せん妄で家に入れない - 認知症になった夫との日々の記録
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せん妄で家に入れない

「散歩に行きましょう~」
夫を車いすに乗せて出かけた。
我が家は玄関から5メートルぐらい歩いた先に2段の階段がある。
その階段の下に車いすを置いて、玄関からそこまでは歩かせている。
わずかな距離だが、夫にとっては大事な歩行の機会。
出発は午前10時半頃で、散歩コースはいつも決まっている。
近所の人通りの少ない、車椅子で通りやすい道を選んでまわり、
樹木が植えてある小さな緑地で、小さな自然を満喫する。
車椅子を押している間は夫の顔は見えないのだが、
夫は手をひらひら動かし続けていて、たぶん、喜んでいる?
・・・と思った。
結構、暑い日だった。日陰のないところも多い。
あまりのんびりとは歩かず、さっさと歩いて帰ってきたつもり。
・・・だった。
家の前に到着し、二段の階段の下に車いすをつけ、
夫に立ち上がるように促した。
ところが、立ち上がってくれない。
「家に着いたよう~ 家に入ろうよ~」
と言っても、立ち上がらない。
手をとって立ち上がらせようとしても、
車椅子に身体をぐっとくっつけて、
立たされまいと力を入れて抵抗する。
もう一度、「立ってよ~」と、立たせるために
車椅子に座っている夫の両足を後ろにぐっとひかせようとする。
両足が膝よりも後ろに来ていないと立てないから・・・
ところが、夫は、私の意図とはうらはらに、
両足を階段の一段目に乗せてしまい、
立ち上がりません~と言わんばかり。
上からはガンガン日差しが降り注ぐ、日陰のないところ。
こりゃ、いかんわ。熱中症になっちゃう。
敷地内の日陰に移動して、少し休憩。
ところが、正午近くになってきて、敷地内に日陰もなくなる。
もう一度、階段前に車いすを押していくが、立ち上がらない。
夫は、車椅子にのけぞるように座っていて、頭も後ろにぐっとのけぞらせていて、両目は開いてはいるが、半眼になっており、あきらかに異常。
意識レベルが下がっている。暑さのせいか? 脱水を起こしているのかも?
とにかく、せん妄状態になっている。
仕方なく、敷地から出て、隣地の日陰のあるところまで移動。
気温が上昇してきている。このまま外で回復するのを待つのは無理だ。
夫の所属している小規模多機能居宅介護サービスセンターへSOSの電話。
車でスロープをもってきてもらえないかなぁ? 
あいにく、車を運転できる人が訪問に出ていて、今、いないと。
帰り次第電話をくれるという。
だけど、何時に帰るのかわからないし・・・
このままここでこうして待つより、センターへ連れて行ったほうが早い。
夫を車いすに乗せて、センターまで押していく。
実は我が家からセンターまでの距離はそれほど遠くはないのだが、
坂道を登っていかねばならない・・・これがきつい。
センターまであと5分と言うところで、ケアマネから電話。
「そちらに向かってます。あと5分で着きます。」
土曜日なので、正面ドアに鍵がかかっており、着いたら、
ケアマネさんがドアを開けてくれた。

センターについて、とりあえず、開いている集会室で
休ませ、水分補給をさせようとしたが、
せん妄がひどく、渡した水分補給用のゼリー飲料も
口につけてみたが、拒否激しく、
ゼリー飲料をぎゅっと掴んで振り回し、衣服をしこたま汚した。

その様子を見て、ケアマネさんが、
「上(小規模多機能)のベッドが空いていますから、そこで休みますか?」
「そうですね。少し寝れば、せん妄が収まるかもしれません。」
夫の登録している小規模多機能居宅介護サービスセンターでは、
宿泊用の部屋が5部屋ある。そのうち1つが空いているのでと。
コロナでずっとデイサービスを休ませている私に気を遣ってケアマネさんが
「えっと、スタッフは今週水曜日にPCR検査をして全員の陰性を確認しております」と言ってくれた。現在、月に2回、スタッフは「日本財団」が支援してくれている無料のPCR検査をしているのだ。

お部屋に行くと、夫のためにベッドメイキングをしてくれていた。
当初、夫は車いすから降りることを拒否。
両足をぐっと突っ張らせてベッドにつけて、車椅子から降ろされまいとしている。
せん妄がひどい。時々、首の後ろを自分でもむようなしぐさをするので、心配だ。
首の血管でも詰まったかも? でも、明らかな麻痺などは出ていないようだ。

スタッフが二人がかりで夫を車いすからベッドへ移乗。
ベッドに横にさせたら、素直にそのまま横になっている。
まあ、何かが嫌だとか明確な意図があって拒否しているのと違って、
せん妄を起こしていて、状況を理解しないために起きている現象だと思う。
涼しい部屋でベッドに横になっているほうが快適なはずだから、
寝かされたら、そのまま横になっているのだろう。

結局、正午頃から午後4時半まで小規模多機能のベッドを借りて休ませた。
昼食やおやつの用意はないので、自宅と近くのマーケットで簡単なものを用意する。
寝ていた夫は、トイレに行きたくなったのか、起きた時には、だいぶ普通の顔に戻っていた。
せん妄状態の時は、明らかにそれとわかる顔つき・目つきになるのだ。

認知症が進行していくと、せん妄になる頻度が多くなってきた。
一番困ったのは、入力中、せん妄状態になり、お風呂から出てくれなくなった時。
今回もとても困った。
結局、私も夫について一緒に小規模多機能で過ごした。
そして、夕方、スタッフの運転する車で自宅まで送ってもらった。
車椅子から立ち上がってくれないことを恐れて、
車には直接乗ってもらい、車椅子は車に積んで帰る。
家の前に車を止めてもらって、夫を車から降ろす。
車のドアを掴んで、なかなか離してくれなかったけれども、
ちょうど隣家の家の人が二人出てきたところで、
お二人があいさつするので、夫はそれで動き始めた。
おまけに、あいさつしてくれた隣の奥さんに握手までして・・・
「え?・・・す、す、すみません。握手なんかしちゃって」
「あ、いえ、こちらもマスクなしで・・・」

ともかく、無事に家に入れた。
小規模多機能居宅介護サービスは、今日のような時に、臨機応変に対応してくれるので、非常に助かる。我が家の在宅介護になくてはならない存在だ。

今週から地元自治体でも、コロナワクチンの予約が開始された。
第一弾は数が少なく、みんな予約がとれていないみたい。
私は、もうハナから無理だと思って、予約を試みていない。
そもそも、夫には「集団接種」には無理だと思う。
今日のことでも、そういう思いを強くした。
もともと、夫が注射を受けるときには、いつも三人がかりでやっている。
ベッドに寝かせて、私が上から覆いかぶさり、医師が夫の腕が動かないように固定し、看護師さんがその間にブスッと・・・やっている。
大学病院での採血の時も、いつも「動きますよ~」と言うと、必ず応援の人が来て、やっぱり三人かがりでやっているんですよ。
針がささった瞬間に大きく動くので、何度も針を打たなければならなくなる羽目になって、可愛そうだから、最初から3人がかりでやっているのだ。
コロナの筋肉注射だったら、どうなるのか? 
採血の時は、血管にうまく針を入れなければならないからより難しく、筋肉注射のほうが簡単なのか? よくわからないけれども・・・
さらに、今日の夫のせん妄で思ったけれども、夫の場合、集団接種の約束の時間通りに到着できるのか不安だと思う。たまたまその時にせん妄になっていたら、家を時間通りに出発できるかわからない。せん妄中だと、注射を打つなどしたら、暴れそうだ。

訪問診療で個別接種してもらうほうが安心だ。
先日、訪問診療医が来た際に聞いてみたが、「法人としての対応がまだ決まっていない」のだそうだ。
また、都内でも、自治体によっては個別接種を中心に進めるところもあるとの報道だが、私が住んでいるところは今のところ集団接種しか告知されておらず、個別接種についての方針は明らかになっていない。
そもそもワクチンの量がいつどれくらい入ってくるのか不透明なので、告知できないのかな?
まあ、7月頃には接種できるのだろう・・・

特養に入所している父は、施設内での集団接種。時期はまだ決まっていないようだが、既に家族の同意書を提出済み。

アラカンの私は? 高齢者枠には入っていないが、基礎疾患あり枠になるかも?
年内に接種できるかどうか?というところかな。

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コメント

No title

こんばんは。
頑張っていますね!
ご主人くらいの体調の時は介護するにも一番大変だったような気がします。
私は今は病院にお任せでこのコロナ禍で気をもんでいるだけです。
ご主人は幸せですね。
アワキビさんあまり無理なさらないでくださいね。
コロナもいつ収束するのでしょうか?東京はまだまだ大変ですね。
ワクチンの接種券は届いていますがいつになるのかまだ何も分かりません。

mjijiさん

こんばんは。
せん妄は本当に厄介です。
本人に動く気持ちがない時に、私の腕力では、立ち上がらせたり、動かしたりはとてもできません。
なんかもう体が後ろにのけぞってしまっていたので、やはりあの時はちょっと尋常ではなかったのだろうと思います。
その翌日は、前日の影響が残っているのか、終日眠り続けて、あまり動けず心配しましたが、今日はだいぶ動きが普通に戻ってきています。
脱水が一つの要因だったのかもしれません。
これからは脱水にも要注意ですね。
mjijiさんも、水分補給をこまめになさってくださいませ。

コロナのワクチン、話を聞くと、予約が全然できない~と言っています。5月分の予約は終了。6月分の予約はこれからですが、集団接種には二の足を踏んでしまいます。個別接種の方針が出ると信じて、様子見です。
mjijiさんの自治体では、まだ、進んでいませんか?
宮城は緊急事態宣言が解除されるんですね。でも、早く解除して変異ウイルスが広がってしまった大阪の例がありますから、どうなんでしょうね?

どうぞお気をつけてお過ごしください。早くワクチン接種ができますように・・

No title

アワキビさん
大変ですね。
今年は大阪は、例年より3週間早く梅雨入りしました。
この調子で、真夏が3週間早く来るかと思うと、挫けます。
ワクチン接種、無事に済むことを祈ります。
アワキビさんの体調が一番大事です。
くれぐれもお大事になさってください。

sueさん

こんばんは。
大阪は既に梅雨入りでしたか?
東京も、梅雨の走り…と言うのでしょうか、雨続きできょうなどは肌寒いです。
大阪のコロナによる医療の逼迫、厳しいですね。
とても心配な状況です。
sueさんもどうぞお気をつけてくださいませ。

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プロフィール

アワキビ

Author:アワキビ
夫と2人暮らし。子どもはいません。
それに現在は猫1匹の家族。
夫、要介護5。アルツハイマー型認知症。生まれつき耳が聞こえない。
父は2018年秋に特養に入所。要介護4。毎週木曜日に実家へ介護タクシーで帰り、2泊3日。土曜日の朝、特養へ帰るという生活も、コロナ禍でずっと特養のみの生活に。特養での看取りも視野に。
母は要介護1で、認知症。弟家族と同居していたが、コロナ禍を期に、我が家に同居することに。記憶障害がだいぶ進んできていて、話したそばから忘れるが、身体は元気。

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