わぁ、、、
あわわ、
シュール (>□<)ナノダワァ
バーソさんの選んだ
小粋な艶っぽ い画像も
あいまって、
なんか ドキドキしちゃったワ。。。
芥川龍之介の未完・未発表の作品『人と死と』その二。
恋のからくり 夢芝居 男と女 あやつりつられ
細い絆の 糸引き ひかれ こなしきれない 涙と笑い
今回は、芥川龍之介の未定稿・未発表の小戯曲『人と死と』(その二)です。
(8月30日記事で紹介した「月と人の対話」編の続き)
誘い、誘われる、女一人と男二人の怪しい駆け引きが、
静かな月明かりの下で、情緒感さえ漂わせながら、いけ図々しく演じられます。

BGMは『夢芝居』でいかがでしょう。 絵(小村雪岱)はストーリーとは無関係。

或支那の街を流れる運河。粉壁の楼がいくつも水に臨んでいる。 深夜。
AとBとが画舫(がぼう)※を漕ぎながら出て来る。
(※美しく飾った中国の遊覧船)
A 君が漕げと云うから、此処まで漕いで来たんだが、
一体この夜ふけにどこへ行くつもりなんだ。
B あの家(うち)の下まで行けばいいんだ。
A あの家? あれはあの女の家じゃあないか。
B うん、あの女の家だ――実は少し面倒な事が起こってね。
是非 君の手を借りなければならない事になったんだ。
まあ 舟をつないでくれ給え。
A 何だい、用と云うのは。
B どうも とんでもない事になってしまったんだ。
A どうして。
B とうとう 二人の関係が見つかってしまったんだ。
A 見つかった? 誰に。
B 勿論、亭主にさ。
A ほんとうかい、それは。
B ほんとうだとも。
A そいつは弱ったね。
B 弱ったね所じゃあないよ。

A どうして又、そんな事になったんだい。
B なあに、一昨夜の晩、あすこに行ったらう。
すると、急にそれ迄 留守だつた亭主が帰って来たと云う騷ぎなんだ。
A なあるほど。
B そこで、慌てて逃げる拍子に、
履(くつ)を片足落としてしまったじゃあないか。
A おや、おや。
B そいつが又、運悪く、亭主に拾われたんだ。
A そこで、とうとう露現してしまったのかい。
B うん――考えて見ると莫迦莫迦しいよ。
一度もほんとうに関係 したと云う事が あるんじゃあなし。
一昨日の晩だって、やっとあの部屋へはいったかと思うと、
その騷ぎなんだからね。 これで、亭主に恨まれりゃあ世話はないよ。
A そう云えばそうだね。
B あんな女に、手なんぞ出さなけりゃあよかった。
こうなると、君にも恨があるぜ。
A ふん、僕があの女と関係しろってすすめたからかい。
B 無論さ。
A しかし、あの女だって 君にゃあ随分 気があるんだらう。
B どうだか。
A 気があるとしてみりゃあ、僕のすすめた事だって、
まんざら功徳にならない事もなさそうだぜ。
それに、亭主に感づかれたのは、全然 君のぬかりだからね。
B しかし、君もそう云う責任がある以上は・・・・・・
A それは僕だって出来る丈の事はするつもりさ。
B いや難有い(注)。それでこそ君だよ。
実は今日、あの女から手紙が来てね。
こうなった以上は、一しょに逃げるより外に仕方がないって云うのさ。
(注:有難いとも書く)

A だが、亭主はどうする。
B どうするか 僕は知らないが・・・・・
A 嘘をついても駄目だよ。 君の知らない筈はないんだから。
B いや、嘘をつく訳じゃあないが、出来れば云い度くない事だから・・・・・
なに 実は、いつか君に貰った睡薬をのませる事にしたのさ。
A その責任は僕にはない事にして貰いたいね。
B まあ、そんな事を云わずに聞いてくれ給え。 そこで、兔も角も逃げる事に
なったんだが、それには舟で川を下るのが、一番いいし・・・・・
A なあるほど、それで僕が舟頭か。
B まあ 嫌でもたのまれてくれ給え。 僕たち二人の命にかかわる事なんだから。
A 僕がたのまれたら、反って君の命にかかわりゃしないか。
B そんな冗談を云っている場合じゃないよ、
おがむから、うんと云ってくれ給え。
A おがまなくってもいいがね。 兔に角 舟をこぐだけはひきうけるとしよう。
B そうか、それは難有い。 これでやっと安心した。 僕は何もわざわざ君を
たのまなくってもと思ったんだが、あの女が又 存外 気が小さくってね。
何でも見ず知らずの舟頭 じゃあ いやだ と云うもんだから。
A いやはや、とんだ御見立てにあずかったものだ。
B いざとなると、女と云うものは実際 意気地のないものだからね。
A じゃあ そろそろ仕事にかかろうか。
B うん、いくら夜が長いと云っても、夜明 けまでに、出来るだけ遠くへ
行かなければならない体だからね。
Aが纜(ともづな)を解いて、画舫の或楼の下に漕ぎ寄せる。
A あたるぜ。
B 大丈夫だ。
A 相図でもきめてあるのかい。
B うん。 (画舫の中から月琴を出して弾く)
暫くは、月琴の響ばかり。 やがてその楼の窓が開いて、女がそっと顏を出す。

女 Bさん?
B そうだ。
女 (手真似をして) しっ。
すぐに、窓から綱を下ろし、それにすがって女が、こわごわ下りて来る。
Bが途中で抱いて、画舫の中へおろす。
B どう したい、あいつは。
女 ねているわ。
(Aの方を透かして見る)
どなた? Aさん?
A そうです。
女 どうも 御苦労樣。
A どういたしまして。
B 何が可笑(おか)しいんだい。
女 だって可笑しいじゃあありませんか。
A じゃあ 舟を出すぜ。(静かに画舫を漕出す)

B 己の履はどうしたい。
女 おいて来たわ。
B おいて来た?
女 ええ。
B 莫迦だなあ。
女 だっておいて来たって、いいのじゃあなくって。 私と一しょに逃げたのが
知れたって格別悪いわけは、ないんでしよ。
B そりゃあ そうさ。
女 じゃあ だまっていらっしゃいよ。
B だまっていろ?
女 ええ、もうあなたのする丈の芝居は すっかりして しまったんですもの。
あとは楽屋で ゆっくり休んだ方がいい じゃあありませんか。
B 何を云っているんだ。
女 まだ、わからない?
B 誰がわかる奴がいるもんか。
女 じゃあ、もっとよくわからしてあげるわ。
(Aに) ちょいと、早くさ。
A よし。
(後ろから、突然、Bの頸を絞める)
B ああ。 (死ぬ)

女 やっと、片づいたわね。
A これで、けりがついたと云うものさ。 (Bの体を水の中へ落とす)
亭主は目がさめてから お前がBと一しょにかけ落ちしたと思うだろう。
女 身を投げたと思うかもしれないわ。
A 何とでも思うがいい。 (櫂で水を切りながら) これから川づたいに、橋をくぐり
橋をくぐりして行けば、夜があける迄に揚州へは行けるだろう。
女 月がでたようね。
A うん、そう云えば水の上が明るくなったようだ。
そこにあいつの月琴があるだろう、ねむけざましに それでも弾くがいい。
女 そうね。
舫(もやい)は静かに水の上を辷(すべ)って見えなくなる。
月明。 ただ月琴の音だけが、遠くなりながら聞えている。

(表記、改行は一部変更しています)

優しさを捧げたのに、ぬくもりはかえってこない。
心の鏡を のぞき、のぞかれ、たぎる想いが舞い上がる。
恋と浮世の綾模様。
だれが書いたか、この筋書きは。
(人生の筋書きもどうなってるのか。
分からないところも面白いのでしょう)

・『芥川龍之介全集』 第二十二巻(454-463頁) 岩波書店
・小村 雪岱(明治20年3月22日 - 昭和15年10月17日):日本画家・挿絵画家
『演芸画報』(http://dassai2.p2.weblife.me/scrap0019.html)他より
COMMENT FORM
こんにちは。
代理間男仕立て上げて追及を躱そうて、何ちゅう奸智や。だしにされた男はええ面の皮やね。水も滴るええ男気取っとった男がアホやったとも言うけど、結果は水も滴る土左衛門やもんなぁ。浮かばれへんわ。え?浮かんでもらわんと困る?せやな。見つかってもらわんと身代わりの意味あらへんもんなぁ。
しかし思うんよ。関係ない男殺すんなら、旦那殺した方が寝覚めええやん。女房に逃げられて世を儚んだっちゅう事で墓に入れてもうたらええんやわ。え?儚いのに墓に入れられるかて?こらあやまったなぁ。あ、謝る位なら、んな事せぇへんか。
おお、「わぁ、あわわ、シュール」でしたか。
シュールとは、「現実離れしたさま」、「不条理なさま」の意。
ということは、レイままさんはこのようなことは微塵たりとも思ったことも無いので、非常なる驚きを感じたとの意でしょうか。
しかしながら、「なんかドキドキ」したとは、心の奥深いところには、そのようなことを強く願う潜在意識が潜んでいるということを意図して表しているのでしょうか。
いやいや、「あわわ」とひどくうろたえて、「ドキドキ」のあとに「しちゃったワ」と
かわいらしい言い方をする配慮をしていたところからすれば、そうではないのですね。
こりゃまた、失礼をばいたしました。
それにつけても、画像を「小粋な艶っぽい」と褒めていただいて、うれしいですね。
なかなか画像を褒めていただけるなんてことは少ないんですよ。
おっと、この「艶」って「通夜」の意を掛けていませんよね。(笑)
おおーーーーっ、洒落言葉の連発話。
私が酔う訳、もとい、漸く理解したところを要約すれば、
・「水も滴るええ男」と「水も滴る土左衛門」。・・・水左衛門じゃないのが変ね?
・「浮かばれへん(成仏できない)」と「(川に)浮かんでもらう」。
・「儚んだ」と「墓に入れる」。ええと、「謀った」までは考えていませんよね。
・「誤る」と「謝る」。
最期は、いえ、最後はいいオチだなあ。これで川にオチた話が決まります。
おっと、
「躱そう」は「川」と、「奸智」は「勘違い」と掛かってるのかな。
「あらへん」のヘンは「変」なのかな。
「間男」は「真央と子」、もしくは「魔王と孤」じゃないよね。
むむむーっ、考え出すとキリがない。
それにつけても「旦那殺したほうが目覚めええやん」って、
これは、さんざ女を泣かしたお人の言い方っていうもんじゃあありませんかね。(笑)
バーソ様
こんばんは。
申し訳ありません。今回もパスさせて下さい。
読書嫌いで特に小説が苦手なものですから。
愛新覚羅
あーーー、また、わざわざご丁寧に、すみませんね。m(__)m
以前にも申し上げましたと思いますが、関心のない場合は、
どうぞ遠慮なく、断りなく、パスしてくださいな。
私も特段 書くほどのことがないときは、そうしていますので。(^<^)
芥川龍之介の未完・未公開第二弾、興味深く読ませていただきました。
A、B、女が絡む情痴小説みたいですね。Aは女がBと駆け落ち
したと、女の夫に思わせる芝居をしたということですよね。
でも女にとってはAとBのどちらと駆け落ちしようが被るもの(夫からの
非難とか追及)は同じですね。Bを殺すような大罪を犯す必要性が
分かりません。それにこの犯罪計画、船を出し女と駆け落ちする、
をもちだしたのはBですね。AがBを誘い出すなら分かりますが
逆ですもんね。いろいろ水行10日・・・じゃなかった推敲する必要が
あって未発表になっていたのでしょうか。
「水行十日・陸行一月」とは、邪馬台国から魏都の洛陽までの距離。その途中に、女とAの目的地=揚州がある。・・・揚州は面白い位置にありますね。
なるほど、「水行(スイコウ)」と「推敲」と掛けていて、
「水行(ミズギョウ)」と読めば、殺しの罪を清めることに関係してるのでしょう。
ストーリーの分析はさすが。よく読みこんでいますね。
この計画は、女が発案し、不倫相手のAが乗り、Bがだまされたんじゃないでしょうか。
A 僕(A)があの女と関係しろってすすめたからかい。
B なに 実は、いつか君(A)に貰った睡薬をのませる事にしたのさ。
B あの女が・・・何でも見ず知らずの舟頭じゃあ いやだと云うもんだから。
睡薬は女が夫に飲ませたらしい(大量に飲ませたか)ことが示唆されています。
B どう したい、あいつ(夫)は。
女 ねているわ。
女は大罪を犯すことに罪の意識を持っているどころか、笑って「芝居」に例えています。
B 何が可笑(おか)しいんだい。
女 だって可笑しいじゃあありませんか。
女 ええ、もうあなたのする丈の芝居は すっかりして しまったんですもの。
あとは楽屋(黄泉)で ゆっくり休んだ方がいいじゃあありませんか。
殺人をすることに全くためらいがありません。
女 じゃあ、もっとよくわからしてあげるわ。(Aに) ちょいと、早くさ。
A よし。 (後ろから、突然、Bの頸を絞める)
最後のセリフは冷酷です。心は微塵たりとも揺れ動いていません。
女 月がでたようね。
>Bを殺すような大罪を犯す必要性が 分かりません。
私もそう思います。 miss.keyさんも同じ感想でした。
三人とも真面目ですねー。女は怖いですねー。(笑)
不倫と睡眠薬の話は、芥川の断面を表していないでしょうか。
芥川は、女(秀しげ子)は怖いと思って、懲りていたのかもしれません。
ところが、そんな女にいつも引っ掛かる男がいるんですねえ。
あ、私のことですが。そして昔の極めて数少ない経験から思うわけですが(笑)
はじめまして。シニアナビ事務局と申します。
突然のコメントで申し訳ございません。
私たちはシニア向けのコミュニティサイト「シニア・ナビ」を運営しております。シニアナビはお持ちのブログ登録が出来き、シニアナビ内でこちらのブログを公開する事ができます。
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また、シニア・ナビに遊びに来ていただけると嬉しいです♪
以前にも「通りすがり」という名で来られた方ですね。
せっかくですが、いまのところ、シニアの集まりには関心がありません。
すみませんね。
これは初めて読みました。興味深いです。
ところで、仮にあの世があるとしたら、芥川はあの世で、自殺したことを肯定的に捉えていると思いますか?否定的に捉えていると思いますか?
運命愛の観点に立てば、自殺を運命として肯定するでしょう。いのちだいじにの観点に立ちかえったなら後悔しているでしょう。虚無思想に捉われたらどっちでもいい問題でしょう。
バース様は人がじさつすることについてどのようにお考えになりますか?
私は、あの世はあり、そこは一切の感情を超越できる次元ではないかと思っています。
そう考えるほうが道理にかなっていると思います。
自殺はよくないと言われることがありますが、私は、自殺した人を責めるべきではないと思います。そうせざるを得ないような深い事情が当人にとってはあるはずですから。
ただし、線路に飛び込んだりして、多くの人に迷惑は掛けないでほしいですね。
誰でもいいから人を殺して自分も死ぬなんてことを言う人は論外です。