昨年は、朝7時前に出発したのダガ。。。
前白根まで5時間を要してしまって、結局は諦めるしかなかった。
やはり自分の遅足では、雪が締って歩きやすい残雪期に行くか、仮にこの時季なら2時間は早く出なければ届かないだろうという結論に至った。
で、そんなお山というのが、雪の白根隠山。
白錫尾根にある白根隠山については、夏、ここ数年毎年のように登っているお気に入りの山で、昨年も記事にこそしなかったが、8月11日に一昨年と同様、中ッ曽根から五色山経由で登った。
で、この時は、再チャレンジするつもりでいる中ッ曽根から五色山の下見を兼ねて、白根隠山周辺に居るらしいイワヒバリを目的に出かけたが、一昨年前、あれだけ刈られていた中ッ曽根の笹の背丈が、大分高くなっていて、成長の早さに驚いたのと、100-400㎜のレンズを担いで行ったのに、残念ながらイワヒバリには会えなかった。
それはさておき、前白根から白根隠までの稜線は、避難小屋まで一度下ることになる奥白根に比べれば、高低差も距離も短いが、夏でも自分の足で1時間ほどかかるから、積雪期のこの時季なら、倍の時間は見込んでおく必要がある。
いずれにしても長丁場になる話なので、月曜からの仕事を考えれば、土曜に行った方が楽ではあるが、生憎と土曜は、カミさんと鳥見に行く約束があるからダメ。
まぁ、天候自体は日曜の方が良さそうだし、途中までは前日のトレースを期待できるから、日曜で良かろうと出かけることに決めた。
そんなワケで、2月5日(日)は、懸案の白根隠山へ。
車中泊が苦手なσ(^^)は、端から前乗りして泊まる気など無いが、それでも、4時半には歩き出すことを目標に、夜中の1時に起き出して、早二ヶ月ぶりとなる奥日光へ、出かけることにしたのでした。
まだ、真っ暗な中、いろは坂を上って行くと、出だしから路肩には雪が残っていて、いつもなら降雪直後でもなければ、出だしで雪を見ることはないのに、今年はそれなりに雪が降ったことを思わせる。
中禅寺湖畔に上って、月に煌々と照らし出された男体山を仰ぎ見ると、まったく雲がかかっていなくて、快晴の一日を思わせる。
ところが、竜頭の滝入口から白く凍結した道路を走って戦場ヶ原へ向かうと、天気予報に反して県境尾根は厚い雲に覆われていて、湯元の駐車場では、少ないながらも雪が舞っていた。
「こりゃ~違っちゃったか~。。。」とは思ったが、相性の良い山域だから、いずれ晴れるだろうと出発の準備を進める。
早朝にも関わらず駐車場には車中泊なのか何台もの車が停まっていて、真冬に来た中では、今までで一番多く感じた。
σ(^^)以外にも準備をしている人がいたが、一足先にヘッデンを点けて出発。
当初は4時半過ぎに出発したつもりでいたが、後でヤマレコを見ると、時刻は5時少し前だった。
初めからチェーンスパイクを履いて進んで行く。
登山口となる湯元スキー場に向かうと、暗いうちから圧雪作業中で、歩き易いと思う反面、新たにトレースを刻むのは申し訳ないと出来るだけゲレンデの端を進んで行く。
圧雪車が幾度となく往復する中、左奥のゲレンデに明かりを点けた人影が見えて、先ほど準備をしていた人なのか、σ(^^)以外に早出の人が居ることに驚く。
白根沢ルートに向けて登って行くと、いつの間にゲレンデを横断して来たのか、人影が後ろに居て、このスピードなら、いずれ追い抜かれるだろうと思う。
ところが、人影はいつまで経っても追い付いて来なくて、そうこうしているうちにリフト終点を過ぎて尾根の取り付きまで来ていた。
尾根の取り付きには、昨日のモノと思しきトレースが残っていたが、いざ尾根に上がってみると何故かトレースが消えている。
そこで何を思ったのか、白根沢ルートはもっと奥だったかなぁ~・・・と勘違いをして、雪に埋もれた白根沢をそれと気づかずに渡って、左岸側の尾根に向かってしまった。
ただ、向かった先も、もちろんトレースなど無くて、此れはさすがに違うと気付いたところで、先ほどの人影が右岸側の尾根に上がって来た。
人影も此方に来ようか迷っているようだったが、「そっちの尾根が正解だよ。」と声をかけて、雪に股下まで嵌りながら戻る。
まったく、登る前から無駄な体力を使っちまったワイと思いながら戻ると、人影は4・50代といった感じのσ(^^)よりは、少し若そうなおっちゃん。
で、此処からは、おっちゃんの後について尾根を登ることになるが、所々、トレースは残っていても明瞭と呼べるほどでは無くて、おそらくは雪が硬くてラッセルが要らないからだろう。
尾根を登り出して間もなくで、おっちゃんが目の前から消えて、不思議に思いながら進むと、トレースを外れた処でおっちゃんは、足下を替えていた。
σ(^^)も少し先で、これ以上チェーンでは厳しいからと、スパイク10に替える。
ところが、スパイク10に替えてはみたモノの今回の白根沢ルートは厳しかった。
此れまでも白根沢ルートは冬に登っているが、ルートが雪に覆われて消えているのは初めて。
斜面もガチガチのアイスバーンに薄く雪が乗っているような状況で、一応、スパイク10は前爪があるから蹴り込めるが、場所によっては、三度蹴っても弾かれて、容易に立ち込めずにズルズル滑って、登れない。
そのうち、重アイゼンを履いたおっちゃんが下から現れて、「先に行きましょうか。」と再び先頭に立ってくれた。
此れはありがたいと思いながら、おっちゃんの後をついて行く。
しかし、おっちゃんが一歩でクリアしている傾斜が、どうにも一歩では越えられなくて、はやり二度三度と蹴り込む場面が出て来る。
それにしても、オーバースペックが嫌でお手軽モードにしたが、今回は、それが完全に徒になったナ。
200m級を登るのに重アイゼンを履かないなら、せめてピッケルを持つべきことは経験則上分かっているのに、今回は軽アイゼンでも余裕だろうと完全にナメていた。
先行してくれたおっちゃんは、お世辞にも速いとはいえないスピードで、十歩進んでは立ち止まり、二十歩進んでは立ち止まりを繰り返している。
ただ、σ(^^)も抜けるかというと、思うようにスピードは上がらなくて、ズルズルと滑るワ、時折、踏み抜いては痛めている左膝に激痛が走るはで、どうにか進むしかなかった。
朝方降っていた雪もいつの間にか止んで、空が白み始めて、後ろからワカンを履いた30代と思しきにーさんが、追い付いて来た。
このガチガチに凍った雪にワカンとは、さすがに厳しかろうと声をかけると、スーパーカンジキの試し履きだそうで、「滑って大変。」と言いつつも、やはり若さなのか強引に登って行った。
そのにーさんを追うように、今度は20代と思しきあんちゃんがやって来るが、この彼とは、帰りの前白根の登り返しと、その後、駐車場で着替えている最中に再び会うことになった。
それはさておき、やはり若さがなせる業か、二人とも前を行くおっちゃんをあっさりと躱すと、あっという間に消えてしまった。
ようやく急登がおさまって、おっちゃんに続き外山との鞍部に着いて、此処でスノーシューに履き替える。
カメラで記録した気温を見ると、この鞍部がこの日の最低気温で-10℃。
おっちゃんは日の当たる南側の斜面を覗き込んで、そのまま、尾根の南側を登って行った。
σ(^^)は、此処で荷物を下ろして大休止。凍った握飯を不味いと思いつつ口に放り込んでスパイク10を外してスノーシューに履き替える。
左膝の痛みもあってスノーシューに履き替えるのに苦労していると、山屋然としたおっさんが登って来て、南側を少しだけ覗いた後、尾根の北側にある夏道を進んで行った。
ようやくスノーシューを履き終えて夏道ルートで行く。
やはりσ(^^)にはスノーシューの方が合っているようで、スピードも上がって、いずれこの調子ならおっちゃんに追い付けるかなぁ~と思いながら進んで行く。
そのまま夏道を緩やかに登って行くと、昨日は泊まりだった方とすれ違った。
天狗平との分岐に来て、やはり冬は尾根通しの方が良かろうと、夏道を外して左のトレースを追う。
時折、後ろを振り向いては男体山ファミリーを撮りながら進む。
高度を上げて行くと、袈裟丸連峰の上に富士山が見えた。
その富士山をUPで。
昨年は、尾根ルートでシャクナゲのチョイヤブに邪魔されたが、今年は、シャクナゲ藪を避けるように、尾根の左にトレースが続いていた。
ロープをまたいで、再び夏道に戻る。白根沢の源頭を過ぎて、傾斜が増す頃、おっちゃんの姿が見えて、ようやく追いつくことが出来た。
おっちゃんは相変わらず重アイゼンのツボ足で歩いていて、ツボ足じゃ厳しいのではと話しかけると、交換するタイミングを逸したとのこと。
外山の鞍部まで先行してくれたのは感謝でも、この先は、お付き合いできるモノでもないので、先に行かせてもらう。
おっちゃんを躱した頃から、木々には綺麗な霧氷が目立ち始めた。
真っ白になった奥白根。今シーズン最初に登った時とは、比べようもない。
此れから向かう白錫尾根と左端に白根隠山。
まだ気温が低いからか、前白根の手前が霧氷の森になったのを初めて見た。
そして、前白根山頂に10時30分前に到着。
軽アイゼンで苦戦したとはいえ、さすがに昨年より30分も遅い到着となるとは思ってもみなかった。
とはいえ、まだ10時台だし、さすがに2時間もあれば白根隠に届くだろうと、山頂の写真を撮って、避難小屋方面に向かってく下って行く。
前白根の西側は、はやり風当たりが強いのか、雪は少なく土や岩が露出しているが、スノーシューのまま構わずに降りて行く。
冬に此処を歩くのは初めてだが、トレースは硬くクラストしていて快適に進んで行ける。
やがて、白錫尾根との分岐に着いて、その先にトレースは無いが、スノーシューは沈んでも踝くらいだから、ラッセルというほどの苦労も無くて進んで行ける。
此れならば、夏と変わらない時間で行けるかなぁ~と気分的にも楽になって進んで行くと、いつの間にか、人のモノと思しき足跡が現れた。
ただ、今日のモノでないことは確かだし、昨日のならもっと明瞭でも良いハズ。
雪が上に乗っているところを見ると、おそらくは先週か3・4日前のだとは思うが、この足跡は、2385mピークを越えると消えてしまった。
振り返って、五色山に五色沼。
もしかすると、この足跡の主は、2385m止まりだったのカモ知れない。
そして、いよいよ待望の白根隠山に近づいて来た。
それと同時に腹が減ってしまって、時刻を見れば、もう11時半。
どおりで腹が減るワケだと、白根隠の手前の鞍部に辿り着き、風も穏やかなので最後の急登を前に昼食をとる。
カップラーメンを食べながら、最後の大物を眺めると、此れまでと違って、稜線にはガチガチにクラストした斜面と大きな段差が見える。
一見して、右の樹林沿いに登るのが最も安全とは分かるが、モナカだとスノーシューでももがくようだし、ピッケルを持って来なかったことに、どうしたモノかと思案する。
結局、登りはクラストした斜面を登り、下りは樹林近くを下ることに決めて、食事を終えて人心地ついたところで、東寄りの斜面に取り付くことにした。
下からは大した傾斜に見えなかったが、登るほどに立ってきて、此れはピッケル無しでは無理じゃないかと不安になる。
見たところ、岩や草が露出している場所もあって、行けなくもない気がするが、この岩の露出が何処まで続いているのか気にかかる。
今のところスノーシューの歯は利いているが、見た目どおり氷はガチガチで、ピッケルなしで滑落したら止めようがない。
さすがに、これ以上、傾斜が増したらヤバかろうと、東側を登るのを諦めて、西側へ逃げることにした。
風と雪が織りなす景色は、見ている分には綺麗だが、此処をピッケル無しに登る気にはなれない。
危険個所を乗り切って、振り向いて写真を撮る余裕がある。
左の斜面越しに男体山と中禅寺湖。
ガチガチに固まった斜面を右側から迂回して、どうにか一つ目の小ピークへ。
その後は、緩やかにアップダウンを繰り返し、白根隠山の山頂へと辿り着いた。(12時28分)
久々に「やった~。」と一声。
感極まったほどではないが、ようやく雪の白根隠山頂を踏むことが出来た。
山頂は、前白根と比べても風が強くて、おそらく10m前後。
常時強い風が吹きつけていて、ゆっくりと食事をとれるレベルではないから、先ほどの鞍部でお昼にしたのは正解だった。
南に真っ白な白檜岳と奥に錫ヶ岳。
山頂の南側で西側を眺める。奥は武尊山のような気がするが、実はよく分かっていない。
振り返って、五色山と前白根。
奥白根の裾野の先の白い山々は上越の山だとは思うが、正直、何処が何なのかサッパリ。
取り合えず荷物を下ろして写真を撮る。奥白根から笠ヶ岳にかかけての西側をスマホの広角レンズで撮ろうとしたら、気温が低いからなのか、何回試しても紫色になって、まともに撮れなかった。↓
まぁ、別に広角でなくてもまわないから、しゃ~ないかと諦める。
結局、白根隠山頂では強い風に吹かれながら15分以上過ごして、名残惜しいが下山することにした。
山頂付近で見られたシュカブラ。
やはり、下山で気を使うのは、先ほどの山頂直下の下りで、上部の傾斜がきつい処は樹林脇の斜面を利用して、途中からσ(^^)のトレースを利用して下る。
鞍部まで下って、向かいの2385mピーク。
この先も登りは続くが、目的を達成した後だから足取りも軽い。
戻りながら奥白根を眺めると、ほぼ直登ともいうべきトレースが見えて、中腹に、山頂から降りて来た2組とは別に、途中すれ違って登って行く人の姿が見えた。
時刻は既に13時過ぎ。この時間まだ奥白根を登る人がいるのか・・・と思ったが、もしかして、おっちゃんではないかと思い始めた。
対してσ(^^)は、前白根の登り返しが、実質的に最後の登り。
右に双耳峰に見える燧ヶ岳。
すると、此方の真っ白な山は、至仏山ということなのか。
前白根の鞍部まで戻って荷物を下ろして小休止。
菓子パンを齧りながらおっちゃんと思しき人影を目で追う。
見た感じ山頂までは、まだ3割りほど残っているから、1時間以上かかりそう。
仮に山頂を踏めたとしても避難小屋まで下るのに、トータルで2時間半はかかるから、おそらく白根沢ルートは下れないような気がする。
おっちゃんは、40Lのザックを背負っていたように思うが、果たして小屋泊まりの装備を持って来たのかな・・・と少しばかり気になった。
前白根の鞍部で10分ほど休憩して、最後の登りに取り掛かろうとすると、避難小屋方面から、単独の若者がやって来た。
見れば、今朝、追い越して行った20代のあんちゃん。
さすがに足が早いなぁ~とは思ったが、再び駐車場で再々会したときに聞いた話では、それでも、後ろから来た二人に抜かれたと言っていた。
あんちゃんはといえば、デジイチで風景を撮っているようなので、先へ。
そのうち、あんちゃんは追い付いて来たが、少しばかり話をした後、途中から先行して天狗平方面へと消えて行った。
σ(^^)は、昨年、天狗平に寄ったので、往路と同じ展望の良い冬ルートを下る。
男体山を眺めながら外山の鞍部まで戻って、再びスパイク10に履き替えていると、案内のねーさんの後、外国人のにーちゃんが降りて来て、二言三言話して、下って行った。
σ(^^)も、スパイク10を履き終えて下り始める。(15時13分)
登りで三度、激痛が走った左膝だから、急坂を下るのは楽ではないが、あまり痛い思いをせずに下って行く。
斜面の状態も、人が入った分、往路よりは遥かにマシで、スパイク10でもさして危険を感じることなく下ることが出来た。
↓今朝方は、雪に埋もれて気付かなかった梯子も、帰りは其れと気付いた。
前白根山の手前でパンを齧ったハズなのに、下っているうちに腹が減ってしまって、傾斜が緩んだ処で一休みしようと立ち止まっていると、後ろから30代と思しき2人組が降りて来た。
足の速さから、おそらく奥白根でおっちゃんと思しき人影とスライドした二人組だと思うが、此処を軽アイゼンで登るのは大変だったと話しかけると、二人はスノーシューで登ったとのこと。
「スノーシューで!」と驚いてみせたら、「軽アイゼンなら、スノーシューほど大変じゃないでしょう。」と自慢されてしまったが、σ(^^)は、ツボ足で沈まないルートに、わざわざスノーシューで登ったことに驚いたダケで、どうにも勘違いさせてしまったらしい (^^;
其れはさておき、二人組が去った後、予備にとっておいたお握りを頬張って、腹が満たされたところで、再び下山に取り掛かる。
ドンドン下るが、尾根の末端までは行かず、手前からゲレンデの上部へ。
既に営業が終わっているスキー場だが、迷惑にならないよう出来るだけ端を歩いて下って行く。
もう、アイゼンが無くても問題なかろうと、途中でスパイク10を外して、ゲレンデの末端まで下り、駐車場に帰着。(16時53分)
そして、駐車場まで戻って着替えをしていると件のあんちゃんが現れて、しばらくの間、山談議。
地元が那須塩原ということで羨ましい限りだが、こと日光に関しては、やはりσ(^^)の方が詳しいらしい。
そして、去って行くあんちゃんにお疲れ様と別れを告げて、ようやく楽しくて長い一日が終わったのでした。
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