2008年のYoshiさんの記録を読んだ時から,
ずっと気になってはいたのだが・・・。
毎年のように候補に上がりながらも,
此れまで先送りになっていたのが,
ヒツ沢大滝
ヒツ沢大滝については,Yoshiさんの他にも,
2010年に雪田爺様やあっきーさんが,
また,2017年に魔法使いさんが訪ねているが,
そもそも本流に当たる木ノ俣川自体,
沢登りの対象となるような川では無いことに加えて,
釣り師が多いこともあって,
この滝を目にするのは,釣り師か滝屋くらい。
ただ,落差はあっても,
斜瀑という点にあまり魅力を感じなかったのと,
釣り師とのトラブルを避けたいσ(- - )は,
何だかんだと,二の足を踏んでいた。
とはいえ,同じ支沢に当たる西俣沢左俣大滝を訪ねてから,
早11年の歳月が流れようとしいるし,
いつまでも放っておくワケにいかんだろう。
↑画像は,2008年9月の西俣沢左俣大滝
そんなワケで,1日(日)は,久々の木ノ俣川へ。
先週は,忙しさのあまり,遠出している時間が無くて
地元のチョイ滝巡りでお茶を濁したが,
そもそも,上流に堰堤以外の人工物や田畑がある滝は,
σ(- - )は興味が無いから,納得出来た滝は一ヶ所ダケ。
やはり,訪ねるなら,深山にある手垢にまみれていない,
美しい滝が一番だワイと考えて,
またしても,月初めのゴミ拾いをサボって,
出かけることにしたのでした。
木ノ俣川沿いの林道を走り,駐車スペースに着くと,
釣り師のモノと思しき三台の車が停まっていて,
そのうち二台は,出発したようだが,
もう一台では,まさにオッチャンが出発の準備中。
いずれ釣り師とかち合うにしても,人数が少ないに越したことはない話で,
準備を終えて,西俣沢方面へ向かって行くオッチャンに,
ホッと胸をなでおろす。
木ノ俣川を訪ねるのも,早いもので11年ぶりだが,
前回は,西俣沢とその支沢の滝見の後に,木の俣発電所の奥を覗いて,
容易に右岸側に降りられることを,確認していた。
ただ,その後の2015年の関東・東北豪雨災害の折りに,
奥の護岸が,大きく崩れたという噂を,風の便りに聞いていた。
で,今回改めて目の前にすると,
かつての面影は,まったく残っていないほど荒れていて,
情報どおり右岸側には,今にも壊れそうな梯子がある。
おそらく,釣り師の設置した梯子だろうが,
この撓む梯子をありがたく利用させてもらって,平瀬へと降り立った。
左岸側を眺めると,早速,石積みの護岸と平場が目に入る。
この平場が,かつて木ノ俣川にあった軌道の跡で,
今回は,この軌道跡を利用して,奥へ進むことにする。
左岸側に延びる軌道跡を進むと,直ぐに上下二段の砂防堰堤が現れて,
上手く進めば,そのまま巻くためのガレ場に取り付けるが,
あえて中段の河原に降りてみる。
ちなみに,この砂防堰堤,
軌道より後に設置されたそうで,軌道を分断している。
その砂防堰堤を巻くガレ場には,ロープが設置されているが,
別に使わなくても,簡単に登って行ける。
堰堤の上は,広い平瀬となっていて,左岸側に続いていた平場は,
いつの間にか右岸側に延びて,コンクリートの構造物が現れる。
構造物の上は,↓こんな感じ。
ただ,この構造物から先で,軌道跡は判然としなくなって,
しばらくは,それっぽい左岸側を進んでみたが,
右岸側に石積みの護岸が有ることに気が付いて,
其処からは,軌道跡に復帰することとなった。
軌道跡は,何ヶ所か崩壊したガレ沢で不明瞭な部分はあるが,
それでも河原に降りることなく,進むことができる。
枝沢を横断する箇所に,おそらくは橋の支柱で「ほぞ」が確認できる。
平場では,シダ類が繁茂している場所もある。
やがて樹幹越しに,左岸側のコンクリート擁壁が垣間見えると,
右岸側の軌道跡も終わりが近ずいて,
岩場に設置されているロープを頼りに,川床に降り立つと,
左岸側の下流に,先ほどのコンクリート擁壁が立っていた。
少し上流の中ほどには,橋脚の台座。
右岸側を進んできた軌道は,この橋脚の位置で左岸側へと渡り,
下流の擁壁へ戻るように高度を上げて,方向転換しながら,
さらに高度を上げて大滝を巻いていたらしい。
擁壁の上の軌道跡も気になるが,大滝を巻いては意味が無いから,
サワサンを履くことにして,大滝見物に向かう。
ゴーロを進むと,直ぐにゴルジュ状になって,
沢が曲がった処で,奥に赤い土壁が見えるようになると,
沢を曲がった処に,木ノ俣川大滝が見えた。(8時08分)
此処まで,駐車場から1時間10分強。
落差10mという記事が多いが,
下・上段とも6mはあるように見えるから,12mはあると思う。
上段は直瀑で,下段は勢いよくヒョングっている。
木ノ俣川本流では,最大の滝なのだが,
支沢の滝の方が,落差があるから,注目度は低い。
ヒツ沢大滝が無ければ,この滝を目標にということもあったろうが,
残念ながら今回は通過点。
とはいえ,ヒョング滝は,やはり珍しいから,
此処で30分以上休むこととなった。
左岸側にあるルンゼから,大滝を高巻く。
以前は,腰まで水に浸って取り付いたようだが,
滝壺の外縁部に岩が堆積したのか,
膝まで濡れることなく,取り付くことができる。
ルンゼには,細引きが張られていて,至れり尽せり。
軌道跡に辿り着いて,振り向いて,
此処に上がるまでは,帰りにもう一度,大滝に寄ろうと思っていたが,
この明瞭な軌道跡を目にしてしまっては,その魅力に抗い切れず,
結局,帰りはこの軌道跡を追うことにした。
大滝の上にある4mのヒネリ滝を覗き込みながら,
軌道跡を辿って,上流へと向かう。
軌道跡に残っている橋の残骸。
長い釘が何本も打たれている。
やがて,崖地に行きあたって,沢床に降りるのは難しいからと,
少し戻ってルートを探ると,足下にロープが張られていて,
バンドを利用して沢床に降りることができた。
此処で,大滝の高巻きで外していたサワサンを再び履いて,上流へと向かう。
沢中に落ちていた,鉄くず。
往時の部品だとは思うが,この種の金属は,この先でも見られた。
上流に向かうと青く透明な渕が出てきて,河童のハイトスさんなら,
嬉々として泳ぐに違いないと思いながら,進んでいく。
その少し先で,沢が開けるとヒツ沢出会いで,
本流を離れて左俣のヒツ沢に入る。
ヒツ沢は出だしからゴルジュ状で薄暗く,水量も多い。
少し進んで,沢が右に曲がると6m滝が落ちていて,
登る分には,ホールドも大きくロープも張られていて簡単だが,
滝頭に降り立つまでが厄介で,細いロープを頼りに,
片足幅しかないバンドをトラバースすることになる。
ロープが張られていなければ,結構,嫌らしい場所だが,
それにしても,うまい処に道を見出したモノだと感心する。
ただ,其れだけに,此れだけ山深いヒツ沢でも,
焚火の後にゴミが残っていたり,ペットボトルが捨てられていたりと,
少なからずゴミが見られたのが,残念。
6mの奥に,4m滝。
そして,790m辺りで伏流になると,徐々に傾斜が増し始めて,
情報から,このまま取水堰まで,伏流帯が続くのだろうと思ったら,
取水堰の手前から,再び水が現れ始めて,
どうやら,取水堰で捌き切れないほど水が多いらしい。
そして,830m地点にあるヒツ沢取水堰に到着(9時49分)
この先は,一層,傾斜が増すとの情報なので,
堰堤の上に荷物を置いて,エネルギー補給。
ちなみに,ヒツ沢の出会いより先にある木ノ俣川取水堰で取り込まれた水は,
このヒツ沢取水堰に導水された後,此処で取水された水と合わせて
西俣沢取水堰に導水され,更に其処で取水された水と合わせて,
水圧管を経て,高低差約206mを駆け下って発電機を回しているらしい。
ヒツ沢取水堰で15分ほど休憩して,登りを再開する。
出だしこそ緩やかだったが,850mを過ぎる頃から傾斜が増してくる。
Yoshiさんが,沢全体が滝みたいなものと仰るとおり,
2~5mの滝が幾つも現れるが,ゴーロ滝以外は激流が多くて,
ワザワザ登る必要は無い・・・というか,正直,登れない。
そのため,どの滝も横をすり抜けることになるのが,残念。
ただ,ダラダラより急傾斜の方が好きなσ(^^)は,
案外楽に進むことが出来た。
940m辺りでようやく傾斜が緩んで,平瀬へと変わる。
情報で滝の位置は,1000m付近と知っていたが,
平瀬になった水量を見て,この水を一気に落としてるなら,
さぞ凄い滝なのではと,期待が膨らむ。
そして,沢が左に回り込んだその先に,ヒツ沢大滝が姿を現した。
滝を目にして,「スゲ~ェ~!」と叫んだのは,いつ以来のことか。
それほど,インパクトのある姿で,斜瀑というから,
もっと寝ているのかと思っていたら,
実際は急傾斜で,むしろ直瀑に近い。
時刻は,11時15分。
朝6時50分過ぎに出発して,大休止やらサワサンの脱ぎ履き含めて
此処まで,4時間20分強(取水堰から1時間10分)。
滝前は,滝風と飛沫で肌寒くて,合羽を羽織って撮影する。
やはり,落差40mは伊達じゃなくて,
水流を右に左に振りながら,圧倒的なスピードで落ちて来る。
確かに段瀑とは言い難いし,トイ状というには幅が有るから,
斜瀑としか言いようはないが,
此れほど豪快な滝は,滅多にお目にかかれない。
ただ,惜しむらくは,滝壷が広く深すぎて,
近寄りたくても,近寄れないことくらいか。
滝風を避けるように,一段,下がった処で昼食をとることにして,
結局,1時間以上,滝と戯れて,
再訪することを約束をして,ヒツ沢大滝を後にした。
帰りも,ヒツ沢取水堰で一息入れて行く。
ヒツ沢大滝から,帰りも此処まで
1時間チョイかかったから,案外,時間がかかる。
木ノ俣川大滝を巻いたルンゼの上まで戻って来て,
大滝に寄らずに,左岸側の軌道跡を追ってみる。
↑は,大滝手前のゴルジュの上辺りだが,
軌道跡は,荒れた処もほとんど無くて,問題なく進める。
やがて,右下にコンクリート擁壁が見えてきて,
擁壁の裏側には,ロープが張られていて,
簡単に川床に降りることが出来た。
後は,対岸に渡って岩を登り,右岸側の軌道跡を追って行くだけ。
で,往路で軌道跡に復帰した石積みの位置からは,
わずかな距離だったが,↑が現存する軌道跡の末端。
で,駐車場まで戻って来てみると,残っていた車は,
朝方のオッチャンの車一台だけで,
結局,二台の車の主には,会わずにすんだ。
もしかして,三人とも西俣沢だったのかなぁ~。
まぁ,何にしてもトラブルにならずにラッキーだった。
そんなことを思いながら,駐車場を後にしたのでした
きりんこさんも,9月の末にヒツ沢大滝をご覧になっていましたか。それも,深山園地を起点に大佐飛山に登ってヒツ沢右俣の下降とは。しかし,お二方と一緒だったとはいえ,相変わらず凄まじいお歩きですネ。
ヒツ沢大滝,きりんこさんが行かれたのも,ほぼσ(^^)と同じ頃だから,結構,迫力がある姿が見られたんじゃないかと思いますが,時間切れは残念でしたネ。
右俣の20mくらいの滝,写真,拝見いたしました。ただ,1450m付近とはいっても,結構,遠いなぁ~。。。この沢,全体は滝場のような沢なのに,意外に高度が上がらないから長いですよネェ。まぁ,きりんこさんやYoshiさんの画像で良いかなぁ。其処まで行くと大佐飛山にも行かなきゃならなくなりそうだし。
次は,左俣狙いですか。まぁ,σ(^^)は大滝までで満足ですが,次は紅葉の時季にでも,足を運んでみたいです。
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