管がベストです。
ただし、放置するぎるとインク内にカビが発生してしまうことがあるので、定期的なチェックが必要です。

Q:ペン先のインク量は調節はできますか?

A:調整は可能ですが、一般の方にはむずかしい作業となります。
万年筆の修理を専門に取り扱っている業者へ依頼することがベストでしょう。予算としては3000円~8000円ほど必要となるケースが多いようです。

Q:万年筆のインク残量を調べる方法は?

Q:万年筆のインク残量を調べる方法は?

A:インクビューがついている万年筆ならば目視で確認ができます。
インクビューのない万年筆の場合、「書けなくなった又はかすれてきた」などの状態でインク残量を知ることができます。
※インクビューとは基本的に吸入式の万年筆にあるインクの残量を確認できる透明な窓をのことを指します。

Q:使ってない万年筆のインクの量が減っていました。なぜ?

A:万年筆のインクは自然蒸発します。
万年筆の構造により蒸発量の異なりますが、使っていなかった万年筆のインクが蒸発して気が付けば空なんてこともあります。

Q:万年筆を複数もっています。ペン先が乾かないようにする方法を教えて下さい

Q:万年筆を複数もっています。ペン先が乾かないようにする方法を教えて下さい

A:万年筆にとって「ドライアップ」というペン先のインクが乾いている状態はよくありません。複数持っている場合は、1つの万年筆だけを使うのではなくローテーションで使用する、使用頻度が低い万年筆は洗浄しインクを抜いておくなどの対策をしておきましょう。

Q:書く際に手にインクがつかない対処法は?

A:手にインクがついてしまう原因に、「キャップ内が汚れている」「正しい持ち方が出来ていない」というケースが多いです。
キャップ内を綿棒などで綺麗にし、万年筆の正しい持ち方を意識してみましょう。
他にも書く際に万年筆を持つ手の下にティッシュを引いておく、速乾性のあるインクに変えてみるなどの方法もあります。

万年筆・初心者さん講座|選び方・持ち方・おすすめブランド

おすすめ万年筆インク・10選

厳選した評価の高いインクをカートリッジ・ボトルそれぞれ5種類ご紹介します。
この他にもカラーバリエーションが豊富なシリーズやユニーク性のあるインクなどがあるので、これに限らず色んなインクに触れ「インク沼」にはまってください!

カートリッジインク・5選

プラチナ万年筆・カートリッジ10本入

プラチナ万年筆・カートリッジ10本入
種類水性染料
カラー3種
参考価格440円

発色の良さと滑らかな書き味が人気のアイテムです。
染料インクではありますが耐水性・耐光性に優れており、裏抜け・にじみにも強いインクです。

ラミー・インクカートリッジ5本入

ラミー・インクカートリッジ5本入
種類
カラー7種
参考価格660円

リーズナブルな価格、カラーバリエーション豊富さ、発色の良さなどから人気を集めているラミーのカートリッジインクです。
Lamy2000以外の全てのラミーの万年筆に対応しているので、ラミー持ちの方におすすめの一品です。

パーカー・カートリッジインク5本入

パーカー・カートリッジインク5本入
種類水性染料
カラー4種
参考価格770円

滑らかな書き心地が気持ちいいパーカーのインクです。
速乾性もあり、ブラックの中でも鮮やかな黒を演出してくれます。

エルバン・カートリッジインク6本入

種類
カラー25種
参考価格660円

エルバン・カートリッジインクは豊富なカラーバリエーションと可愛いアルミ缶に入っており飾る楽しみもあるインクです。
欧州共通規格のためお手持ちの欧州タイプ万年筆なら使用することもできます。

ペリカン・インクカートリッジ6本入

ペリカン・インクカートリッジ6本入
種類
カラー4種
参考価格660円

滑らかで癖がない書きやすいと評価を得ているインクです。
持ち運びにも便利なサイズで普段使いに活躍する一品です。

ボトルインク・5選

セーラー・ 極黒(きわぐろ)

極黒(きわぐろ)
種類顔料インク
カラー1種
参考価格2,530円

セーラーが独自開発した超微粒子顔料インクにより、水に強くにじみにくい特徴があります。
速乾性にも優れており普段使いにぴったりなお品です。

パイロット・iroshizuku(いろしずく)

パイロット・iroshizuku(いろしずく)
種類一般書記用インキ
カラー27種
参考価格1,650円

日本の美しい情景からインスピレーションを受けたiroshizukuは全24色あり、豊富なカラーバリエーションが楽しめます。

モンブラン・ボトルインク

モンブラン・ボトルインク
種類染料インク
カラー12種
参考価格3,190円

モンブランのロイヤルブルーは「最も美しいブルーインク」と評価されているインクです。
またオブジェのような靴型デザイン性に人気が集まっており、さらに安定性・詰替しやすいと利便性の高いアイテムでもあります。

ペリカン・ボトルインク

ペリカン・ボトルインク
種類
カラー9種
参考価格1,320円

ペリカンの代表的なインク「4001」シリーズです。
販売から100年以上愛され続けているロングセラー商品で、高級感のあるボトルデザインと全11色のカラーバリエーション豊富さが人気の理由です。

プラチナ万年筆・ミクサブルインク

プラチナ万年筆・ミクサブルインク
種類染料インク
カラー9種
参考価格1,320円(60ml)
1,100円(20ml)

ミクサブルインクの最大の魅力は自分で色を作ることができるインクです。
基本インク同士を混ぜることはトラブルが発生する可能性があるため推奨されていませんが、ミクサブルインク同士なら問題ありません。
60mlと20mlの用容量の違うボトルも販売されており、他のアイテムと比較して自由度の高いインクとなります。

まとめ

今回はインク選びやインクの使い方について疑問点をまとめ解説してきました。
この記事は今後も随時更新していくので、定期的にチェックしてもらえたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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