「正常性バイアス」による判断ミスか? - 認知症になった夫との日々の記録
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「正常性バイアス」による判断ミスか?

 夫は、昨日、車のドアに(たぶん)右手中指の爪のあたりを思い切り挟まれて、流血し、爪の下に青黒い内出血ができ、指全体が青黒く腫れた。
 今日になって、手の甲の方まで、内出血した血が落ちてきて、赤紫のような色になってきた。

 しかし、今日は、朝から眼科の受診の日だ。
 病院は小規模デイのすぐ近くなので、朝は小規模デイの送迎車で病院まで送ってもらう。

 午前中、視力検査、眼圧検査、目の写真撮影、一診目の医師の診察を終えたところで、正午前になり、二診目の医師の診察まで、「あと何人?」と受付に訊いたところ、「まだ、前に15~16人待っています」と言われたので、昼食を食べに小規模デイへ。
 夫の昼食は小規模デイで用意してもらい、私は病院のコンビニでお弁当を買って、デイで皆さんと一緒に食べた。

 昼食の際、夫の指の先の方から血がジワジワと出てきていることに気づき、小規模デイのスタッフの看護師さんに見てもらったが、取り敢えず、絆創膏を貼っただけだった。

 その後、もう一度、眼科に戻り、終わった後、貼った絆創膏が赤黒くなって、引き続き出血しているようだったので、ちょっと心配になる。
 眼科のその病院で、診察相談担当の看護師に相談したが、もう既に今日の診察は終わって医師が帰ってしまっているので、近くの整形外科へ行って、取り敢えず骨が折れていないか確認するために、レントゲンを撮ってもらうことをに勧められた。

 でもな~、今日は車椅子を持ってきていないので、近いといっても、夫を歩かせて行くのはムリだし。
 小規模の送迎車で、整形外科まで連れて行ってもらうように頼むこともできるけれども、なんとなく気が引けてしまい、そのまま受診せず。
 眼科受診を終了し、薬局に寄ってから、小規模デイに戻り、それから自宅まで送ってもらった。

 帰宅後、ほっとしたところで、ブログのコメントを見たところ、mikomonaさんから、
爪が傷つくと治りが遅いですし、化膿しないように気を遣いますね。毎日の処置が大変だと思います。」と。
そして、mikomonaさんが指を挟んでケガした時には「全治2ヶ月でした」と。

 え? このケガって、そんなに大変なことなの?
 化膿しないように、毎日の処置が必要? ・・・全治2ヶ月って?

 あれ~? なんか、私、もっと軽く考えていた。
 私、間違っていたんじゃない?
 
 そして何より、夫の指の先から、血がジワジワ出続けて、絆創膏がすっかり赤黒くなっているじゃない。
 普通は、ケガをした翌日にもなっているのだから、出血は固まって止まっているものじゃあないの?
 だんだん、心配になってきた (;゜0゜)

 が、夫は、一日中病院で待たされて続け、疲れて、布団で寝てしまったので、とりあえずは夕食の用意だ。

 夕食を終えてから、夫の指をじっくり見たが、見れば見るほど不安になってきた。((((;´・ω・`)))

 とにかく、これは訪問診療医(夜の当番医)の24時間緊急連絡先へ電話をして、相談してみよう。
 医師に状況を説明すると、夜10時過ぎになるが…と、訪問してくれることになった。

 夜10時をまわった頃、訪問診療医到着。
 赤黒く腫れた指の状態を見た医師は、

 「う~ん、蜂窩織炎(ほうかしきえん)が心配です。
  毎日、消毒しないといけません。
  抗生物質も今からすぐに飲んでください。


 え~、蜂窩織炎? えぇ? そんなに大事だったんだ?
 うわぁ~、ショック。

 消毒処置をしていただき、訪問診療所から自宅に預かっている「緊急用医薬品セット」の中から、医師が抗生物質メイアクトを取り出し、朝昼晩飲むようにと指示あり。
 また、「明日も訪問して、指の状態を見させてもらいます。薬についても、また別途指示を出します」。
 医師に同行して薬剤等を抱えた事務員の方からは「明日の朝9時に、訪問時間の調整の電話を入れます」。

 訪問診療中も、医師の緊急用電話には呼び出しの電話が入っており、インフルエンザの季節ということもあるのかもしれないが、夜間中ずっとこんな感じなのだろうな…
 本当にありがたく、大変なお仕事です。
 こんなにお忙しいのに、私の判断ミスで、昼間に来てもらうことだってできたはずのものを(昨日のケガなのに)、夜間に呼び出してしまった。

 なぜ、夫が指を挟んだ時に、すぐ医師に診てもらおうと思わなかったのか?

 夫が、泣きもしない、痛いとも言わず、平然としていたから・・・ということも、医師に診せるまでもないと判断された一因だろう。(認知症の本人からの訴えがなかったから…というだけで判断してはいけなかった。客観的な傷の状況から判断すべきだった。)

 さらに、小規模デイの中に、看護師資格を持っているスタッフがいるのだが、その判断としては、消毒して、絆創膏を貼って、冷やしておけばよいだろうというものだった。
 私が昼食時にデイに寄ったときに、夫のケガのことを初めて知ったのだが、看護師を含めたスタッフたちからは、「医師に診てもらいましょう」という言葉が出なかったのだ。
 スタッフの誰も騒いでいないし、看護師も居る中での判断なのだから、「病院で診てもらうほどのことではないんだな。」と思うべきだろう・・・と思った。

 でも、これって「多数派同調バイアス」や「正常性バイアス」のひとつではないかな?
 今日、たまたま池上彰の「教科書で学べない災害」をテレビで見ていて、緊急時の避難を遅らせてしまう原因に、このバイアスがあると言っていた。

 「多数派同調バイアス」とは、簡単に言うと、今まで経験したことがない事態が起き、どう対処したらよいか迷ったときに、周囲の人の動きを探りながら同じ行動をとることが安全と考えること。

 「正常性バイアス」とは、これは異常ではなく「まだ正常」という心理が働き、「異常事態発生!」という緊急スイッチが入らない状態、つまり異常をも正常の範囲内ととらえてしまうこと。

 私の心理にも、

 「看護師さんもいるし、他のスタッフも大勢いて、誰も、夫のケガのことを大袈裟に騒いでいる人はいないじゃない?
  だから、夫のケガは大丈夫なんだ。
  絆創膏を貼っておけばよい程度で、たいした傷ではないんだろう。
 もし、私一人が、夫を病院に連れて行きたいなんて言い出したら、
 「何? クレマー? モンスター介護者?」とかって思われてしまうんじゃない?」

 というバイアスが働いていた。

 逆に、もし、私一人だけの時に、夫がケガをしたら、恐らくすぐに病院に連れていくか、訪問診療医に相談して、訪問して診てもらっただろうと思うのだ。

 う~ん、人間の心理って難しい。多数派同調心理って、案外、怖いものですね。

 今回は、mikomonaさんのコメントがあったお陰で、「あれ? もしかしたら、夫のケガに対する私の判断はおかしいのかも?」と我に返えることができました。感謝です!

 今回の出来事が今後の教訓となるように、ここに記録として残しておきます。


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コメント

No title

アワキビさん、こんにちは。
なんて難しい判断でしょう。
自分のケガなら痛みの程度で考えますが、ひとのことは本当にわからない…経験のないことはとくに分からないです。
大事にしたら周りに迷惑をかけるんじゃないかとか考えますもんね。
でも、だからこそ施設の看護師さんには病院に行きなさいって言ってほしかったですね。
看護師さんがいうなら大丈夫って思いますよそりゃあ…。

ともかく、早くよくなられますように!

抗生物質効くといいですね。

アワキビさん、心配ですよね。ムクロジは言われたことないですが、友人が小児科受診で「こんなに酷くして、、、」「大袈裟に連れて来て、、、」と立つ瀬がないと、こぼしていました。
子ども・ご年配はアッという間に悪化します。
いつも医者に罹るときに、様子見でと思いますが素人の私は、、、。やはり自信のない場面が出るのは当然。
グレーゾーンの判断が経験のなさには役立たないですからねぇ。
どうぞ、ご主人様快方へ向かわれますように。

だださん

 ありがとうございます。

 そうなんですよね。

 ただ、看護師さんも、また難しい立場だということは、なんとなくわかるんです。

 せっかく看護師がいるのに(看護師加算で利用料もその分アップされているんですがね)、ケガをしたからと言って、すぐに病院へ連れて行くっていうんじゃ、私の存在意味がないじゃない・・等という気持ちがあったかも・・・。

 まあ、でも、やっぱり難しいところだなあ~。

無患子さん

 医師に診てもらうかどうかの判断難しいですね。

 私は、病気やケガについては、本当に小心者で・・・

 特に、夫の具合が悪くなると、私も一緒に具合が悪くなってしまうことが多いのです。

 ですから、どっちかというと、普段は、具合が悪くなると、すぐに病院を受診する方かな。

 それはたぶん、夫と二人だけで、病気やケガに向かい合っていると、あれこれ考えてしまい、不安で耐えられないからなんだと思います。

 医師や看護師が居て、「大丈夫ですよ~。心配ないですよ~」と言ってくれるだけで、気持ちが楽になるんです。

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プロフィール

アワキビ

Author:アワキビ
夫と2人暮らし。子どもはいません。
それに現在は猫1匹の家族。
夫、要介護5。アルツハイマー型認知症。生まれつき耳が聞こえない。
父は2018年秋に特養に入所。要介護4。毎週木曜日に実家へ介護タクシーで帰り、2泊3日。土曜日の朝、特養へ帰るという生活も、コロナ禍でずっと特養のみの生活に。特養での看取りも視野に。
母は要介護1で、認知症。弟家族と同居していたが、コロナ禍を期に、我が家に同居することに。記憶障害がだいぶ進んできていて、話したそばから忘れるが、身体は元気。

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