BMW新型7シリーズを徹底レビュー! ライバル輸入車を比較対象に挙げて解説
- 筆者: 岡部 和男
2022年7月1日、BMWジャパンは新型7シリーズの販売を開始しました。全面刷新で圧倒的な進化を遂げた7シリーズは、全車ロングホイールベースで高級車にふさわしい室内空間を実現しています。
本記事ではBMWのフラッグシップモデルである新型7シリーズの装備などをご紹介しつつ、同じくラグジュアリー・セグメントに属する「メルセデス・ベンツ Sクラス」「アウディ A8」を比較していきます。
ハイエンドサルーンとしての存在感が増した「BMW 7シリーズ」
1977年にデビューした7シリーズは、今回のフルモデルチェンジで7代目に進化。最新テクノロジーの搭載や内装の刷新により、コンセプトでもある“駆けぬける歓び”を高次元で体現しています。
巨大化が進む伝統のキドニー(腎臓の意)グリルについてクルマ好きからは賛否両論ですが、BMWの意思を象徴するものであり、BMWの「シンボル」「アイコン」としての役割を担っています。
LEDヘッドライトは新型「BMW X7」と同様に上下2分割デザインが採用され、上部にはスワロフスキー製のスリムなクリスタルヘッドライトを配置し、下部にはデイライトやウインカーなどをまとめて収納しています。ヘッドライトには対向車や歩行者を検知してハイビームとロービームを切り替える「ハイビームアシスタント機能」を搭載。このライトデザインは、今後もBMWのフラッグシップモデルに採用されると明言されています。
リアテールランプもフロントのライトデザインと同じく薄型タイプを採用。サイドまでつながる造形により、ワイド感のある堂々としたリアフォルムを実現しています。全体的にバランスの取れたエクステリアデザインと言えるでしょう。
全グレードでロングホイールベース仕様となった新型7シリーズのボディサイズは、全長5,391mm×全幅1,950mm×全高1,544mm。ホイールベースは従来型よりも5mm長い3,215mmです。ひと回り大きくなったボディが意味するものは、ハイエンドサルーンとしての存在感でしょう。日本やアメリカ、中国や中東といったグローバルマーケットを意識しているのが伺えます。
ラグジュアリーへの妥協は一切なし! くつろぎの空間が漂うインテリア
また、ダッシュボード上で優美に弧を描いているディスプレイの下には、クリスタル表面が美しい新開発のインタラクションバーを配置。エアコン操作やドア開閉などをタッチ操作で実行でき、おまけにライティング機能も備えています。コックピット周りの物理的スイッチは、必要最小限に抑えられた印象です。
シートは南ドイツで飼育された雄牛の中から、上質なものだけが認定されるというメリノ・レザーを採用。本革ならではの手触りや質感は、まさにラグジュアリーという言葉がぴったりです。天井にはガラス・サンルーフを標準装備し、オプションで「スカイ・ラウンジ・パノラマ・ガラス・サンルーフ」を選択すれば後座席までつなげられます。
そして、新型7シリーズの目玉装備のひとつに挙がるのがオプションの「リア・シート・エンターテイメント・エクスペリエンス」です。スイッチを入れると後座席の天井部から31.3インチのシアターワイドスクリーンがスーっと降りてきて、同乗者は移動中に映画や音楽、ゲームといったエンターテイメントを愉しむことができます。HDMI入力端子を備えているので、手持ちのデバイス接続も可能です。
オプションで追加費用を支払うだけの実用性は十分に感じられます。新型7シリーズを購入するなら是非とも装備しておきたいアイテムです。
3つのパワートレインと2つのグレードを展開
パワートレインはガソリン車、ディーゼル車、BEV(電気自動車)の3つから選択でき、それぞれにはベーシックモデルのExcellence(エクセレンス)に加えて、スポーティなM Sportが用意されています。
▼新型BMW 7シリーズ ラインアップ一覧表
エンジンを搭載する「740i」と「740d」は、発進や加速時に駆動アシストする48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載。最高出力と最大トルクは、エンジンとモーターを組み合わせた数値です。
また、BMW 7シリーズ初となるBEVの「i7」の気になる航続距離は、満充電で約600kmと高性能。駆動用のリチウムイオンバッテリーは大容量の101.7kWhを搭載し、日本で普及が進んでいるCHAdeMO(チャデモ)による急速充電にも対応しています。
“駆けぬける歓び”を実現させる走行性能と安全装備
新型7シリーズのサスペンションは、フロントとリアそれぞれの軸にセルフレべリング機構を備えたエアサスペンションを標準装備。ショックアブソーバーの減衰力を調整して快適な走行を可能にする「アダプティブ・サスペンション」や、ボディロール軽減と車高調整を行う「アクティブ・ロール・コンフォート機能」もBMWとして初採用し、ラグジュアリーセダンに相応しい極上の乗り心地を実現しています。
ADAS(先進運転支援システム)の面では、3眼カメラと画像処理プロセッサーによる「ハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能」を搭載。完全な自動運転ではないものの、一定の条件下でハンドルやアクセル、ブレーキを自動操作し、長距離運転や高速道路での渋滞時にドライバーをサポートしてくれます。その他、自動駐車や自動開閉ドアといった機能も標準装備しており、高級車として納得の仕上がりです。
BMW新型7シリーズの価格と納車時期
▼メーカー希望小売価格(税込)
ガソリンエンジンモデル
・BMW 740i Excellence:1,490万円
・BMW 740i M Sport:1,490万円
クリーンディーゼルエンジンモデル
・BMW 740d xDrive Excellence:1,460万円
・BMW 740d xDrive M Sport:1,460万円
BEVモデル(バッテリー電気自動車)
・BMW i7 xDrive60 Excellence:1,670万円
・BMW i7 xDrive60 M Sport:1,670万円
※2022年10月現在
※全車右ハンドル、AT仕様
納車開始は2022年第4四半期(2022年10‐12月)を予定していると発表されています。
ライバル比較:進化を止めない最強の王者「メルセデス・ベンツ Sクラス」
BMW 7シリーズと同じラグジュアリーセダン・セグメントに属するのが、メルセデス・ベンツのフラッグシップサルーンであるSクラスです。2021年1月には約8年ぶりにフルモデルチェンジを実施し、「デザイン・安全性・ラグジュアリー・人間中心の最新技術をさらに追求した」と言います。
強豪ひしめく激戦区の中で圧倒的な存在感を放つメルセデス・ベンツSクラスは、BMW 7シリーズのベンチマークであることに異論はないでしょう。
Sクラスの外観は、官能的純粋を意味する「Sensual Purity(センシュアル ピュリティ)」を基に再設計。不要なラインをすべて取り除き、フロントからサイドまでが極限までシンプルにデザインされています。結果的に長く滑らかで低重心なスタイリングが完成し、空気抵抗係数を表わすCd値は0.22と市販車では世界最高水準を計測。流れるようなデザインにより、世界トップクラスのエアロダイナミクスを実現しています。
リアはワイドで伸びやかな印象を与える新デザイン「LEDリアコンビネーションランプ」を採用。Sクラス初めてとなる2ピース構成のテールライトにより、ゴルフバッグがスムーズに収納できるトランク開口部を実現しました。容量はBMW 7シリーズの515Lを上回る550Lです。
他にも、ヘッドライトにはSクラスを主張する3つのブルーデイライトや130万画素のアイライン、メルセデス・ベンツ初採用となる格納型ドアハンドルもハイライトのひとつでしょう。
インテリアは12.3インチの「コックピットディスプレイ」や、12.8インチに拡大された「有機EL(OLED)メディアディスプレイ」などの最新デジタル装備品を搭載。仕立ての良い室内空間とも見事に溶け合っています。
コックピット前面のディスプレイには、速度計などの走行に必要な情報を表示。各種情報を立体的に表示する最先端の「3Dコクピット・ディスプレイ」もオプションで選択可能です。一方のセンターコンソール上部に装着されたメディアディスプレイには、カーナビをはじめとする操作系機能を集約。これにより、物理的なスイッチを減らしてシンプルなインテリアに仕立てられています。
なお、カーナビ情報は「ARヘッドアップ・ディスプレイ(オプション)」を装備することでフロントガラスに投影することも可能。前方から目線を逸らすことなく進むべき道を確認できるため、安全運転に一役買ってくれそうです。
もう1点お伝えしておきたいのが、対話型インフォテインメント・システム「MBUX(Mercedes Benz User Experience)」。新型Sクラスには第2世代に進化したMBUXが採用されており、従来の音声認識以外にもタッチ操作が可能になりました。さらに手のジェスチャーだけで操作指示が出せる「MBUXインテリア・アシスタント」も搭載できるなど、ユーザーに合った操作方法を選べるのが魅力です。
インテリアに求めるラグジュアリーさや快適性は、BMW 7シリーズとメルセデス・ベンツSクラスともに甲乙つけがたい印象を受けます。
現在、日本仕様のメルセデス・ベンツSクラスには4種類のパワートレインが設定されています。ディーゼル・ガソリン・プラグインハイブリッドから選択でき、プラグインハイブリッド以外のグレードには標準ボディとロングボディが用意され、計7通りのグレードがラインアップ。全車が4WDの4MATIC仕様になっている点にも注目です。
▼メルセデス・ベンツSクラス ラインアップ一覧表
ガソリン・ディーゼル車においては、BMW 7シリーズよりも馬力・トルクで上回ります。日本の交通環境で利用するのであれば、どのエンジンでも余りあるパワーを堪能できるでしょう。
また、BMW 7シリーズがBEVをラインアップするのに対し、Sクラスではプラグインハイブリッドを設定している点も興味深いところ。駆動用のリチウムイオンバッテリー容量は28.6kWhで、モーターのみで140km/hまで走行が可能です。等価EVレンジ(EV走行換算距離)は約100km(WLTCモード)に到達すると公表されています。バッテリー充電は普通充電(AC200V)と急速充電(CHAdeMO)に対応。
安全装備も最新にアップデートされており、車や歩行者を感知して衝突回避を補助する「アクティブブレーキアシスト」、ステアリング操作による回避アシスト機能「緊急回避補助システム」を搭載し、オプションで後席乗員のSRSリアエアバッグも装備できます。
さらには、AMGの一部車両でしか見られなかった後輪操舵の「リア・アクスルステアリング」をオプションで用意し、ロングホイールベース車でも駐車時の取り回しがしやいよう配慮されています。これにより、最小回転半径はBMW 7シリーズの5.8mより小回りが利く5.5mを実現しました。
メルセデス・ベンツ Sクラスの価格
▼メーカー希望小売価格(税込)
ディーゼルモデル
・S 400 d 4MATIC:1,338万円(1,378万円)
・S 400 d 4MATIC long:1,690万円(1,737万円)
ガソリンモデル
・S 500 4MATIC:1,422万円(1,465万円)
・S 500 4MATIC long:1,738万円(1,786万円)
・S 580 4MATIC:1,611万円(1,625万円)
・S 580 4MATIC long:1,953万円(1,978万円)
プラグインハイブリッドモデル
・S580e 4MATIC long:1,978万円
※2022年10月現在
※()はMP202202の価格。現在、【MP202201】【MP202202】の2種類があり、MP=モデル識別コードを指します
ライバル比較:コスパで勝るアウディのフラッグシップ「アウディ A8」
アウディ A8はBMW 7シリーズやメルセデス・ベンツ Sクラスと同じく、室内空間が広くて快適装備が整うラグジュアリーセダンです。適材適所にアルミを採用したアウディ独自のスペースフレーム構造(ASF)のボディを初代から受け継いでいます。
日本市場では1995年5月に初代アウディ A8がデビューし、現行型で4代目。最新のフルモデルチェンジではデザインの刷新や最新テクノロジーの導入、さらに全車でマイルドハイブリッドを搭載するなど、革新的なアップデートが行われました。
アウディ A8のボディサイズは、標準とロングの2タイプが用意されています。標準は全長5,190mm×全幅1,945mm×高さ1,470mmとBMW 7シリーズと比べて一回りコンパクト。一方、ロングホイールベースでは全長5,320mm×全幅1,945mm×高さ1,485mmとBMW 7シリーズとほぼ同等サイズです。特にロングモデルはVIPカーらしい優雅なサイドビューが目を引き付けます。
フロントマスクには幅広くなった「シングルフレームグリル」がワイド&ローを強調。グリル回りの立体的なクロームインサートにより、“アウディらしさ”がよりアップしています。
ヘッドライトは標準装備の高精細な「HDマトリクスLEDヘッドライト」に加え、コンフォートパッケージ選択で最先端ライティングテクノロジーの「デジタルマトリクスLEDヘッドライト」も選べます。アウディ曰く、“より高解像度の光を直接投影することで、さらに高精細な配光制御を実現した”とのこと。
リヤエンドを見ると、全モデル標準装備の「マトリクスOLEDリヤライト」が目に入ります。OLED=有機発光ダイオードのことで、走行モードによりライトパターンが変化。見た目の斬新さに加えて、省電力かつ軽量化に貢献します。トランク容量はBMW 7シリーズの515Lよりも僅かに少ない505L。
上質なラウンジをイメージして作られたというインテリアは、素材のクオリティも高く、フラッグシップモデルにふさわしい空間が広がります。バルコナレザー仕立てのシートはカラーラインナップが充実しており、インテリアに使用されるデコラティブパネルと合わせて好みのカラーにコーディネイト可能。
コックピット周りには、メーターや地図等を表示するための「バーチャルコックピット」、8.6インチと10.1インチの2つのタッチディスプレイにインフォティンメントや空調操作を表示する「MMIナビゲーション」を標準装備。すべてが高解像度液晶で快適なユーザーインターフェースとして活用できます。
もちろん、多彩な機能を備える「Audi connect(アウディ コネクト)」も利用可能で、オンライン上でさまざま情報を入手したり、365日24時間オペレーターにつないで施設検索を依頼したりできます。
パワートレインは「3.0L V型6気筒 TFSIエンジン」「4.0L V型8気筒 TFSIエンジン」の2種類。ディーゼルやBEVはラインアップされず、ガソリンモデルのみとなっています。ハイパフォーマンスモデルの「アウディS8」も選択可能。
▼アウディ A8 スペック一覧表
全車に「48Vのマイルドハイブリッド」、4WDシステム「quattro(クアットロ)」、トランスミッションの「8速ティプトロニックトランスミッション」を搭載し、走行性能のポテンシャルは十分。さらに、車高と減衰力を自動制御する「アダプティブエアサスペンション*」により、走行モードに合わせた最適なドライビングを可能としています。
*アウディ A8に標準装備
アウディ A8には、他の高級セダンとほぼ同じ運転支援技術が搭載されています。先行車追従&レーンアシスト機能などを含む「アダプティブドライブアシスト(ADA)」をはじめ、全方位で事故を予防し衝突に備える「アウディ プレセンス360」、歩行者や車両を検知して自動ブレーキする「衝突被害軽減ブレーキ」など、アウディの最新運転支援技術を標準装備。ドライバーの負担軽減や安全性向上のための機能は、まさしくフラッグシップモデルに相応しいものです。
アウディ A8の価格
▼メーカー希望小売価格(税込)
ガソリンモデル
・アウディ A8 55 TFSI quattro:1,190万円
・アウディ A8 60 TFSI quattro:1,635万円
・アウディ A8 L 60 TFSI quattro:1,800万円
・アウディS8:2,050万円
※2022年10月現在
ドイツ御三家のフラッグシップモデルはどれも魅力的! あなたにぴったりのラグジュアリーセダンを!
Fセグメントは“ドイツ御三家”がしのぎを削る卜ップセグメントです。日本での導入状況を振り返ると、BMW 7シリーズは2022年7月のフルモデルチェンジで7代目、メルセデス・ベンツ Sクラスも2021年1月のフルモデルチェンジで7代目、アウディ A8は2018年10月より4代目販売中となっています。いずれもメーカーのフラッグシップモデルとして魅力的であることに違いありません。
ベースモデルで考えるとアウディ A8は価格の面で魅力がある一方、メルセデス・ベンツ Sクラスには他車を圧倒する快適なインテリアがあります。同価格帯でスポーティさを追求するならBMW 7シリーズも候補として挙がるでしょう。
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