冷え込むという予報をあてにして朝6時前に家を出る。石舞台から多武峰への新しい道を上ると満月が西の空にある。かえりみすれば月かたぶきぬだ。先を行く車も展望橋で止まった。見覚えのある和尚さんの車だった。宇陀の夜明けをと思ったがとりあえず撮らねばなるまい。二上山がかろうじて見えるこの橋は手前に駐車スペースが設けられ、これからも撮影ポイントになるだろう。数カット撮影の後宮奥ダムに向かう。風が強く、霜も降りていない。堰堤でカメラをまかえる数人の先客も寒さにふるえている。東の空は紅くならず、水蒸気もない夜明けの山里は、朝日が出ても寂しかった。皆が去った後、上りきった太陽を撮影して帰った。