部員約140名の少年野球チーム「山田西リトルウルフ」(大阪)を率いる“おばちゃん”こと棚原安子さんの著書『親がやったら、あかん! 80歳“おばちゃん”の野球チームに学ぶ、奇跡の子育て』(棚原安子/集英社)。少年野球の指導者、保護者にとどまらず、子育て、教育という観点からも幅広い方々から読まれている本ですが、今回はその中からの第6章の一部を特別にご紹介させていただきます。
おばちゃんは言います、「絶対に『これ以上はうまくならない』とか『この子はこんなもの』と決めつけないこと」。
子どもたちと一緒に野球をやって50年、驚きと発見の連続でした。ウルフに入ってきた時にはまともにボールも投げられず、打てない、捕れない……という子が、6年生になった頃には当たり前のようにゴロをさばき、ヒットを打つ。こんな選手を何人も見てきました。
ウルフは人数が多いので、なるべく試合に出られるようにと学年によってA、B(時にはCまで)とチームを分けています。今年中学2年生になる学年で、Bチームだった子たちなどウルフに入ってきた時は本当に技術のつたない子がそろっていました。どうやって野球ができるようなるか、どうやったら試合になるか。頭をひねってばかりでした。ところが6年生になると、地道にやってきた練習の成果が一気にプレーに出てきたのです。Bチームとして出場した北大阪大会ではなんと3勝を挙げました。見事なファインプレーを決めたり、タイムリーヒットを打ったり、見ていた私たちも保護者も驚き、大喜び。まるで優勝したように盛り上がりました。誰もが「まさかあの子らがここまでなるとは」と思う戦いでしたが、子どもはこんな底知れない力を秘めているのです。
振り返ってみると、これまでも子どもたちには何度も教えられ、驚かされてきました。ウルフではBチームやCチームにいた子が、中学や高校に上がって活躍するケースは本当に多いです。チームに入ってくるまで運動をほとんどしていなくて、ウルフで体を動かすことにも野球にも慣れて、中学、高校でもじわじわと伸び続ける。そして野球を始めた当初を知る者たちを大いに驚かせる活躍を見せるのです。
去年、大阪の中学軟式の大会で優勝した山田中学の4番打者が、ウルフのOBでした。ウルフではCチームにいて、Cチームでもたまに試合に出るような選手。それが3年もたつと大阪の優勝チームの4番打者ですから。これにもまた驚かされました。
早熟、晩熟という要因もあるでしょうが、これが子どもの持つ成長力であり可能性なのです。だから絶対に「これ以上はうまくならない」とか「この子はこんなもの」と決めつけないこと。私たちのような指導者はもちろん、見守る保護者もそう。間違った決めつけが子どもの成長、個性を殺してしまうのです。
子どもの今の姿で一喜一憂するのではなく、頑張った先にどんな花を咲かせてくれるのかを楽しみにする。そうやって日々の成長を見守ってほしいと思います。周りの期待の目が、またその子をより成長させる力にもなります。
「親がやったら、あかん! 80歳“おばちゃん”の野球チームに学ぶ、奇跡の子育て」(棚原安子/集英社)より
おばちゃんは言います、「絶対に『これ以上はうまくならない』とか『この子はこんなもの』と決めつけないこと」。
今だけを見て一喜一憂しないこと子どもがいつ花を咲かせるかはわからない
子どもたちと一緒に野球をやって50年、驚きと発見の連続でした。ウルフに入ってきた時にはまともにボールも投げられず、打てない、捕れない……という子が、6年生になった頃には当たり前のようにゴロをさばき、ヒットを打つ。こんな選手を何人も見てきました。
ウルフは人数が多いので、なるべく試合に出られるようにと学年によってA、B(時にはCまで)とチームを分けています。今年中学2年生になる学年で、Bチームだった子たちなどウルフに入ってきた時は本当に技術のつたない子がそろっていました。どうやって野球ができるようなるか、どうやったら試合になるか。頭をひねってばかりでした。ところが6年生になると、地道にやってきた練習の成果が一気にプレーに出てきたのです。Bチームとして出場した北大阪大会ではなんと3勝を挙げました。見事なファインプレーを決めたり、タイムリーヒットを打ったり、見ていた私たちも保護者も驚き、大喜び。まるで優勝したように盛り上がりました。誰もが「まさかあの子らがここまでなるとは」と思う戦いでしたが、子どもはこんな底知れない力を秘めているのです。
振り返ってみると、これまでも子どもたちには何度も教えられ、驚かされてきました。ウルフではBチームやCチームにいた子が、中学や高校に上がって活躍するケースは本当に多いです。チームに入ってくるまで運動をほとんどしていなくて、ウルフで体を動かすことにも野球にも慣れて、中学、高校でもじわじわと伸び続ける。そして野球を始めた当初を知る者たちを大いに驚かせる活躍を見せるのです。
去年、大阪の中学軟式の大会で優勝した山田中学の4番打者が、ウルフのOBでした。ウルフではCチームにいて、Cチームでもたまに試合に出るような選手。それが3年もたつと大阪の優勝チームの4番打者ですから。これにもまた驚かされました。
早熟、晩熟という要因もあるでしょうが、これが子どもの持つ成長力であり可能性なのです。だから絶対に「これ以上はうまくならない」とか「この子はこんなもの」と決めつけないこと。私たちのような指導者はもちろん、見守る保護者もそう。間違った決めつけが子どもの成長、個性を殺してしまうのです。
子どもの今の姿で一喜一憂するのではなく、頑張った先にどんな花を咲かせてくれるのかを楽しみにする。そうやって日々の成長を見守ってほしいと思います。周りの期待の目が、またその子をより成長させる力にもなります。
「親がやったら、あかん! 80歳“おばちゃん”の野球チームに学ぶ、奇跡の子育て」(棚原安子/集英社)より