2020年 09月 23日
デッサンを考える。 |
4連休が終わり新しい秋の始まり。人が多く出るようになってさてこの先どうなるのか心配です。
台風12号接近で曇りや雨の1日。今日午前中はJー2瑞穂店のカルチャースクール、水曜絵画教室でした。水曜絵画教室では基本的にどんな画材で描いても大丈夫な教室ですが、やはり水彩画を描きたいと始める方が多いです。最近は水彩を描く人の中でもデッサンを勉強したいという人も増えてきています。確かに水彩を上達したいと思うとデッサン力が必要になってきます。鉛筆で立体感があるように描くことは子供の頃からやっていそうで実はちゃんと習ったことがないという人が多いです。美術部に入っていた人なんかは何度かやったことがあるはずですが。
今僕たちがやっている鉛筆や木炭で明暗を使って立体的に描く方法はどちらかというと西洋のデッサンの考え方です。これは明治になって日本に入ってきた技法です。
美術という言葉も明治になってから英語のfine artを翻訳したものです。
西洋の絵画が入ってくる前の日本の絵師たちはまず物の形を師匠などの模写をして線で正確に描けるように訓練しました。そして線の中に色を塗っていくのが日本画の基本的な描き方です。実は日本画という言葉も明治になって洋画に対して生まれた言葉です。明治政府は欧化政策で絵でも洋画式の教育を中心においたのです。
当時の日本人にしてみれば物が立体的に写真のようにリアルに描かれることに驚いたと思います。逆にヨーロッパの人は日本の浮世絵などの平面的な絵画に驚き憧れたのです。
僕らは今デッサンというと西洋式のデッサンを学びますが、逆に日本画的に線で表現する方法は漫画やアニメーションの世界に受け継がれているように思います。子供や若い人にとっては立体的な表現よりまず漫画やアニメの方を先に体験します。だから、大人になってデッサンを描きましょうというとまず輪郭線を描くことから始める人が多いのです。
今や洋画の世界でも日本画のようなフラットな表現の作品もあるし、日本画も洋画の影響を受けて立体的な作品も多くあります。結局、もう洋画も日本画もあまり関係なくなってきました。
使う画材が油絵具やアクリルか日本画の岩絵の具かの違いくらいです。どちらもわざわざ日本語に訳さなくてもartで通用する世界です。
絵を描くときにそんな歴史があったことなどを少し頭の隅っこに入れておいてくれたら良いかなと思っています。
今日は青梅市で見つけた小屋を描いた水彩。後には緑の縦ラインが入った会社のビルが実際にありました。
by mitsuo_ishimoto
| 2020-09-23 21:25
| 水曜絵画通信
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